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「鍛え地」事前練習

 

現時点では未だ到着していませんが、流石に遠からず柳(鍛え地・雲竜)が手元に来る筈と踏んで、手持ちの鍛え地各種の一部を錆付きチェック。合わせて当時の研ぎ内容の確認をしました。

全て数年前の製品で、現行品とは仕様の違いも見て取れるかと思います。しかし先ずは、序でに出て来た最も使用頻度の高い通常品の手入れから。久し振りですので、慣らしも兼ねて適任です。

 

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山小刀です。思えば、此れで白紙二号(A)の性能を思い知らされたのでした。其れまではカウリX最強と信じていましたが、宗旨替えを余儀無くされました。因みに、ハマグリ同士での比較。

まあ「最高性能を引き出した」との但し書きは必要でしょうが、切れ味と砥ぎ易さの優位性は言わずもがな、耐摩耗性でもカウリ(ロックウェル67.3度)に匹敵すると来ては否やは有りません。後は錆させない、だけが使用上の注意です。

 

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右の中央、刃先に薄い錆が。幾ら天然仕上げ砥石で砥いだとは言え、皮シースに入れっ放しは厳しいですね。

それでも、2~3年は平気ですので矢張り人造仕上げよりは頼りに成ります。紙に包んで埃や結露にも気を配れば、4~5年は堅いですし。

 

 

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研ぎ後、錆の除去は無事に完了。

 

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後から見ると、少し端折ってしまったかも。

 

 

 

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3.5寸の角鉈。

 

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予てより刃元の部分に錆の痕跡が残存していましたが、保存中に余り育ってはいない様でした。

 

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司作の中では一番、酷使して来ましたので一部、刃先の裏押し部分にまで歪みが出ています。実は他の部分にも一つ二つ・・・。太い青竹を強引に切り倒した物で、無理はいけませんね。

 

 

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一応、より錆の痕跡を軽減する為に追加で砥いで置きました。

 

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裏押しも少し細か目の砥石で錆予防。

 

 

 

さて本命の鍛え地の磨き・副え鉈です。芯に入っている鋼材は白紙二号のAで他の司作と同様ですが、両側から挟んでいる地金部分が異なります。(片刃の場合は片側)

通常は単一の極軟鋼(軟鉄・極軟鉄)ですが、此方は其れと錬鉄の二種類を交互に重ねた積層構造を持っており、刃体自体の粘りや弾力に効果を発揮します。

焼きの入る鋼材や粘るニッケル等とは違い、砥ぎ下ろしにも大して苦労しない材料なので実用的であるばかりで無く、仕上がった砥ぎ肌のコントラストは中々に個性的です。

 

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鏡面に成る、カミソリ砥クラスで切り刃の全面を仕上げてあったのですが、数年経てば全体的に曇りがちに。仕舞い込まずに、身の回りで普通の雰囲気(温度・湿度)に晒していたからですが。

 

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錆とまでは行かずとも、層の境界には変色が出ています。

 

 

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研ぎ直しました。現在は、地金部分まで一挙動でカミソリ砥クラスで砥ぐのは限られた形状(ほぼ平面ベタ)だけにしようと考えていますので、地金部分は千枚仕上げです。此れは此れで悪くない、と言うより現実的ですね。

 

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反対側も同じく。

 

 

 

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鍛え地の雲竜、4.5寸。黒打ちですね。雲竜とは鍛え地に捻りを加えた物で、更に造形に技術を要し、意匠にも変化が出ます。

自分では鍛え地は磨きが似合い、雲竜は黒打ちが映えるのではと感じています。

 

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巣板仕上げですので、合砥よりも早く曇りや変色・錆びに移行する傾向は否めません。

 

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此れは、同一モデルを二本頼んだ内の変わり種で、裏をベタにして貰いました。使用感の違いや性能にどんな影響が出るのか確かめようと出来心で。

無茶な頼みへの返答は、代わりに平の部分に梳き(ホロー)を付けて置いたから、と。切り離れに違いが出るからとの事でした。御自身の経験や思想でフォローや軌道修正をも盛り込んで形にしてくれる日野浦さんの真骨頂です。

 

 

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研ぎ上がり。八枚仕上げで、少し長持ち(永切れと錆・変色防止)を期待できるでしょう。千枚よりも、ややコントラストがはっきりしている様に見えます。

