カテゴリー別アーカイブ: 在庫の包丁

カスタム包丁シリーズ?の到着

 

関の先輩から、注文していた包丁達が届きました。私が服部刃物に居た時からの仲で、当時から丁寧な仕事だと感じては居ましたが後年、僭越ながら更に技術の向上が見て取れます。

今回は合計で六本を依頼したのですが、其の内の二本は自分用です。前回の分の内、骨スキ改の長い方(18cm×3.5mmの刃体+ミラーフィニッシュ)も欲しく成り、追加してしまいました。ハンドル材は紫檀・黒檀も良かったのですが、偶々に提案された中で興味を引かれたパープルハートです。カシメはステンレス+ニッケルシルバーとしました。

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もう一本は前回同様、刃渡り16cmながら厚さは3.5mmとしました。手伝い先で使う想定ですので、出刃要素は必要最低限かつ長時間の使用が見込まれた事、更には市販品のプラスチック製の鞘に合致する様にです(4mm厚では無理だったので)。

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下画像は、左が16cm×3.5mm+ブラックマイカルタハンドルで、右が以前の16cm×4mm+紫檀ハンドルです。

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双方、自宅でも作業場でも、特に肉類の切り分けで活躍してくれています。最近は両親用のハラミ、自分用のココロを大人買い?して居るので助かります(手伝い先に感謝ですね)。

余分な脂肪を切り落としたり、柵取りするだけなら筋引き・牛刀で良いのですが、特に余り身離れが良くないメンブレン等を剥がす際に便利です。他にも自宅では対象にしませんが、上ミノ・アカセンの筋繊維への切り込み、てっちゃん・こてっちゃん・アカセンの軟質面に皮一枚への切れ目、コリコリ(大動脈)のガーゼ風の繊維膜を剥がすのにも。

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因みに先輩によると、焼き入れ~焼き戻し(サブゼロ含む)迄の熱処理を外注し、包丁達が返却された時点で服部刃物での焼き入れ作業が有った為、タングの焼き戻しが出来たとの事です。

熱処理工場では通常、タング部分の焼き戻しは行われないので、其の儘の出荷が大半ですが、適切な戻し(軽くで無く、数値的に最も硬度が落ちる温度で処理)を行なう意味は大きいと。

叩いて使う刃物は勿論ですが、薄い刃体に顕著だと思われる「ボルト類の穴からヒビ」への対処も見落とせない点で、カシメピンやファスナーボルトなどが錆びると、直径が僅かに広がり、それが穴を押し広げてタングの破断に繋がるリスクに成るそうです。

だからでしょうか、骨スキ改を除いた全てのタングに戻しを掛けてくれたそうですが・・・序でに骨スキ改にも施したって良かったのではと言う気がしないでも無いですね(笑)。まあ、其れ程に必要性が低かったという事なのでしょう。

 

 

 

 

さて本題の依頼品ですが、北海道のT様からは中華包丁とペティの注文を頂きましたが、既存の作とは違いニッケルシルバーのヒルト(鍔)が付いた仕様でした。

T様からはメールでの遣り取りを通じて、マトリックスアイダから出されている金属用の接着剤の情報も頂いたので、先輩に伝えた所、作ってみようと意欲を見せてくれました(笑)。溶接や銀蝋付けに関しては、フラックスに因る錆・熱の影響に因る折損が心配と乗り気では無かったので丁度、打開策として妥当だったのかも知れません。

刃渡り22cmで少々、長目ゆえか中華包丁に慣れている訳では無い私ですが重めなのかなと。その長さと刃幅の広さで歪の出方も複雑だった様で、修正が大変だったと。加えて、磨きの工程で手作業の段階になった際、其れまで見えて居なかったイモが複数、出現したのも困ったらしいですが・・・此れを削り落としても次の面で出現しないとも限らず、厚み・重さのバランスが変わるのは必至の為、無理に削り直しをしなかったのは妥当と思われます。

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研ぎ始めは、ビトリファイドでは無い人造600番と1000番から。初期状態の刃先の薄さと角度から、其れ程には減らさず仕上がると考えての事です。

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傷が浅いので次は、天然の対馬砥石です。

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やや軟口~中硬の赤ピンに続き、奥殿の巣板?中硬~やや硬口で研ぎ目を更に浅く。

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仕上げとして中山の水浅葱二種、超硬口で。の筈でしたが、未だ一皮、剥かないと本来の性能が発揮し切れて居ない感触でしたので。(先輩の手に成るVG10では通常、新品時から殆ど慣らしを必要とせず、微細な組織で滑らかさと掛かりの良さが両立する)

