カテゴリー別アーカイブ: 依頼の刃物

少し前から最近の事まで

 

 

春も御終いに近い頃、田中砥石店への買い付けの序でに、漬物も買って帰りました。

KIMG2226

 

何時も購入する主な物は、すぐき・賀茂しばです。

KIMG2240

 

この時期は、小さい大根が有りましたし、母親が好きな桜湯用にの桜花の塩漬けも。

KIMG2241

 

蕗の薹は父親向けで、合わせて帰省?の時の土産にと買い求めました。

KIMG2239

 

珍しかったのは、菜の花漬けと並んでスグキ菜の花を付けた物が。同じアブラナ科の為、わざわざ花を採る目的で(スグキを採取する為に種をまくには時期外れながら)栽培したそうです。

残念ながら私程度では、漬物に成った両者を峻別するのは困難で、僅かに違いは有る物の、同時に食べ比べ無いと単独では当てられないのではとの印象でした。まあ、初めての邂逅でしたので慣れれば何とか成るかも知れませんが(笑)。

そう言えば最初にスグキ(なり田の)を食べた時も、スグキ菜と塩のみで乳酸発酵させた味わいが淡白過ぎて、美味さを実感するのに三回くらいは掛かりましたね。この両者も後年、味わいで何方かを言い当てられる様に成りたい物です。

KIMG2238

 

 

 

 

偶々ですが此の度、久方ぶりに建物ごとリニューアルした大阪市立美術館で国宝展が開催されて居ましたので、子供の頃以来に成りますが拝見して来ました。(以下、建物の外観等は閉館日である前日に、様子を見に行った際の画像です。庭園は、当日に出口から見えた範囲の画像です。)

通路に面した門をくぐった所から見える建物の側面。

KIMG2334

 

此方が正面です。階段の脇からも(バリアフリーの)入場が可能な様子で。

KIMG2337

 

振り返れば通天閣が見え、足元には動物園に繋がる広い道も。

KIMG2335

 

KIMG2338

 

 

美術館を出ると、隣接する庭園(画像は未だ違うかもですが)が有り、憩いの場ぜんとした趣きです。そう言えば、此方に向かって通って来た場所も(てんしば)家族連れや愛犬家でにぎわって居ましたが、其方と違って落ち着いて居ます。

KIMG2342

 

KIMG2345

 

折角ですので出口の手前にあるグッズ売り場で、クリアファイルと手拭でも買って見るかと。

KIMG2347

 

 

てんしばを通って自転車置き場へ向かう途中、ピッツェリアが見えたので窯と薪で焼いて居るのを期待して、立ち寄りました。

どうせならと、水牛のモッツァレラチーズを使った方のマルゲリータを注文しましたが満足の味でした。店内の雰囲気的には、酒を頼まない人間が、ふらりと立ち寄るのが少々ながら憚られる様な気もしましたが(笑)。

KIMG2339

 

KIMG2340

 

 

 

 

また、以前に購入のヘンケルスのツインセルマック(恐らくはZDP189)のテストを常備菜のミネストローネその他で。

廉価版・標準品のヘンケルスと比べて、刃体の刃先側の三分の一程の厚みの取り方が、フラット過ぎずにラウンド形状気味なので、其の部分の側面抵抗が低減しているのを感じます。

小刃の付け方は、個体差で無ければ(大まかに)カーブ手前までとカーブから切っ先までとで、角度が変わって居ましたので使い分けを企図して居るのかなと。

刃先の耐久性は、変に硬さを追求して居らず、かと言って(高硬度を狙った鋼材に半端な熱処理を施した製品に有り勝ちな)粘りが強過ぎたり組織が粗大に成っても居ず、良いバランスに収まって居る印象でした。

ただ、やはり直線的な部分の小刃が同一角度ですので、強度の有る対象には押し切りと引き切りで使い勝手が近似で。途中、仕上げ砥石で刃先最先端に角度的なテーパーを付けた所、少し引き切りが楽に成ったり。

KIMG2364

 

KIMG2365

 

 

 

 

何度目かの心臓を購入し、掃除と柵取り・即時に食べる用と冷凍用に分けました。

KIMG2352

 

KIMG2357

 

KIMG2359

 

 

冷凍した物を解凍後、ドリップを除去して切り分ける際には、炭素鋼の物を使う事も有ります。食味(味と香り)がサッパリしている個体への対処だったりしますが、やはり刃体が薄い刃物の方が、特に薄切りには有利ですね。最近で一番、使っている骨スキ改は刃厚が4.5mmですので。

KIMG2362

 

 

更に、初めてと成りますがツラミ(頬肉)も変えましたので、其方も同様に進めます。片側の白さ(脂)の付き具合に若干、驚いたのは秘密ですが・・・この個体はホルスタインでしたので、和牛に成れば少しは異なるのかなと。

KIMG2354

KIMG2353

 

何とか、筋と脂を除去できました。

KIMG2355

 

