カテゴリー別アーカイブ: 砥石の選別

砥石選別その他

 

土曜に続いて昨日の日曜は、いつもの如く天然砥石館に詰めていたのですが、帰りに砥取家に寄って来ました。月山さんからの白巣板選別の強い要望を受けて、次男氏に少々無理を言っての偵察です。

実は一度、在庫から見繕って貰った物に適う石が見当たらず、次回制作時に気に掛けておいて下さいとの流れに成っていました。結果、在庫と取り置きの中から四つの候補に絞って月山さんへの発送を頼みました。

そうこうして居ると、テレビ取材を受けていた御主人が御帰還。クルーの方々も降りてこられて暫しの後、彼奴(私ですね)は誰か?の流れに。何時もの「大阪で細々と研ぎ屋をしています」の返事で華麗にスルーを狙うも興味を持たれて研ぎ・切りの実演と説明をしてきました。

自分の姿は勿論、包丁や研ぎシーンも流れはしないと思いますが、少しでも此の世界への御理解が深まればと思います。以前、〇の壷の取材に同席しましたが、制作会社の女性デイレクターには私の説明や実演が響かなかった様子でした。恐らく台本と脚本の流れに関わらない傍流の事象には用が無かったのでしょう。

今回は現場の女性ディレクターやカメラマン氏にも、聊か以上に興味を持ち楽しんで頂けた様です。切られたトマトの味の違いまで体感して納得されたとの事。民放関係故かチームのカラーなのか、接触した対象に貪欲と言うかアグレッシブな取材姿勢で、楽し気な陽気さをも感じました。以前のココイロにも通じますね。でも、説明は訳が分からんと。「後は検索して調べて」で逃げました。

 

 

 

最後に自分用の砥石を。選別途中に目を付けていた小さな二つです。片方は、次男氏が砥いでいた包丁の最終仕上げを担当した対価に頂戴し、もう一方は(小さくて変形なので)お買い得価格にて購入。

 

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敷内曇りですが、特に砥粒の目が微細な物。泥の出方も程々で、邪魔にならずに適度な滑り方を提供してくれます。大変小さいですが、使い処を心得ていれば活躍させられます。

 

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上画像の物よりは大きいですが、此方も小振り。しかし丸尾山産の白巣板としては、やや変わった質で、すべすべとさらさらの中間。細かくて目が立っている砥粒からは、地金よりも刃金向きな性質を感じますが、結構泥が多く柔らか目なので対応範囲が広いです。

 

 

 

天然砥石館で展示していた道中剃刀?に錆が出て来て、気になっていました。上記の二つの砥石を手に入れた直接の理由と言う訳では無いですが、早速にも活躍の場が与えられた格好ですね。

 

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刃線上に点々と育ちつつある錆

 

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峰の端に広がってしまった錆

 

再び、柔らかくて薄い刃物の平面研ぎに苦労しそうですね。余り光ってもくれないし、傷も消し難い難敵の攻略ですが、追加砥石の余勢を駆って前回以上に仕上がればと思います。

 

 

 

あと、砥石館での上級者コース受講一番目のK様の御依頼、千枚・大谷山・中山浅葱ですが、千枚は手持ちの・中山は水浅葱よりは白浅葱に近いかも、は確実ですが大谷山は少々時間を要する確率が高いかも知れません。今暫し、お待たせしてしまいますが宜しくお願い致します。

 

 

 

 

御知らせなど

 

天然砥石館では天然砥石製作コースとして、丸尾山巣板・合砥と大谷山の薄物の合砥、青砥や会津砥が有りましたが此の度、岩手の夏屋砥も入りました。見かけや感触は、天草と似ている感じですが北と南で遠いのに不思議です。尤も、天然らしく色柄は一様ではありません。

 

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上画像は試みに自分で作ってみた物ですが、何故か前回の会津と同じく少々、砥粒が細か目のを選んでしまった様です。これら廉価で購入した上でのDIY以外にも、希少な東物の巣板・合砥も販売されています。

現在は販売用全商品の価格帯の内、中間レベルの在庫が減っていますが近々、仕入れられるそうですので興味が御有りの方には是非、足を御運びの上で御覧頂きたく思います。その中間レベルは勿論の事、普段は直に見る機会も少なくなった更なる上級品も含め、全て試し研ぎの上での御購入が可能です。

