カテゴリー別アーカイブ: 依頼の刃物

本日の持ち込み研ぎ

 

少し前に(余り遠く無いのでしょう)H様から、午前中に持ち込み午後から引き取りたいので都合の付く日を、と御要望が。そこで双方の日程を調整し、今日が其の当日と成りました。

牛刀らしき文面でしたが、渡されたのは筋引きでしょうね。二か所ほど、欠けが集中しているものの全体的には未だ新しくマズマズの状態。

 

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研ぎ前、全体画像

 

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刃部のアップ。欠けの集中している部分、中央の方。

 

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刃先拡大画像。切っ先カーブ、欠けていない部分。

 

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刃先拡大画像。欠けの集中している部分、刃元の方。

 

 

 

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400番で欠けを取りつつ、刃線の修正。中央やや先側がタナゴっぱら、且つ欠けの集中有り。

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緑と白の1000番で傷を浅く。刃線と小刃の整形。

 

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白の3000番の後、新しい研承の1000番を使って見ました。当たりがソフトでありながら、平面維持に優れる此の砥石は長い刃物に正確な刃を付ける用途には便利ですね。研いだ傷が浅い所も、仕上げ直前に使う事を躊躇わせません。

 

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中硬の巣板の後、緑板で仕上げ研ぎ。この後で最終を選択?と思っていましたが、相性的には問題無く其のまま終了。硬さ控え目で粘りがちな焼き加減の包丁でしたが、刃先に厄介な特性が出なくて良かったです。

 

 

 

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研ぎ後、全体画像。側面の、ちょっとした汚れや錆は軽く落として置きました。ややキツ目の錆でも、黒っぽく安定している箇所は其の儘に。

 

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刃部のアップ

 

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刃先拡大画像。刃元の、最大の欠けが有った部分。

 

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刃先拡大画像。切っ先カーブ辺り。

 

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裏の全体。初期は、少し擦過傷が目立つ上に返りの取り方が曖昧な印象でしたので、気に成った所を改善。裏からは15度弱の角度で返り取り(欠けの出方を考慮して強め)。

 

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初期よりも、切れと耐久の両立(やや切れ優先ですが)を実現できたかと思います。

 

H様には、御持参と引き取りで御足労を頂きまして有難う御座いました。御希望に沿った研ぎ内容に成っていると思いますが、実際の御使用で問題が無ければと願って居ります。

基本的に、御送り頂いての作業に成っていますので持ち込み、其の上引き取りまで当日と言うのは機会が限られますので御注意を御願いして置きたいと思いますが、今後も御役に立てる様でしたら宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

古い包丁の持ち込み

 

祖母の家から出て来たのだが、良さそうなので普通に使える様にして欲しいとの御要望で。之まで砥いで来た中では結構な錆び具合でしたので、特に裏の凹みから来る刃先への影響などに付いて御説明した上で御受けしました。

 

研ぎ前の状態

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刃部のアップ

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裏ですね

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布のペーパー?の荒いのから中までで大まかに錆を落とし、耐水ペーパーで1500番まで。その後は研承の400⇒1000⇒3000番。

 

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裏の錆も、ギリギリ使える深さだった様です。まあ、鋼に充分な厚さが有る限りは工具で削れる理屈では有りますが。

 

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どうも一部分に傷が入り易いと感じ、キングハイパーの中硬と軟口でも。途中で気付いたんですが、この包丁は全鋼で作られていたんですね。

 

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中硬の巣板で。

 

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中山の緑板ですが相性的には、もう一声と言った所。

 

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中山の並砥で、十分な切れに。やはり、合う物で研ぐと速く良い仕上がりに成ります。

 

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裏押し部分も良いですね。ただ、刃体の切っ先側の半分程に歪みが出ていましたので、コジ棒で修正。半分程度に成りましたが、切っ先寄りの裏が切れている格好に。研ぎ方で対応して使える状態にはしましたが、研ぎ進めて揃って来る迄、持ち主が砥ぎ上げるのは難しいかも知れません。

