4月22・23日は、天然砥石館のリニューアルオープンでした。初日は市長・市議・代議士の方々を始め多数が御列席の上、記念式典が催されました。
続いて、オブジェの序幕。
館長・上野さんの解説の後、思い思いに観覧。
地元の工芸家の作品の展示場所です。木の葉型の銘々皿の1つ(虫食い加工入り)が気に入り、購入しようかと考えています。
代表的な三つのジャンルをイメージした展示。刀剣・大工道具・包丁に関連した内容。大工道具ブースはピンボケで掲載できず。
うの和の御主人がモデルの包丁ブース。
後で、到着した御本人にも確認頂けた様子。
タマキさんには、原石から砥石を加工するメニューを楽しんで頂きました。
完成した砥石で早速、試し研ぎ。家庭では持て余す長さの包丁も、無理なく研げた様子。
高野さんには、武州合砥や上赤沢砥を御持ち頂きました。
御自身での研ぎも熱心にされていましたが・・
其の上、砥ぎ体験の方の包丁の手助けやアドバイス等でも御協力頂き、感謝致します。
須賀さんには、今回も鰹節削り等で御世話に成りました。土佐の鰹大工の削る本枯れ節は、相変わらず一味違う絶品の仕上がり。
更に、御持ちの難しい鉋刃も研がせて頂き、勉強になったばかりで無く、帰り際には武州合砥を一つ分けて下さいました。子供を相手の鰹節削りで見せる横顔や、材を削る場面の雰囲気など、全方位的に男前でした。最後の片付けまでお手伝い頂き、合わせて有難う御座いました。
他にも、遠路御参加頂いた方、差し入れを頂いた方等、御来場の皆様に感謝申し上げます。訪れた方の期待に応える内容になる様に微力を尽くしたいと思います。
17日の月曜は、天然砥石館の展示品(高級砥石展示室の)を手入れをしていました。主に砥面の面直し(つらなおし)。
形状的な部分も在りますが、主として後付けの表示を色々と研ぎ落す役目でした。自前の電着ダイヤ二枚を持参です。
此処がその高級砥石用の部屋。傾向として、大きく重い物が多いので大変です。私は基本的に、砥石の方を持って動かすので。
奥の大きな展示室。海外の砥石達も結構有ります。
その横には、天然の中砥。希少な産地の物も。
御試し用の研ぎ台も準備中。
鰹節の削りや味見も可能に。
三つのジャンル別展示台の一つ。
採掘の状況を再現した部分も豊富に。
四月22日・23日のオープンに向けて、20日には関係者やマスコミを招いてのプレがありますが、滞り無く終えられればと思います。しかし反面、問題点の洗い出しの為には要一波乱かも。
あ、ホームページも間に合った様です。本当は相当早めに完成をと望んでいたのですが。内容は此れから追々、充実して行くと思われます。しかしHP本体は、リニューアルが容易では無いでしょうから、時事ネタとして折々の画像のアップと館長・上野さんのブログ辺りが更新の中心と成りそうです。
新潟で作らせて頂いた菜切りですが、大まかに研ぎを入れた後で御送りし、柄を付けて貰いました。
そして改めて仕上げ研ぎを加え、一応の完成を見ました。切り刃の形状や、傷消しを経ての砥ぎ肌の向上は徐々に使いながら進めたいと思います。
持ち帰った儘の状態(右側)
同じく(左側)
400番で形状を整えます(右側)
同じく(左側)
1000番で傷を浅くしつつ、形状を確立(右側)
同じく(左側)
3000番で更に傷を浅く(右側)
同じく(左側)
巣板で砥いだ後、八枚で仮の仕上げ(右側)
同じく(左側)
柄が付いた状態で、千枚仕上げにて完成(右側)
同じく(左側)
司作の標準品と違う部分は、刃体と中子の間です。顎からマチまでは約2cm、その幅も約2cmと広めに。中子に繋がる部分も通常より厚みを残しましたので、薄くなって行く絞りは強め・・。元々、三条系は括れが強調されているのですが。
以上により柄の前方で中指を回し掛け、人差し指と親指で平を抑え込む持ち方が自然に出来ます。重量バランスも顎の前方、指二本分の所に収まりました。野菜の皮を剝く等、取り回しの良さを追求すれば指一本~二本辺り迄が良いと思います。好みの仕様に仕上がって嬉しい限り。高頻度で使いたくなります。
思い返してみると、之まで手持ちの包丁には菜切りが有りませんでした。両刃の和式の包丁としても、三徳しか有りませんでしたし。そう言う意味からも、今回の体験で完成した包丁は自分にとって丁度良かったのでしょう。
良い柄が付いた事により今まで以上に道具として頼もしく感じ、自ら焼き入れした事により生涯に亘って特別な位置を占める包丁に成りそうです。日野浦さんが仕上がりを確認した際に言った、(刃幅と鋼の入り方の比率から)「此れは一生使えるな」の言葉通りに。
五本纏めて御預かりした残りの三本です。急ぎで仕上げた先の二本よりも、状態が悪かったので後回しに成っていた分です。
問題の一番は、表の梳きがベタ気味に成っている二本で、もう一本の錆と言うより変色は大した事が有りませんでした。
右の二本が前回分、今回は左の三本です。
此れと
此れは梳き直す方が良さそうで、依頼主からもその様にと。
余り使う事も無かったリューターで。
梳き直してみました。梳いた部分を、小割りした人造砥石や耐水ペーパーで均し・・・。
人造の1000番以降、天然砥石で。巣板(敷き内と白と卵)・戸前で仕上げ。最終仕上げは中山の黄色と大谷山の、相性の良い方で。裏押しは全て水浅葱です。
砥いでいる最中も、面積が広がる度に少しづつ梳き直し。専門道具が有る訳でも無いので、慣れない作業は難しいですね。
「常久」の方。
「へんこつ」の梳いた方。
変色を落として普通に研いだ方。変色は恐らく、石鹸などの油脂の付着が原因ではと。
研ぎ減らし方は、これまで見た中では特に均等で見事でしたので元の持ち主の腕と知識が垣間見えた気がします。
仕上がり、表。
裏です。
元の状態から大きく逸脱しない範囲で錆・汚れ・ベタ研ぎを修正しました。砥ぎ減らすのも錆を削るのも、最低限過ぎたかも知れませんが自分なりに、まあ及第点かなと。
刃先の養生は次の使用者に御任せしたく思いますので、皮砥やラッピングなど御好みで御願い致します。有難う御座いました。
研いだ包丁のビフォーアフターなどを載せていきます。