カテゴリー別アーカイブ: 手持ちの刃物

2023 刃物祭り

 

この前の日曜日は、数年ぶりに関の刃物祭りへ出掛けて来ました。理由の一つは、服部に居た頃の先輩と合う為の、恒例の機会と成って居た事。コロナに因る自粛や規模の縮小を挟んだので、本当に久々に成ってしまいました。

もう一つは、二週間ほど前に日野浦さんとの連絡時(注文品の催促)、「今は海外出張前なので行くつもりは無かったが、村上と会える+ブースに座っている時に出来なかった通りの見物ができるなら、行こうかな」との事でしたので、日時を合わせて出掛けました。

 

 

事前の準備として土曜日に、先輩の好物の奈良漬けを購入。此方は十数年振りでしたか、しかし店舗は変わらずに盛況な様子でした。

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ブログを通じての知人・世話に成っている方・親への土産の分も合わせて。

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もう一つ、日野浦さんからの砥石選別の依頼を頂いている中、採掘の進むペースに御付き合いを願っている関係上、申し訳無いので私の御薦め中砥を御土産として持参する事に。幸い?対馬は触れる機会が薄かったらしいので、恐らく楽しんで貰えそうです。

 

以下は手持ちの対馬です。使い勝手が良く、研ぎ減りも少ないので気に入って居ます。

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そして、御土産用に用意した対馬。珍しい色のカシューで養生されて居ましたが、少し擦過傷が見られたので、自分でも透明の物で塗って見た所、やや落ち着いた居色合いに。

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あと日野浦さんからは「作業途中の段階だが、刃の方は見せられる」と聞いて居ましたので、代わりに私の手持ちの司作を研ぎ直した状態を見て貰おうかと。

以下の様に、何種類かの小割りを用いて(各種浅葱でも新たに数種を作って)地金に合う仕上がりを模索しましたが、最近の地金は数年前までの物とは異なり、同等の研ぎ肌には成らない事が改めて分かりました。

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とは言え、相応の仕上がりには成りましたので、研ぎ方の方向性を把握する練習にも丁度、良かったと思います。今回は、入手時の切り刃の状態から厚みの調整と、刃先の角度の研ぎ分けから進めましたので、傷消しは程々にして有ります。

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柳の方は、少し前に研ぎ直したので、其の儘で見せに行く事に。結果的に、「此処まで研ぎ込むのは大変なんだよな」とのコメントでした。御自身による、相当な研ぎへの拘りと年季を感じさせますね。刃体の形状の追及にも、納得と高評価を得られている様子で何よりでした。

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さて当日の刃物祭り二日目、日曜は昼前に到着しました。体育館(アウトドアナイフショーのブースの場所)をぐるりと回りつつ、日野浦さんを探しましたが見付けられず。代わり?に息子さん(睦氏)のブースの方に顔を出して挨拶し、少しの会話後に捜索を再開。

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結局、見つかりませんでしたが携帯での遣り取りでは、予想以上の挨拶合戦に成って居るとの事でしたので、食事場所の予約かたがた、刃物会館の方へ向かいました。

(服部での先輩には、すんなり合流できたので奈良漬け・砥石を手渡して、夕刻頃に再度の合流を約しました)

途中、郵便局周辺には御洒落な美容院とホテルが並んで新設されていて、暫く見ない内に様変わりしたなと感慨深い想いも。

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肝心の新生、刃物会館はガラスを多用した近代的な外観と成って居ましたが、その画像を撮るのを忘れる程、前庭での催しが気に成りました。

自衛隊の兵員輸送車でしょうか、其れとバイクの近くで記念撮影をしている人々が。さらに奥には特設ステージでライブも。何故か、国交省の投光器を備えた車両も出ていました。

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刃物会館の内部は、スペースの多くがショーケースに割かれていました。昔と比べて、山林道具や工具類は影を潜め、調理器具に重きを置かれている印象です。就中、キラキラと綺麗なハンドル材を使用したモデルが目を惹きます。

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期せずして日野浦さん御夫婦と取引先の方、其れに私を含めた六名での食事と成り、何故か当方まで御馳走に与ってしまうと言う経緯を経て、屋外に出ると結構な雨模様。全身防水仕様の私では有りましたが、通りを見て回りたいとの御意向を聞いていたので、台風傘を持参していました。其れを使って貰って移動と成りました。

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日野浦さんの車で、御持参下さった包丁類の刃を確認。しかし、予定していた二種類は含まれていなかった為、(注文を受けていた別種の分を)代わりに指定して仕上げまで頼みました。

思えば、出会ったのは2002年(2003年だったかも)の刃物祭りでしたので、今回の刃物祭りで丁度、二十年程の御付き合いと成りますね。時間が経つのは早いものです。

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車を出て別れた後、先輩と合流しようと再び体育館へ。息子さんが片付け中でしたので、先輩の片付けを待つ傍ら短く会話し、残って居た味方屋作の鉈を一本、購入しました。

司作の鉈と違って、味方屋の鉈は十数年前に大阪のナイフショップで竹割鉈を購入して以来です。其方は、狙いが其れて先端をコンクリートの床に打ち付けた際も、派手に欠けずに小さな欠けと捲れに終わったので其の熱処理に感心し、以後、何度か使いながら研いで来ました。

 

下画像は今回、購入の品です。五寸の両刃で、手持ちの司作の片刃の鉈の三本とは異なる使い方が出来そうです。

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数年前に研ぎ、仕舞って置いた竹割鉈ですが、一部に変色が見られましたので、研いで置く事にしました。

最初は、曇り仕上げで終えていたので、自作の革シースと云う事も有ってか、やや深錆と言えるレベルを地金の二か所に発生させてしまいました。

其の後、刃金は殆ど鏡面・地金は半鏡面仕上げとする事で、明らかな錆の発生は防げています。私が鏡面・半鏡面を推奨する理由は、単に永切れのみならず、この様な経験を踏まえたが故です。

 

研ぎ前、画像では判別困難ですが刃元の両側に変色。

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刃先も、やや角度の不正確さが残って居ましたので、対馬で研ぎ直してから硬口・超硬口の仕上げ砥で。地金部分は、千枚の小割り其の他で均し研ぎ。

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研ぎ上がりです。使用目的が目的ですので、嫌でも荒っぽく成り勝ちゆえに、仕上げの傷消しは程々で勘弁して貰いましょう。