家庭用の冷蔵庫から取り出し、冷房を付けない室内で成れない作業をした御蔭で、結構な温度に成ってしまったからか、骨スキ改で綺麗に切るには柔らかくなってしまった様です。こう言った場面では、筋引きや柳・薄目の牛刀などが重宝するでしょう。まあ、そもそも確り冷却・室温も低く・作業慣れしていれば問題は無かった筈ですが。

とは言え、手伝い先でのアカセン・てっちゃんの身に、切り離さない範囲で薄く切り込みを綺麗に入れて行く作業に比べれば、難易度は常識的な範囲に収まる種類では有ると思います(笑)。

KIMG2356

 

 

 

 

先々週でしたか偶然、電話に出られるタイミングで問い合わせを頂いて、当日預かりの当日渡しを初めて敢行。昨日の購入したナイフを、次の日のキャンプで使いたいとの事で、三時間少々の時間を貰って研ぎましたが、分かる人には分かると言うべきか、物が物でしたので(全長46cm・刃渡り30cm・ハンドルに手が回り切らない)時間一杯まで掛かってしまいました。

御近くなのにも関わらず、当方の所在地が分かり難いとの事で、受け取り・御返しも近所の神社前でしたが、御渡ししてから長時間、喋ってしまいました。その際に御伝えした様に、電話では対応出来るタイミングに限界が有りますので、メール(家計のGmailの方)にてお願い致します。

あと、留守電に入れて頂いたメッセージは間違いなく確認していますが、当方の留守電は古い為、先方の電話番号は自動で表示してくれませんので、折り返しが必要な場合は恐縮ですが口頭で番号を御願い致します。

KIMG2360

 

 

 

 

現在、ホームページに記載しているアドレスからの御依頼・御問い合わせが不調に付きまして、御面倒を御掛けして居ります。下記のアドレスから宜しく御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

最後は、御待たせして居ました司作の二本が届きました。調整が済み次第に発送の予定ですので、宜しく御願い致します。

東京のS様の御依頼分

KIMG2367

 

北海道のT様からの御依頼分

KIMG2366

 

下掲は空箱です。自分用として、また私の手持ち(研ぎ見本・試し切り兼用)の六寸の三徳を、T様に御送りする目的で取り寄せました。

六寸の三徳は、今回の発送に含まれていなかった為、急ぎでしたら私の手持ちでも・・・との苦し紛れの提案?を了承頂きまして(笑)。ただ、直近の製品とは刃金・地金共に異なるので、刃先の硬さと粘り・研ぎ易さ(刃・地共に)と言った性能だけで無く、研ぎ肌の違いも有りますので、その差を愉しんで頂ける方には、余り気兼ね無く御薦め出来るのも事実です。

KIMG2368

 

 

かなり、昔に購入の六寸の三徳。画像では分かり難いかもですが、マチの部分が小振りに成って居ます。最初に購入の五寸五分は、広めに取って有ったので、今回に送られて来たモデルとの中間モデルと言えそうです。時期に因るデザインの際からも、時の移り変わりが伝わりますね。

上掲の空箱の画像ですが、此の三徳を御送りするに当たって、改めて新品の箱が必要に成った訳ですね。その他の箱は、傷んで来た手持ちの交換用です。

KIMG2350

 

 

 

 

 

筋引きの御依頼、三例

 

手伝い先の方の中には、研ぎに関して興味が有る物の、御自身の研ぎ方に不足を感じたり、包丁の形状(主として刃線)の修正を希望される事が有ります。

過去にも御一人、御依頼を頂いた事が有りましたが、その後にも御二方から其々、時期をズラして同様の御依頼を頂きました。

 

 

 

先ずは、計二本を時間差で研いだ二人目の方の筋引きからです。

業務初期から使い続けていたと思われる、研ぎ減った状態でしたので、電動工具を用いて切っ先5cm程を切断。その後は刃元以外の刃幅を、可能な限り減らさない方向で刃線を整えます。

KIMG1868

 

 

 

ダイヤモンド砥石にて広目の小刃と言うより、狭めの切り刃に近付けるべく削って行きます。

KIMG1869

 

 

400番で切り刃の幅を広げつつ、僅かに切っ先方向へ鋭角化。

KIMG1870

 

 

1000番から3000番に繋いで傷を浅くしつつ、切り刃も拡張。

KIMG1872

KIMG1873

 

 

 

天然に移行し、対馬砥石で改めて切り刃の成型。

KIMG1875

KIMG1877

 

 

愛宕辺りと思しき、中硬~やや軟口の砥石で傷を浅くしつつ、刃先方向へ鎬筋から急激に鋭角化し、刃先直前から急激に鈍角化。

KIMG1878

KIMG1879

 

 

中山の巣板、硬口の各種で仕上げ研ぎ。このモデルは柔らか目の焼き加減ですので、或る程度以上は細かい砥石で仕上げた方が刃先の確り感が出易いですね(砥石の研削痕による刃先の山と谷のサイズ・数の関係で、接地圧が分散されるので)。此の段階位からの粒度が、適正かなと思われます。

KIMG1880

KIMG1883

 

 

もう一段の性能向上を目指し、水浅葱で最終仕上げです。

KIMG1884

KIMG1886

 

 

 

 