 

 

研ぎ上がりです。

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切り刃の凹凸を、対象の切断時に支障が出ない範囲まで軽減。刃元から切っ先に向かい、刃先の角度を鋭角化。

 

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刃部のアップ。鎬線の刃元側がRの字の右下みたいでしたので、少し他のラインに合わせて置きました。

 

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裏の錆は、殆ど刃先へ出なかったのですが、刃線の一部に数か所。殆どは顎周辺でしたが、一か所だけ中央部に。

 

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裏の状態。表よりも水を弾く表面に成りましたので、今後の使用途中に上乗せで錆びて来る事は抑えられると思います。

 

此の度、H様には研ぎの御依頼に加えて持ち込みと御引取に御足労頂き、有難う御座いました。今後も、私で御役に立てる様でしたら宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

ガーバーのハイスの御依頼

 

稀に頂く、ガーバーのハイスシリーズの御依頼です。東京のM様から二本、送って頂きました。クローム鍍金されていない刃先の錆を落とした所、切れが落ちたとの事で。

 

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研ぎ前の画像

 

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刃部のアップ。片方には、少々の欠けが二つ三つ。

 

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欠けの有る方の拡大画像

 

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もう一方の拡大画像

 

 

 

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人造の400番⇒1000番⇒3000番で。ハイスの中でピクシーやミニマグナムは、そうでも無いのですがショーティや其れ以上の厚みを持つモデルは結構、刃線中央近辺がリカーブに成っています。それも左側が出易い様ですが、やはり今回も確認出来ました。

 

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研いでいた感じから、黒蓮華で中継ぎ。此れは当たりだった様で、切れも仕上がりも問題無し。

 

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次に、奥殿の本巣板茶色硬口・天井巣板硬口・天井巣板超硬口では、まあまあ。中山の緑板中硬で、万全の切れに。

因みに、ガーバーの初期刃付けに近い角度と幅で研いでありますが、切れの軽さと抜けを改善する狙いで小刃の最先端と後方は角度変化・刃元から切っ先まで若干の角度変化を付けて有ります。

 

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研ぎ上がり画像

 

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刃部アップ

 

 

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欠けの有った方の拡大画像

 

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もう一方の拡大画像

 

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荒砥(400番)で作業中、泥を流しつつ研いでいたのですが不十分で、押さえていた側面に擦過傷が。申し訳無かったので、元とは変わってしまいますが磨きましょうかと伺った所、実用するので其の儘でと。ほんの僅か、油断してしまいましたね。

 

 

 

今回、M様には研ぎの御依頼を頂きまして有難う御座います。擦過傷への御配慮と、ブログ記載への御協力にも重ねて感謝致します。今後も、私で御役に立てる様でしたら宜しく御願い致します。

 

 

 

 

 

通信講座の御試し?

 

小坊主様から御提案の有った、研ぎの通信講座みたいな物に関してですが・・・研ぎ依頼を兼ねて御送り頂いた三徳を例題にして考えてみました。

 

研ぎ前の状態

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知人の方の三徳を、小坊主様が研いで見ても期待通りに仕上がらないとかで。只、切れと永切れを試しましたが、ボランティア研ぎとして一般の方に研いで返す上ではそれ程、問題視される事も無いのでは?と感じました。私の所で研ぎ講習を受けてしまった弊害(?)かも知れませんね。確かに、髪の毛は切れませんでしたが・・・。

 

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小刃の付け方は、少々ですが角度の違う二種類で仕上げて有ります。何故か、左側は殆ど一定の小刃でしたが。刃先最終角度は、中々に上手い所で纏めて有ります。

 

 

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刃線の中央~刃元の拡大画像です。つまり直線部分ですが、その範囲はマズマズ。刃先に荒れが見受けられますが多少の不安定さは現状、止むを得ませんし性能への影響も小さいです。