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裏は、ベタで軽く当てた後で僅かに刃先のみを狙って返りを取りに行きます。何れは全体が当たって来るのを楽しみにしつつ。

 

 

 

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包丁らしい形状では(現在手持ちの鍛え地系統として)筆頭のペティですが、使用しつつ適宜、手入れを続けて来たので特に問題は無し。ですので今回は砥がずに済みました。

どうも鉈などと違って包丁の場合は、雲竜でも磨きの方がしっくり来る気がします。最終的には好みでしょうが、どうしても和食料理人の手に握られた所を思い浮かべてしまいますので。

御家庭用とすれば、通常品の黒打ちも収まりが良い感じですし、洋食の場面では鍛え地や雲竜の黒打ちでも余り違和感が無い印象。考えてみると、白木の俎板か樹脂製の俎板かの違い・周辺の道具類との兼ね合いや背景で、少しずつ見え方が違うからかと。

 

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此れは両刃でしたが、早く片刃の柳を研いでみたいものです。サイズ的に何倍も手間暇が掛かって、大変なのは目に見えているのですが。

 

 

 

 

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予行演習をしていると益々、待ち遠しくなって来ましたので、気持ちを落ち着かせる為に茶と菓子を。

何時もの店で、少し珍しい物。マスカット大福ですが、イチゴ大福の代打で作ったのが始まりだったとか?今では良い葡萄が有る時しか作らないそうです。

確かに中の芯も覆っているガワも、味覚・視覚共に失望させない内容で、何処か良く出来た刃物の構造を彷彿とさせる・・・。余り落ち着けていませんね、早く柳を送って貰わないと。そろそろ本当に御願いしますよ。

 

 

 

 

 

買い足して来た物

 

講習を受けて頂いた折りに、砥石も御購入下さった経緯を踏まえ、他にも御希望の問い合わせが有ったのをを受けて、研承を主として購入して来ました。

月山さんまで出かけた訳ですが、折角ですので少し前から何となく感じていた、洋包丁を充実させる必要性を満たす事に。刃渡り17cm程の牛刀っぽい三徳?を分けて貰いました。

高村製の芯材がVG10の三層、オールステンレスモデルですが帰りに両親宅へ寄ったのがいけません。軽い気持ちで母親に、使用中の三徳と替えてみるかと問えば二つ返事でした。以前から重さを気にしているのは承知の上でしたので、予想はしていましたが。

 

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上画像は、数年前に身内の為に購入した予備です。ある意味、保存用の物。此れはダマスカスですが、丁度こんなサイズのを取り上げられたので。腹いせに下画像を購入。

 

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却って私としては、こっちの21cmモデルの重さとバランスが落ち着く感じです。元々、少しずっしり気味が好みなので。それ程までに厚み取りが徹底されており、その精度も高い仕上がりです。つまり、同等サイズの他社製品との比較では軽快な印象。

 

 

 

それで、母親が数年来使って来た此方も三徳ですが、新潟のオールステンレス御三家の内で最もオーソドックスな藤次郎です。

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実際の重量的には、高村製より僅かに軽いのですが、ハンドルに対してブレードがやや重厚なのでバランス的に持ち重りがする様です。

 

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同時期に購入した此方も、自分では気に成らないのですが軽さや小回りを重視すると違った印象を受けるのは理解出来ます。

 

 

 

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他にも、お気に入りの上画像のコアレス試作品。フルタングにマイカルタハンドルと合わせて、全体にガッチリしています。

 

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ナイフっぽい変わり種のファルクニーベン。

 

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普及品のヘンケルなども有りますが。

 

これ等が所謂、洋包丁と呼ばれる物です。昔よりは区分や外見での見分けが付き難く成ってはいますが、古典的な柳や出刃とは明らかに趣を異にしています。

研ぎの問い合わせなどで、先ず祖語を来すのが此の分類です。つまり、和包丁か洋包丁か分かりませんと。和包丁でも傷みが無く厚みや形状に問題が無ければ、研ぎ直しも洋包丁レベルの内容で間に合います。

しかし、本格的に形状をいじるとなれば、洋包丁の何倍もの面積・削り代(しろ)を砥ぐ事に成ります。必然的に、時間や手間が増えて料金に跳ね返ります。

ですので、これ等の画像を参考にして手持ちの包丁の素性を類推して頂ければと思います。

 

 

 