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現状の刃先の特性である、掛かりの強さを活かしつつも滑らかさを付加する方向で、奥殿の巣板(黄色+紫の超硬口)で最終仕上げとしました。

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ペティの方も、ヒルト付きとミラーフィニッシュで仕様は同じながら、ハンドル材は御希望通りにブラックマイカルタです。

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ほぼ研ぎの流れも同様で、人造600番からの1000番へ。

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天然に移行し、対馬砥石。

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やや軟口~中硬の赤ピンから、奥殿の中硬~やや硬口で仕上げ研ぎです。

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中山の超硬口の水浅葱と、超硬口の奥殿の巣板で適切な方を選んで最終仕上げとしました。

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次に、北海道のS様から御依頼の洋出刃です。刃渡りも24cmと長目ですが、厚みも相当に有るので重量感が凄いです。此方は研ぎを施さない儘での発送です。

半諸とも言うべき、左右の側面の肉の取り方を違えたハマグリ風の刃体形状として有ります。

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そして、ベスパのディ―ラーの方からの御依頼、21cm牛刀です。黒檀柄(縞黒檀)にステンレス+ニッケルシルバーのカシメ。

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明確な小刃と言う程の刃先では有りませんでしたので、研ぎ始めは対馬砥石からとしました。

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梅ケ畑の赤ピン、中硬で仕上げ研ぎです。

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最終仕上げは奥殿の天井巣板、中硬(カラス・薄紫)で・・・と考えたのですが、もう少し硬目の奥殿の巣板を選択しました。

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此の度は各種、包丁の御依頼を頂きまして、有り難う御座いました。御希望の仕様を伝えての受注生産でしたので、相当に御好みに近い仕上がりに成って居ると思われますが、問題など有りましたら御知らせ頂きたいと思いますので、宜しく御願い致します。

 

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

 

最近の事(砥石館イベントの御知らせ)

 

来月の下旬、亀岡にある天然砥石館で、イベントが行われる予定です。二日間で三種類を楽しめる(一種類は二回)盛り沢山な内容で、聞いた時は私も驚きました(笑)。

過去にも開催された実績の有る、肥後守の研ぎとハマグリ研ぎ講習の他に、今回は砥石の目利き(選別の基準)に触れる講座も含まれます。

 

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また少し前に、田中砥石店へ出掛けて来ました。理由は二つで、上掲のイベント(砥石の目利き講座)に関連し、私の選別した砥石群を展示即売用に準備する為です。殆どがコッパになると考えて居ますが、砥石館の田中館長が用意する中には少し、立派な物も含まれるかも知れません。

もう一つの理由は、三月の上旬に個人的に当方で研ぎ講習を希望されているM様から、砥石に付いても御要望を承ったからです。仕事場で使える水浅葱と、他にも何か有ったら・・・との事で。

M様は以前に砥石館で行なわれた、第一回目のハマグリ研ぎ講習に参加された後、私の自宅での講習をも受けて頂いた経緯が有ります。そして昨年末に、再び研ぎ講習をとメールを頂いて居たのですが今年、内々に砥石館での第二回を打診された事を御伝えした所、やはり「多人数よりも個人的に」との御意向を尊重しました。余談ですが、従って今月末に掛けては普段サボり続けている、身の回りの整理整頓は避けられない見通しと成って居ます。

 

 

持ち帰った分ですが此方は、殆どが前々回までに取り置きして頂いて居た物です。水浅葱(二年くらい前に採掘の分を発見)から巣板っぽいの・戸前っぽいの迄、様々です。

この水浅葱は恐らく、当時に持ち帰る途中で買いたいと申し出が有って御買い上げに成った、砥石館の常連かつ手伝いに活躍中のY様の水浅葱の、片割れと思われます。面白いので今度、御会いした時にでも渡そうかと。殆ど全く、同一と言って良い天然砥石を持つ事は、中々に難しいので。

前回の選別前には、M様の要望に適う水浅葱の注文をしていたのですが其れは、また改めてと成ってしまいました。ですので、明日(もう今日ですが)の全別では、私の予備も含めて2~3個を持ち帰る事が出来ればと期待しています。

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此方は、一~二年前から自宅で保管していた(まさかの時用の?)販売予定の在庫の分です。

M様の御要望には少し薄いので、(ここ最近での選別分が充足するか如何ですが)北海道のS様に送る分に成るかも知れません。

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下画像は、最近に採掘の巣板層だそうですが、此処までハッキリと蓮華が出たのは初めてらしいです。此れは村上が持っていて欲しいと言う事で、他の物と一緒に。

