砂型鋳造での鏡製作

 

もう、丁度一週間前に成りますが・・・亀岡の天然砥石館でイベントが有りました。之までとは少々、毛色の違う体験型のイベントとして、熱した亜鉛合金を砂型に注いでの鏡作りでした。

勿論、砥石館らしさを活かして研磨の工程にも抜かり無く、人造砥石や青砥を始め研磨剤なども多用し、多くの段階を踏んで磨き上げました。

 

 

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木製の枠に、凸型と成る部品其の他を用意。鏡の背面と成る部分には、厚みの有るシールを御好みで選択して貰います。

 

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砂型に適した砂で覆い、更に其の上には通常の砂を。然る後には、木片とハンマーで固めて行きます。

 

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凹面の型が出来上がります。表裏、二種の凹面の型を組み合わせて・・・

 

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加熱した亜鉛合金を注ぎます。

 

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固まるまで暫し待ちます。

 

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部品が小さいので、元は数百度とは言え数分で取り出せます。

 

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湯が通るラインが一体で出て来ますので

 

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金鋸で切断後、グラインダーで整形。鏡の面はベルトサンダーで削って置きます。

 

 

 

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此処からは、400番前後の人造砥石で参加者の方が研いで行きます。1000番まで進むと、天然砥石へ繋ぎます。

 

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青砥の中でも、引け傷が入り難い若干、柔らか目の物を選んで使って貰う事に。

 

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研磨剤は、180・320・400・800・1000・2000・4000番でしたか、かなり段階を踏んで傷を消して行きました。

 

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完成品は、殆ど全てが上画像の状態に仕上がりました。充分、実用に足るレベルで顔を映してくれ、不満に感じる方は出なかった様で何よりでした(笑)。不足が出そうな場面では、私が補助的に研磨したので一安心です。参加して頂いた方々には、感謝致します。

 

 

 

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砥石館の常で、何等かの道具や素材が追加されますが・・・砥石の種類にも増強が見られました。

 

 

 

 

 

御知らせと御願い

 

先日、留守電に伝言を入れて頂いて居た方にも向けてに成りますが(近所に来たが留守だったとの事)、改めて御伝えして置いた方が良いかと考えました。

元々、店舗を構えて店番をしている訳では無い私は、御送り頂いた包丁を主体とした刃物を自宅で研いでは御返送しているに過ぎません。何割かの方が考えられていた様な、持ち込んで頂いて其の場で研いで御返しするのは困難ですし、留守にしている時間帯が多いので対応も不可能な事が多いです。必然的に電話に出られるかも其れに準じています。留守の時間帯は、砥石の選別などの関連する理由も有りますが・・・内職に毛が生えた程度である収入の補助的に、近所の手伝いに出て居た事が有ります。

ただ、研ぎ・砥石の選別・イベント参加・研ぎ講習の其々が合わさって居れば何とか成って居たのですが、コロナ禍でイベントが延期に成ったり講習が無くなったり。止む無く、研ぎ関連に割いていた部分を縮小せざるを得なくなりますので、直接の持ち込み・電話対応は之まで以上に対応が出来なく成りそうですが何卒、御理解と御協力を御願い致します。

(もし夜間・土日にでも折り返し電話をしてくれという場合は、留守電に番号を入れて置いて頂けましたら幸いです)

 

 

 

 

 

水浅葱の選別で

 

先日は、水浅葱の選別に出掛けて来ました。其方の砥石を現在、御二方が御希望で。自分用の追加も含めて見に行って来ました。

前回に訪れた際に見せて貰った大きな原石を、相談しつつ切り分けて貰ったり、もう少し小振りな原石も試しに切って貰ったりしつつ、四つ程の砥石を選別。その場で全てを加工は出来ませんので、取り敢えず一つを確認すべく面付け等を待ち乍ら、採掘の展望を聞いたり、次の層から出た砥石のサンプルを眺めたり。

 

適度なサイズと形状ですが、層の繋ぎ目の茶色と後述する模様の流れから、難易度高目と判断して自分用としました。

 

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青紙一号と、少し敏感(硬口砥石では傷が入り易い・均一に仕上げ難い)な地金の切り出しの結果。

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青紙二号と研ぎ易い地金の切り出しの結果。

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浅葱の系統は、単に硬くて細かい砥石なので(産地の違いも含めて)、個体毎の差は僅少だとの認識も結構有る様です。しかし、硬さと粘りのバランスから、弾力の有る無しに繋がりますし、研ぎ感でも粉っぽさが強かったり層の流れを強く感じたりします。