因みに、刃先だけの研ぎを超えて切り刃まで仕上げた三層利器材(ステンレスで炭素鋼を挟んだ)の包丁は下の様に成ります。此方は和式の刃付けが為されている為、和包丁に属します。

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刃先を研ぎ進めて切り刃の厚みが邪魔に成れば、平(鏡面の部分)から角度の付いている切り刃全体を研ぐ必要が出ます。その後、暫くは又、刃先の研ぎだけで済ませられる訳です。

ただ、切り刃が表裏両方に付いているので(両刃・両切り刃)、研ぎ代金は普通に多く見られる出刃や柳など、片刃製品に対して二倍に成ります。ですので、通常必要性が低いと判断した物は切り刃まで一気に仕上げず、洋包丁的に砥ぐ事を提案しています。

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体験で作った菜切りの完成

 

新潟で作らせて頂いた菜切りですが、大まかに研ぎを入れた後で御送りし、柄を付けて貰いました。

そして改めて仕上げ研ぎを加え、一応の完成を見ました。切り刃の形状や、傷消しを経ての砥ぎ肌の向上は徐々に使いながら進めたいと思います。

 

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持ち帰った儘の状態(右側)

 

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同じく(左側)

 

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400番で形状を整えます(右側)

 

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同じく(左側)

 

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1000番で傷を浅くしつつ、形状を確立(右側)

 

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同じく(左側)

 

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3000番で更に傷を浅く(右側)

 

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同じく(左側)

 

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巣板で砥いだ後、八枚で仮の仕上げ(右側)

 

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同じく(左側)

 

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柄が付いた状態で、千枚仕上げにて完成(右側)

 

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同じく(左側)

司作の標準品と違う部分は、刃体と中子の間です。顎からマチまでは約2cm、その幅も約2cmと広めに。中子に繋がる部分も通常より厚みを残しましたので、薄くなって行く絞りは強め・・。元々、三条系は括れが強調されているのですが。

以上により柄の前方で中指を回し掛け、人差し指と親指で平を抑え込む持ち方が自然に出来ます。重量バランスも顎の前方、指二本分の所に収まりました。野菜の皮を剝く等、取り回しの良さを追求すれば指一本~二本辺り迄が良いと思います。好みの仕様に仕上がって嬉しい限り。高頻度で使いたくなります。

 

 

思い返してみると、之まで手持ちの包丁には菜切りが有りませんでした。両刃の和式の包丁としても、三徳しか有りませんでしたし。そう言う意味からも、今回の体験で完成した包丁は自分にとって丁度良かったのでしょう。

良い柄が付いた事により今まで以上に道具として頼もしく感じ、自ら焼き入れした事により生涯に亘って特別な位置を占める包丁に成りそうです。日野浦さんが仕上がりを確認した際に言った、(刃幅と鋼の入り方の比率から)「此れは一生使えるな」の言葉通りに。

 

 

 

カウリXへの準備

 

以前からのメールの遣り取りの結果、北海道から送られて来る予定のカウリX製の包丁に備えて、相性の合いそうな砥石で予行演習をと。

之までも手持ちの中から(全部では無いですが)幾つも試して来ましたが、光り気味に仕上がるのは勿論、充分な切れを引き出せる石が中々見つけられませんでした。

そんな中、田村山の砥石は切れも見た目の仕上がりもまずまず。特に、面同士がかなり安定して当たる(ある程度の面積で)場合は巣板よりも明らかに明るい研ぎ上がり。

 

 

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二十二~二十三年前、最初に作ったカウリX製のナイフ。鋸・鑢・電動ドリル(+モルタル用ドリル)だけで何とか仕上げました。グリップは黒檀でピンはステンレス。シースも牛革の自作。

 

 

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積層では無く無垢材です。研ぎは、当時から使用していたGC240番とキングデラックス1000番・6000番・8000番+耐水ペーパーです。

 

 

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今回、試したのは此方の同時期二作目、積層利器材。芯材は当然、カウリXで焼き入れ後の硬度はロックウエルで67.3度です。他にも作りましたが其方は当時、父に贈ったので手元にありません。シースは、服部刃物でハネテてあったのを貰いました。因みに、これとカーショウの1030(フィレナイフみたいなの)で関時代の自炊は殆どを熟していました。

 

 

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先ずは地金には優しくない巣板で。

 

 

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拡大してみると結構均一に見えます。

 

