ランボーナイフ2種

 

以前に一度、ランボー3のモデルを商品化したナイフを研がせて頂いた御近所さんから再度、研ぎの御依頼を頂きました。

前回は電話にて、当日持ち込みの当日返却を御希望で。普段は中々、電話に出るタイミングも難しかったり、研ぎ上げる時間的な兼ね合いも有って、御断りせざるを得ない内容だったのですが偶々、昼から夕方までの猶予も有り、御受けしました。

商品の性格上、デザイン優先だからと言うだけでは無いと思われますが、ナイフの一般的な刃付けの中でも大らかな初期状態であったと記憶しています。1~2日後に、キャンプ若しくはアウトドア御飯の予定だとの御都合も加味し、強度と切れの両立を図った仕上がりを目指して研いだのですが、結果としては御不満も無かったとの事。

 

其れが下掲の画像で、少しの使用による切れの低下を回復する程度の研ぎをと。

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全長46cm、刃渡り30cmの中の一部には、確かに少々の損耗が見られました。

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もう一つは今回が初めてとなる、購入し立てのランボー2のモデルです。

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上掲のランボー3の初期状態よりは、整っては居るものの、荒く削ったり叩き付けたりするには困らないか?レベルの刃付けです。

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或る意味では、安定した小刃の付け方では有るのですが・・・刃先最先端の部分的な潰れが目立ち、そもそもの刃先の鋭さが不足している状態。(例え如何に鈍角であっても必要な精度は不変)

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研ぎ始めは「2」の方からダイヤモンド砥石で。刃先に返りが発生する程度まで研ぎ下ろす事に加え、初期状態の小刃の幅を僅かに広げながら、切っ先方向へ向かって鋭角化して行きます。

「3」とはメーカーが異なるそうなのですが、此方の「2」も刃元の角度が他の部分と齟齬が見られましたので、削りシロを余分に増やす事を避けつつ、バランスが取れる範囲で収めました。

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320番の人造で、上記内容の精度を高めつつ、研ぎ目を細かくして行きます。

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1000番と3000番に繋いで、更に研ぎ目を細かく。

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天然に移行し、対馬です。此の段階から、限られた小刃の範囲の中で角度の研ぎ分けの準備に入ります。

最終的な微調整は仕上げ砥石に譲りますが、土台の小刃は初期の小刃に比して僅かに鋭角化。然る後、小刃のスタート部分へ向けて漸次、鈍角化します。

仕上げ砥石に移ってからは、逆に刃先最先端へ向かって刃先を漸次、鈍角化しますのでベースの部分に対して両端を鈍角化している事に成りますね。

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中山の中硬~やや軟口の、恐らくは合いさで仕上げ研ぎ。

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最終仕上げは、中山の天井巣板らしきカラス混じりの巣板、やや硬口で。

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研ぎ上がり、全体画像です。

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刃部アップ。「3」と違ってホローグラインドの部分が狭いので、小刃の部分の厚みは「2」が勝ります。従って、余り刃先最先端を鈍角化せずとも強度が担保される為、刃先の角度変化は少な目です。(角度変化は少なく段階数も少ない)

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刃先拡大画像です。上記内容を示す様に、小刃の始まりと最先端以外には角度差を現わす等高線が三本前後のみ、確認出来ます。

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「3」の方も大まかには同じ工程ですが、損耗が少なかったので天然砥石のみでの研ぎです。

対馬に始まり、

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中山の合いさ、

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戸前に近い質感の硬口巣板、カラス混じりです。

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研ぎ上がりです。

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此方は、ホローグラインドの部分が広いので相対的に刃先の厚みが薄目です。従って、強度を保つには最先端へ向かって急激に鈍角化する必要が有ります。

上記内容は下掲の画像に現れている通り、最先端へ近付く程、等高線の間隔が狭まって居ます。

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御依頼主のH様は、ナイフ好きかつアウトドア好きらしいので、私が関の先輩へ発注している刃物の話しもさせて頂いた所、興味を持たれました。(骨スキ改の発案者の方の筋引き・名古屋の方向けの牛刀・自分用の切り付け包丁風と柳葉風)

下掲の手持ちを例示して、御好みの形状・刃長・刃厚・ハンドル材を選択可能だと御伝えしました。すると御手持ちのユーティリティタイプの発展形を想定し、御依頼を示唆されて居ました。

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H様には此の度も研ぎの御依頼、有り難う御座いました。またナイフの発注の方も、御心が決まりましたらデザイン画或いは現物の画像を添付の上、メールにて御知らせ頂ければと思いますので、宜しく御願い致します。

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com