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砥面を直し、試し研ぎした所、蓮華部分は結構なジャジャ馬で。もう少し減って来ると安定するかも知れませんが、筋など難の有る所も極端に邪魔には成らず、其れ以外の部分は相応に扱い易くて充分な性能でした。

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下画像も、二~三年くらいは取り置きボックスに入れっ放し立った物で、相岩谷の中硬・やや軟口です。

私は超硬口から軟口まで使うのですが、中硬から軟口の砥石は減りが速い為、多めに確保して置きたい種類と成って居ます。従って、立派な箱も探し出して付けて貰ったにも関わらず、販売用にした物かどうか悩み処では有りますね。今後も相当数の当該種類が頻出するなら話は別なのですが(笑)。

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おまけは、田中さんがサンプル的に製造した人造だそうで、天然砥石の粉末を混入した砥石です。特に左側は、黄板の粉が使われて居るそうです。此の先、何かの機会に試してみるのが楽しみです。

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あと、しばらく前に頼んでいた味方屋作の三層利器材(ステンレスで炭素鋼を挟んだ鋼材を鍛造した物)の三徳が届きました。

思い出したかの様に、偶に問い合わせを頂くのですが、司作だけでなく昨今は味方屋作の方も普段、注文してから長期間の待ち時間を要するので、最低限の在庫として用意しました。

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現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

 

到着した包丁

 

関の先輩に特注していた各種包丁と、日野浦さんからの追加の五寸が到着しました。

前者は、手伝い先の料理人の方からの提案を形にした物で、形状としては骨スキ改と言うべきでしょうか、より広範に使用できる性能を企図した物です。基本的に、裏方の仕込み作業での活躍を期待し、捌き関連を一身に背負える包丁を、との事で。

発案者の要望を受け、長目の骨スキをベースに、やや鋭角な切り刃と敢えて過剰とも取れる尖らせた切っ先を持つ形状により、6割の骨スキ・2割の筋引き・2割の洋出刃との印象を伝え、協議を重ねて纏め上げました。

御本人の意向で、18cmの刃渡り・35mmの刃厚が基本路線と成りましたが、私の好みを反映した、16cm・4mm刃厚のアレンジバージョンも同時に発注しました。北海道のS様とT様にも連絡をした所、其々に18cmと16cmを選択されました。

仕様の違いは、細かく言えば私の分だけは紫檀ハンドルで、残りは黒柿です。一部、黒色のスペーサーの有無の差が有ったりしますが、ハンドルの固定は何れもステンレス+ニッケルシルバーのカシメです。そして、又しても私の分だけステンレス+ステンレスですが、此れは以前に作って貰った幅広ペティと揃える為です。更に、ブレードの表側のみミラーフィニッシュにした物と、サテンフィニッシュの物との2種に成って居ます。

まあ結局、完成した物が良すぎたので来年の追加分では、18cmのミラーフィニッシュを注文するつもりでは有りますし、仕事で使える様にマイカルタハンドルの16cmモデル(サテン)まで欲しく成って居ます(笑)。後、既に21cm牛刀(ベスパのディ―ラーの方)・24cm洋出刃(S様)・16.5cmペティ(T様)の御注文が有りますので、先輩には此の先も頑張って貰いましょう。

 

下画像が今回、送られて来た物ですが左からT様・S様・発案者・私の分となります。因みに右端は、ブログを通じての知人の方のペティです。特にミラーフィニッシュの刃体に高精度の切り刃、黒柿のアウトドアナイフ風のハンドルの組み合わせは、包丁と言うより料理に特化したカスタムナイフの風情ですね。実際、刃厚が充分ですので刃先角度さえ考慮に入れれば、枯れ枝から箸を削り出したり焚き付けを作ったりは熟せそうですので。

全て、鋼材はVG10の無垢材であり、サブゼロ処理も依頼済み。事前の話では、サブゼロ無しの場合よりロックウエル硬度で2前後は向上する為、叩いて使用するモデルには不適との事でしたが、研いで使用しての感想では、無駄に硬い事も無く寧ろ粘りも充分で、ぽろっと欠ける心配も無さそうです。

硬さと粘りが特筆するに値しないレベルだと言えば、特徴が無い様に聞こえますが、欠けるよりは捲れる方が扱い易いので(特に調理の場面で欠けは問題に成る為)バランスが良いと言えます。研ぐ際の難易度も、差程は高く無いのはハードに使う人にとって大きなメリットです。

しかし、最も感心したのは組織が細かく均一な点で、VG10の製品としては切れと掛かりの良さで抜きん出ていると言っても過言では無いでしょう。

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T様の分とペティは、研ぎを入れての発送に成りますが、今回も自分用が一緒ですので、事前に研いで試しつつ最終仕上げに使う砥石の選定に役立てました。