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此れで、或る程度は地金も均一性・防錆性が向上。

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刃先部分は、包丁類よりも数段、鈍角のハマグリに

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刃物会館では、こんな物も選んで来ました。家に有る物は、良く切れるステーキナイフとソコソコ切れるステーキナイフですが、何方も厚みが薄いので、食パン・バゲット・パンドカンパーニュをスライスして袋に詰め、冷凍した物を分離させ役割には負担が大きい様子。此れは余り切れそうに無い代わり、厚みが充分ですから、パン同士を剥がすのにちょうど良さそうだなと(笑)。

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大阪へ帰る間際までは、先輩と恒例の喫茶タイムで近況を語り合い、またVG10の無垢材でペティを作って欲しいとの依頼が有った際には、製作を願いたい旨の要望を伝えたりして時間を過ごしました。

 

あと、司作を注文頂いて居る皆さんには、御待ちの期間が続いて居ますが、とうとう御本人とラインの交換もしましたので、より直接の遣り取りも可能と成りましたので、何とか目標の製品の製作まで漕ぎ着けたいと思って居ります。

 

 

 

 

 

頂き物の切り出し

 

少し前にブログを通じての知人から、御薦めの鋏と合わせて、地元近隣?で作られている刃物店謹製の切り出しを送って頂きました。何でも、多彩な鋼材を使用して実用的な製品を揃えて有るとかで、私も興味がある旨コメントした所、御気遣いを頂いてしまいました。

 

研ぎ前の状態、全体画像です。切り刃の幅は狭め乍ら、刃角度は一般的でしょうか。柄の下方に、スと在るのは青紙スーパーかと思って居たのですが、スウェーデン鋼の可能性も有り得るらしいです。

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同じく、研ぎ前の切り刃ですが見た目よりも凹凸は少ない様子。

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裏は見た目通り、流石に表よりも大らかな仕立てです。

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研ぎ始めは、人造の荒砥(320番)で或る程度、平面度合いを上げて行きました。その後は平面維持に優れ、かつ研磨力も有る1000番でベタ研ぎを進めます。

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次いで、研削痕の浅い人造の1000番と3000番により精度の向上と荒い傷消し。

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天然に移行し、丸尾山の巣板各種で大まかな形造りと傷消し。

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中山のコッパ(硬口~やや硬口のカラス巣板・巣板)で相性を見つつ、仕上げ研ぎ。

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此処で一端、研ぎ上がりです。裏と表の面は、其々に両端までは揃っていませんし刃先も相当範囲で整っていないので、試用を重ねつつ研ぎ進めて行く予定です。

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取り敢えず刃線上の半分(元側)は刃先が揃って来ています。

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の心算だったのですが、やはり刃先の整い方が不足で使い難いので(笑)、もう少々の追い込みを狙って研ぎ直しです。

やや泥が出る加減の硬さの中山合いさで強引に下ろします。

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其の後に硬口の合いさも挟み、最終仕上げは水浅葱で相性に優れる方で。

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現在の研ぎ上がりです。

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研いで見た感触と切って見た手応え、仕上がりの研ぎ肌からの印象では、スウェーデン鋼の確率が高そうですね。硬さと粘りのバランスが良く、細かく均一な組織が齎す切れは一級品です。之までに触れた事の有る青紙スーパーは、滅多に硬目に仕上げられた物には御目に掛かれませんでしたし、妙に柔らかく無かったとしても組織の荒さが目立つ事が多かった気がします。

もしも此れが、青紙スーパーなのでしたら認識を改めねば成りませんが、スウェーデン鋼であったとすれば、さもありなんと。何れにしても、実用的な造形と優れた刃金の性能を併せ持った切り出しを、リーズナブルな価格で出している刃物店には頭が下がります。しかし一方で(特に昨今の値上げブームにも関わらず)昔の値段の儘、長期に渡って店頭に並べているのではとの心配もしてしまいます。余計な御世話でしょうが、儲かっていない所は他人事とは思えなくて(笑)。

此の度もミズキ様には、結構な物を頂き感謝です。折角の道具ですから、セットで届いた事務用鋏と合わせて、使い処を見付けて活用をさせて頂きたいと思って居ます。

 

 

 

 

 

1対1での研ぎ方説明会

 

先週の土曜は急遽、田中砥石店まで出かけて来ました。此の二週間ほどの間に偶々、司作の包丁を断続的に注文して貰う事が続いたのですが、其の中に砥石の採掘を手伝っている方も含まれていました。

私の研ぎ方を含め色々と話す内、調理師学校で経験も御持ちとの事ですし、研ぎのバリエーションと其々の効果を理解して貰えれば、今後の御本人の役に立つばかりで無く、砥石の購入に来られた御客さんへの対応に活かす事で、顧客サービスにも繋がると考えました。

先ず準備として前日の金曜には、説明に使う小道具を入手する為に梅田まで買い出しに。元々の手持ちのナイフ類のみよりも、効率よく伝わるのを狙ってのサンプル追加です。

手持ちの№8カーボンに関しては、ブレード自体の厚みのムラ(刃線中央が薄い・カーブ周辺は厚い・刃元と切っ先は中庸)を削り、簡易的ながらテーパー化した上で刃先方向へもハマグリ化して有ります。

其の手持ちとの対比として、新入りの二本の内、カーボンの方は最低限の小刃を一定角度で付けます。ステンレスの方は幾分、広目の小刃を付けた上で、刃先へ向かって鈍角化ハマグリ+切っ先方向への鋭角化も。

 

 

 

オピネルの№8、カーボンとステンレスです。ステンレスの方は説明の最後にプレゼントするつもりの物で、カーボンの方は自分用の予備として。

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しかしステンレスモデルは購入時に店員の方が、入れる箱を間違えたんでしょう、紐付きのモデル用の箱に入って居ました。

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一目瞭然、現物は紐が付いていないタイプなので、余分な価格の上乗せを食らった事に成りましたが、急いで研ぎ、次の日には渡す予定でしたので置いて置きました(笑)。

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当然ですが鋼材が異なっても、基本的にブレードの形状は共通です。

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研ぎ前の状態、カーボンの方の刃部アップ。此の状態では、やはり刃先角度が不安定+荒い刃先なので研ぎ直しました。

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同じく、ステンレスの方。若干ですが、刃先の状態はマシな気がしました。試し切りでも僅かながら差が付きましたし。

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研ぎ始め、320番と1000番です。

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次に対馬砥です。

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八木の島の蓮華巣板、馬路の戸前で仕上げ研ぎ。

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最終仕上げは、中山の巣板(やや硬口)からの水浅葱です。

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研ぎ上がりです。

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カーボンの方、刃部のアップ。殆ど全て、オピネルのカーブ付近は右側面の方が厚みが勝っている様です。従って、小刃を同一角度で研いでも右側面にのみ小刃以外に砥面に接触する確率が高いと感じます。