 

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切っ先へ続くカーブの辺りの拡大です。やはり、角度の安定性が低下していますね。使用砥石にも因りますが、「直線部に比べて圧力の掛かり方が変わっても来ますので、刃先が荒れる」・「砥石への当たる方向も変わりますので返りの出る方向も変わる」・「従って返りの取り方も一様では無い」結果に繋がります。

 

 

 

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人造の1000番で研ぎ直して行きます。画像は研ぎ始めで、刃先側が未だ1000の研ぎ目に成っていません。つまり元の研ぎ方は(刃先の角度としては良いとしても)起こし過ぎ。取り敢えず、小刃の角度を一定に近付けつつ、刃先は目的の数値に合わせて行きます。最終刃先角度は刃元から切っ先に掛けて、片側40度⇒30度⇒20度にします。(切れと耐久性に由って加減します)

あと、切り刃の状態も(極端に厚みが邪魔では無いのですが)凹凸が抜けの抵抗に成っているので、問題個所を修正します。只、今回は研ぎ講座でも有りますので、小割りの砥石で処置すると共に、敢えて荒目の粒度で部位の明確化・処置の不完全化(続けて仕上げてみて下さい)。

 

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左側は、元から其の方向性に近い感じでしたので、上書きです。

 

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3000番で砥ぎ目を細かく。

右側の切り刃の凸部は、先側の半分の範囲で大きく三か所。

 

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同じく左側も。

切り刃の凸部は、もっと狭い範囲ですが此方も三か所。

 

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3000番で、仮の仕上げです。細かい砥石に繋いで行けば、返りが小さく薄く、出る量も低減されます。

 

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直線部分の拡大画像

 

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カーブ部分の拡大画像

 

 

 

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天然砥石で仕上げて行きます。長四郎引きで大まかに、赤ピンで最終仕上げです。

 

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私の標準仕様で、左右均等に仕立てました。

 

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研ぎ上がり画像

 

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刃部のアップ

 

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直線部分の拡大画像(返りが残っています)

 

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カーブ部分の拡大画像

 

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研ぎ直した結果、角度の適正化と安定化・返りの処理と刃先の性状の違いに因り、毛髪にも切り込める様に成りました。切り刃の修正により紙の束に対する走りや抜けも改善されましたが、此方は八割方の完成度ですので上書きで仕上げて頂きたいと思います。詳細は、別途メールした文面を御参照ください。

通信講座を想定し、様々なパターンを勘案しましたが状況や要因が雑多過ぎて一纏めの設定には無理が有ると感じました。御題に成る包丁も状態も違いますし(当方から支給すれば定まりますが)、研ぎ手の腕や年季・目指す仕上がりも様々でしょうから。

結果的には今回の様に個別の包丁、其々の状態に応じて研ぎ直しつつ、研ぐべき箇所を示す様に仕上げ切らないで御返送。メールにて現状の評価と今後、研ぎ進める方向性を御伝えする感じに成るかと。

私としては研ぎの途中とも言えますから、詳細解説を付けるのと合わせても、普通の研ぎ料金より少し低額で対応出来るかと思われます。つまり、研ぎ講座でも普通研ぎでも、御好みの方で御依頼下さればと。まあ、そんな酔狂な希望者は中々に居られないかも知れませんが、取り敢えず御要望が有れば上記の内容に準じた対応をさせて頂こうと考えています。

 

 

 

 

 

御近所の繫がりで御依頼

 

半月ほど前でしたか、日頃から通っている和菓子店で聞いていたのですが、買い物に来られた中に研ぎを希望する方が現れたと。店内には私の名刺や関係した本を置いてくれているので、来客時に目に留まり興味を持たれたとの事。

三日前の帰宅時、自転車で追尾して来たのが御当人で、その場で依頼されて包丁を受け取りました。一般の方は、予備の包丁が少ない場合も有りますので、急いで返却した方が良いのかと翌日に間に合わせたので簡単に御紹介です。あ、記事への記載は確認していませんでしたが、和菓子好きの近所のよしみと云う事で。