研ぎ前の状態。

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始めは、3人造の20番から。初期の小刃付けが少々、角度の斑が出て居ましたので確り一定角度で揃う所まで削ります。

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表は、刃元40度から切っ先30度で研いで行き、次いで1000番と3000番で小刃の角度を鋭角化して行きます。(25度から20度強まで)

しかし、その途中で切り刃の中央部分が砥面に接触しましたので、もう全体を研いで見るかと言う流れに。

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実際に、改めて320番から切り刃を研ぎ始めると、事前の予想を遥かに上回る研ぎ易さ。期待した2倍くらいの平面度合いにより、ベタ研ぎ派にも優しい親切設計である事が判明。嬉しい誤算と言っては少々、製作者に悪いでしょうが(笑)。

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滑走と研磨力に優れる1000番に繋ぎます。

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研ぎ目の浅い3000番です。切り刃全体を、刃先方向に向かって切れ優先ハマグリに。

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対馬で研ぎ目を細かく、刃先角度を刃元40度から切っ先30度に。

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丸尾山の巣板各種で仕上げ研ぎ。

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中山の巣板各種で。しかし後程、更に相性的に見合う砥石が判明し、より硬く緻密・均一な物で仕上げました。

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形状から、肉や魚に向いているのは明白ですが、野菜に対しては根菜類が最後に割れやすい傾向は否めない事を除き、不満は無いですね。特に、千切り・細切れには両刃の万能包丁を凌ぐ扱い易さでした。ミネストローネで、何時もの各種野菜を切って見た他にも、余り自ら購入する機会が無いカリフラワーも。脆い蕾の部分も綺麗に切り分けましたが、田舎住みの親から送って貰った新鮮なカリフラワーなら、塩茹でにしただけで旨いのだと思い知りました。

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さて本番の研ぎです。双方、表側ミラーフィニッシュですが、下画像の手前がT様の18cmモデルです。

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刃厚2mm程のペティも、ミラーフィニッシュに成って居ます。此方は両面が同様です。

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そして銀三のペティ、今回のロットの最後の分です。

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刃先のみの研ぎですが、小刃の中に角度の研ぎ分けを盛り込みます。表の最終刃先角度は、刃元40度から切っ先30度までの可変、小刃のベース角度は30度弱で、裏は殆どの範囲で30度強。

人造の320番・1000番・3000番で、順に研ぎ目を細かく。

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天然に移行し、対馬です。

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自分の分の研ぎを反映し、最も相性の良かった中山の硬口の戸前系で最終仕上げです。

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同じ仕様であるペティも此れに準拠。

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以前に判明した銀三には、この後で水浅葱も当てました。

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他にも、味方屋作の黒打ちステンレス(芯材は炭素鋼)が合わせて届きましたので、K様への発送が出来ます。

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皆様には長らく、御待たせして居りましたが到着した全て(研ぎ依頼込みの分)、万全の掛かりと滑らかさを併せ持った刃先に成りましたので愈々、明日には発送させて頂きます。後暫しの猶予を御願い致します。

 

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

 

久々に砥石館へ(その他)

 

週の後半は、今後の予定を相談する為に天然砥石館へ出掛けたり、届いた司作包丁の調整に勤しんでいました。

砥石館イベントとして、直近で予定されて居るのは七月・八月の下旬のペーパーナイフ作り体験だったと思われますので、御興味のある方には、砥石館ホームページ等で情報を当たって頂けましたら幸いです。

 

 

奥の最大スペースの展示は、相変わらず壮観ですね。其の上、じわじわと内容の充実度も上がっている様子。マイナーな産地の砥石を追加して行く、不断の姿勢には感心します。

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購入可能な物品には、ミニチュア砥石も有るのですが・・・その台は館長の自作です。此れは以前から在った物とは言え、実際に使われている機械は初めて目にしました。

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其れが、この3Dプリンターです。機械の大きさなりのサイズに制限されるでしょうけど、かなり多様な形状も作れそうですね。

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研ぎ体験で使用可能な、人造・天然の各種砥石群が収納されているラックも健在です。

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引き継ぎ中の田中次期館長は、現館長の監修の下でラックの砥石を産地や層、硬さや細かさ等によるジャンル分けに余念が有りません。

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最近の追加で、珍しい砥石も。手引きの跡が側面に付いているので相当、古い物と御見受けします。