上掲の仕上がりが御気に召したのか、次の殆ど新品の筋引きも、側面をピカピカにして欲しいとの事で。恐らく、汚れが落とし易くて錆も出難いので、便利だと認識されての事でしょう。勿論、刃も研ぐのですが其処は新品同様ですので、やや小刃の幅を広げて切っ先カーブ手前に在った「鶴首の成り始め」の修正程度で。

ただ、ピカピカと言っても仕上がり(追い込んだ傷消し・厚みの適正化など)と作業量により代金も嵩む為、汚れ・錆対策ゆえに程々までとしました。

 

右側面、全体画像。テープが巻かれて居るのは、滑り止めにペーパーを巻いたりもする様で、その際のアンカー見たいです。(人体へのテーピングの際、目的とする部位を挟んだ場所に、事前に土台にする為に巻いて置くアレ)

KIMG2310

 

刃部のアップ

KIMG2312

 

左側面

KIMG2313

 

 

 

研ぎ始めは人造の400番からです。刃先の摩耗・刃線の歪みを削り落としますが、可能な限り刃幅を狭めない様に留意します。

KIMG2315

KIMG2317

 

 

人造の1000番と3000番で傷を浅くして行きます。

KIMG2319

KIMG2320

 

 

天然に移行し、愛宕あたりの中硬~やや硬口の砥石で更なる傷消し。

KIMG2322

KIMG2323

 

 

中山の巣板~合いさっぽいので仕上げ研ぎです。

KIMG2325

KIMG2327

 

 

 

研ぎ上がりです。

右側面、全体画像

KIMG2330

 

刃部のアップ

KIMG2331

 

左側面

KIMG2333

 

 

 

 

最後は別人の所有の品(同一モデルではある)ですが、大幅に研ぎ減った訳では無いものの、特に切っ先寄りは新品時より刃幅が狭く成って居る状態です。

ただ、御意向を伺うと裏(左側面)はベタで研いで行く方針、との事で裏は出来るだけ平面に仕上げて行く方向に。

研ぎ前の状態、右側面。

KIMG1820

 

刃部のアップ

KIMG1821

 

左側面

KIMG1823

 

 

 

研ぎ始めは、人造の180番です。刃線の歪みと刃先の損耗を削りつつ、刃幅の減りを最低限に抑えます。

KIMG1827

 

 

400番で傷を浅く、小刃の幅も広げて行きます。

KIMG1828

KIMG1824

 

 

1000番と3000番で、更に傷消しと小刃の精度向上を。僅かに切っ先方向へ向けて鋭角化して有ります。

KIMG1829

KIMG1830

 

 

天然に移行し、対馬です。小刃の始まり(鎬筋に当たる部分)から、刃先方向へ急激に鋭角化・刃先直前からは急激に鈍角化。

KIMG1832

 

KIMG1835

 

 

赤ピンの中硬~やや軟口で傷消し・仕上げ研ぎです。

KIMG1837

KIMG1838

 

 

中山の巣板各種(実際には他にも、数種の巣板系の砥石を取り混ぜて)使用し、平面度を上げつつ相性の良い組み合わせを模索しました。

KIMG1839

KIMG1840

 

 

 

 

三本とも同じモデルの製品ながら、各人・各状態に合う仕様に仕上げられたと思いますので、仕事場で活躍してくれる事を願っています。此の度は研ぎの御依頼を頂きまして、有り難う御座いました。

 

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

 

カスタム包丁シリーズ?の到着

 

関の先輩から、注文していた包丁達が届きました。私が服部刃物に居た時からの仲で、当時から丁寧な仕事だと感じては居ましたが後年、僭越ながら更に技術の向上が見て取れます。

今回は合計で六本を依頼したのですが、其の内の二本は自分用です。前回の分の内、骨スキ改の長い方(18cm×3.5mmの刃体+ミラーフィニッシュ)も欲しく成り、追加してしまいました。ハンドル材は紫檀・黒檀も良かったのですが、偶々に提案された中で興味を引かれたパープルハートです。カシメはステンレス+ニッケルシルバーとしました。

KIMG2242

 

 

もう一本は前回同様、刃渡り16cmながら厚さは3.5mmとしました。手伝い先で使う想定ですので、出刃要素は必要最低限かつ長時間の使用が見込まれた事、更には市販品のプラスチック製の鞘に合致する様にです(4mm厚では無理だったので)。

KIMG2228

 

下画像は、左が16cm×3.5mm+ブラックマイカルタハンドルで、右が以前の16cm×4mm+紫檀ハンドルです。

KIMG2229

 

KIMG2231

 

KIMG2232

 

双方、自宅でも作業場でも、特に肉類の切り分けで活躍してくれています。最近は両親用のハラミ、自分用のココロを大人買い?して居るので助かります(手伝い先に感謝ですね)。

余分な脂肪を切り落としたり、柵取りするだけなら筋引き・牛刀で良いのですが、特に余り身離れが良くないメンブレン等を剥がす際に便利です。他にも自宅では対象にしませんが、上ミノ・アカセンの筋繊維への切り込み、てっちゃん・こてっちゃん・アカセンの軟質面に皮一枚への切れ目、コリコリ(大動脈)のガーゼ風の繊維膜を剥がすのにも。