私は現在、砥石館に曜日限定で詰めては居りますが、砥石館から直接に利益を得ているものではありません。世界的に見ても砥石館の存在が貴重だと考え、館長である上野さんの理念(HP参照です)と覚悟(早期退職して移住)に対し、意気に感じて手伝いをしております。

もしも上記、私の心情に近い・又は御賛同下さる方々が居られましたら、亀岡の天然砥石館を可愛がって頂きます様、御願い致します。あ、見学のみならば無料なので、物見遊山として御越し下さる方も気軽にどうぞ。鉄道の駅からは、やや不便かも知れません。車で傍を通る際に御立ち寄り下さい。「天然砥石館」は何故か正式名称の御墨付でないので、「森のステーション」検索で。

 

 

 

 

北海道のT様には、本焼き二本とナイフ二本の研ぎ依頼を頂いており、更に名倉として使える石をも追加で御所望でした。

通常、共名倉の予備までは揃えておりませんが、亀岡へ通っている関係で砥取家へ寄る事が容易く、選別して来ました。

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上画像の三つがそれで、丸尾山の戸前系(天井・合いさ際?)と中山の黄色です。共名倉としての詳細な目的までは把握していませんが、御手持ちの砥石から推察しました。結果、鏡面狙いと研磨力増大、それに傷消しを狙える組み合わせを見つける事が出来ました。

どれがどれかは、使ってみてのお楽しみでしょうか。分かり難ければ、試し研ぎ後に御尋ね頂ければと。今週後半には、研磨作業完了の御知らせメールを御送りできると思いますので、添付の仕上がり画像を確認の上、御判断頂いて問題無ければ名倉を同梱して御返送に成ります。

 

 

 

 

砥石館で出席日数一番の御常連様には、味方屋作三徳を二本纏めて購入頂きました。御自身用と友人用との事ですが、場合によってはもう一本、親戚用に必要かもと。現状、在庫が一本ですので確定となれば売り切れとなります。

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(上画像は、自分で使っている物です)

司作と違って味方屋作は、追加で仕入れるのも比較的随意で可能ですが流石に間髪入れずとは行きませんので御注意願いたいと思います。ともあれ、先行して二本の御買い上げを頂きまして有難う御座います。

 

 

 

 

 

京都から御持参の本焼き

 

先月の後半、料理人の方に京都市からわざわざの御来訪を頂きました。幸い直前に電話を御受けしてからの顔合わせでしたが、実は其れより先に幾度となく電話を掛けていたとの由。普段、昼夜逆転気味の作業ペースに加えて、土日は天然砥石館に通い出したので余計に電話には出られておりませんでした。

基本的にメールでの問い合わせを御願いするしか無いですし、そもそも直接来て頂いても単に砥石が多目にあるだけの自宅です。来客も想定しておらず散らかり気味なので、恐縮でした。

 

その御依頼品ですが、以下の三本です。ゴールデンウイーク中の砥石館通いを終えて、何とか研ぎ上がりました。

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先丸タコ引きの欠け以外は、大きな問題点は余り無い様子。あ、他の二本も切っ先が傷んでいますね。

 

 

 

先丸タコ引きのみアトマから。後は揃って人造砥石(研承の400・1000、キングハイパー硬軟)で極軽度ハマグリに切り刃を整え、刃先は漸次強度ハマグリに。切っ先へ向かって角度の鋭角化も。

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最後に天然砥石の、主に巣板で切り刃の砥ぎ目を消しつつ、刃先を仕上げます。

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中山産

 

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菖蒲と奥殿

 

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それに丸尾山の蓮華入り白巣板二種。自分の印象では本焼きを特異的に下ろす相性では蓮華だと感じます。全体を均すには東の巣板。最終の刃先と裏押しは、より永切れを狙って中山の並砥で仕上げました。

 

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先丸タコ引きの研ぎ前。光の反射が広範囲に満遍なく見え、平面的な刃先だと分かります。

 

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同じく研ぎ後。光の反射が強く限定的、かつ歪んで見えます。つまり砥ぎ目がより細かく、刃先が曲面に成っています。

 

 

今回、大阪の当方まで御持ち頂いたのには理由が有るとの事。大まかに言って自社の製品以外は砥いでくれない所が殆どである点。もう一つは、拘りなく受け付けてくれても仕上がりに不満が残る業者に出して後悔したと。