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帰る際には、但馬砥の切り落としも頂きました。過去に手に入れた但馬砥は、もう少し不均一な砥粒で柔らかく、色合いもグレーでした。対して、今回の物は本但馬と言われるそうですが、硬さと細かさが上回って居たり、色的には会津砥に近いです。

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裏の状態。

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但馬砥で研ぐ前に一端、柔らか目の伊予砥で研いで置きます。傷が浅く、均一な仕上がりです。但し刃金は、事前の鏡面仕上げの名残りで実際より光り気味と成って居ます。

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次いで、今回の但馬による仕上がり。より光り気味に寄って居ますね。面直しには、同じダイヤを用いていますので、結果の違いは砥石自体の硬さと細かさの違いでしょう。

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試し研ぎに用いた切り出しを再度、研ぎ直して置きます。先ずは対馬砥(硬くて細かめ)で。

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中山の巣板(カラスと薄っすらカラス)と戸前系のコッパで、傷消しを。巣板系では、やはりダイヤで泥を出す事で研磨力は向上させやすいですね。泥を流せば、光らせ易いので両方の使い方に対応可能で便利だと思います。

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最終は、水浅葱です。未だ、極表層の本調子でない砥面が続いて居ませんが、切れ・明るく細かい仕上がり共に充分です。

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やっと届いた司作です。三徳(鏡面仕様)と筋引きでしたが、刃先の調整が必要と判断しました。

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三徳・筋引きに共通した点として、刃元(顎から2㎝前後)が薄く鋭角過ぎ・切っ先が直線的(若干リカーブ気味)が挙げられました。

ですので、中硬の巣板スタートを予定していましたが対馬からとしました。ほぼ切り刃の角度のままで仕立ててあった刃先は、新聞の束の試し切りで不足が出た為、研ぎ角は左右から刃元・35度強、中央・30度弱、切っ先周辺・20度強を選択。合計で刃先角度は二倍と成ります。

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最終仕上げは、硬口~超硬口の中山の合いさで。

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筋引きも同じく対馬から。ただ此方は刃幅の狭さ故、刃先の強度としては若干の余裕が見られましたので、幾分は鈍角化を控えて置きました。

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同じく、中山の合いさで最終仕上げです。薄っすらとカラス混じりの砥石ですが最近、端っこに紫も出て来て面白いです。

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研ぎ上がりですが、糸引きレベルの調整ですので判別は不可能ですね。あ、双方共に、地金部分の研削痕・研磨痕が気に成ったので八枚の小割りで軽く撫でて置きました。故に、到着時の防錆油を塗られた状態よりも多少、均一には見えるかも知れません。

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刃先の調整を終え、近日中には御手元に届けたいと考えて居ますので御依頼を頂いた御二方には、もう暫くの御待ちを御長い致します。

直近で、通常仕様の三徳の御注文を頂きましたS様は、次回の到着時にはと期待しています。ただ、私が司作としては前代未聞の発注として河豚引きを頼んでいるのと、柳系統・副え鉈系統も有りますので、何れから来るのか不確定なのが申し訳ない所です。

数年前に此方(大阪)で購入し、ゲージとして送ったサンプルの河豚引きの里帰りと共に、様々な製品の早期の到着(困難)が待たれますね。

 

 

 

 

 

食材と御依頼品

 

少し前に、体調を崩していた期間が有り、その際には北海道のT様から野菜ジュース詰め合わせ(凝った物)を送って頂き有難かったのですが・・・今度はS様からプレゼントが。

包丁関連の問い合わせ等での遣り取り中、話題が猟をする父上が鹿を獲って来るのだが食べないか?との御誘いを頂きました。鹿肉は一度くらい、ローストで食べた事が有るかどうだったかレベルでしたので、二の足を踏んでいたのですが調理法を聞いたりする内に、折角のチャンスなので御願いする事にしました。昔、京都で学生時代から猟をしている方の著書を読んで、鹿肉はタタキやシーチキン風が旨いとの記載が興味深く、気には成っても居ました。

 

 

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久々に牛刀を用意です。今回は包丁のテスト兼、肉の塊を切る事が少ない、私の練習でも有ります。

 

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届いた状態。予想はしていましたが?、予想以上に入っていました(笑)。モモとロースとの事です。あ、そして此れはエゾシカだそうです。

肉は、オゾンの塩水処理と云うのでしたか、衛生面は手当されているそうですが、表面をトリミングする必要が有ります。

 

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モモを両断し、筋膜を剥がしつつトリミング。

 

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切り分けました。

 