 

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次にこれ。

 

 

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やや細かさと明るさが向上。

 

 

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拡大しても研ぎ目が細かくなっています。

 

 

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更に浅葱で向上を狙います。

 

 

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先程よりも、やや明るくなった様子。

 

 

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拡大画像でも同じ印象。見た目での違いは少しでも、切れについては格段の違いが有ります。現状、手持ちの天然仕上げ砥石では、田村山の浅葱が切れと見た目の仕上がりで一番かと思われます。切れのみならば、中山産浅葱も甲乙付け難いのですが、面が合っていないと更に傷が入り易く難しいですね。

若狭産の砥石は、ステンレスや特殊鋼に向くとの評価を見聞きし、又自分でも実感していましたがカウリにもかなりの処まで対応してくれ、有り難いです。今回のナイフはキツいハマグリでしたが、もう少し平面に近い刃物ならば、より綺麗な仕上がりを望めると思います。

 

 

と言う訳で、北海道のS様。カウリXの包丁は、手筈が整いましたら何時でも御送り下さい。どんな仕様になっているのか、又どう仕上がるのか純粋に興味があります。ですので、それについての研ぎ料金の御心配は無用です。興味が半分ですし、残り半分は本日到着しました本場の旬の食材で充分ですので。それでは、このあと料理して頂戴したいと思います。有難う御座いました。

 

 

 

貰ったペティ

 

刃物まつりで貰ったペティを使ってみました。殆ど戻しを掛けていないとの事だったので、どれ程扱いづらいのかと思いましたが案外、普通に使えました。

吊るしの状態のままで重ね煮を作りましたが、刃零れが出やすい訳でも無く際立って長切れする訳でも無かったので、焼きと戻しの関係は中々、一筋縄では行かない物ですね。

では、特筆する点も無い平凡な出来だったのかと言えば、此れも違いました。組織の細かさは今までに試したV金10号の中で一、二を争う程で、良く掛かり滑らかに切れます。更に、ブレードの研削で上手く肉が取られている為、やや厚目を選んだにも関わらず切断対象から受ける抵抗も少ない仕上がりです。

使用後、天然砥石で研ぎ直したので本当の切れと長切れを試すのが楽しみですが、ペティは二本貰ったのでもう一本あります。そちらも使って、同等品の研ぎのビフォーアフターというのも出し物に出来るかも知れませんね。

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あと、知人から言われたのが(其の方にもデモでナイロンの掬い切りを見せたので)ヨーロッパで身近なビクトリノックスで袋物を抉って見せては?との事でした。そこで序でにスーベニア(デモで使ったモデル)も研ぎ直しました。

 

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これらも念の為にネタの一つとして加えておこうと思います。

 

 

新入りの砥石の試用

 

ごく最近、手に入れた砥石達が研磨力・仕上がり・切れ共に狙い通りの性能を見せてくれ、助かっています。それに勢い付いて、以前からじわじわ修正していた柳を仕上げました。

白紙二号の合わせの包丁ですが、新品から下ろし立ては、鋼がやや硬めの焼き加減で欠け易い傾向が見られた為、切り刃全体から、特に刃先周辺にアールのきついハマグリ刃としていました。少しずつ使いながら研ぎ進めて来たところ、大分欠け難くなったのでアールを緩くしようと思いつつも、カンパチみたいな相手以外では走りや抜けに不満が無いので刃先の切れに頼って過ごしていました。

そこで今回、鋼を良く下ろす巣板が来てくれたので楽に修正出来ると踏んで、砥石の性格を見極めるのも兼ねて研いでみました。

 

 

先ずは之までの状態です(前回の研ぎ以来、刺身を数回引いています)。巣板で形を整えた後、刃金を千枚で仕上げ、切り刃は此方も小割りした1cm程の千枚で均し研ぎです。

(丸尾山産の砥石の中で、特に「切れ・刃持ち・錆びにくさ」を高いレベルで兼ね備えているので、使用後に毎回研ぐつもりの包丁以外は千枚仕上げにする事が多いです。或いは更に硬く細かい砥石で・・・。刃金との相性が優先ですが、錆び・変色が出難いし、付いたとしてもスポンジに、クリームクレンザーを薄く伸ばして洗えば落ち易くもあります)

刃体全体画像です。

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上画像の刃部のアップです。やはり光り系の合砥で研がれた刃金ならではの艶ですね。刃先周辺には、かなり角度が付いているのが分かると思います。