加えて、私が砥ぐ際の標準としている形状に高評価を頂けた様です。なんでも、師匠に当たる方から研ぎの要諦を手解きされた際、指南を受けた内容と似通っているそうで。御自身では未だ十分には実現できていないと言う其れを、期待されての上だとすると嬉しさと共に身の引き締まる思いです。

 

 

 

同時に御受けした砥石の選別。巣板と合砥です。

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丸尾山の白巣板、少し蓮華交じり?何れの和包丁にも合うのは勿論、本焼きにも十分対応可能と見ました。

 

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中山の戸前で黄板と呼べるでしょうか。やや細身ですが長さと厚みには不足が無く、硬さは中庸からやや硬。砥粒は細かさと研磨力が両立している優れもので、例の判子に恥じない性能。

切り刃を巣板、刃先と裏押しを戸前でも良いですし、お手持ちの硬~超硬と思われる砥石を裏押し専用にして頂いたり。組み合わせは包丁との相性・御好みで、探って頂ければと思います。

 

 

アトマの高精度厚板ベース+両面ダイヤシートは月山さんから週明け届きますので、御出で下さる時には揃って御確認頂けます。

京都市のH様、研ぎ以外に砥石選別なども御依頼頂きまして、有難う御座いました。其々が仕事内容に適していましたら幸いです。

 

 

 

 

久々の砥石選別

 

以前から目を付けていた砥石と、新たに選別してきた砥石です。御二方に依頼を頂いていたので、其々の種類ごとに気に掛けていました。

 

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先ずは、天然砥石館にも来場頂きましたタマキ様からの依頼品。大谷山戸前浅葱のカミソリ砥です。このレベルの質と形状は希少で、色調も普通は入る「黒・灰・中間」の三色で無くほぼ一色。

 

 

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大きさ・形状の割りに、お買い得価格になっている理由は背面から前面(砥面の端部)に続く筋の為です。

 

 

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色調から察するに相違なく、均一で細かい砥粒の御蔭で良い仕上がりです。大谷山の浅葱としては、硬さの評価で3以上4前後といった所で剃刀には少し控え目かも知れませんが、前述の項目では申し分ありませんので合格としました。

もしも、剃刀用には大きいし、もう少し硬めが良いという事でしたら、私の持っている大谷山のレーザー型(正方形ですが)は殆ど同質で、やや硬めですし値段も三分の二ほどになります。

 

 

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ナイフの研ぎを御依頼頂いた流れから、岬めぐり様には中山の水浅葱を探す手筈になっておりました。今回選んだのは、レーザー型のサイズで大きくありませんが性能では抜きん出ています。

 

 

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此方も、希少性と性能の割りに高過ぎない価格になっているのは、やや薄物で且つ裏面が砥面に対して平行・平滑でないからです。

 

 

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水浅葱の範疇より白浅葱に近いのだと思いますが、硬さの割りに若干弾力を感じる砥ぎ易さと硬口らしい鋭利で光り系の仕上がりになります。

 

 

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天然砥石は一つずつ別物ですから、一概に産地・銘柄・商標・巷間の噂などは確証になり得ませんが、この砥石は側面に押された印章に恥じない砥石だと思います。

 

 

 

残りは自分用に買ってしまった砥石です。

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大谷山ですが、かなり薄い色合いから想像する通り、やや柔らかいですね。硬さ評価で3でしょうか。

此れはある意味、ハネてあった物で、幾つか難が有る為に格安で譲って貰いました。上記の大谷山と同様、砥取家の次男氏と相談の上で取り置き頂いた物です。

 

 

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難があるとは言え、使い手が承知の上で対応すれば、それなりに使えるので仕上がりはまずまず。適した役割に振り向ける事で充分、役に立ってくれるでしょう。

 

 

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元々、本戸前(特に三色混じり)が好きなので偶に欲しくなってしまいます。だいぶ前に手放した朱色が多めの本戸前が手に入るまで、それに近い物を集めてしまうのは止むを得ないみたいです。本当に気に入っているなら、手放さない様にしたいですね。

 

 

 

砥石三種

 

七日の日曜日に、砥石を入手して来ました。

一つは、以前にもチラッと載せていましたが但馬砥です。その折は、表示の記憶違いで佐伯だと思っていた様です。しかし今回のは特別硬さと細かさが際立ち、中砥としては研磨力が大丈夫なのか心配なくらいですが、深い傷を浅くする目的には良いのでしょう。

 