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更に細分化してユッケにしました。基本はゴマ油と塩が良いとの事でしたので、塩の方を数種類ですが試してみました。モンゴルやボリビアの岩塩、九州の温泉の塩も良かったですが、フランスのゲランドが馴染み過ぎず浮き過ぎず、合うと感じました。勿論、ニンニクその他も良いのですが、上手く纏り過ぎな気も。

 

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ロースです。此方も同様に。

 

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スライスして行き、其の儘で刺身に。冷凍の生姜とチューブの山葵で試しましたが、何方も美味いですね。肉の特徴を味わうには、生姜の方が僅かに上かも知れません。

 

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切り分けている際に、刃が止まる箇所に遭遇しました。その周りから切り進めると、上画像の状態。メタルジャケットの破片ですね。中心の弾体は抜けたんでしょう、貫通した跡があり、此の辺りが猟で言われるアバラの三枚目(ハートアンドラングエリア)の狙い目なのかと思いました。

 

 

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加熱調理は塊のまま、タタキとか・・・

 

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焼肉とかにしてみました。一応、手抜きの香草焼きを気取って塩胡椒以外にも、タイムやクミン・オールスパイスも使って見ました。

素焼きにした上で焼き肉のタレでも食べてみましたが、普通に行けますね。少し、風味と歯応えが強いかなと云う位で。あと、見た目からは治部煮も良さそうかなと。

 

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最後は、少し大きな塊のまま表面を焼き付け・・・

 

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水に酒を加えた所に投入、柔らかく成るまで茹でてから、改めてトマトの裏ごしと水で煮ました。続いてシチューにするか、カレーにするかを考え中ですが、どの道、両方を試す事に成るでしょうね。

 

S様には、貴重な経験をさせて頂き、有難う御座いました。同時期に送って頂いた、本焼き柳は・・・やや御待たせに成りますが宜しく御願い致します。

 

 

 

 

その節はプレゼントで御世話に成りました、もう一方の北海道のT様には、日野浦さんから牛刀が届きました。尺と八寸の二本ですが、刃先の調整を終えた段階で、御送りする予定ですので宜しく御願い致します。

 

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もう一つ準備で

 

国際博物館会議での実演が近付いてきたのですが、念の為とは言え販売可能な物が一本と言うのも何だか・・・と感じましたので追加でもう一本を。と言っても刃先の調整だけですが、初期状態が刃体は薄目・刃先は鋭角と成っていますので、切り刃を弄る猶予が殆ど無い位の仕立て。余程、不都合が出る事でも無い限り刃先研ぎのみで性能維持が可能です。

逆に言えば一般の方が不用意に俎板に叩き付けたり、こじったりすると刃先の傷みが心配でも有ります。ですので、基本的に私が御渡しする場合は刃先調整後としています。強度の向上に加えて、人造仕上げ砥で問題になりがちな掛かりの弱さへの対処でも有りますが。天然の仕上げ砥で、相性を探る事で切れ・永切れと共に掛かりの強弱も選択可能です。

 

 

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以前に御依頼を頂き、注文した際の予備でした。ステンレス地金で炭素鋼を挟んだ、三層利器材のペティ。

 

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切り刃・刃先共に余分な厚みが除去されており、鋭利な仕立て。

 

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研ぎ減らす必要は無いので、天然のみで。伊予砥の少し硬くて細かい物から。刃先の角度を多段階・切っ先へ向かって鋭角化。

 

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会津砥で多段階をなだらかに繋ぎ、刃先を整えます。

 

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中硬の巣板で砥ぎ目を細かく。

 

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奥殿の硬口の巣板で最終仕上げ。目的の性能に合致する相性でしたが、更に掛かりを求めるならば天井巣板の各種で狙う事も可能です。

 

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此の砥石は、ベルギーのコティキュールみたいな感じで白と茶色の二層が一体に成っています。性格は違いますが、何れも有用な砥石なので使い分けています。(白・茶色は単体でも別に有るので、無理に両面から使わなくて済んでいます)

 

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画像では明らかな差は分かりませんね。ですが、将来の使用者にとって扱い易さや性能の持続に関わる部分ですので疎かにはしたく無い部分です。

 

 

 

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先に仕上げておいた、上画像の三徳と合わせて一安心です。ただ、行きつけの店の方が私の扱う包丁や研ぎに興味が有るとの事で。少し詳しく仕事の内容を話す機会が有り、関心を持って頂けました。国際博物館会議で需要が無かった場合は、其方に見て貰う事に成っていますので、今回の準備も無駄に成らずに済むのではと考えています。そして案外、身近な所にも刃物好きが存在している物だと改めて思わされました。面白い物ですね。

 

 

 

 

 

待機期間に準備研ぎ

 