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次に修正に使用した砥石とその結果です。刃金・地金共に白巣板(40型とコッパ)で整形し、刃金は敷内曇り(コッパ)で仕上げました。地金は同じく小割りした千枚です。(因みに裏押しは当たりの柔らかな細かめの合さです。)

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修正後、刃体全体画像です。

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上画像の刃部のアップです。修正前に比べて刃先の角度変化が緩くなっています。刃金の仕上がりは光り気味の千枚に比べて、やはり曇り加減の艶になっています。

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光りの当て方を変えると、こんな感じです。

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その後、ちゃんとカンパチの切り身を削ぎ切り・平造りする事によって、刃先の切れ以外の問題点、走りや抜けが改善されている事も確認出来ました。

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勿論、食べても見ましたが味・香りの双方で、天然仕上げ砥石と炭素鋼和包丁の組み合わせが、ほぼ全ての食材に対して最良なのは間違い無さそうです(鉄を腐食させる成分を多く含む食材には不適な場合も有り)。その上で、包丁その物が対象の組織を傷めない事(切断面を荒らさない一定以上の細かい刃先や研ぎ肌・切り進んでも、切断面周囲へ余分な圧力を掛けない形状)が重要で、更に切る技術が伴えば、ベストな条件を揃えられると思います。

 

 

研ぎ肌の確認

 

刃物祭りで購入した味方屋作のナイフ、白紙二号を芯材に軟鉄地金の利器材使用ですが、仕上がりを確認する為もあって研いで見ました。

 

先ずはこれで。

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やや硬く、目の立った砥粒なので研磨力が強く、その割りに仕上がりも傷が深さ・量共にましな物です。

 

 

次に、この前手に入れた硬口の敷内曇りです。

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かなり硬く、泥も出難い為に巣板としては大変細かいですがやや相手を選ぶタイプの様で、これだけでは仕上がりませんでした。

 

 

そこで、少し前に手に入れた之で仕上げました。

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目の立った砥粒でやや硬いですが、ある程度は泥も出て、研磨力・仕上がり共に文句ありません。最近の大当たり白巣板と遜色無い持ち味です。以下がその研ぎ上がり画像です(確認用で完全では無いですが)。

 

 

刃体 全体

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刃部 アップ

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地金に層状の模様が出ました。不純物と云うよりは、炭素の等高線かと思われます。鋼に含まれる炭素が不足する事無く熱処理されると、余った分が地金に順に吸収されて出て来る場合が有ると聞いた覚えがあります。

 

 

 

今回の研ぎ上がりと試し切りで、刃物としての仕上がりに問題なく、研ぎ肌の見た目や刃先性能に不満の無いレベルである事が確認できました。これ以上を求めるのならば、司作を。という事になるでしょう。

 

 

 

手持ちの剃刀

 

偶に使用中の西洋剃刀、スペイン製・フィラルモニカです。其れほど剃刀に造詣が深い訳では無いですが、刃はやや粘り重視で硬さは控えめな印象。

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もう一つの未使用剃刀、ヘンケルと。

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数個、ある内の最も上等な大谷山のカミソリ砥と。

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これら西洋剃刀は、私の行きつけの理髪店(美容室?違いがあんまり・・・)で頼んで手配して貰った物です。其方ではお二方共、ヘンケルを御使用の様です。他にも幾つか、二回目に頼んだ際の物が月山さんの所に行っていますので、あちらに行かれた際に(カミソリに興味がお在りの方)は、他にも様々、取り揃えられたモデルと共に御確認頂ければと思います。

 

一度、散髪に行った時に研ぎ上げたフィラルモニカを見せましたが、顔を剃っている時に胸ポケットに挿していたそれを取って「使ってみようか?」と。感想は「切れは問題ない」との事でしたが、剃られた自分は何時もより少し、肌に優しくない感触でした。やはり専用の皮砥(研磨剤使用かは不明)など、ラッピングの必要性があるのかもと思いました。(その為、後に素人で剃刀を依頼頂いた方には、布での返り取りまでしてあるので、ラッピングはお好みのを御自身で、と御渡ししました。)

 