 

 

研ぎ前、全体画像。研がれた形跡は有りますが、現状では切れなくなっていました。側面の傷は気に成りますね、その効果も余り無さそうですし。

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研ぎ前、刃部アップ

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研ぎ前、刃先拡大画像

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研ぎ前、左側面

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人造の400⇒1000⇒3000番から、中硬の黒蓮華⇒赤ピン⇒中山並砥です。やはり、この系統のステンレス(質と硬さ)には並砥の相性が際立ちます。

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研ぎ後、全体画像。特に御要望が有った訳では無いのですが、大きな傷くらいは目立たなくしようかと。

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研ぎ後、刃部アップ

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研ぎ後、刃先拡大画像

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研ぎ後、左側面

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御依頼主は、結構な包丁好きとの事で、キッチリ研いでくれる所が良いとの事でしたが、届けた際には此の位の外観の変化でも綺麗に成ったと。使って見た結果、切れと永切れでも今回の研ぎに満足して頂ければ幸いです。そして、間を取り持って頂いた和菓子店の旦那にも感謝です。有難う御座いました。

 

 

 

 

 

司作出刃、流水飛紋

 

北海道のS様を介しての御依頼は、司作の出刃に私の研ぎを施す事でした。日野浦さんに問い合わせた所、偶然にも御希望のサイズに近い出刃が。

ただ、地金の種類としては最高額となる流水飛紋でしたので、少々気に成ったのですが問題無いという事で取り寄せました。

 

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研ぎ前、全体画像

 

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研ぎ前、刃部アップ

 

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研ぎ前、刃先拡大画像

 

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同じく裏

 

 

 

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人造の400⇒1000⇒3000番

 

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人造の小割りで地金部分の均し研ぎ

 

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成の1000番で全体を

 

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中硬の巣板の後、中硬の中山赤ピン

 

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地金部分を巣板各種で

 

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刃金部分を硬口の奥殿巣板(天上・本)の後、中山の戸前

 

 

 

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研ぎ上がり、全体画像

 

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研ぎ上がり、刃部アップ

 

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研ぎ上がり、刃先拡大画像

 

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同じく、裏

 

 

元から可成り整えられた切り刃でしたが、中央とカーブの鎬筋側の厚みが気に成り、角度変化と共に調整しました。あと、刃先最先端まで薄目に成っていたので、刃金部分全体に鈍角に研ぎ直して更に最先端は刃元60度強⇒切っ先30度強。

刃体その物が薄目でしたので、刃先角度も其れに合わせて極端には強度優先にはしませんでした。それでも通常使用では十分な刃持ちだと思われます。上手く扱えば髪の毛に押し付けるだけで切れる程度には鋭利ですが。

本日中には、クロネコから御送りできると思いますので、現物が届きましたら御確認を御願いしたいと思います。お気に召して頂けましたら幸いです。此の度は有難う御座いました。

 

 

 

 

 

刃物店から直接届きました

 

結構、前から届いていた北海道のT様の柳。刃物店から直接、当方へ御届けで・・・此れは、「御世話に成っているベスパのディーラー方式」と同様ですね。

色々と兼ね合いが有りましたが、他の御依頼が一段落したので取り掛かれました。通常の研ぎに加えて、裏の鏡面も御希望との事でした。

 

 

研ぎ前、全体画像

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刃部アップ

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400番から砥ぎますが、結構なホロー気味・凹み有りの切り刃ですね。その割には、均一・浅目では有りましたが。ただ、刃金に関しては面の精度が地金よりも高く、初期切れに貢献していると思われます。

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1000番

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3000番

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其の後、キングハイパーで均してから人造小割り220番で。