層の流れで言えば、単に砥石の長手・短手方向に向いているかどうかでも、滑走や研磨力の違いと成ります。使用者の求める性能に従って、何方の向きで砥石を使うかにも関わって来ますね。弾力が有れば、地を引く可能性が低くなるだけで無く、砥面の変形もストローク数の割りに局地的な出方が少なくなる傾向かなと。

あと、今回の砥石も含まれるのですが・・・剥離・分割する時に基準と成る、層と層の境界線と砥粒の積層が平行に成って居ない物も。基本的に、層の境界線と砥面・底面が平行なのが本来で、砥面が平行で無ければ斜向している事に成ります。しかし、境界線と砥石の基質の積層が平行で無ければ、何方に基準を合わせるかは難しい所です。

強いて決めるならば、やはり境界線(劈開する方向)だと考えますが、私の経験では食い付き方や滑走に特徴が出る気がします。砥石・刃物が平面同士の場合、軽く擦っている時は特に変わりは有りませんが、圧力を強めたり同一箇所でストロークを稼いで行くと、急に食い付きが強く成って来る。其れが広範囲に起これば、全体的に滑走の重さも変化します。

此れを回避・改善するには共名倉・ダイヤでの泥出しを併用すれば問題は無いので、逆に考えれば無難中の無難な優等生には無い個性や特徴を活かし易いとも言えます。無難な物で研磨力を上げるには、ダイヤでの泥出し・やや泥っぽい共名倉での強化も可能ですが、前者では必要なら研ぎ方如何のみでも変化を出せる訳です。

因みに、平面でない刃物やステンレスに於いては、このタイプの砥石が効果的な場合が多いですし、(更に微視的ですが砥粒の形状や並び次第で)平面の刃物の「磨き」で綺麗な仕上がりを得られた経験も。砥粒の目が立ち過ぎタイプ(鑢っぽい)による研磨力とは、一線を画す事が原因なのでしょうか。

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上画像、薄い茶色の二重線?が層の境界線です。

 

 

 

そして、取り置きしていた砥石も一つ。現状では少数派で珍しいと思われる、天井巣板です。やや硬口で泥は少な目、研ぎ易いレベルですし触察から予想する以上に細かい仕上がり。

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特に意識せずとも、繊細な地金の切り出しでも研ぎ斑に成らず。

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研ぎ易い方なら尚の事、楽々でした(笑)。

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御待たせしている御二方の分は、月末までには持ち帰って御報告をと考えていますので、宜しく御願い致します。確認した際、もし質的な難易度で懸念が出ても、取り置きの私用(厚物)を切り分けて貰う成りしますので、御心配には及びません(笑)。

 

 

 

 

 

最近の事

 

数年前に小刀の研ぎ依頼を頂いた、奈良のY様からの新たな御依頼・・・数十年前の作に成る、豆ナイフ。日本のカスタムナイフ界黎明期の草分けとも言うべき作家の方の名品の様ですが、刃毀れと表面の傷みを改善して欲しいとの事で。

本来は、製造段階で用いた電動工具・手動具・研磨剤などが違えば再現性が低く、本人または後継者で無ければ分解組み立ても困難なので、其の辺りをお含みおき願ってからの作業でした。

 

折り畳めば、百円玉の1.5倍ほどの長さ。

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磨きの見本として、新品の左側も送って頂いて居ました。基本的に、初期の研削痕が刃線と直交して残存しているものの、其の表面の研磨痕は殆ど目視が叶わないレベルで仕上がっていました。

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到着時の状態、拡大画像。

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同じく、磨きの見本の方。

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精緻な造作のハンドルに養生を施し、耐水ペーパーと研磨剤で表面を研磨。後々、刃先を研ぎ直す事によって小刃の幅が広がらない様に、刃先周辺を僅かに念入りに厚みも調整。

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人造の1000番と3000番で、刃先を研いで行きます。表面の研磨は敢えて居るのですが、鋼材と熱処理の組み合わせの結果、研磨痕が残り易い傾向の様で。

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光源との角度次第では、余り目立たないのですが。

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天然に入り、中硬・硬口の巣板から水浅葱で仕上げました。

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研ぎ上がりです。何度か研磨剤も変え、方法も模索してみたのですが、此れ以上は相当な期間と試行錯誤が必要(しかも打開出来るかは未知数)ですので、一応の仕上がりとしました。