KIMG2237

 

KIMG2277

 

KIMG2166

 

 

因みに先輩によると、焼き入れ~焼き戻し(サブゼロ含む)迄の熱処理を外注し、包丁達が返却された時点で服部刃物での焼き入れ作業が有った為、タングの焼き戻しが出来たとの事です。

熱処理工場では通常、タング部分の焼き戻しは行われないので、其の儘の出荷が大半ですが、適切な戻し(軽くで無く、数値的に最も硬度が落ちる温度で処理)を行なう意味は大きいと。

叩いて使う刃物は勿論ですが、薄い刃体に顕著だと思われる「ボルト類の穴からヒビ」への対処も見落とせない点で、カシメピンやファスナーボルトなどが錆びると、直径が僅かに広がり、それが穴を押し広げてタングの破断に繋がるリスクに成るそうです。

だからでしょうか、骨スキ改を除いた全てのタングに戻しを掛けてくれたそうですが・・・序でに骨スキ改にも施したって良かったのではと言う気がしないでも無いですね(笑)。まあ、其れ程に必要性が低かったという事なのでしょう。

 

 

 

 

さて本題の依頼品ですが、北海道のT様からは中華包丁とペティの注文を頂きましたが、既存の作とは違いニッケルシルバーのヒルト(鍔)が付いた仕様でした。

T様からはメールでの遣り取りを通じて、マトリックスアイダから出されている金属用の接着剤の情報も頂いたので、先輩に伝えた所、作ってみようと意欲を見せてくれました(笑)。溶接や銀蝋付けに関しては、フラックスに因る錆・熱の影響に因る折損が心配と乗り気では無かったので丁度、打開策として妥当だったのかも知れません。

刃渡り22cmで少々、長目ゆえか中華包丁に慣れている訳では無い私ですが重めなのかなと。その長さと刃幅の広さで歪の出方も複雑だった様で、修正が大変だったと。加えて、磨きの工程で手作業の段階になった際、其れまで見えて居なかったイモが複数、出現したのも困ったらしいですが・・・此れを削り落としても次の面で出現しないとも限らず、厚み・重さのバランスが変わるのは必至の為、無理に削り直しをしなかったのは妥当と思われます。

KIMG2261

KIMG2263

 

 

 

研ぎ始めは、ビトリファイドでは無い人造600番と1000番から。初期状態の刃先の薄さと角度から、其れ程には減らさず仕上がると考えての事です。

KIMG2280

 

KIMG2281

 

 

傷が浅いので次は、天然の対馬砥石です。

KIMG2283

 

KIMG2284

 

 

やや軟口~中硬の赤ピンに続き、奥殿の巣板?中硬~やや硬口で研ぎ目を更に浅く。

KIMG2285

 

KIMG2286

 

 

仕上げとして中山の水浅葱二種、超硬口で。の筈でしたが、未だ一皮、剥かないと本来の性能が発揮し切れて居ない感触でしたので。(先輩の手に成るVG10では通常、新品時から殆ど慣らしを必要とせず、微細な組織で滑らかさと掛かりの良さが両立する)

KIMG2287

 

KIMG2289

 

 

現状の刃先の特性である、掛かりの強さを活かしつつも滑らかさを付加する方向で、奥殿の巣板(黄色+紫の超硬口)で最終仕上げとしました。

KIMG2293

 

KIMG2295

 

 

 

ペティの方も、ヒルト付きとミラーフィニッシュで仕様は同じながら、ハンドル材は御希望通りにブラックマイカルタです。

KIMG2256

 

 

 

ほぼ研ぎの流れも同様で、人造600番からの1000番へ。

KIMG2297

KIMG2298

 

 

天然に移行し、対馬砥石。

KIMG2300

KIMG2301

 

 

やや軟口~中硬の赤ピンから、奥殿の中硬~やや硬口で仕上げ研ぎです。

KIMG2302

KIMG2303

 

 

中山の超硬口の水浅葱と、超硬口の奥殿の巣板で適切な方を選んで最終仕上げとしました。

KIMG2304

KIMG2305

 

 

 

 

次に、北海道のS様から御依頼の洋出刃です。刃渡りも24cmと長目ですが、厚みも相当に有るので重量感が凄いです。此方は研ぎを施さない儘での発送です。

半諸とも言うべき、左右の側面の肉の取り方を違えたハマグリ風の刃体形状として有ります。

KIMG2254

 

 

 

 

そして、ベスパのディ―ラーの方からの御依頼、21cm牛刀です。黒檀柄(縞黒檀)にステンレス+ニッケルシルバーのカシメ。

KIMG2250

 

 

 

明確な小刃と言う程の刃先では有りませんでしたので、研ぎ始めは対馬砥石からとしました。

KIMG2265

KIMG2266

 

 

梅ケ畑の赤ピン、中硬で仕上げ研ぎです。

KIMG2269

KIMG2270

 

 

最終仕上げは奥殿の天井巣板、中硬(カラス・薄紫)で・・・と考えたのですが、もう少し硬目の奥殿の巣板を選択しました。

KIMG2272

KIMG2274

 