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刃先拡大画像ですが、殆ど一定角度で単純な小刃付けとして居ます。

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同じく、ステンレスの方の刃部アップです。此方の方が幾らか、ブレード側面の厚みが不均等な研削だった様で、小刃の幅も不均等に成って居ます(或る程度は切っ先方向へ鋭角化したので徐々に広がって行くなら分かりますが)。

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刃先拡大画像です。此方は、小刃の幅の中で数段階を経て刃先に向かって鈍角化している等高線が見えます。

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そして、手持ちの№8です。ブレードは厚み調整後に鏡面化し、ハンドルはカシューで防水したりして有ります。

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刃部のアップ。刃先周辺の厚みは最も薄目ですが、より重要なのは刃元から切っ先方向に向かって、大まかにですがテーパー化して有る事です。此れに因り、引き切りの際に抵抗が軽減され、手応えは軽く成り、対象の切断面の乱れも減ります。

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刃先拡大画像です。上掲のステンレスの方と同様、刃先に向かって多段階の研ぎでハマグリ化が分かります。

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手伝いの方には店内で説明の後、此の三本による三種類の研ぎの違いを、実際に切り比べて体感して頂きました。新品に単純な小刃を付け直したのみでは、紙の数枚では苦にしない物の、量が多く成ったり捩って有ったりすると走りや抜けに抵抗が大きい。

小刃に漸次鋭角化・刃先に向けたハマグリ化の工夫がされていると、其の抵抗が少なくは成るが刃体(ブレード本体)自体の厚みの不均等による影響(切れ加減が一進一退)は残る。

刃体の形状から整えた上で、刃先の調整(漸次鋭角化・ハマグリ化)まで行なった物では、最も抵抗が少なく切れも良かったと、当然と言えば当然の結果に納得して頂きました。

 

 

 

序でに、もう少し広い切り刃状のベタ研ぎ・ハマグリ研ぎの差も実験すべく、モーラのナイフを用意したのですが、新品時から薄目の刃体+ベタ研ぎに近い刃付けですので、ハマグリ化の効果が感じ難かったですね。本来は多少なりとも、より広く取った切り刃の中で構造を変えるべきでしたが、新品時の幅を変えずに研いだので、切れ込んでからの僅かな進み具合の軽さを切っ先側の半分で実現した程度で。

此れは新聞の分厚い束を切り分けるなど、ハードな対象に限った結果でしたので、厳しい条件で無ければ違いも出ましたが、帰宅後に明確な差が出せるまで研ぎ直して置きました。

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ベタ気味+軽度の糸引き

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ハマグリ気味

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あと、最近に採掘された砥石の方も見て来ました。特段、カラス好きと迄は行かないのですが、硬さと細かさ・グレーの地肌に細身のカラスを気に入って購入。ただ、私よりもカラスに拘りの有る、ブログを通じた知人に送って見るのも良いかな?とも。

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下画像は、合いさとの事でしたが戸前・並砥の何方の特徴も含んでいる印象です。砥面の難は少なく形状も整って居り、砥石の御希望が有った場合に備えて置きましょうか。

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あと、不定形な小さ目を幾つかです。先ずは、完全に上掲の合いさと御仲間の細長五角形。どうも、此の形状はちょくちょく、出てくる気がしますね。

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多少、密と粗の組み合わせが目立つのと、砥面の硬さも程々かつ砥粒の細かさも中庸と感じさせながら、鏡面の仕上がりに。

刃先の緻密さと切れ加減は最上クラスと思われ、特筆すべきは裏押しへの適正です。水浅葱などの強情さを持つ浅葱系での裏押しと異なり、比べれば若干、刃物への追従性過多かと思われるも万全の仕上がりに。此れを知ると、上掲の砥石も自分用に・・・と云う気に成って来ます。

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本当に、手の平サイズの超硬口です。切っ先・刃先の部分調整用に持ち帰りました。

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同じ砥石から割られた相方と思しき方。

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少し薄い此方は、層割れの取っ掛かりが確認されましたので、小割りにするつもりで。超硬口の小割りは、そうで無い小割りより相性探しにシビアさが求められるので、機会を見付けて追加して行く必要が有ります。今後も合いさ・並砥・戸前の各系統のバラエティーも、追加して行きたい所です。

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そうそう、話の途中で田中さんとも合流でき、その際に以前から話が進んでいた砥石の日イベントのチラシを受け取れました。

イベントでは過去から、恒例の研ぎに関する講義を開催されて居ましたが、実技の方を分離して行なうに当たり、私に任が回って来た格好です。

去年は、田中さんの店のブースの手伝いをして居り、隣の研ぎ場で苦労している方へ簡単なアドバイスもしていた関係でしょうか。兎も角、流行らない研ぎ屋としましては砥石館イベントの合間にも、こうして御呼びが掛かるのは有難い事ですね。

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手持ちの包丁の研ぎ直し

 

普段使いの包丁類の中に、大昔に購入のイカ割き(箱には正夫180mmと在りますが、刃渡りは17cm)が有ります。取り回しの簡易な寸法ですし、研ぎ・磨き直し・洗浄も楽なので、汎用性の高い刃付けとして居ました。

少し前に、近隣では無いスーパーまで新鮮な魚を買いに出かけた所、立派な剣先や鮪は勿論、タモリ?みたいな聞いた事の無い魚(地方名?)まで豊富に揃って居ました。其処で購入した一つにキジハタも有ったのですが、鮮度が良過ぎて結構、イカっている状態で。

前述のイカ割きで刺身にしたのですが、普通と違う抵抗に遭い切れが重く感じました。通常の鮪・鰹・烏賊等は当然として、肉・ハムでも問題無く切れていた為、不足は無かった研ぎ方でしたが此の際、より鋭角にしてみる事に。幸い、刃先の処理方法と相性の良い砥石が選べる環境なので、耐久力を大幅に落とさず実現できると考えての事です。

 

 

研ぎ前の状態。刃体・刃先の強度をギリギリまで低下させない角度で仕上げて有ります。特に、此の個体は熱処理がヤワ目でしたので。

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刃部のアップ。

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人造の粗砥からです。柔らかいですが、其れと引き換えにしても惜しくない研磨力です。刃先の1.5mmを残し、切り刃の厚みを抜いて行き、よりフラットに近いベタ研ぎ気味に。鎬筋も、僅かに上げます。

