伊予砥の産地へ

 

少し前に原石の選別の御手伝いと、その他で伊予砥の産地へ出掛けて来ました。

 

出発前には大急ぎで、海外から一時帰国した料理人の方が持ち込まれた洋包丁数本を、出国までの期限で砥いで発送(北海道のS様には順番を譲って頂き感謝です)。そして西洋剃刀一本の御依頼品を仕上げて発送。剃刀の方は、余り得意では無いのですが其れでも良いとの事で。結果は先ず先ずだったそうで一安心。

 

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人造3000番から硬口の中山赤ピン

 

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最終仕上げは、奥殿の浅葱

 

 

 

 

松山方面へ向かい、伊予砥の採掘地へ。大半は、砥部焼の材料と成る様ですが、性質の違う砥石向きの石も出て来ます。其れを選別する準備をしてくれていました。

 

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可成り大規模ですね。

 

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少し、小さ目に揃えられていた原石。ガラを掛けると言うか、加工済みなので丸い形状。

 

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其れよりは大きなサイズ。私が主に触っていたのが此の場所の物。

 

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採掘場の辺縁部には、道路脇まで迫る程に積まれています。

 

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堤防みたいですが、此方でも斜面に降りて選別して来ました。

 

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今回の物は磁器の原料に成る種類が多く、白っぽい外見です。他には、薄茶色や縞模様・卵上の模様など多種多様な柄も。

 

 

 

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不要な分は、近くに積み上げられているのですが、その中から記念に大き目の礫を頂いて来ました。自宅の階段を上がった所に置いといてみようかと思っています。

 

 

 

 

 

本焼き薄刃の御依頼

 

少し前に、温泉で有名な所?から本焼きの薄刃を送って頂きました。T様からは細かい欠けを取り、切り刃の厚み抜く。加えて錆びの跡を消しつつ可能な限り磨く作業が御所望で。

到着した包丁を拝見しました所、暫く御使用のとの事ですが御自身の評価に相違して、可成り過不足無く研がれている印象です。

 

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初めに、切り刃中央の幾分かは凸に成っている部分を狙って400番を当てます。刃先と鎬筋近辺を避けて厚みを減らして行く訳です。

 

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次に、白の1000番で全体を整えます。

 

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続いて、白の3000番。研ぎ目を細かくしつつ、更に形状も整えます。

 

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一部、気に成る所を人造の小割りで微調整。

 

 

天然砥石で仕上げて行きます。

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白巣板蓮華

 

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奥殿の蓮華巣板や菖蒲っぽい巣板で砥いで見ましたが、傷の消え方が思わしく無いので中山に。

 

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或る程度は傷消しも進んだので、刃先と裏押しに中山の水浅葱。

 

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予想に反して、思う様に切れが出て呉れず(普通には切れますが)、此方で仕上げました。幸い相性的には好適で、充分以上の切れに。

 

 

 

研ぎ上がりです。鍛造や熱処理に起因するのでしょうか、偶に見られる現象・・・どうやら若干、研削痕が消え難い表面の性状と成っている様です。その所為で、当初の狙いよりは砥ぎ目の消え方が今一な部分も残存しますが、全体が整って来た上に刃先も揃ったので、此処で留めました。

錆跡の除去を兼ねた鏡面的な磨きに関しましては、削り過ぎも気に成りますので半減以下に成った時点で減らすのを終え、細かくして行きました。

後は鎬筋を上げてでも、直線気味にとの事でしたが之に付いては平と切り刃の関係性にも因りますので、可能な範囲で揃えてみました。

 

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刃先拡大画像を見ても、問題有りません。しかしT様には、刃線の御希望も承りましたので、磨きの加減や刃先の切れ以外に切っ先付近へ向けた僅かなアールも不足が無いか到着時に御確認頂ければと思います。

 

 

 

 

あと、包丁と共に送られて来たのが此方の砥石。日照山の合砥との事ですが、如何なる用途に向く物か判定して欲しいと。外観からは大平っぽく見えない事も無いですが、砥面の模様は中々に特徴的。少し似ているのは、中山の緑板にも出易い流れを感じさせる柄ですね。日照り山に詳しい訳では有りませんが、希少な石かと思われます。

手にした印象と試し研ぎからは、中硬~硬口でありながら砥ぎ易さと砥粒の細かさ、それに研磨力の有る食い付きを砥ぎ感として伝えて来ます。

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先ずは切り出しで試し研ぎ。可成り、細かく仕上がるので明るめに。ただ、研磨力の有る砥粒の目の立ち方ですので、面精度や当て方で研磨痕が出るかも知れません。柔らかい砥石よりは扱い易いとは思いますが、場合によっては目の立ち方が大人しい裏の面の方が傷消しに向くのではと。邪道と言われかねませんけれど。

 

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刃先拡大画像でも、均一さと結構な細かさが分かります。

 

 

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参考までに、ステンレス一つ目。ビクトリノックスのスーベニアも十分な仕上がり。

 

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ステンレス二つ目、VG10のペティ。此方の方が、研磨力と仕上がりの総合ではビクトリノックスよりも上な感じです。硬さでは結構な差が有ると思われるのですが、此処が相性の面白さでしょうか。

結論的には、炭素鋼には過不足無く良い刃が付き、ステンレスでは柔らか目の刃物よりも幾らか硬目の方が向くかも知れません。但し、焼き戻しの加減や添加物の(耐摩耗性向上目的の成分など)如何に因るとは思われますが。

 

 

 

 

此の度は研ぎの御依頼を頂き、有難う御座いました。又、珍しい砥石に触れる機会を頂いた事にも感謝致します。合わせて、ブログ記事へ御協力にも。明日には御返送に取り掛かれるかと思われますので、宜しく御願い致します。