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1000番の小割り

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布のペーパー3種と紙の方、4種で

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軟口の巣板

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中硬の中山戸前では、普通の切れでしたので硬口の奥殿本巣板黄色で。完璧に近い相性で、場合によってはそっけない反応にも感じる此の砥石が、下りと仕上がりに於いて文句無しでした。

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研ぎ後、全体画像

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刃部アップ(平は布ペーパーの荒目で軽く磨き済み・地金は奥殿天井巣板内曇り仕上げ)

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刃先拡大画像

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裏の全体

 

 

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一部アップ

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今回の白木作の柳ですが刃金の質は、適度な硬さに加えて粘りに留意した傾向に感じました。組織の細かさも可成りな物で、各要素を総合した切れ自体は超一級品。ザクザク感よりは滑らかさに寄せた切れ感で、刃持ちも十分に期待できます。

依頼文からは値段的に手頃で有った様子が伺えますが、研削や刃先性能、裏梳きの精度・反りや捻じれの少なさから見ると、購入時の仕立ての素性の良さは充分でしょう。T様におかれては、更に上級の仕立てを盛り込み完成度の向上を狙われたと思われますが、御期待に沿えていましたら幸いです。今後も宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

本焼きの鰻裂き

 

東北に御住まいのS様から、本焼きの江戸裂き(東京型の鰻裂き)の御依頼を頂きました。私としては触った事が無いタイプでしたし、ましてや使って見た事も無かったので如何なものかと考え、率直に伝えた上で専門家や販売店への御依頼を提案してみました。

しかし、送って頂けるとの事で可能な限り御意向に沿いつつ、確認した現物の状態から逆算して仕上げようと考えました。具体的には、切り刃の面精度を上げつつ厚みの不均衡を正し、正確な段刃(御希望では50度位)に仕上げる。

 

 

研ぎ前の状態

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刃付けされた段刃の上から、刃先寄りを中心に研ぎ直されている状態に見えます。

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切り刃は、ホローグラインド的な刃付けで、且つ刃元寄りは刃先側が薄い・逆は鎬筋寄りが薄い。厚みは横手筋と言いましたか、其の辺りに掛けて残存傾向。

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裏は割合、整っているのですが切っ先から5mm・1cm・4cm辺りに欠けが有ります。

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人造の400番から砥いで行きます。少しでもホローの軽減を狙いつつ、切り刃から。

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1000番です。直線部分の段刃の両端が、弧を描いています。それを修正しつつ研ぎ減らしながら、角度も御希望に寄せて行きます。

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しかし、50度近辺を狙って砥いで行くと、大きく返りが出易い為か刃先が荒れ気味に。特に、切っ先寄りの三か所の欠けが何度か再現される程で。そこで若干、鋭角目(45度強)で砥いでから、刃先を起こして指定角度の近辺へ。

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中硬の巣板の後で、硬口・超硬口の巣板で仕上げました。

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研ぎ後、全体画像。

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刃部アップ

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刃先拡大画像

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裏ですね。軽く磨いて錆予防。

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今回、研いで見て分かりましたが、通常の包丁に大きく段刃を付けるのとは些か異なる認識が必要です。段刃が極めて明瞭な為に切り刃の面と対等な、端的に言えば多面体の立体を仕上げる感覚を要すると。

その主要な要因は、横手筋が有る為です。其れを挟んで隣り合う、切り刃面同士・段刃面同士にズレが生じない状態を維持しつつ研ぎ進めなければ成りません。厚みにしても角度にしても大差が付くと面倒に成りますし、刃先の減り方が違って来ると目も当てられませんね。

ですので、余りバランスを崩さない範囲内で調整するに留めました。切っ先寄りは、欠けが無くなって角度が狙い通りに成る段階で・直線部分は、両端のアール部分が減り、刃先最先端と裏押しが何とか繋がった段階で。

ある方から伝え聞いたのですが、江戸裂きの研ぎは専門家に委ねるのが相場で代金も2.5倍近くなると。成る程、他の包丁とは違うアプローチが必要とあっては無理も無いと感じました。