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320番の平面維持に優れる物。此処でも、刃先先端までは到達させずに研ぎ進めます。刃元から切っ先まで、テーパー状を留意しつつ。

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柔らか目・傷の浅い1000番で研ぎ目を浅く。切り刃は、僅かにハマグリ・刃先最先端も軽度の鈍角化。

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やや軟口~中硬の巣板で形状・研ぎ目を整えた後、中山の巣板で最終仕上げ。

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研ぎ上がりです。

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刃部のアップ。

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刃先拡大画像です。

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序でに、雲竜の柳も研いで置きます。そもそも、黒打ちの状態からの仕立て直し途中の状態で入手。其の上、全体の形状も修正途上でしたので、全体のバランスから見ると切り刃が相当に狭い状態でした。

ただ、切り刃・刃先のテーパー化・鋭角化が奏功し、切れの性能上は不足も無く、万能包丁の一種として用いて来ました。ですが峰の荒い仕上げ・平の磨き直しの機会に合わせ、切り刃も再調整する事に。

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研ぎ前の刃部のアップ。

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此方も、人造の粗砥でフラット気味に研ぎ、鎬も少し上げて行きます。

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硬め・ヤワ目の1000番で、形状を整えつつ傷を浅く。

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丸尾山の軟口~中硬の巣板で仕上げ研ぎ。

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最終仕上げは、此方も中山の巣板で。画像には有りませんんが、切れ加減をテストした結果、相性的な問題で中山あいさで切り刃を。裏押しには水浅葱を使用しました。

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研ぎ上がり、全体画像です。

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刃部のアップ。

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刃先拡大画像です。

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裏は、殆ど一律な裏押しに近いのですが・・・ほんの僅かに刃体が揺れている為に、砥石への接触にコツを要します。

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以上の様な包丁類も、下掲の料理(鳥牛蒡っぽい物・ミネストローネ風の物)などに使う事が有ります。切れの状態を確認するのが主たる目的ですので、普通はペティや三徳が担当に成ります。各種野菜・鶏むね肉の塊は、テスト相手として様々な事柄を伝えてくれる存在です。

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最近の事

 

私にとっては、特に休みでも無かったゴールデンウイークですが・・・其れが過ぎ去って幾日か後に、両親への差し入れにと出掛けました。

向こうでは、ダッチオーブンで肉を焼けと言われて料理もしつつ、台所の包丁を研ぐのは何時もの事なのですが、久々に俎板も削って来ました。自宅に戻り、其の時に使った鉋を研いで居る内に我が俎板も削って置こうかと思い付き。

 

 

 

研ぎ前の状態。表の面は変色と言うか木材の灰汁程度の付着でしょうか。しかし裏から確認すると結構、刃先の摩耗が有りました。極軟鋼地金にHAP40の刃ですが、新品時より少し鋭角に成って居る気もします。その割には傷みは少ないかなと。

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手飯研ぎも兼ねた、以前に纏めて購入の人造+その前に購入の一つです。

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研ぎ始めは人造、320番からです。

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同じく1000番。

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1500番です。之までに一度も使った事の無かった番手ですが、鋼材との相性(引け傷の入り易さ等)や、摩耗の程度に応じて使い勝手が良い場面は予想出来ます。

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2000番。

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3000番。2000と3000は、面直しの仕方如何によって研ぎ目の状態は似通って来るかも知れませんが、研磨力に付いては流石に違いが有りますね。

番手を上げて行く工程を考えると、次に繋ぐ砥石の研磨力次第で何方も有りですが、此の場合も鋼材との相性などでの使い分けが良さそうです。

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6000番です。此方は3000番とも共通するのですが、刃物の不均一さ(形状・鋼材の組織)か砥面の状態次第なのか、地金を引き易さも感じました。

刃体の形状・砥面の状態・水分量・圧力・ストロークスピードなどで、不適切な条件が複数、組み合わさると確率が上がるのだと思われます。

ただ、総じて平面の刃物を研ぐには扱い易いシリーズだと感じました。返りの出方も自然ですし、砥石自体の研ぎ減りも同様で。

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天然に移行し、確か砥石館で上野さんから貰ったのだったか?やや荒目の中砥です。

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対馬の砥石、やや硬くて細か目です。

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八木の島の蓮華巣板です。

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大平の蓮華巣板。

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大平の白巣板、蓮華入り。

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丸尾山の八枚。千枚・八枚は硬口・超硬口に繋ぐ段階で結構、使います。

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中山の恐らく、天井巣板です。戸前・合いさ系統より研磨力が強く、仕上がりも中々のもの。

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中山の合いさで最終仕上げです。

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裏は、裏出し不要タイプの為に幅が広く当たります。案外、此れが曲者で、不慣れな者には狙った刃先最先端に裏押しが届かなかったり。

何とか直近では上手く揃い出しましたが、年に三回前後の使用と研ぎ直しでは、削りも手入れも上達は緩慢ですね(笑)。

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削った手持ちの俎板、三枚です。銀杏の二枚(野菜用・刺身用)と、恐らくはラワン材でしょうか出刃で魚を捌く用の一枚。

弾力が有る銀杏と異なり、柔らかいので傷が深く入る魚捌き用は、傷が半分以下に成った時点で留めて置きました。

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上の俎板とは全く、関係は無いのですが・・・仕事を手伝いに行っている先で、余り物を貰って帰りました。

刺身を取った残りに塩をし臭みを取り、塩抜き迄してくれて居たので、自分では熱湯を掛けて霜降り⇒鱗・凝固した血を除去しアラの煮つけに。の筈でしたが、急いでいたので鱗の取り残しが可成り。

新鮮だった事も有り、山椒の実と共に煮る程では無かったので、最後に山椒の花(土産に貰った母親の手作り)を添えて置きました。自作の煮付けとしては、良く出来た方で良かったです。魚は、火加減と煮汁の量が合わないと、仕上がりも変わるので難しいですね。

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あと、私が包丁を研いでみようと云う話に成った知り合いが、「余り良い包丁では無いので」とか「他に包丁が無い」・「その間に他の包丁を借りるのも気が引ける」など言う物ですから、研ぎ作業中には数年前にサンプルとして購入の100均包丁(最後の一本)を使って貰おうかと。「それなら気を使わない」との事でしたので。まあ、最後は進呈のつもりですけど(笑)。依頼の包丁を研ぎ上げた暁には補助として、雑用に供して貰いましょう。

 

 