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次に、もう好い加減にしようと思いつつ、取り置きを頼んでいた中山の水浅葱です。前回、かずかずけん様の御依頼の水浅葱を選別に行った際、伺った御希望に添う目的の個体は見当たらなかったのですが(結局手持ちの予備をお送りしました)、此が目に留まりました。

実は前々回、月山さんからの御依頼で送った水浅葱と言うか黒浅葱かも知れない見事な一本が、記憶に残っていて匹敵する物があれば・・・との想いが消しきれず。今回、大きさ・厚さ・形状で近いレベルで、且つ硬さと弾力のバランスは更に自分好みの石を入手出来て満足です。だからこそ、この系統は本当に最後にしなければと決意を新たにしています(大丈夫な筈)。

 

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裏の表情は、まま見られる物です。しかし球状の陥没と筋状の模様はそうなのですが、逆に粒状の突起(隆起)は珍しいかも知れません。

 

 

 

最後は、かなり前にドイツに送る為に御廟山の原石が切り分けられ、出来た切り落としの内の一つです。作業前の時点で依頼していた物で、都合二つ(赤系と黄色系)を試した経緯が有るのですが、手持ちとキャラが被っていたのでどうした物か・・・となっていました。

其れを、当日は私の誕生日だろう、プレゼントだと砥取家次男氏からの粋な計らいで頂きました。相変わらず、御廟山は目の細かい鋭利な切れですが、大谷山や中山の浅葱とは違うザクザク感を伴う感触の刃が付きます。

 

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御廟山の中では、特に鏡面度合いが強い訳では無く中庸ですが、それだけに「いきむらさき」系統としては研ぎ易く、研磨力も感じさせます。

 

 

 

 

経過報告ですが、亀岡の天然砥石館の展示方法の具体案を進める相談をしました。

その後、同日の夕刻からは砥取家に地元自治体の御歴々がお見えになり、土橋・上野両氏からの活動の説明に加えて自分の立場から出来る補足を行いました。

特に、副知事の方・府会議員のお二方・「森の京都」に関わる方々に直接聞いて頂けた事は、今後天然砥石の日本遺産への登録を見据えて御理解頂く契機にもなると思います。我々の奮起は言わずもがな、亀岡市にも益々実効性の有る対応を期待したい所です。

 

 

五月二十九日の砥石選別

 

常連さんからの依頼で、特注の鉈を日野浦さんに相談した折り、此方から手配できる砥石の種類が増えた事を話しました。何でも、過去に興味を持って当たった時期が在ったものの、巡り合えなかった石があるとの事。今回、それに叶うかどうか分かりませんが、送ってくれる様に頼んで来ますと返事をしたので、昨日の日曜に選別に出掛けました。

幸い、元々協力関係であった事もあり、趣旨に賛同を得られて十本の立派な砥石(中山戸前・浅葱・巣板、菖蒲巣板)を発送して貰う手筈が整いました。後で考えると、かなり自分好みの色が強く出ているので、お気に召して頂けると良いのですが。

 

 

それとは別に、仕事用の石も見て来ました。この前、北海道へ御送りした三毛みたいな中山の巣板ですが、同系統が手持ちに二つでは最低限な感じですので後一つは追加したいなと。

これが案外、多くは無かったみたいで二、三の中から一つを選びました。少し前までは結構な数が揃っている印象だったのですが・・・大事に使わねばならないのかも知れません。

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之までの三毛とは違い、縞模様というか八枚柄が見えますね。砥ぎ感と仕上がりは大体同じですが、ややガッチリしている様な。

 

 

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地金はやや明るめ、刃金は薄曇り。研磨力強し。

 

 

 

 

白巣板よりはナマズ入りの敷内曇りでしょう。当たりは中庸な硬さですが、砥ぎ始めると泥も出てかなり変形も出易い傾向。しかし刃金は、曇り系の易変形性の巣板としては明るく仕上がります。

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地金の砥ぎ目は少し荒いですが、それと対照的に刃金は細かく仕上がっています。これはこれで、本焼きに向いているとも言えそうです。巣が殆ど無いのも扱い易く手間要らず。

 

 

 

 

たまに砥石の御依頼を頂くと、千枚・八枚系統の御要望が割合多い印象です。それを受けて、選別に出向きますが必ずしも「一定期間・一定量に幾つ」と決まって並んでいる訳では有りません。