 

 

此の度は各種、包丁の御依頼を頂きまして、有り難う御座いました。御希望の仕様を伝えての受注生産でしたので、相当に御好みに近い仕上がりに成って居ると思われますが、問題など有りましたら御知らせ頂きたいと思いますので、宜しく御願い致します。

 

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

 

東京のN様からBUCK110の研ぎの御依頼

 

東京のN様から、110を送って頂きました。長く製造されているモデルですので、ブレードに使用されている鋼材も440c・425モディファイト・420と変遷を重ねている様です。但し、単なるコストダウン的な意味合いかと心配したりしがちですが、最後の420に関しても「ボス焼き」と言われる専門家監修の熱処理に因る為か、結構な性能を持っているとの認識です。少々、粘りとか組織の細かさの面からは結構、性格の違いも感じますが。

N様からは、メールによる遣り取りの中で、81年まで・91年まで・以降現在まで、の年式で鋼材が変更されているとか、94年からはハンドル材が合板に成った等の情報を頂きました。合板の件は存じませんでしたので、予想外で驚きました。前述の様々な条件からは、今回の110を81年製と予想されているとの事でした。

そして御依頼の動機としては、私のホームページ(連絡を取るツールとしては絶賛不調中)の中で司作の三徳を研ぎ上げ、髪の毛を切っている動画を御覧になった事・御自身のメンテナンスとして皮砥+研磨剤でしょうか、ストロッピングを行なって見るも思う様な切れに成らなかった事からだそうです。

 

 

 

研ぎ前の状態

KIMG2169

 

KIMG2172

 

初期刃付けの儘と思しき小刃の状態

KIMG2173

 

鈍角な一定角度かつ荒い研削痕が残存したままで、御希望の切れには届かなそうです。

Still_2025-03-31_142823_60.0X_N0006

 

 

 

 

研ぎ始めは、人造の320番です。初期の小刃は相当に鈍角でしたので、充分な切れが出せる角度で研ぎ直し。加えて、刃線が僅かにS字状な点・左右のホローグラインドの肉の取り方の違いから、左右の小刃の幅が異なる点も含めて、バランスを取ります。

KIMG2175

KIMG2176

 

 

次いで、研磨力と平面維持に優れる1000番です。やや広げた小刃の先端に、必要な(耐久も期待出来る)角度調整を。

KIMG2177

KIMG2178

 

 

研ぎ目が浅い1000番と3000番で刃線の修正・研磨痕の軽減。

KIMG2179

KIMG2180

 

 

 

天然に移行し、丸尾山の黒蓮華の中硬です。化学的な反応ゆえか、山の名前に限らずステンレスに対して研磨力と切れに優れる傾向が見られます。

KIMG2182

KIMG2183

 

同系統の、より硬く煙硝っ気の強い物。

KIMG2185

KIMG2186

 

 

馬路の戸前系統。

KIMG2187

KIMG2188

 

 

八木の島の蓮華巣板の後、大平の蓮華巣板です。

KIMG2189

KIMG2190

 

 

中山の戸前っぽい硬口で最終仕上げとしたのですが、髪の毛も切れる位・・・と成ると(各個体の状態から私が実用的と判断した刃先角度を下回らない範囲では)、もう一段の向上が狙えないかなと。

KIMG2191

KIMG2193

 

 

此処からは、もう必要以上な試行錯誤か、砥石との相性判断を絡めた紹介に近いかも知れませんね。或いは、手持ちの仕事用砥石の点検とか(笑)。

数年前に砥取家経由で購入の、畑中からの硬口の細かい砥石(水浅葱ですが薄い緑がかった物・均一な色調の物)で。一方は例の判子付きだったり。

KIMG2202

KIMG2203

 

 

やはり、細かい程に効果が出る鋼材・熱処理ばかりでは無いので、田中砥石の超硬口の合いさ系統で。

KIMG2196

KIMG2197

 

 

同じく超硬口の戸前系統で。

KIMG2198

KIMG2199

 

 

田中砥石で入手の水浅葱、黒っぽいのと白っぽいので。

KIMG2200

KIMG2201

 

 

畑中からのレーザー型。

KIMG2204

KIMG2205

 

 

同じくレーザー型の層違い。一方は例の判子付きだったり。

KIMG2206

KIMG2207

 

 

かなり昔に水野鍛錬所で買い求めた菖蒲。余り硬くも無いのに、光り系の仕上がりに成りますが、砥面に吸水する薄い筋が見えるので、使用を控えていますが扱い易く切れ・外観の仕上がりも良いタイプです。

KIMG2208

KIMG2209

 

 

奥殿の黒蓮華(蓮華控え目と言うより紅葉か?)の硬口です。

KIMG2210

KIMG2211

 

 

奥殿の天井巣板の硬口です。

KIMG2212

KIMG2213

 

 

奥殿の天井巣板、超硬口(無地)です。

KIMG2214

KIMG2215

 

 

奥殿の黒蓮華、超硬口です。此処まで、何れの砥石でも充分な切れを出せたにも関わらず粘って来たのは、必ずしも髪の毛を切るに適している鋼材+熱処理では無いナイフの潜在能力を探る為でした。

