天然砥石館の展示用品準備

 

来年四月(頃?上旬?)の本格オープンに向けて、天然砥石館で展示する品の準備をしている所です。研ぎ体験と研ぎ講習会で使用する事に成るであろう、テキストとまでは言えないですがレジュメ的な文書の作成が大まかには完成しましたので、久々に月山義高刃物店に物品を仕入れに行って来ました。

順次、ローテーション風に変えながら展示されるであろう天然砥石ですが、更に当該砥石を実際に使って砥がれた刃物の状態も併せて御覧頂くべく、切り出しの研ぎが必要となります。砥石の粒度・性質等を端的に表現し、何故に段階別や銘柄別に砥石を使い分けたりしなければ成らないか、一般の方にも御理解頂く狙いから、砥面の状態をそっくり転写し易い切り出しの平面研ぎです。

之までは、平面の研ぎと言えば電着ダイヤとキングハイパーの硬軟、シャプトンの1000番あたりが下研ぎで使用する標準砥石でした。しかし、以前のイベントで月山さんと尚さんが企画した砥石を試用させて貰い、もっと有効な組み合わせが可能かもと興味を持っていました。

 

そこで、切り出しを(取り敢えず)10本頼む序でに、研承ブランドの出来立て(三段階中の特に硬め)1000番と一番期待していた400番を仕入れて来ました。

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未だ、今回の切り出しは砥いで居ませんが、手持ちで試すと期待に違わず良い印象です。具体的には、研削力が強めの割りに砥面の狂いが少なく精度が高い状態での研ぎがし易い。例えるなら、1000番はキングハイパー(硬)よりもやや、傷は深めで下りが速い。但し、シャプトン1000番よりは若干研磨力と平面保持が弱いかも。

しかし、平面管理の為に使う電着ダイヤのダメージは少なく、その作業も楽。対して400番は更に傷の深さに頓着せず、研削力と平面維持に全振り。双方使い手次第で上手く個性が活かせそうです。食い付き重視で滑り難いのが好みなら、今後出て来る1000番の軟・中の焼き加減が良いかも知れません。

 

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研承400番

 

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研承1000番(硬め)

 

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以前に送って貰った3000番

 

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白巣板・卵色巣板・千枚

 

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試し研ぎ用に持ち帰った黄色いの

 

結論から言えば、1ミリ未満の欠けなら今回の400番で消し、他の何れかの1000番と3000番前後で傷を浅くすれば、天然仕上げ砥に繋げられると思います。しかし、可能な限り砥面の平面精度を維持しつつ研ぎ進めるならば、電着ダイヤなどによる頻繁な面直しの際の作業性が大きく関わって来ます。

そう言う観点から判断するなら、この400番と1000番は目が詰んで砥石自体の研ぎ減りが少なく、平面が崩れ難いにも関わらず面直しが楽。単なる研削力自慢では無い、使い勝手の良さと長持ちが有り難い砥石でした。こうなると次の研承3000番?も気になりますね。今の3000番は、やや減りが速いのが心配ですので。

今、手元に有る砥石で組み合わせるなら、電着ダイヤ⇒研承400⇒研承1000⇒3000番⇒天然砥石でしょうか。天然の前に入れるに相応しい3000番辺りが出て来てくれれば嬉しい所です。

 

 

 

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後は、この10本に掛かるとします。

 

 

追記

後日、研承の6000と8000も送って貰いました。味方屋の三徳で刃金部分を試すと、研ぎ易い硬さと滑らかさの割りに、随分鋭い刃先に。

一般的に柔らか目の鋼材を柔らか目の砥石で仕上げると、其処まで鋭利には成り難いものです。今回の組み合わせが殊更に柔らか目同士と言う訳では有りませんが、事前の予想を裏切ってくれました。普段が天然の硬めを多用している立場では余計に。

恐らくは砥石に使用されている研磨剤の品質・種類・量などが、製造方法や完成した硬さと相俟っての結果なのでしょう。正直、係りの良さ・永切れを含めて可なり、不満の無い製品に成っていると思います。

こうなると益々3000と、最後の高番手である10000に興味が出ますね。まあ、10000番は削ろう会等への対応を念頭に開発された風なので、普通の方々には8000の性能で御釣りが来そうですが。

 

 

 

11月26日・27日 (天然砥石館・五回目)

 

11月の最終土日に、改装工事前の特別期間(研ぎ体験・簡単な指導無料サービス)が無事に終了しました。

再び、結構な人数の御運びを頂きましたが中でも拘りの強い一組は、和剃刀を研ぎに御出での方とナイフを御持ち頂いた方。

前者は過去に、砥取家で御目に掛かった事がありますが(人の名前や容貌を覚えるのが極端に苦手な自分としては)珍しく記憶に残っておりました。お連れの方は研ぎには余り親しんで来ずとは言え、自宅の屋上で鹿を焼いたりもする実用派。

ナイフもオピネルと言えば一般的ながら、海外仕様と珍しい物。それとビクトリノックス。砥いで行く内に楽しさにハマり、小さな原石に面付けを行ってからは、アマゾンに持って行こうかとの発言も。

 

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菖蒲産の浅葱で試し研ぎ

 

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その和剃刀ですね

 

 

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此方は珍しいグリーンの柄のオピネル

 

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他にも、御偉方の視察時に御出でだった方の再訪やいつもの御常連(持参包丁多数)、それに匹敵する以上の包丁を御持参の御夫妻。そして鉋の試し研ぎをされた方など。

 

 

 

 

和剃刀が出た序でと言う訳では有りませんが、上野さんが道中剃刀(箱に入っており、剃刀と砥石が同梱可能)を入手。それを砥いで欲しいとの事で土日を通して砥いで居ました。

形状は現在一般的な和剃刀よりも更に古い原型と思われる物で、浮世絵などでは恐らく同一と考えられる姿が見られます。

 

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問題は、後になってグラインダーかリューターらしき物で表を鋤かれていた事。それをベタにしてくれとの希望で、ダイヤから始めました。

 

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一日目の終了時。ダイヤ・人造中砥・巣板まで。二日目は各種巣板で平面出しと傷消し。

 

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最後(三日目)は自宅で鏡面前後になりそうな各種小さ目の砥石で試しながら仕上げました。恐らくタタラによる刃金(玉鋼)と地金(軟鉄)でしょうが、余り硬くない所為か光り気味にはなりません。しかし地金の模様は精緻で優雅な物でした。

 

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おまけは、火曜になりましたが以前より来て頂きたく思っていた新潟県三条の日野浦司さんに、夫婦揃って亀岡までお越し頂きました。

前日までの二日間、京都市で会合が有っての御立ちよりでしたが、砥石の産地で実際に現物を前に意見交換が出来、以前からの砥石を通じた交流に加え、地域や職種を超えた連携に繋がればと願っています。

 

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おまけのおまけとして、テレビ番組制作の方が下見の一分野として来られるそうですので、幾らかでも御役に立てればと思います。私が長年、好んで視聴してきた番組でもありますので、楽しみでもあります。