数年前のテストでの使用後、研ぎ上げて保管していたのですが念の為、改めて研ぎ直す事に。加えて、保管場所を探す際に近くに纏めて有った、普段は出番が少ない砥石達(特に天然中砥)が目に付きましたので、相性の再確認も兼ねて引っ張り出しました。

先ずは、夏屋砥で初期の状態をリセット。硬くは無い包丁ですが、妙に粘りを感じる事も有る鋼材と熱処理ですので案外、砥石に因っては相性を感じる場合が多いです(滑って下り難かったり引け傷が多かったり)。この組み合わせは、マズマズでした。

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砥石館のイベント時に高野さんから頂戴した、武州の砥石。此方は、やや鋼材の粘りに邪魔されて下りは控え目ながら充分に役目を果たしてくれました。もう少し硬目の個体であれば、研ぎ手が全体を満遍なく使う工夫を意識し過ぎず研げるでしょう。下りるまで一か所でストロークしがちの人は、砥面の凹みを誘発しがちなので要注意です。

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関の刃物祭りでの露店で購入、三河の目白です。相性は相当なもので、殆ど此れで仕上がりとしても良かったくらいであり、其れで通常は問題無いでしょう。

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中山の巣板、硬口~超硬口です。相性は問題無く、最終としても良かったのですが・・・。

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何の為に、水浅葱で。通常、粘り過多の鋼材・熱処理だと砥石に傷が入ったりしがちですが、この組み合わせでは問題無く仕上がりました。

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ナイロンで試した後、新聞の束でも。刃先のみの研ぎであり、小刃の幅も狭めの研ぎで済ませたので、(刃元から切っ先まで鈍角⇒鋭角にはしていますが)抜けの性能は最低限です。

小刃の幅を広めに取った上で、上記内容を盛り込んだり、そもそも刃体がテーパー化されて居ればワンストロークで切れたのですが、二割くらいを残してしまい、後もう少しを切り直しで。

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ですが先方は、切れ過ぎると怖いとか聞いた気がしますので、此のレベルで使って貰おうと思います。初期の研削痕が残存しているものの、刃先最先端は揃っているので、刃持ちも考慮した研ぎと併せて当分は支障無く使えるでしょう。

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手持ちの本焼き包丁に合いそうな砥石のテスト

 

珍しく暫くの間、研ぎの御依頼が続いていたのが落ち着いて来た事も有り、手持ちの包丁と砥石の相性を確かめる機会だと考えました。手持ちの包丁と言っても、たかが知れているのですが年間を通して、余り使用する機会が無い包丁類は、結構な数に上ります。いや寧ろ、主として使っている包丁は殆ど決まっているのが現状です。

その使っていない代表が本焼きの二本なのですが、少し前、相性的に好適と思われる砥石を入手しましたので、試してみる事にしました。しかし、幾ら全体が鋼で出来ている(熱処理的にマルテンサイト未満のパーライト部分も有りますが)とは言え、無駄に刃金を減らすのは気が引ける部分も有りました。

そこで、料理(鳥牛蒡)の途中に試し切りを兼ねて使用してみる事に。御蔭で、目的には少々そぐわない形状にしてしまった部分も有りますが、まあ食べるのは自分なので問題無しです(笑)。

 

 

 

尺の柳と五寸五分の鎌型薄刃の二本、共に白紙の本焼きが今回、俎上に上げる包丁です。因みに過去の研ぎで仕上げに使った砥石は、神戸の削ろう会を見学した際に購入の奥殿産巣板、硬口~超硬口です。

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薄刃の方、研ぎ前の状態、全体画像です。

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同じく刃部のアップ。

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裏です。

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牛蒡の端切れを輪切りで薄く。

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千切りも少し。

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柳の方、研ぎ前の状態、全体画像です。

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同じく、刃部のアップ。

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裏です。

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人参での千切り。

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今年の山椒も出回り出したので?冷凍していた去年の分の山椒の実を解凍し、スライスに。

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途中で空腹を覚えたので、フランスパンとチーズを食べる序でにトマトも用意しました。折角なので、試しに此方は賽の目に。

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切るテストの最後は、氷を削って見ました。季節的には少々、早いですが・・・過去最大量を試すと驚く位、かき氷でした。

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硬さと意外な弾力に加え、金属にとっては低温脆性も関わって来ますので、対象としては結構、ハードな氷ですが刃先に損耗は無し。私の通常仕様である、切れと永切れの両立を目指した研ぎ方ですので、狙い通りの結果が確認出来ました。

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今回、最終仕上げに使って見た砥石。中山の合いさと見られる物、硬口です。

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薄刃の方から、丸尾山の本焼きの中継ぎに向く巣板各種の後、上画像の砥石で。

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研ぎ上がりです。

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同じく柳も。

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研ぎ上がりです。

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今回の砥石は、以前からの「本焼き用の最終仕上げ砥石」に比べ、やや硬口でしたので、複雑な面構成の研ぎ方をするには、薄い研ぎ斑が出易かったり、傷を消すのに時間が掛かったりしました。

ただ、時間を掛ければ傷が消えるに留まらず、より輝く研ぎ肌と鋭利な刃先が得られるのが分かりましたので、従前の砥石の代替よりも、使い分けで活躍して貰う事にしました。

 

 

 

形状の最終仕上げ・傷消し・研ぎ肌の均し・切れの各要素を兼ね備え、最も重宝して来たのは下画像の中山です。これ等の後継と言うか代替に成る砥石も、おいおいに追加したいと思っては居るのですが・・・殆ど同じ性格の物を見付けるのは、中々に難しい様ですね。

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他にも既に期待出来そうな物は、有るには有るんですが何となく、使い易そうなのは「もっと難儀な局面で使おうかな」との思いが拭い切れず(笑)。ついつい取って置きたくなったりで。

従って現在、本焼き用の主力として居る砥石達が、大幅に擦り減る迄に相応の砥石を追加できることを目指し、引き続き選別に出掛けねばとの思いは持ち越しですね。

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使用後の手入れ

 

テスト動画で使用した副え鉈の二丁を、手入れの為に研いで置きます。

研ぎ済みの方は、昔に試用を終えてからは暫く使う事が無く、資料としての保存に徹していました。合間に変色・薄錆が発生する度に、軽く研ぐ程度でしたが其の内、研ぎ易い形状としてフラット寄り(鋭角方向)に成って居ました。つまり私の通常仕様である切れと永切れが五分五分では無く成って居り、切れ重視・強度的には不利に。

新品の方は、新聞の束を丸めて捩った物に対して引き切りが難しく、押し切りで何とか切れた事から形状的にはカーブの当たりが厚く、手前の部分は僅かに薄かったと思われます。