単に切れれば良いなら、刃先角度を鋭角にすれば良いし、何なら研磨力に優れる人造の仕上げ砥での鋭角研ぎならば労力も掛けず可能でしょう。其れをしないのは、髪を切る道具としたく無いからで飽くまでも、実用性を損なわない範囲で仕上げたかったからです。

基本的に、此の手のナイフであれば片側30度より鋭角にすると刃持ちに不安が出るので(丁寧に使う人が無理の無い対象を選ぶなら大丈夫)、精々が片側25程で纏めたかった訳ですが・・・何とか成功するまでに此処まで掛かってしまいました。と言っても、最後の三種は僅かに25度を切る角度で妥協してしまいましたが。

KIMG2216

KIMG2217

 

 

 

研ぎ上がりです。まあ、洋包丁・ナイフは近影でも研ぎ前後の変化の判別が困難だったりしますが。

KIMG2218

 

KIMG2222

 

KIMG2224

 

Still_2025-04-01_222224_60.0X_N0001

 

 

 

 

N様には此の度、研ぎの御依頼を頂きまして有り難う御座います。昨日に発送しましたので、予定では明日に成る到着まで、今暫しの御待ちを御願い致します。

御希望に沿う様、切れと永切れのバランス的には切れ優先気味の研ぎとしましたが、御手元に到着後の御使用で、御不満が有りましたら研ぎ直しをと考えて居ります。其の場合、汎用性を旨とするアウトドアスポーツナイフの本分からは些か、逸脱するものの切れ最優先に研ぐ事も可能では有りますので、御送付ください。

 

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。 togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

 

北海道の料理人の方からの御依頼

 

北海道のS様の御知り合いの、料理人の方から研ぎの御依頼を頂きました。本焼きの柳ですが、平に装飾の彫刻が入って居ます。

裏も表も鏡面で、平の装飾・凝った柄と合わせて非常に綺麗ですね。ただ形状としては若干、奔放さも有りまして(笑)。裏を平面上に当てると、中央部分が接地しても切っ先側の6~8cmと刃元の3~4cmが浮き気味でした。加えて、軽くプロペラ状の捻じれも。

其の所為で、特に刃元の裏押しが進まず(裏押しの先端が又、角度を付けた糸引き状でも有りましたので余計に)考えた末に、刃元以外の裏押し部分を削り落とし(切り刃幅を狭め)、刃元の裏押しを基準に他の部分を作り直しました。

途中、矯め木なども用いて刃体の浮き上がりを軽減しつつ上記内容を進めましたが、他にも切り刃自体の不均等にも対処が必要でした。長軸方向で先側半分が凸面、元側半分が凹面傾向で、その接続部分が最も厚みが残存している状態でした。

つまり切っ先側に厚みを抜くには、薄目に成って居る元側の厚みよりも、中央の最も厚い部分を薄くしなければ成りません。しかし、盲目的に其れを行なうと切っ先付近に近付く程にペラペラに成ってしまいます。

常識的な範囲で、先側に必要とされる厚みから逆算し、中央部の厚みを減らしました(元側の薄さとの兼ね合いも勘案しつつ)。

 

 

 

研ぎ前の状態

KIMG2034

 

 

KIMG2035

 

KIMG2106

 

 

 

研ぎ始めは320番からです。元側の厚みが薄い上に、ホロー気味なのが分かりますね。(元側の切り刃幅の中央部分に溝状に)

KIMG2039

 

 

1000番と3000番で精度を上げつつ傷を浅く。

KIMG2043

 

 

当たりのソフトな1000番で、更に傷を浅く。

KIMG2046

 

 

 

天然に移行し、対馬です。

KIMG2049

 

 

KIMG2051

 

 

余りに裏が揃わないので、珍しく焼結ダイヤの二種で追い込んで見ようかと(笑)。

KIMG2052

 

 

其れでも不十分でしたので、遣り取りを通じて大胆に削ってくれても構わない、との御意向を受けて(そうは言っても貧乏性なので最低限に済ませる意識は持ちつつ)刃元以外の裏押し部分を研ぎ落とす事に。

改めて320番の後、研磨力の強い1000番の二種で切り刃幅を狭めると共に凸部を減らし、出来るだけ凹面も均しつつ、境界部分の破綻も起こらない様にバランスを取りました。

KIMG2055

 

 

再度、対馬を経て丸尾山の巣板、中硬の各種形状の物で仕上げ研ぎ。この後、敷き内曇りと白巣板蓮華も用いて追い巣板。

KIMG2058

 

 

中山の巣板層、何故か並砥や戸前っぽい各種、硬口の物で最終仕上げです

KIMG2096

KIMG2098

 

 

 

研ぎ上がりです。

KIMG2102

 

刃部のアップ

KIMG2103

 

凹面だった箇所は、削りシロが少ない為、研磨痕の残存も多目です。

KIMG2105

 

刃先拡大画像

Still_2025-03-10_023024_60.0X_N0020

 

KIMG2106

 

 

 

 