ですので、直近では千枚の質に近い(千枚と隣り合った層の境目)と思われる砥石で御納得頂いたりしました。しかし今回は運良く、それと思われる石を探し出せました。

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砥面・側面の色柄・模様は正に千枚で、砥ぎ感や仕上がりも頷けるもの。

 

 

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若干気になるのは、刃金・地金ともに仕上がりが、少しばかり浅葱に寄り過ぎやしないかと感じる点です。

 

 

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そう言えば、裏の模様が東物に似ていなくも無い様な・・・やはり此れは東の浅葱ですね。まあ私は、使って性能に問題なければ良いタイプの人間ですので、良しとしましょう。次に千枚(系統)をと御依頼の際に、手頃なのが無ければ此れを御送りしても御不満は出ないのではと思われます。

 

 

 

 

下画像は、完全に水浅葱です。先の石よりも更に細かな砥粒を感じさせます。

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小さ目ですが均一で、刃金・地金ともに明るく仕上げてくれます。やや硬口ですが、地も引き難い上、軽く砥げます。

 

 

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文句なしの仕上がり。刃金は鏡面に近く、地金もそれに迫ります。

 

 

 

 

此方はおまけで。

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手の平サイズですが、切り出しなどには充分ですね。中庸(やや軟)な硬さで砥ぎ易く、仕上がりも良いです。

 

 

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仕上がりは、上の水浅葱に近いレベルです。小さくても侮れない性能を見せてくれて嬉しい限り。

 

今回の選別で、東物の範疇を含め、当面自分用の石は足りたかなと考えています。個人で保管可能な量もこの辺りかと・・・。勿論、御依頼に応じたり、自身の勉強の為にも砥石詣では続きます。

 

 

四月二十九日の砥石選別

 

今年は桜のシーズンに遅れ、藤のシーズンになりました。指示のタイミング不安定なナビに惑わされ、想定外の経路(茨木回り)でしたが景色は良かったです。しかし余裕が無く写真も撮れず。

北海道用と松阪用、それに香港用の砥石を探してきました。結果的には、一勝一敗一分けでしょうか。

 

先ずは、北海道へと考えて選んだ東物の巣板

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旗星の判子の痕跡が見えます。やや硬口で巣無しの蓮華・墨流し入り

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ほぼ本焼き用として選んだので、地金には余り優しくは無いかも。

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しかし、主目的に対しては良い仕上がり。

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以前購入した自分用の此れ(下画像)と比べると、硬さが僅かに増した分、扱い易さは若干低下。その代わり、使いこなせれば砥面の変形減少・仕上がりの光り方向上に繋がるでしょう。何より形状の確かさと、底面周辺の焼け気味の難が無い為に、砥石としてのランクが違って来ますね。

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どちらを選ばれても、又どちらも選ばれなくても問題は有りませんので御心配なく。この品質と性能であれば手元に置いておくのに何の痛痒も・・・と言うより傍に居てくれると有り難いレベルです。

 

 

 

此方は、仕事用の予備として追加した物です。

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以前の此れ(下画像)が強い研磨力の割に期待以上の細かい仕上がりを見せてくれたのでもう一つ有ればと。この手は、巣が巣として邪魔になり難いタイプの様です。見かけと研ぎ感は荒々しいのに不思議な事です。

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松阪に送った三つの内、一つは同じタイプです。それ以外は黄色の軟口のカラス入り、水浅葱(これも私の持ち物と同タイプですが、ややまったり気味)。扱い易い千枚も頼まれていましたが、其処は希少種ゆえ簡単には出会えませんでした。まあ、其れを承知でなければ銘柄・品質を指定しての選別など叶いませんが、軟口カラス入りが代替出来る筈と踏んで選んでおきました。

 

 

 

最後は、現在香港から司作の包丁について問い合わせを頂いている方が、千枚・八枚の砥石についても興味があるとの事。ついては、其方にも相応しい砥石をと見てきましたが、前述の通り。

止む無く、もしも御急ぎで千枚に準じる石でも良ければと、以前購入の此の砥石を参考に上げさせて貰いました。

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戸前と敷き戸前の中間という可能性も有りますが、色調・使用感から天上戸前と千枚ではと思われます。

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実際に研いで見れば、仕上がりは充分。標準的な千枚と比較して、地金の細かさ・明るさ共に順当、刃金はやや明る目かなと。少なくとも性能面から見て、千枚系統に伍するのは間違いありません。