ナイフの記事を掲載したからでしょうか、バックとガーバーのナイフの研ぎに付いて問い合わせが。珍しく、電話に出られるタイミングでしたので少し御説明。遠からず、御送り頂けるとの事。

 

其れを待っている合間、少し前に予定外に届いた司作の黒打ち三徳を研ぎ直し。切り刃の厚み取りの調整と刃線が若干、S字気味の様でも有り気に成りました。

上野館長から、一月余り先に京都市で開催されるイベントに誘われた事も影響しています。何でも、世の中には世界博物館会議みたいなのが有るそうで、同時に展示会も行われると。天然砥石館も仲間入りの勧誘を受けたそうですが・・・大英博物館やスミソニアンも居並ぶ、ちゃんとした組織に入れて貰えるとは。亀岡市も鼻が高いのでは無いでしょうか。気を使う場面も有るかもですけど。

私は切れの実演などをする担当みたいですが、もしかすると其の刃物が欲しいとか言われかねないなと考え、一本位は用意しておくかなと。通常イベントで使う柳と三徳は、司作を想定していますので。

 

到着時

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研ぎ前の全体

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刃部のアップ

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左側面

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人造の1000番二種と、3000番で刃線を直線的に。少々タナゴっ腹に感じたので、抑揚を減らす方向で。

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人造の小割りで、切り刃中央~切っ先側の厚みを集中的に減らして行きます。

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左側の切り刃の角度が僅かに起きているので、右に近付けて置きます。

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中硬の巣板で整形と傷消し。

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赤ピン・緑板などで相性を確認しつつ仕上げ研ぎ。

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今一決まらないので、バラエティを増やしたり。

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研ぎ上がりです。現行の司作は、白紙系統の統廃合でアイテム数が減っている様ですが、その炭素量の上限寄りの方は、硬さと粘りのバランスが中央若しくは硬さ方向かな?と感じます。しかし、欠けや砥ぎ難さには繋がらず、永切れでは極めて優秀な性能を見せます。確りとした鍛冶技術が有っての事ですが、大変気に入っています。切れ味も、白一のカシカシし過ぎる程では無く、白二の滑らかさを併せ持った感じで好みです。

但し、地金の方は近年の製品(現代の極軟鋼)に成っているので、以前に使われていた物とは研ぎ上がりなどで差が有ります。人造では余り関係無いかも知れませんが。

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刃部アップ

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左側面。

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取り敢えず、形状と砥ぎ肌の両面から調整が済みました。此れでイベント時に売り物は無いのかと聞かれても何とか成るかなと思います。まあ、展開次第で自分用にしても良いのは何時も通りです。

 

 

 

 

 

包丁の御注文

 

少し前に、司作三徳の御注文を頂いて居ました。基本的に、当方では滅多に在庫が無いので取り寄せに成る訳ですが・・・偶々、磨きかけの物が有るとの事で短期間?(日野浦さんにしては)での到着に。

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其れに前後して、砥石館の常連様からも(知人の方の分でしょう)味方屋作の三徳の御注文が。日野浦さんに連絡した所、司作を送って貰うギリギリのタイミングでしたので、同梱を御願いしました。

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序でに、此方も入っていました。頼んでたのかな?まあ、来るなら何でも有難いので良しです。黒打ちの三徳はサンプルが一つあるだけなので、何なら自分用にしても・・・。

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司作の方は、簡易な初期研ぎも併せて御依頼でしたので刃先の調整を。奥殿の硬口天井巣板と、中山の中硬赤ピン・緑板で反応を見ながら。

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ほんの少し、満足いく相性で無かったので、仕上げに(超)硬口の奥殿本巣板。

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研ぎ前ですが、十分な仕上がり。ただ、一般の方が普通に使うには鋭角かなと。

 

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研ぎ後。角度は鈍角気味・一定角の小刃では無く、刃先ハマグリ・切っ先へ向かって片側40度⇒20度の可変に。あとは地金の傷を浅くする過程で、刃先へ向かって厚みを減らす方向で。

 

 

 

味方屋作の方は、更に鋭角(薄い)でしたので結構な鈍角に。特に、刃元と中央の一部が薄かったのですが・・・天然(仕上げ砥)だけでは厳しいので、人造の1000番から。

其の後は偶然?同様の組み合わせの仕上げ砥で相性問題も無く。

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研ぎ前ですが、全体的に纏っていると思います。薄い部分も、硬さと粘りのバランスが良く、しなりを見せる位で強度的不安は少なかったです。

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研ぎ後。司作の研ぎ方と大体、同じですが薄さが際立つので切り刃と刃先の角度差が大きくなり、明確な小刃みたいな外観に。