 

 

 

S様には、貴重な機会を頂きまして有難う御座いました。御返送後には仕上がりに問題無いとのメールを頂きましたが、初期の御要望から余り離れていなければ幸いです。今後も御役に立てる様でしたら、宜しく御願い致します。

 

 

 

 

 

三本の三徳、一応の仕上がり

 

日野浦さんからの依頼品、黒打ち三徳の三本ですが・・・之までのパターンを踏襲した研ぎ方では、地金の方が同一の仕上がりに成り難い事が分かりました。

普段であれば合砥まで行かずとも、巣板からでも八枚⇒千枚の手順で半鏡面に成ってくれていたのですが。今回は、地金の種類に因る物か焼きの加減に因る物か同様とは行かず。

しかし今回、折角三条に出掛ける機会では有りますので一応、仮の仕上げとして日野浦さんの判断を仰ぎたいと思います。

 

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もしも御依頼頂いた時点の御希望通り、何時もの私の半鏡面仕上げを御所望とあれば、再度使用砥石のバリエーションを変えて、狙い通りの結果を得られるか試してみる予定です

 

 

 

 

 

三本の三徳の下研ぎ

 

少し前に、或る所へ司作の柳・三徳を御送りしました。之までには、そういった事は経験が無かったのですが常連様の繫がりで、実力者の方に包丁・研ぎの両面をテストをして頂けました(加えて、関連の方に研ぎ依頼頂いた薄刃についても)。

結果的には双方共に高評価を頂けて一安心でした。数時間で数百人分の刺身を引いたり、近いレベルで野菜を打ったり。切れと永切れに御満足頂けた様です。包丁の特性としては、刃金の硬さ・粘りから来る切れと永切れは実感して頂けたのですが、其れと並んで手に伝わる刃先からの情報の豊富さを称賛されていました。自分でも、御薦めポイントとして重視している美点ですので御理解頂けて嬉しく思いました。

私個人に付いても過分な御評価を頂戴しましたが、ベテランであり優れた腕と感性を御持ちの方による裁定ですので、率直に有難い思いです。私の研ぎや選別した砥石・司作の包丁で、御要望にお応え出来る様でしたら今後も御役に立ちたいと願っております。手始めに御送りした今回の包丁ですが、更に多くの方にも御試し頂き、楽しんで貰えましたら幸いです。

余談ですが・・・テストして頂いている傍ら、若い衆が私の研ぎの角度も測っていたとの事で。何やら、スマホのアプリ?らしき物を活用したのか、刃先の正確さがチェック出来たと。伊達に、研ぐ際の標準角度を記載している訳では無いのを御理解下さった様ですが、怖い時代に成りましたね。数年前、中小企業センターで形状の測定などをして貰った事を思い出しました。

 

 

 

そして本日は、司作三徳の下研ぎをしていました。これ等は日野浦さんの所で見本として置かれるとの事なので、実用品としての通常研ぎよりも輪を掛けて、傷や面の不均等を消す必要を感じています。

自分の手持ちであれば、数回後までに研ぎつつ整えますし、依頼品でも切れが充分に出た所で留める事が大半なのですが。その上、今回は結構な荒い機械研ぎ段階で持ち帰りましたので、研削痕が深いです。加えて、左側の中央部が少々削り気味なので対処も必要で。

 

到着時の状態

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人造の中砥仕上げ

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この後は天然砥石で仕上げて行きますが、何とか三条に向かう今月の中旬には間に合わせたいと思っています。直前には長野で削ろう会(砥石販売ブースへ参加予定)、直後には佐渡で樽づくりイベントに参加予定ですので、上手く繋がる事を願いながら。

其れが終われば中旬から下旬に掛けて、既に御送り頂いて居た鰻裂きの研ぎ(初の試み)・北海道のT様からの新たな柳の研ぎに取り掛かる予定で居りますので、宜しく御願い致します。