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包丁は兎も角、ペイパルやEMSなど、改めて聞いたり調べたりで手間取っており、恐縮ですので御要望に及ばない迄も、せめて近しい石をと紹介してみました。

 

 

 

因みに上記の砥石達は、個々に研ぎ上げた状態そのままでも充分な性能を発揮しますが(或いは夫々が何れかの分野で最適な可能性も)、そこから鏡面仕上げに持っていく繋ぎとしても有用です。

下画像は、小物を対象としている手持ち最小の大谷山と、鏡面仕上げ用共名倉の大上。

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掛かる手間隙は直前に使用する繋ぎの性能にも因りますが、概ね今回画像に上げた砥石達ならば何れも数分以内で、此の仕上がりに達します。

刃金だけなら大抵1分前後ですが、特に癖の有る地金を速く仕上げるならば間にもう一段階、挟んだ方が良いかも知れません。

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やはり鋼材や刃物に応じて相性を探り、設定した最終段階まで持っていけるルートを構成する砥石群は、大抵の要望を満たしてくれるので心強いです。そして可能な限り一段階を小さく、多くの石で繋いであるなら、より滑らかに上がって行ける訳です。

更にそのルートの用意が複数ならば、組み合わせ次第で或る程度は不測の事態にも対応できる為、仕上げ砥石枠を幾つか御持ちであれば、コンビネーションを探っておかれるのが良いと思います。共名倉の使い分けに限っても、効率や仕上がりに差が出ますので。

 

 

 

更に身内へ向けまして

 

前回紹介した砥石の仲間達です。今回は、中山産ばかりだと思います。因みに前回の後半二種もそうなのでしょう、〇カの判子が有りましたので。浅葱は一つを除く全てに・・・レーザー型とコッパにも判子付きは有ります。

しかしそれらは持ち帰って側面を濡らしたり、明るい場所で見てから改めて気付く事も。入手ルートは緘口令が敷かれたままにて伏せますが、大元の出所は確実なので安心です。

私は元々、少ないラインナップから渋々ピックアップするのは性に合わないのと、有名処へのブランド信仰も別段強くないので過去には余り注目して来なかった砥石達です。しかし多くに触れる機会があり、その中の50~60個を撫でて確認し、選んだ30個程を試しに研ぎ、最終的に十数個を手に入れました。

所謂、東物で中山主体。尚且つ〇カも相当量散見される中で、納得いくまで探せた為に本当の実質重視で選べました。〇カが付いている傾向が強い質や形状。しかし例外的な物や首を傾げたくなる個体。逆に何故これに判子が無いのか理解出来ない程の性能を見せる個体(只単に付ける前だったと考えれば納得いきますが)。色々興味深く勉強させて貰いました。

大判や尺長、完全均一な黄板や色物も含めて試し、実際一度は少し見栄えのする立派な黄色(或いは黄土色)を持ち帰ったものの、後に浅葱と交換しました。他に選んであった浅葱の幾つかも、欠けの無い綺麗な30型・40型を返品し、形状は不完全・サイズも小さく成りはしましたが、操作性・仕上がりの良さを優先した同系統で選び直しました。

以下の砥石達がそれで、自分にとっては納得の銘有りと、平均的な銘有りをも凌ぐ驚異の銘無しと言う訳です。

 

 

之まで幾度か画像を上げた浅葱。最初に選んだ石の一つで基準・或いは目標となった物。硬口で泥は余り出ず、滑走感強い。

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その予備

上の石を基準とすれば、やや硬めで刃金は更に鏡面気味。しかし滑走感はかなり低下。

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同じく硬めで鏡面傾向強い。滑走感は更に低下。

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やや柔らか目で研ぎ易く仕上がりと滑走感は基準に近い。砥粒の目は僅かにまったり?