遠心力を効かせて打撃を加える方向での使用には、先端近くの厚み・重みは効果的な面も有るのですが・・・その目的ならフルサイズの鉈が適役ですので、私の使い方では削りメインの工作で活躍してくれればと。

 

 

研ぎ前の状態、鍛え地磨き(研ぎ済み)と黒打ち槌目(新品)。

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新品の方は、先ず人造の小割りで厚みが気に成る部分を集中的に減らし、天然の小割りと角砥石で。形状のベースが出来ている鍛え地の方は、天然の角砥石のみで。

丸尾山の敷き内曇り、二種で刃先を大まかに整えます。

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中山の巣板、三種で仕上げて行きます。硬さ・細かさ・泥の出方が異なるので、研ぐ場所・研ぎ方等によって使い分け。

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最終仕上げ(刃金部分)は、中山の水浅葱です。

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水浅葱の研ぎでは途中、切れ方も試したり。動画前では、刃元~切っ先まで片側30度・25度・20度程度でしたが、今回は何時も通りに40度・30度・20度に。とは言え、刃先最先端のみの調整ですので、切り刃のベースが出来ていれば切る際の抵抗が著しく増える事も有りませんし、切り口に艶が出る位には良く切れます。

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研ぎ上がりです。

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黒打ち槌目の方。形状は整いましたが、人造の研ぎ目は未だ、幾分は残存しています。しかし、怪我の功名と言いますか・・・資料として10年程、眠っていた此の副え鉈ですが、刃金の仕上がりは幾つも所有する、同じ司作の中でも出色の出来でした(レベルの高い物同士での比較ですが)。今後も余り頻繁には活躍の機会が訪れるとは思えませんが、使うのが楽しみでは有ります。

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と言いながら、此の流れで手持ちの副え鉈の最後の一角、雲竜磨きの副え鉈迄も研ぎたくなって来そうなのは、聊か注意が必要ですね(笑)。直近で使う予定・又は先々で使う可能性が有る物以外は、研がない主義ですので。オリジナルのままの風合いを顧みる為の新品も、幾つかは残して置きたいなと。

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モーラナイフとペティナイフ

 

ちょっとした目的の為に先日、モーラナイフとペティナイフを二本ずつ、買い求めました。詳しくは、次の記事で記載する予定ですが・・・研ぎ方の違いに因る効果の差を、御興味のある方々に試して貰おうかなと。

 

下画像は、グリップ・シースは色違いながらブレードはステンレスで、同一の仕様です。

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此方は、ヘンケルですが外観も含めて完全に同じですね。

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先ずは、モーラの方から研いで行きます。人造の研磨力の有る1000番。

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二本目も同様に。

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傷の浅い1000・3000番。此処で切り刃には、極僅かに緩やかなカーブで刃先へ繋がる研ぎを施します。

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二本目も同様。但し、3000番の時に刃先の鈍角化ハマグリのベースを作って置きます。

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天然へ移行して、馬路の中硬の蓮華巣板。次に、やや硬口と硬口の中山の巣板。

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二本目も同様に、馬路の蓮華巣板⇒やや硬口・硬口の中山の巣板で仕上げました。

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研ぎ上がり、一本目です。刃元から切っ先へ向かい、鋭角化。加えて、鎬筋から刃先へ向かい、緩やかなハマグリ状に鋭角化。

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二本目、研ぎ上がり。一本目の内容に加え、刃先は最先端へ向かって鈍角化するハマグリも追加。其の部分も切っ先方向へ漸次、鋭角化は変わりません。

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次にペティですが、傷の浅い人造の600・1000番から。研ぎ方は通常の小刃では有りますが、刃元・中央・切っ先の角度は其々、片側30度・25度・20度としました。

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二本目も同じく、此の段階までは通常の小刃。

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天然に移行して、馬路の戸前?から中山の天井巣板。

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二本目も同様に。そして此の段階で、刃先の最先端へ向かって鈍角化も加えます。

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研ぎ上がりです。流石に全体画像では、モーラ以上に判別不可能ですね。刃部のアップをズームしたり、刃先拡大画像では違いが見えると思います。

一本目は、かなり平坦な当て方で砥石を使って有りますので、対象への最初期の食い込みでは相当に鋭利では有ります。

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二本目、刃先最先端の鈍角化ハマグリを施した方です。小刃の幅は幾分ですが広く・鋭角に。対して刃先は一本目に比べ、刃元・中央・切っ先で其々、1.5倍程度の鈍角にしてあります。

其の為、刃先さえ食い込めば、引き切りの最初から最後まで軽い抵抗で切れます。まあ、刃先最先端も角度さえ正確なら切れ自体も、そうそう劣る物では在りませんが。そして、耐久力は言わずもがな。

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今更ですが・・・此処まで研いだ画像では、敢えて研ぎ目(角度変化を現わす縞々)を残してありますが、当然ながら消す事も出来ます(笑)。

次回の記事では、少し前に研ぎの御依頼を頂いた方との遣り取りで、研ぎ方の違いと効果(使い方の当否で効果が解り辛い?)が伝わり難かったので、其の説明をと考えて居ります。

今回のナイフ類は、同じハマグリ(鋭角化オンリーで切れ優先・鈍角化も追加で耐久性アップ)と言えども、其々にメリットとデメリットが有るので、実際に使って体感して貰うべく用意したと言う訳です。後は、切っ先方向へは鋭角化していても、小刃その物はフラット・対して、緩いハマグリの小刃の先を鈍角化した物の違い。

鋼材や熱処理如何では鋭角なままの研ぎでは、実用たり得ない刃物も想像以上に多いです。私は研ぎ後の試し切りで強度不足が判明した場合、不足が無いと思われる角度まで調整して仕上げていますが・・・俎上に上げたナイフ類は何れも、やや軟らかい仕立てと成って居り、鈍角化していない方ではヘタリが早いと予想しています。

従って切れに満足が行く研ぎであっても、実際に使って見ると頻繁に研ぐ必要が有る結果に終わったり、逆に耐久力・永切れに優れる研ぎで有りながら、研ぎ方によっては切れの重さを軽減しつつ、抜け・走りも含めて不満が出難い事も有ります。

 

 

 

 

 

最近の事

 

数年前に小刀の研ぎ依頼を頂いた、奈良のY様からの新たな御依頼・・・数十年前の作に成る、豆ナイフ。日本のカスタムナイフ界黎明期の草分けとも言うべき作家の方の名品の様ですが、刃毀れと表面の傷みを改善して欲しいとの事で。