此の度は、M様には研ぎの御依頼を頂きまして有り難う御座います。御仕事場では、各所から研がせた包丁が複数、集まって居るそうですので羨ましい限りです。使い比べると大変、勉強に成りそうですが・・・私以外は名の通った諸賢(大阪二か所・三重・埼玉・神奈川・動画勢その他)の手に成る物だそうですので、末席に加わるのでさえ野良の雑種としては、身に余る事で恐縮です。

まあ以前にも、似た状況での比較の際(S様へ御返送した柳)、私の研ぎで余り問題が無かったと側聞していますので、今回の個体の調整が首尾よく仕上がってさえ居れば、また大きな御不満を抱かせずに済むのではと願って居ります。

 

 

 

 

 

北海道のT様から本焼きの御依頼

 

北海道のT様から、二本の本焼きを送って頂きました。柳と先丸タコ引きですが双方、いつもの御希望の仕様変更の他に、裏押しに付いての記載が有りました。

裏押しの幅が広がった部分が有るので、其処は狭められるだろうか?そして全体的に狭めて欲しいと。柳は、山脇刃物の物だそうですが、其処では裏に砥石の傷を付けない方針だったという事で、御自身で裏押しをしてみた所で御依頼と成りました。

 

 

 

初期段階で明確な小刃が付いている以外は、表(切り刃)の状態としては特筆すべき点は無さそうです。余分な凹凸も少ない、均等な研削が施されている印象です。

ただ、小刃の広い部分を狭めるには、(新品段階で裏を作り変えると言う非現実的な方法は論外ですので。しかも見事な鏡面でも有りますし)切り刃を研いで刃幅を狭める(必要であれば鎬筋を上げる)しか有りません。

最も気に成る裏押しの幅広の部分は、切っ先カーブ付近でしたが幸い?デザイン的に其の辺りの切り刃が広く取られて居た(幅として削りシロが多い)ものですから、切り刃の他の部分との整合性が崩れない範囲で処理できそうでした。

 

研ぎ前の状態

KIMG1887

KIMG1888

KIMG1889

 

 

 

研ぎ始めは、人造の320番ですが此の時点から、裏面には養生テープを張って居ます。裏の鏡面を傷付けない様にとの御要望なので人造、特に荒い段階では最もリスクが高いからです。

研ぎが進むに従って、端から砥泥が蓄積し続けるだけで金属には浅い傷に成り得ますので、頻繁な洗浄も心掛けます。

KIMG1893

 

 

研削痕の浅い1000番・3000番で320番の傷を消して行きます。

KIMG1894

 

 

次に、当たりのソフトな(変形しやすい事にも繋がりますが)1000番で、均し研ぎです。

KIMG1895

 

 

流石に、荒砥を用いて刃先を減らし続けて来ましたので(相応に返りが発生しますので)裏押しも挟む必要が有ります。しかし、養生テープを剥がすと薄っすら変色が。

養生テープの端の、刃体との段差部分に水分が溜まっての事でしたが、変色と言っても軽い錆では有りますので確実に落とさねば成長する可能性が高いです。

KIMG1896

 

 

先ずは、対馬砥石で中仕上げをするに当たって、其の泥(荒過ぎず細か過ぎず)をも有効活用し、錆の除去を試みました。

KIMG1897

KIMG1898

 

 

著変が無かった為、目の細かいダイヤモンドペースト各種で細かい順に試し、効果が有った所から逆に戻って仕上げました。

除去には成功しましたが仮にも錆びでしたので、極微細な痕跡は残存してしまい恐縮です。しかし、短時間で機械的に作業するよりも手間暇を要するので、傷を避けるか錆を避けるかの二択を迫られるとも言え、悩ましい所です。

KIMG1899

 

 

天然に移行し、丸尾山の中硬の巣板各種で仕上げ研ぎです。

KIMG1901

KIMG1902

 

 

次いで中山の巣板(若干戸前っぽくも有る)やや硬口で最終仕上げを狙って見ます。

KIMG1903

KIMG1905

 

 

切れは充分乍ら、切り刃の斑が僅かに気に成ったので、近い種類ながら少しずつ性格の異なる小さ目で、グラデーションの使い勝手を活かしつつ研ぎ目を揃えました。

ただ、相性の良さに気を良くして此処まで進んで来ましたが、そもそもの仕上がりの御希望は曇り方向だったのを思い出しました(笑)。しかし、まあ一応は現状を御覧頂き判断は其の時に御願いしようと保留に。

KIMG1907

KIMG1908

 

 

どうしても、返りの処理の(恐らく気の所為レベル)不均等が気に成り、刃先と裏押しに軽く水浅葱も当てて置きました。

KIMG1909

KIMG1910

 

 

研ぎ上がり、全体画像です。

KIMG1914

 

切り刃のアップ

KIMG1915

 

刃先拡大画像

Still_2025-02-21_194511_60.0X_N0005

 

裏押しは、ほぼ狙い通りの仕上がりに近いと思われます。

KIMG2031

KIMG2032

KIMG1921

 

 

 

 