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最も基準と近い質。厳密に言えば、直上画像の石の成分を僅かに基準に混ぜた感じです。

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以上の浅葱はどれも自分の研ぎに合い、特に刃金の処理は秀逸で最上の刃先を提供してくれます。中山の特徴的な模様なのか、妙な表現ですが「瘡蓋と其処から伸びる枝」みたいなのが在るようです。これは鉋や剃刀を極限まで研ぎ込む場合に、注意が必要かも知れません。まあ問題ならその部分を避けて使えば良い事ではありますが。

ネットの画像や知り合いの持ち物、しかも黄色や緑の石についても見た覚えが有るので結構普遍的に現れる共通項なのかも知れません。あと、裏に直径2ミリ前後の小さく綺麗な球状陥没が見られる物も。

兎も角、最初期から高い基準となる浅葱と出会い、それに比肩しうる予備達を追加出来た事は、真に僥倖でした。

 

 

 

次はレーザー型です。同じ色物でも、レーザー型には浅葱に近い刃金の仕上がりを見せてくれる物があり、之はやはりレーザー型と云うだけあって剃刀と合う質の石が選ばれているのかも知れませんね。

だとすれば、単に小さく採れたからそのサイズなりに仕上げるのとは違い、見識ある対応と見極める能力、そして贅沢な選択も賞賛されるべきだと思います。大きく採れた原石を敢えて小さく仕上げるのは、採算性から考えれば忌避される行為の筈ですので。

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と言いつつ、先ずは浅葱系です。 しかし浅葱系の中では最も柔らかいです。何故か色物とは逆に、この外観・サイズに限っては浅葱であり乍、硬口では無い物を幾つか確認しました。それでも刃金が光って来るのは流石。画像の石には、前述の球状陥没の痕跡が砥面にも見えますね。

 

 

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やはり浅葱寄りかも知れません。反応も近い感じ。しかし此方は柔らかくは無いです。最初に選んだ石の一つですが、その後は中々近似の物に出会わず

 

 

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色物らしく、ややまったりした研ぎ感。地金は浅葱系統より曇り勝ち。此方も最初に選んだ一つでしたが、幸い同系統が見付かりました。

 

 

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上の砥石と、ほぼ近似の反応。

 

 

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以下同文ですが、少し刃金はしゃきっと。しかし側面を見る限り、レーザー型の中では一番巣板っぽいような。

 

 

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レーザー型では、と言うより全体の中でも地金・刃金共に鏡面に近いです。

 

 

変な形ですが性能はまずまず。

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これだけは表裏、面付けされていない状態で選んだので何か分からずでした(暗い中で巣板っぽいのを探したのですが)。仕上げてみると並砥なんでしょうか、小鮎様から頂いた中山並砥に近い研ぎ感と仕上がり。しかし頂いた石と同様、硬さ・細かさが控えめに感じたので鉄を吸わせて育てた所、同様に改善されました。

砥面の性状として、濡らした状態では砥粒の凝集性がややクラスター状、例えれば丸尾山の天井戸前うぐいすに度々見られる感じになります。繋ぎに使えば良いかと考えていましたが、普通に使う刃物で不満は余り出ない質になって来ています。これも後になって判子に気付きました。

 

 

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黄色ですが、研ぎ易さと仕上がりのバランスが良かったので、相性探しのバラエティにと選びました。刃先の性能も問題なし。

 

 

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紫系統ですが、同じく研ぎ易い割りに仕上がりも充分。研いだ刃先の性能は、黄色と比べて同等若しくは其れ以上です。

 

 

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おまけで貰った物と購入したカラス入り。右と下は黄色・紫同様ですが、カラスは殊の外硬くて中々減らないでしょうね。使い道も切り出しなどに限られるでしょうから余計に。しかし全く地金を引かず鏡面で切れ味良く仕上げてくれるので、サイズ以外の点では完璧と言えます。

 

 

 

(業務連絡: こんな感じで選んだけれど、好みが近いなら納得の品揃えかと。先々そっちの手が空いたら選びに行く日を連絡されたし。予定を合わせて選別に。助言・手伝いは問題なし。)

 

 

 

S様(と身内)向けに巣板の紹介

 

S様には次の石(菖蒲産?)と同様な物(実用には高価過ぎ?)に御興味を持って頂いたり

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下の石(これも菖蒲?)を参考として御紹介したりしましたが・・・

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確定的ではありませんが、他にも次の二種類の巣板で選別が可能かも知れませんので、その際の御参考になればと載せてみます。

 

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白巣板っぽいですが、巣無しなのか余り側面からは巣板らしさは感じ難いです。研いで見れば当たりは硬すぎず中庸で、そこそこ泥も出ます。

 

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試しに研いで見ます

 

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切り出しでは地金は曇りはするものの、やや明るめと言うか光沢もあります。刃金も結構光り気味。

 