到着後、磨きや研ぎの状態で問題が有りましたら、研ぎ直しを致しますので御遠慮無く御送り下さい。

 

 

 

 

 

 

業務連絡 御依頼に付いて

 

先月の中頃、洋包丁の研ぎ依頼で御問い合わせを頂きました。翌日に御返答を返信しましたが以降反応は無く、キャンセルかなと考えていました。

しかし三日前に砥石の問い合わせを頂き、同日に御返信しましたが此方も同様で。こうなると、以前にも記事にした内容が心配になって来ます。

「研ぎ講習を申し込んだが、素人だから無視されたのかと思った」「安い包丁だから、研ぎ依頼を無視されたのかと」・・・以上は、後に連絡が付いた方からのコメントです。どうも、メールが此方に届いて居なかったり先方に届いて居なかったりする場合は有る様です。

間違っても、相手が素人だから・安い包丁だから、と云った理由で扱いが変わる事は有りません。当方は一介の市井の研ぎ屋ですので。プロ用と家庭用・合わせと本焼きの価格設定も同一な位です。只、不器用なので作業が遅く、待ち切れないとの非難は有り得ますが、其処は御判断に御任せします。

当方に着信した御依頼のメールや問い合わせに付いて、通常は一両日中に返信しています。留守にしている期間が有っても、精々一週間程度迄です。従って、10日から二週間経過しても連絡が来ない場合は、問題が有ったと御考え下さい。最悪、ブログのコメント欄にでも結構ですので書き込み頂ければ。私が承認しないと、反映されない仕様ですので自動的にアップされる事も無く問題有りません。

電話には相変わらず中々出られませんので、ホームページやブログの方、何れでも御利用下さい。そうでないと、キャンセルなのか行き違いなのか判然としませんので宜しく御願い致します。御依頼の内容や対象の刃物などに因っては、「技術的に対処不可能・料金的に御薦め出来ない場合」に御考え直し頂く事は有っても、無視などする理由が有りません。少なくとも過去には例が無い事を御伝えしておきたいと思います。

 

 

追伸です:

その後、砥石の御相談を頂戴した方からは返信が有り、御提案した石の購入申し込みを頂けました。有り難う御座いました。

 

 

尺三の本焼き

 

北海道のS様から、長い柳が届きました。御自身で研ぎに励んでいた処、行き詰ったとの事で。到着時、運搬中の衝突で出来たらしき切っ先の欠けが見られましたが、それ以外は一見しただけでは余り問題が無さそうでした。

確認の為に新聞の束を切って見た所、刃先の鋭利さは有りますが角度的に鋼材と焼き加減には鋭角過ぎる様子。にも拘らず切れ込んで行かないのは、切り刃の一部に余計な厚みが残っている事。そして刃元から切っ先へ向かってテーパー状に均一で無く、凹凸が残存している為です。

御本人も気にしていましたが、研いでいる最中の研ぎ減りに応じて歪みが出て来ます。コジ棒で戻しつつ研ぎ、変化を確認しつつの研ぎでした。少し前にも同様の反応を見せる包丁が有りましたが、完成品の状態で落ち着いて居ても研ぐ事でバランスが変わるのは、或る程度致し方無いのでしょう。

今回の包丁で苦労したのは、上記内容と共に切り刃の研ぎ代(とぎしろ=削り代)が余り無い程に厚みが抜かれていた事です。只でも長大な刃渡り(込み部分までで尺三、刃渡りで尺二・五)ですので、例え切り刃の凹凸が無くても抜けが悪い・或いは抵抗が強いと感じ易いものです。結果的に、十分なテーパーを活かす程の差が出難いので刃先のハマグリを明確化。加えて其の刃元から切っ先への角度変化とで目標を達成しました。

 

 

 

研ぎ前の状態

 

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欠けてますね

 

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厚みは結構、抜いてあります

 

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平の変色は有りますが、鎬筋の乱れは其れほどでは有りません。

 

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しかし、裏は折角磨かれているのに電動具?らしき擦過痕が。

 

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刃先拡大画像

 

 

 

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人造中砥の1000番、各種で修正研ぎに係ります。中には伊予砥の粉を固めた砥石も。

 

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印象的には、キングハイパーを可成り硬くした感じで、研ぎ減りや研削痕を少なくしたい時に良さそうです。

 

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更に、部分的な凹凸を狙って小割りの人造で。

 

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丸尾山の蓮華巣板で傷消しの後、奥殿の天井巣板(ほぼ内曇り)中硬で大まかに仕上げます。更に最終仕上げは奥殿の蓮華巣板。

 

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切り刃は刃先まで、裏押しも此の砥石で充分な切れが出ました。

 

 

 

研ぎ上がりです

 

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切っ先を修正

 

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刃元は、顎周辺に掛けて薄目に成っていましたので、切り刃の中で砥ぎ分け。刃先側三分の一は、他の部分よりも鈍角目に。

 

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全体画像

 

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裏の傷が気に成ったので、大まかに磨いて置きました。

 

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刃先拡大画像ですが、何時も通りにベタに近いハマグリで、刃先手前からは徐々に鈍角に。

 

 

 

S様には、度々研ぎ依頼と砥石の依頼を頂きまして有難う御座います。今回御送りした砥石達も、楽しんで頂きつつ御役に立ってくれればと思います。

更に追加での研ぎ依頼も頂いておりますので、其方の方にも感謝致します。御送り頂けましたら、またコツコツ仕上げて行きたいと思いますので宜しく御願い致します。あ、御送り頂くとしたら、三日後くらいで御願い出来ましたら幸いです。そして現在、他の一本が届いていますので完了次第、其方に掛かりたいと思っております。