「鍛え地」事前練習

 

現時点では未だ到着していませんが、流石に遠からず柳(鍛え地・雲竜)が手元に来る筈と踏んで、手持ちの鍛え地各種の一部を錆付きチェック。合わせて当時の研ぎ内容の確認をしました。

全て数年前の製品で、現行品とは仕様の違いも見て取れるかと思います。しかし先ずは、序でに出て来た最も使用頻度の高い通常品の手入れから。久し振りですので、慣らしも兼ねて適任です。

 

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山小刀です。

 

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右の中央、刃先に薄い錆が。幾ら天然仕上げ砥石で砥いだとは言え、皮シースに入れっ放しは厳しいですね。

それでも、2~3年は平気ですので矢張り人造仕上げよりは頼りに成ります。紙に包んで埃や結露にも気を配れば、4~5年は堅いですし。

 

 

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研ぎ後、錆の除去は無事に完了。

 

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後から見ると、少し端折ってしまったかも。

 

 

 

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3.5寸の角鉈。

 

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予てより刃元の部分に錆の痕跡が残存していましたが、保存中に余り育ってはいない様でした。

 

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司作の中では一番、酷使して来ましたので一部、刃先の裏押し部分にまで歪みが出ています。

 

 

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一応、より錆の痕跡を軽減する為に追加で砥いで置きました。

 

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裏押しも少し細か目の砥石で錆予防。

 

 

 

さて本命の鍛え地の磨き・副え鉈です。芯に入っている鋼材は白紙二号のAで他の司作と同様ですが、両側から挟んでいる地金部分が異なります。(片刃の場合は片側)

通常は単一の極軟鋼(軟鉄・極軟鉄)ですが、此方は其れと錬鉄の二種類を交互に重ねた積層構造を持っており、刃体自体の粘りや弾力に効果を発揮します。

焼きの入る鋼材や粘るニッケル等とは違い、砥ぎ下ろしにも大して苦労しない材料なので実用的であるばかりで無く、仕上がった砥ぎ肌のコントラストは中々に個性的です。

 

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鏡面に成る、カミソリ砥クラスで切り刃前面を仕上げてあったのですが、数年経てば全体的に曇りがちに。

 

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錆とまでは行かずとも、層の境界には変色が出ています。

 

 

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研ぎ直しました。現在は、地金部分まで一挙動でカミソリ砥クラスで砥ぐのは限られた形状(ほぼ平面ベタ)だけにしようと考えていますので、地金部分は千枚仕上げです。此れは此れで悪くない、と言うより現実的ですね。

 

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反対側も同じく。

 

 

 

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鍛え地の雲竜、4.5寸。黒打ちですね。雲竜とは鍛え地に捻りを加えた物で、更に造形に技術を要し、意匠にも変化が出ます。

自分では鍛え地は磨きが似合い、雲竜は黒打ちが映えるのではと感じています。

 

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巣板仕上げですので、合砥よりも早く曇りや変色・錆びに移行する傾向は否めません。

 

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此れは、二本頼んだ内の変わり種で裏をベタにして貰いました。使用感の違いや性能にどんな影響が出るのか確かめようと出来心で。

無茶な頼みへの返答は、代わりに平の部分に梳き(ホロー)を付けて置いたから、と。切り離れに違いが出るからとの事でした。御自身の経験や思想でフォローや軌道修正をも盛り込んで形にしてくれる日野浦さんの真骨頂でしょうか。

 

 

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研ぎ上がり。八枚仕上げで、少し長持ち(永切れと錆・変色防止)を期待できるでしょう。千枚よりも、ややコントラストがはっきりしているでしょうか。

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裏は、ベタで軽く当てた後で僅かに刃先のみを狙って返りを取りに行きます。何れは全体が当たって来るのを楽しみにしつつ。

 

 

 

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包丁らしい形状では(現在手持ちの鍛え地系統として)筆頭のペティですが、使用しつつ適宜、手入れを続けて来たので特に問題は無し。ですので今回は砥がずに済みました。