本来は、製造段階で用いた電動工具・手動具・研磨剤などが違えば再現性が低く、本人または後継者で無ければ分解組み立ても困難なので、其の辺りをお含みおき願ってからの作業でした。

 

折り畳めば、百円玉の1.5倍ほどの長さ。

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磨きの見本として、新品の左側も送って頂いて居ました。基本的に、初期の研削痕が刃線と直交して残存しているものの、其の表面の研磨痕は殆ど目視が叶わないレベルで仕上がっていました。

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到着時の状態、拡大画像。

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同じく、磨きの見本の方。

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精緻な造作のハンドルに養生を施し、耐水ペーパーと研磨剤で表面を研磨。後々、刃先を研ぎ直す事によって小刃の幅が広がらない様に、刃先周辺を僅かに念入りに厚みも調整。

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人造の1000番と3000番で、刃先を研いで行きます。表面の研磨は敢えて居るのですが、鋼材と熱処理の組み合わせの結果、研磨痕が残り易い傾向の様で。

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光源との角度次第では、余り目立たないのですが。

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天然に入り、中硬・硬口の巣板から水浅葱で仕上げました。

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研ぎ上がりです。何度か研磨剤も変え、方法も模索してみたのですが、此れ以上は相当な期間と試行錯誤が必要(しかも打開出来るかは未知数)ですので、一応の仕上がりとしました。

恐らくは鋼材的にも、やや柔らか目なので研磨の際にも(トルクの有るバフなどで)低速でジワジワ磨くのが良いのかなと感じ、其の儘にY様に御伝えしました。

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取り敢えず、切れに関しては大丈夫だった様ですが・・・磨きに関しては、もう少し追求してみたいと更に方策を探って見られるとの事です。

やはり、私にとっては切れる様にする事が本筋で、天然砥石を使う上では刀剣研磨のレベル・人造の研磨剤量を扱う上ではカスタムナイフレベルとは行きません。磨きは、何処まで行っても余技ですので、実用に問題が無い錆予防・見た目も程々の所までしか御役に立てず、申し訳無く思います。何らかの形で、御本人の御希望に沿う仕上がりに成る事を願って居ます。

 

 

 

 

一昨日は、東の刃物会社の方が拙宅を御訪問下さいました。また其の方を通じて、有る方から私に人造砥石をプレゼントして頂くと云う一幕も。

下画像が其れで、私は余り多種多様な製品を手広く試せる環境に有りませんが、存在自体は側聞して居ました。人造の中砥(1000番前後)から天然に繋ぐのに、3000~6000番の砥石は案外、重要な場合が有りますので感謝です。

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御自身からも、御土産を手渡されましたが・・・此れはカステラ一番、電話は二番の奴でしたか。此方も、相当な昔から存在は知って居ましたが、縁が無かった物。癖も無く、特に風変りでも無いのに、他の店舗の製品とは何処か異なる風味で感銘を受けました。

当方からはキャスルトンのセカンドフラッシュと、近所の和菓子店で購入のマスカット大福を繰り出しましたが、上手く迎え撃てたかどうか(笑)。取り敢えず、一口飲んで美味いとの反応は頂けましたが。紅茶と和菓子とは言え、同じマスカットフレーバー同士で、相性的には悪く無かったのではと。

 

 

 

 

砥石を頂いたのは、四国のK様と御聞きしましたので、御礼の文面を添えて何か使える物を・・・と考えました。しかし中々、其れに相応しい気の利いた品も持たない身ですので、恐縮乍らせめて自分なりの小技を加えた小道具でもと。

 

下画像は手持ちのオピネルNO9、カーボンモデル(炭素鋼)とステンレスモデルですが、予期せぬ作業に備え、その辺に置いておくには少し大きいかも知れません。確りと使うには、最適の一つだと思うのですが。

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下画像は、その一つ小さいモデル(NO8)、炭素鋼で柄をカシュー仕上げとした手持ちの一本。本格的に使うには最低限のサイズながら、使い難い程には小さくないのが良いバランス。

ブレード側面は、錆予防と厚み調整を兼ねて軽く削りつつ磨きました。ネイルマーク周辺の刃体中央には、未だ若干の厚みが残存しては居ますが、切れ込みや抜けは相当に改善されています。

あと、私は使い場合にブレード後端付近にダイヤモンド鑢で切れ込みを作り、其処から後ろは刃を落としています。使用時に指先が不意に接触したり、織り込む際の怪我を避ける為です。所謂、リカッソを仮に設けている様な物で、研ぐのも切れ込みから先のみとして居ます。もし後端迄も研ごうとした所で、何れは破綻するでしょうから。

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御礼の品は、同じくNO8のカーボンモデルとしました(二本有るのは、ブログを通じての知り合いへ送る為の物を含むからです。此方も御礼の品)。下画像は、新品の状態。手持ちと同じく、ブレード側面の厚み調整をしつつ、磨いてからの研ぎです。

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人造の研磨力優先の1000番で大まかな形状と刃先の角度決め。その後には頂いた4000番で微調整と研磨痕の軽減です。当たりがソフトで研ぎ易い砥石に付き、天然直前の処理には重宝しました。

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奥殿の天井巣板、中硬で更に細かく。小刃の本体は20度以下で研いであるので、刃先最先端を鈍角化。そして刃元~切っ先に向けては、漸次鋭角化。

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超硬口の中山の巣板で仕上げ研ぎですが、相性的に次の砥石が欲しくなります。最終刃先角度は、片側25度近辺が切れと永切れのバランスポイントの印象。30度以上で切れ方に不満が出るのは、組織が幾分は荒目なのか。

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中山の水浅葱(切り落とし)で満足な状態に。因みに、掌サイズ以下の此の砥石ですが、四国への御礼の付属品として同梱して置く事にしました。研ぎ易さの相性は程々では有りますが、切れが鈍った際には、タッチアップ程度には使って貰えるのではと。

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余りに急いで発送してしまった為、研ぎ上がりの全体画像は有りませんが、御二方には御笑納を頂けましたら幸いです。

 

 

 

 

 

知己を通じての御依頼

 

少し前に行われたワークショップで、(三十年ぶり以上で?)再会を果たした方が御身内の出刃を御依頼下さいました。拝見した所、刃先の角度などは悪く無い物の、本来の性能を発揮させるには切り刃の研ぎも不可欠な様子。しかし研ぎ料金が和包丁基準に成ると、流石に洋包丁基準(ナイフ含む)よりも高額に成るので、所有者に確認して貰いました。