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司作はメールでお知らせしたので、其れに対する御連絡を待って御送りする事に成るでしょう。味方屋作の方は御互いに都合が付きましたので、久々に砥石館に出向いて手渡ししてみようかと考えています。

 

 

 

 

 

取り置きの包丁

 

司作の柳を待ち焦がれている今日この頃ですが(最後に2・3週間前にも電話で相談したのですが)、取り置きしていた包丁も有ります。

その味方屋作ステンレス(三層クラッドで芯の刃金は白紙相当)ですが、昨夜依頼主の香川のK様から連絡が。やっと発送になりますが、標準としている刃先調整を御希望との事で砥いで置きます。

 

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新品時です。

 

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刃先の調整だけですので、オール天然で。先ずは天草(やや硬)、次いで会津(中硬)。共名倉も会津です。

 

 

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奥殿の内曇り⇒本巣板の茶色。少し、刃先の細かさと掛かりの軽さが予想通りとは行かず。

 

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中山の赤ピン(中硬)で仕上がるかと思われましたが、返りの取れ方と切り続けた際の切れの変化が不安定。

 

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思いついた奥殿の天井巣板(カラス)で仕上げて、上記の問題をクリアしました。まあ、これ等は或る程度以上のレベル同士での比較なので、高望みすればと捉えて頂ければ。新品時より1㎜以上、刃先が減ると神経質さも落ち着く可能性は大です。

 

K様には、此の度の御買い上げを有難う御座いました。少し、我儘?な所も有るかも知れませんが、御手持ちの大谷山や田村山などの仕上がり具合で研究しつつ、手なづけて頂きたいと思います。

 

 

 

これで、現在の在庫の包丁は下画像のペティのみになりました。今後も必要に応じて(此方は流石に可成り容易な筈)追加する流れでしょうか。他には先々、キリン刃物の洋三徳もかなと考えています。

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ゴールデンウイークの或る1日

 

本日は初めて、自宅に講習希望の方を招いて研ぎ指導を行いました。数日前から相談を頂いていましたが、急ですが昨日、是非にとの事で御受けしました。

当初砥石館で予定していた講習料は、自宅に御出で下さるならと半額での和包丁コースとなりました。御持参の包丁は、仕事場で御使用の柳と出刃。特に重要なのは、小さ目の魚ならば大名卸しから刺身まで担当する柳の方。

 

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包丁店からの購入後、形状崩したので件の店舗で研ぎ直して貰ったが使用に不満が残るとの事。御話しを伺い目的に合致するであろう研ぎの予想を立てつつも、現状の研ぎスキルを向上させる課題めいた指摘をさせて頂きました。

各段階の結果を確認し、一定の仕上がり毎に切れを確認。各々の違いと、其れに必要な操作・砥石の管理などにも理解を深めて頂けた事と思います。出刃の方は刃線のS字と欠けを少々、改善して刃先を鈍角目のハマグリにしておきましたので、実際の現場で御試用の上、次回の研ぎの参考に繋がれば幸いです。

来客を想定しておらず、散らかっているので急遽片付けに追われる破目に陥るのですが、今後も一ヶ月に一度くらいは頼みたいとの御要望ですので、出来るだけ御応えしたいと考えております。S様には、此の度は少し遠方から御越し頂き有難う御座いました。又、購入頂いた研承400と電着ダイヤで、作業が正確且つ速くなる事を願っております。

 

 

追伸

御帰りの際、最後にお出しした生麩餅を買った和菓子店に寄るとの御話しでしたが、家の前の坂を下らずに上がって行かれたので心配でした。少し追い掛けたものの、間に合わずでしたので次の日に確認に行って来ましたら其れらしき人が御出でだったとか。恐らく大丈夫だったのでしょう。

ダージリンのセカンドフラッシュと合わせて、可笑しな取り合わせに見えますが気に入って頂けた様で嬉しいです(客観的には、餡子にはヌワラエリヤが御薦めです)。何時もの癖で、又買って帰ってしまいました。私の一番のお気に入りの一つです。

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あと、偶然ですが本日講習直前に三条から包丁が到着しました。味方屋作三徳が三本。注文より多い様な気もしますし、ペティの方が無かった様な?出来れば砥石館の常連様には、匠ビレッジグランドオープン辺りに三徳とペティを届けたいのですが。

 

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三徳の方は先々、四国の常連様にも御予定頂いていたので丁度良かったかもです。柳と合わせてペティが届くのを心待ちにしたいと思います。砥石館の常連様には、今少し御待ち頂きます様に宜しく御願い致します。