どうも鉈などと違って包丁の場合は、雲竜でも磨きの方がしっくり来る気がします。最終的には好みでしょうが、どうしても和食料理人の手に握られた所を思い浮かべてしまいます。

 

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此れは両刃でしたが、早く片刃の柳を研いでみたいものです。サイズ的に何倍も手間暇が掛かって、大変なのは目に見えているのですが。

 

 

 

 

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予行演習をしていると益々、待ち遠しくなって来ましたので、気持ちを落ち着かせる為に茶と菓子を。

何時もの店で、少し珍しい物。マスカット大福ですが、イチゴ大福の代打で作ったのが始まりだったとか?今では良い葡萄が有る時しか作らないそうです。

確かに中の芯も覆っているガワも、味覚・視覚共に失望させない内容で、何処か良く出来た刃物の構造を彷彿とさせる・・・。余り落ち着けていませんね、早く柳を送って貰わないと。そろそろ本当に御願いしますよ。

 

 

 

 

 

買い足して来た物(その2)

 

先月、小西さんからの電話により「きしな屋」さんの存在を知らされました。主として全国の旨い物を集めたセレクトショップ的な印象です。でも、桶や石鹸もあったかと。

其処で取り扱いのある包丁は、近年急速に有名になっているのですが、その鍛冶の方がイベントで来阪される際に、研ぎに関するアドバイスを。との事でした。

私の意見など必要性は低いのではと思いつつも、有り難い計らいに対して、可能な限り御協力は惜しまないと答えました。ついては①研ぎの話しなら現物を示しながらが良い②どうせなら、比較の為には当該包丁と同等が望ましい、と考えて椿包丁を買って来ました。

 

此方は、新しく出来た船場の方の店舗です。

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今日は二回目の来店ですが、拘りの醤油や温泉から採った塩など購入しました。

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そして真打の包丁です。五島列島で作られている、椿包丁。

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知名度は、自分もテレビで二・三度見かけた程で、1つの番組はドキュメンタリー大賞を取ったそうですね。その所為も有ってか二年待ちとも云われ、結構な品薄傾向らしいです。

 

 

 

 

新品の状態。刃体自体は厚みも適度に抜かれており、峰から見て大げさなテーパーで無いものの充分な印象。(更に抜けや走りを求めるなら切り刃の厚みや刃先角度の変化で対応は容易)

刃元から切っ先に掛けての刃線の連なりは、幾分厚みや角度のバラつきが見られるのに対して、鎬から刃先までの緩いハマグリ気味の面構成は秀逸。(左側中央は広範に薄目)

多くの和包丁に散見される、切り刃の全長に掛けて厚い・薄いの交互連続は避けられないが、最重要である刃金の状態は申し分無し。硬さと粘りがバランス良いので、結果的に弾力的と感じる実用的な仕上がりです。

テレビで出て来た、現地の方々が「良く切れる」「長く切れる」とコメントしていたので如何ほどか興味が有ったのですが、納得の刃金。標準品でしょうから青紙の筈だと思いますが、青を意識させる(どちらかと言うとネガな)感じは希薄です。

 

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砥いでみますが、元々薄目ですのでキングデラックスを使ってソロソロ。砥ぎ難さも無く、特に研磨力に優れる砥石を必要としません。

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切り刃の凹凸の凸部を、人造の小割り各種で均します。

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其の後、天然の巣板・戸前・千枚で仕上げます。切り刃の地金部分は、小割りの八枚(三種)・千枚で砥ぎ目を浅く。

一応、仮にですが研ぎ上がり。此れで切れと永切れ・錆び難さは実用上、充分ですので使いながら育てて行くつもりです。

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少し気に成ったのは刃金の先端部分。小さな欠けは、研ぎで取れるかと考えていたのですが居座っています。

此れだけなら、何でも無いのですが反対の刃先には随分長目に鍛接線にも似た線が。そして線の端が最も刃先の先端に接近した地点で欠けが発生している様に見えます。

しかし先々、研ぎ減った時に此処に悪影響が出なければ、現状は単に視覚的な気掛かりと言う以上の物では在りません。普通にガンガン使って行きたいと思います。

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