結果的に刃先周辺のみを研ぐ、洋包丁基準で御受けする事に。しかし若干、気に成ったのは裏の状態。裏押しが不安定なのは作業時の砥石の平面不足かとも思われますが、更に問題に成りそうな事が。僅かに刃体自体が表側に引っ張られている印象で・・・。

 

 

 

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研ぎ前の状態、全体画像。殊更に欠けや摩耗は酷くは無いのですが、平や裏・峰に幾らかの錆が有ります。

 

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刃部のアップ。刃先の角度と研ぎ方は結構、良いと思われますが刃元には数個、欠けも見られました。切り刃の研ぎも取り立てて可笑しくも無いのですが、切っ先カーブより先の厚みが残存・その周辺の切り刃の幅が元寄りに比べて狭い。従って、抜けにマイナスとなっていました。

しかし研ぎ方の意向を確認して貰った際に、「本職では無いので刃先周辺のみの研ぎで」との事でしたので、刃先数ミリ(精々は刃金部分)の研ぎの工夫で改善を目指します。

 

 

 

 

 

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カーブの部分から切っ先に掛けて、裏押しが不安定。具体的には、平面で無い砥石の使用による物か?微かに両刃的な角度が付いている部分が複数存在⇒裏押しが刃先まで未到達と成っていました。

前述の通り、裏面が凸の刃体となっていましたので、特に切っ先へ行くに従って砥石へ当てても少し、浮いて居ました。

 

 

 

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平と裏・峰の汚れと錆びを、ざっと落としてから人造で研いで行きます。この場合は、3Mのスポンジ付きの耐水っぽい物が便利ですね。

刃体の(裏面凸の)反りを少々、叩いて修正を試みてから人造の400・緑1000・白1000で。刃元・切っ先の欠けを取る為・裏押しの届いていない部分を削り落とす為に、400を多目に使います。その後は意図的に、包丁の形状に合わせて裏を当てに行き、全体が砥面に当たる方向を目指します。

数回、其れを繰り返すと徐々に折り合いが付いて来ます。しかし現段階で、切っ先の5mm弱は浮いている状態。余り追い込むと、他の部分にしわ寄せが出るので次の工程へ。

 

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やや軟~中硬の巣板二種と、やや軟~中硬の合砥を駆使して刃先の角度を段階分けで研ぎ・表裏の傷消しです。

御使用時に、初期の角度の儘では刃元に欠けが生じていたので、私の推奨している出刃の角度変化を。刃元は70度・中央は50度・切っ先は30度程度に研ぎ分けます。

 

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同時にダイヤ砥石で泥を多めに出して、裏押しの安定化を狙います。

 

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仕上げとして、中山の緑で。幸い、かなり相性も良かったので他の砥石をとっかえひっかえする必要に迫られず、助かりました。

 

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此処に至っても、切っ先の裏の3mm程度は裏押しで僅かに浮いています。他の部分は殆ど問題無い状態に収まったのですが・・・今後の数回の研ぎで、徐々に揃って来るのは間違い無いので終了としました。

 

 

 

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研ぎ上がり、全体画像です。

 

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刃部のアップ。切り刃は、奥殿の内曇りの小割りで軽く撫でて置きました。

 

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切っ先の最先端以外は、裏も普通に押せる筈です。問題は、平面が出ている砥石を使って貰えるかどうかのみですね。

 

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刃先拡大画像です。

 

 

今回の研ぎで、刃先周辺の研ぎとしては狙った性能(切れと永切れ・抜け)を盛り込めたと考えますので、実際の御使用で確認を頂ければと思います。もしも此れ以上の使い勝手をと御考えの折りには、切り刃からの研ぎを御提案いたします。此の度は研ぎの御依頼、有難う御座いました。

 

 

 

 

本格的な、切り刃からの研ぎで無かった為に手が空きましたので、代わりに?手持ちの手入れをしました。

ここ数年は、刃先のみの研ぎでしのいできたのですが・・・やはり整い切っていない切り刃が気に成り、何度目かの追い込んでみました。途中の画像は残して居なかったのですが後、一度か二度の研ぎで殆ど完成と思われる状態に。

 

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刃先は中山の合いさっぽい切り落としで仕上げましたが、切り刃は中硬の巣板⇒八枚の小割り⇒千枚の小割り(自分の包丁なので一線級では無い)で均し研ぎ。

昨今は、軟鉄(極軟鋼・極軟鉄)でさえも天然で仕上がり良く研げる品質の物は希少だと言うのに、二十年以上前の物とは言えステンレスで此処まで良く仕上がる地金を使ってくれていた三層利器材は、現在では驚異的とさえ感じます。当時は、そんな事はお構いなく何も考えず研いでいたのですが(笑)。

 

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研ぎ後、全体画像。初期刃付けの段階で、刃元の角度が鋭角で幅広の切り刃に成っていましたが、現在は中央から切っ先に掛けての切り刃がテーパー状に厚みが調整出来つつ有ります。

 

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前回の研ぎでも残っていた、変色を超えて深錆に成り掛けていた箇所も、殆ど研ぎ落せました。

判別は難しいのですが、前の記事で掲載の画像と比べれば、特に切っ先カーブ周辺以遠の刃先の研ぎ(キツイハマグリ)の部分の幅が狭められています。即ち、切り刃の厚みが減少した訳です。

 

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左側の切っ先部分には、錆の痕跡が消し切れていませんが、全体のバランスを鑑みて極端な部分研ぎは避けています。

 

 

 

 

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刃先拡大画像。

 

 

刃元~切っ先・鎬~刃先の、双方でテーパー状に成って来ましたので、いよいよ使い易さも向上。片刃・両刃に関わらず、やはり和包丁は切り刃と刃先の両面から性能を追求するのが本筋だと感じます。一旦、切り刃の形状を整えてしまえば、暫くは刃先の研ぎ直しだけで維持出来るので楽でも有ります。

刃先の鋭利さを求めれば切り刃全体が鋭角に成りすぎ、強度不足や走りが重く成り勝ち。刃持ちを意識し過ぎれば、切り刃が厚過ぎて切る際の抵抗に。それらを解決しようとすれば、二律背反の迷路に入りますが、研ぎ分けをする事で解決に近付くと考えています。出来れば、(どうしてもベタで無ければ成らない場合を除き)一律で無い緩いハマグリ・キツイハマグリの組み合わせと、切っ先へ向けての鋭角化を併用すると効率も上がりますので、お試し下さい。