いずれ余裕(資金と体力・気力)が出れば、日本剃刀、特に両刃のべた研ぎ仕様も試してみたく思っています。出来れば、名古屋砥泥会仕様のクローム鍍金みたいなのは理想的かも知れません。将来、ゆうけん様が再び鍍金の業者に依頼される事でもあれば、ついでに自分の分もお願いできれば・・・とか考えていた時もありましたし。それまでは砥石の平面管理に勤め、平面の刃物で素地を作るのが先決ですね。

 

 

 

新入りの最近の状態

 

まずまず形が整ってきたので、地金の厚みをテーパー状に抜きながらほぼベタ研ぎ・刃金の部分のみを鏡面状態でややハマグリに仕上げました。更に傷を無くせば完全となります。

先ずは先日の加藤さんの三徳 五寸五分 刃金は白紙一号A   との事

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次に中屋平治作 三徳 六寸 刃金はスウエーデン鋼

(これは新入りでは無いですが三徳同士の比較用)

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最後は司作 三徳 六寸 刃金は白紙二号A

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どれも刃金は組織の細かさ・硬さ・粘りで(バランスはそれぞれ乍ら)文句なく、当然切れ味も良いですが、特筆すべきは研ぎ易さも備えている所です。この硬さからは想像以上の下りで、面が揃ってからは特にその傾向が顕著です。地金も同様で、特に加藤さんの物が硬口の砥石で地を引き難い様ですが、他の二つも標準的な物よりもかなり優れています。とは言え、完全ベタ研ぎで全面鏡面は大変なので、刃金の辺りをカミソリ砥で、地金は巣板で仕上げました。これなら幾らか手軽に出来ます。コントラストとしては一番分かり易いのかも知れません。

 

たまに使う刃物

 

包丁だけが料理に必要な刃物と言う訳では無く、これも基本的な道具の一つでした。出汁を引く為に使いますが、下の道南産真昆布はそのまま使うので関係ありません。(熟成風にするため葉書サイズにして純米酒を塗ってから金網を敷いたダッチオーブンでキツネ色手前まで炙っておきますが。そして冷蔵庫へ。)

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使うのはこの枕崎産本枯れ節をかく時です。

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母が持っていた鰹節削り器で、小学生の頃はまず日曜毎に削らされていました。台が割れたので三木の常三郎で相談して台と鉋刃を見繕いました。幅のサイズは55㎜の台そのままで合いましたが、元よりもかなり厚かったので削って送るとの事でした。しかし到着すると、同時にまな板削り用に買った55㎜鉋と同寸の台のままでした(長さはぴったりに切り詰めてありました)。結果的には、引き出しが引っかかるのと蓋が浮くだけで使えてはいます。

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裏の鍛接線上にバリが出た物を安くして貰いましたが、青紙一号と錬鉄の合わせで、切れ味・研ぎ味共に文句ない性能です。但し本枯れ節の硬度か角度の問題か、欠けが出易かったので鈍角且つ糸引きを入れて対処する内に欠けが改善されてきています。初期のパラ付きだったかも知れません。

下は丸尾山敷内曇り仕上げの状態です。

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下画像の左は同時購入のHAP40と極軟鋼合わせです。最初は刃金と地金の耐摩耗性の違いから、地金の方が先に下りて鋭角になり勝ちでしたが、角度維持よりも刃金と合う砥石で刃先を研磨する意識により改善されました。因みに相性が良かったのは丸尾山の千枚でした。

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下がその千枚仕上げHAP40のベタ研ぎ刃先です。

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これで鰹節を削りますが、一度にほぼ使い切ります。だから切れ味が落ちてからは無意識に力に頼り、欠ける要因だったかも知れません。

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使用目的にもよりますが、極上品な出汁を取るなら上の状態の物を昆布で取った出汁に加えれば良いわけです。しかし煮物その他でやや濃い味付けの出汁の素として、下の鯵・鯖・鮪の類いで作られた製品とブレンドしてパックを作っておき、冷凍保存します。

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あとは海塩と薄口醤油(長崎のチョーコー・超特選 生が好み)、純米酒くらいでの味付けを基本にしています。下は菜の花(恐らく菜花の間引き菜)を下ゆで後に上記の出汁に放り込んだだけです。

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味見をすると、すぐに刃が気になってくるので、さっさと研いでしまいます。出汁の素を作っておく理由は、度々では面倒と言うだけでは無く、半分は使った刃物は例外を除いて直後に研いでおかないと落ち着かない性分のせいだと思います。

 

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