恐らくは鋼材的にも、やや柔らか目なので研磨の際にも(トルクの有るバフなどで)低速でジワジワ磨くのが良いのかなと感じ、其の儘にY様に御伝えしました。

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取り敢えず、切れに関しては大丈夫だった様ですが・・・磨きに関しては、もう少し追求してみたいと更に方策を探って見られるとの事です。

やはり、私にとっては切れる様にする事が本筋で、天然砥石を使う上では刀剣研磨のレベル・人造の研磨剤量を扱う上ではカスタムナイフレベルとは行きません。磨きは、何処まで行っても余技ですので、実用に問題が無い錆予防・見た目も程々の所までしか御役に立てず、申し訳無く思います。何らかの形で、御本人の御希望に沿う仕上がりに成る事を願って居ます。

 

 

 

 

一昨日は、東の刃物会社の方が拙宅を御訪問下さいました。また其の方を通じて、有る方から私に人造砥石をプレゼントして頂くと云う一幕も。

下画像が其れで、私は余り多種多様な製品を手広く試せる環境に有りませんが、存在自体は側聞して居ました。人造の中砥(1000番前後)から天然に繋ぐのに、3000~6000番の砥石は案外、重要な場合が有りますので感謝です。

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御自身からも、御土産を手渡されましたが・・・此れはカステラ一番、電話は二番の奴でしたか。此方も、相当な昔から存在は知って居ましたが、縁が無かった物。癖も無く、特に風変りでも無いのに、他の店舗の製品とは何処か異なる風味で感銘を受けました。

当方からはキャスルトンのセカンドフラッシュと、近所の和菓子店で購入のマスカット大福を繰り出しましたが、上手く迎え撃てたかどうか(笑)。取り敢えず、一口飲んで美味いとの反応は頂けましたが。紅茶と和菓子とは言え、同じマスカットフレーバー同士で、相性的には悪く無かったのではと。

 

 

 

 

砥石を頂いたのは、四国のK様と御聞きしましたので、御礼の文面を添えて何か使える物を・・・と考えました。しかし中々、其れに相応しい気の利いた品も持たない身ですので、恐縮乍らせめて自分なりの小技を加えた小道具でもと。

 

下画像は手持ちのオピネルNO9、カーボンモデル(炭素鋼)とステンレスモデルですが、予期せぬ作業に備え、その辺に置いておくには少し大きいかも知れません。確りと使うには、最適の一つだと思うのですが。

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下画像は、その一つ小さいモデル(NO8)、炭素鋼で柄をカシュー仕上げとした手持ちの一本。本格的に使うには最低限のサイズながら、使い難い程には小さくないのが良いバランス。

ブレード側面は、錆予防と厚み調整を兼ねて軽く削りつつ磨きました。ネイルマーク周辺の刃体中央には、未だ若干の厚みが残存しては居ますが、切れ込みや抜けは相当に改善されています。

あと、私は使い場合にブレード後端付近にダイヤモンド鑢で切れ込みを作り、其処から後ろは刃を落としています。使用時に指先が不意に接触したり、織り込む際の怪我を避ける為です。所謂、リカッソを仮に設けている様な物で、研ぐのも切れ込みから先のみとして居ます。もし後端迄も研ごうとした所で、何れは破綻するでしょうから。

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御礼の品は、同じくNO8のカーボンモデルとしました(二本有るのは、ブログを通じての知り合いへ送る為の物を含むからです。此方も御礼の品)。下画像は、新品の状態。手持ちと同じく、ブレード側面の厚み調整をしつつ、磨いてからの研ぎです。

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人造の研磨力優先の1000番で大まかな形状と刃先の角度決め。その後には頂いた4000番で微調整と研磨痕の軽減です。当たりがソフトで研ぎ易い砥石に付き、天然直前の処理には重宝しました。

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奥殿の天井巣板、中硬で更に細かく。小刃の本体は20度以下で研いであるので、刃先最先端を鈍角化。そして刃元~切っ先に向けては、漸次鋭角化。

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超硬口の中山の巣板で仕上げ研ぎですが、相性的に次の砥石が欲しくなります。最終刃先角度は、片側25度近辺が切れと永切れのバランスポイントの印象。30度以上で切れ方に不満が出るのは、組織が幾分は荒目なのか。

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中山の水浅葱(切り落とし)で満足な状態に。因みに、掌サイズ以下の此の砥石ですが、四国への御礼の付属品として同梱して置く事にしました。研ぎ易さの相性は程々では有りますが、切れが鈍った際には、タッチアップ程度には使って貰えるのではと。

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余りに急いで発送してしまった為、研ぎ上がりの全体画像は有りませんが、御二方には御笑納を頂けましたら幸いです。