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本焼きの包丁でも試しましたが、以前の奥殿と同等の仕上がりで尚且つ研ぎ易いです。その代わり砥面の変形はやや早く感じます。

 

 

もう一つの方ですが、此方はかなり硬いです。奥殿と同じかそれ以上で砥粒の目も立っている印象です。しかしその分、特に刃金は明るく光り気味になります。

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試しで研ぎ上げた包丁画像だけになりますが、研ぎ目の細かさ・光り加減は巣板としてはかなり上級と言えそうです。

 

 

今回の後半二種は中山の砥石ですがサイズ的な理由などにより、一番目の砥石に比べれば未だ現実的かなと思いますので、どうしてもあちらが好みと言う訳でなければ、候補として今回の系統も当たってみたいと考えています。自分に出来る限りの範囲で努めますが、確約とは行かない点は御理解頂ければと。

 

 

砥石と、選別依頼に付きまして

 

S様に御送りした裏押し用の硬口砥石、それに前回掲載した自分用の白巣板蓮華や浅葱・レーザー型は、之までとは違ったルートで入って来た東物でした(巣板は判別待ち?で他のも未だ伏せます)。後続として、同系統の白巣板蓮華その他もと算段していましたが、価格的に厳しくなる可能性が出てきました。仕入れが同程度の値段でなくなる訳です。

その為、S様の硬口の質と性能の砥石をあの値段で出すのは難しくなりそうです。可能ならば、巣板も回せるようにと考えていたのですが、有ったとしても普段使い用としてお奨め出来る価格になるかどうか。これは私にとっても同様で、取り置き分の確保も不確定です。

砥取家製(丸尾山)も数年前より高目になって来て、以前にも増して見栄えのする砥石は気軽に購入し難い状況になっている昨今、辛い所ではありますが。とは言え、私の仕事用の砥石は、巣板各種・通常の合砥・平面と曲面対応の鏡面近辺を狙える合砥・各種小割りした砥石含め、一生分で必要な量は確保出来たと言えば出来ました。

 

例えば、本焼きに使用を想定している巣板(蓮華入り)ですが、現在は以下の砥石達で対応しています。

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鎌砥に近いサイズですが筋を避ければ結構、良い仕上がりに。

 

 

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変形ですが、上の砥石より粒度細かく砥面の狂いも少ない。更に上の仕上がりを提供してくれます。

 

 

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上二つを足して割った様な使い勝手です。

 

 

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そして最近仲間入りした物

 

 

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此れもですね

 

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因みに、仕上がりはこんな感じ

 

 

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此方(奥殿)は資料みたいな気持ちでの購入でしたが

 

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予想以上に使えますね。と言うか、最も優れるかも知れません。

 

 

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他には、元祖本焼き用としていた白巣板巣無し(敷き内気味?)もあります。

 

 

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それら本焼き用の手前で地均しをしてくれる頂き物の若狭産

 

これらの砥石達以外にも、目的別に各種・各サイズ・複数の性質に亘って大抵揃いましたので、以前とは違ってせっつく気持ちに惑わされる事も無くなり、冷静に見ていく構えで居られます。

 

 

 

 

あと。S様用の青砥ですが、手頃なのを持って帰れました。サイズは、幅が5.5cm強~6cm弱。長さ20cmの厚さ5cmといった所です。

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大まかに面付けしましたが、質としては硬さ・細かさ・研磨力共にバランスが取れ、文字通り優等生だと思います。割れに繋がるヒビも目立つ物無く、強いて言えば底面がまっ平らでない事でしょうか。一応、砥面以外は石ちゃんを塗っておきました。

 

 

 

参考までに手持ちの青砥ですが、あと二本(硬さ中庸のややシャリと、柔らか目のトロ)は親の家に置いてあります。トロッとした泥がやや多めに出るのが好みです。シャリは、何処かスリガラスのイメージが。

 

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トロでしたが硬い部分が増えて行き、かなり使い勝手が変わってしまいました。大きくて重いので余計に使わない状況に。幅と厚みは8cm位。

 

 

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青戸とは思えない硬さで先ず脱落した物。

 

 

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砥取家で、おまけに貰った物。性能はややシャリっと以外は、満足且つ好みの物。

 

 

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細いですが、性能・砥ぎ感共に最も優れると感じている物。

 

S様、以上の様な青砥(五つ上の画像)ですが、良ければ送らせて頂きます。値段的には、硬口の八掛け程度になりますので御判断下さい。