土曜に続いて昨日の日曜は、いつもの如く天然砥石館に詰めていたのですが、帰りに砥取家に寄って来ました。月山さんからの白巣板選別の強い要望を受けて、次男氏に少々無理を言っての偵察です。
実は一度、在庫から見繕って貰った物に適う石が見当たらず、次回制作時に気に掛けておいて下さいとの流れに成っていました。結果、在庫と取り置きの中から四つの候補に絞って月山さんへの発送を頼みました。
そうこうして居ると、テレビ取材を受けていた御主人が御帰還。クルーの方々も降りてこられて暫しの後、彼奴(私ですね)は誰か?の流れに。何時もの「大阪で細々と研ぎ屋をしています」の返事で華麗にスルーを狙うも興味を持たれて研ぎ・切りの実演と説明をしてきました。
自分の姿は勿論、包丁や研ぎシーンも流れはしないと思いますが、少しでも此の世界への御理解が深まればと思います。以前、〇の壷の取材に同席しましたが、制作会社の女性デイレクターには私の説明や実演が響かなかった様子でした。恐らく台本と脚本の流れに関わらない傍流の事象には用が無かったのでしょう。
今回は現場の女性ディレクターやカメラマン氏にも、聊か以上に興味を持ち楽しんで頂けた様です。切られたトマトの味の違いまで体感して納得されたとの事。民放関係故かチームのカラーなのか、接触した対象に貪欲と言うかアグレッシブな取材姿勢で、楽し気な陽気さをも感じました。以前のココイロにも通じますね。でも、説明は訳が分からんと。「後は検索して調べて」で逃げました。
最後に自分用の砥石を。選別途中に目を付けていた小さな二つです。片方は、次男氏が砥いでいた包丁の最終仕上げを担当した対価に頂戴し、もう一方は(小さくて変形なので)お買い得価格にて購入。
敷内曇りですが、特に砥粒の目が微細な物。泥の出方も程々で、邪魔にならずに適度な滑り方を提供してくれます。大変小さいですが、使い処を心得ていれば活躍させられます。
上画像の物よりは大きいですが、此方も小振り。しかし丸尾山産の白巣板としては、やや変わった質で、すべすべとさらさらの中間。細かくて目が立っている砥粒からは、地金よりも刃金向きな性質を感じますが、結構泥が多く柔らか目なので対応範囲が広いです。
天然砥石館で展示していた道中剃刀?に錆が出て来て、気になっていました。上記の二つの砥石を手に入れた直接の理由と言う訳では無いですが、早速にも活躍の場が与えられた格好ですね。
刃線上に点々と育ちつつある錆
峰の端に広がってしまった錆
再び、柔らかくて薄い刃物の平面研ぎに苦労しそうですね。余り光ってもくれないし、傷も消し難い難敵の攻略ですが、追加砥石の余勢を駆って前回以上に仕上がればと思います。
あと、砥石館での上級者コース受講一番目のK様の御依頼、千枚・大谷山・中山浅葱ですが、千枚は手持ちの・中山は水浅葱よりは白浅葱に近いかも、は確実ですが大谷山は少々時間を要する確率が高いかも知れません。今暫し、お待たせしてしまいますが宜しくお願い致します。
お忙しい中、砥石の選別でお手間をとらせてしまい申し訳ありません。
大谷山はいそぎではありませんので、時間のある時に探していただければ有難いです。
司作の磨きと共に三種類の砥石も楽しみにしております。
毎日暑い日が続いておりますが、体調には十分ご注意ください。
最近教えていただいた方法で柳を研ぐと、ほぼ確実に髪の毛を切断できるようになりました。
洋包丁ではまだ上手く切れずに、毛が逃げてしまいます。
受講生K様
その節は、有難う御座いました。不慣れな上に不器用なので御不便をお掛けしたであろう点は申し訳なく恐縮でした。
砥石探しは、いえいえ、当方の楽しみも兼ねておりますので御気になさらず。場合によっては(お買い得品限定に成りがちですが)自分の普段使い用砥石も見つけられます。大きさや、形状含めて立派過ぎるのは取り回し・コスパの観点からは不適な面が有り、消耗品の補充扱いの選別が主体です。
ですが、選別を依頼頂いた物に関しては、多面的なチェック項目を遍く満たすべく努めています。中山浅葱は、やや薄物に分類されるかもですが其の分、砥面は広目。とかトレードオフは含みますが、それなり以上には、御期待を頂いても良いかと考えております。
洋包丁は、硬い砥石を使って返りの処理が適切であれば案外容易です。御持ちの砥石で難しい様であれば、之は益々、砥石の御届けを急ぎたくなりますが採掘次第な点は如何とも・・・。その間は、研ぎと返り取りの精度向上に励んで御待ち頂ければと思います。