先丸の方は、裏押し関連の御希望以外にも、刀で言う所の帽子の部分でも切れる様にして欲しいと。そして出来れば、他の裏押し部分と同一角度で押せる様に出来ないかと。

 

研ぎ前の状態

KIMG1955

KIMG1957

KIMG1959

 

 

研ぎ始めは、人造320番から。研ぎ始めると明確に成る点が二つ見つかりました。切り刃の切っ先側の半分は刃幅の中央が凸で、刃元側の半分は刃幅の中央がホローに成って居ます(厚さも後ろ側ほど少ない)。

KIMG1960

 

 

切っ先手前の部分も切れる様に・・・と研ぎ始めましたが此方も、横手筋の手前部分がホローの二重に。余り追い込むと帽子部分との厚みの段差が出来てしまいますし、もしも薄くした部分に合わせて切っ先まで漸次、薄くすれば帽子部分がペラペラに成る為、御互いがソコソコでバランスが取れる兼ね合いを探ります。

KIMG1962

 

 

先側半分は基本的に、凸部を減らしつつ刃先へ向けて放物線的なハマグリに研げば良い訳ですが、1000番・3000番で傷消しに取り掛かると、刃元側の切り刃の不均一さが比較に因り更に目立ちますね。

KIMG1963

 

KIMG1964

 

 

小割りの人造各種で、此れ以上は最低限しか減らしたく無いと思いつつ、均し研ぎを試みました。

すると、刃元寄りの部分の特に深い凹部がハッキリしただけで無く、鎬筋の中央部すぐ下にも凹部が確認出来ました。

KIMG1966

 

 

改めて、当たりのソフトな1000番で均し研ぎです。

KIMG1967

KIMG1968

 

 

対馬砥石で中仕上げです。何とか、切り刃の凹凸を軽減しつつ厚みのテーパーを形成して行きます。

切っ先寄りの半分は、先側より元側を薄くするべき乍ら、刃元寄りの半分はホローを均す為に薄くする必要上、其の儘では境界部の段差がキツク成ります。

其の部分も含めて破綻しない様、御互いのバランスが取れる範囲で歩み寄らせるしか有りません。その意味では、厚みのテーパーを補助してくれる角度のテーパー(刃元から切っ先方向へ鋭角化)が役立ちます。

更に加えて、裏押しの幅の広い部分を狭め、均一に近付ける目標も有ります。今回の個体では、刃元と切っ先カーブ付近が幅広でしたので、先丸タコ引きのデザインを活かし(通常、刃線・鎬筋・峰のラインが平行に近いカーブを描く)、初期状態より刃線をカーブさせつつ削る事で、刃元付近の刃幅を狭めました。

結果的に此の操作も、刃先部分の厚みを増す事に繋がりテーパーを整形するのに貢献してくれました。ただ、切っ先カーブ付近の刃幅はデザイン上、帽子が小さく成ったり(其れに対応するには鎬筋を上げざるを得ず、そうなれば鎬筋のカーブの比率が乱れます)しますので、或る程度までで控えました。

KIMG1970

KIMG1971

 

 

丸尾山の敷き内曇り、軟口で均し研ぎです。

KIMG1979

 

 

馬路の中硬の巣板で、更に形状を整えます。

KIMG1980

KIMG1982

 

 

丸尾山の白巣板・大平の蓮華巣板で、もう一押し。

KIMG1983

 

 

丸尾山の白巣板、やや軟口で傷消しです。

KIMG1984

 

 

赤ピンの中硬で仕上げ研ぎ。

KIMG1985

KIMG1988

 

 

曇り方向での仕上がりを御希望でしたので、丸尾山の白巣板巣無し(研磨力と仕上がりが異なる)で最終仕上げです。

砥石の不定形な形状を活かし、凹面が残る切り刃の部分にも、余り鋼の減りを助長しない範囲で積極的に当てに行きました。

KIMG1992

 

 

切れを確保する為と、裏押しの精度を上げる目的で、水浅葱で刃先と裏を仕上げました。

KIMG2016

KIMG2020

 

 

 

研ぎ上がり、全体画像

KIMG2022

 

刃先拡大画像(刃元の少し先)

KIMG2024

 

同じく鎬筋の中央

KIMG2025

 

切っ先付近

KIMG2028

 

刃先拡大画像

Still_2025-02-21_194708_60.0X_N0007

 

 

 

 

 

T様には、いつも御用命を頂きまして、有り難う御座います。私の拙い技術と、砥石を始めとする限られた道具類ですがフルに活用し、可能な範囲で御要望に沿える様、務めて居りますが止むを得ず不足が出る場面も予想されます。その折りは御容赦を願えましたら幸いです。

御手元に到着後、もしも切れに関する問題など有りましたら、御連絡を頂けます様、御願い致します。今後も私で御役に立てる場合は、宜しく御願い致します。

 

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

 

日本剃刀の研ぎの御依頼

 

新潟県のO様から、日本剃刀を送って頂きました。数年前にも包丁の研ぎの御依頼を頂いた事が有るのですが、今回は大掃除で発見した御祖父様の御使用品だった此方を、研ぎ上げて仏壇に供えたいとの御意向で。

 

 

御依頼を頂いた際、文面と共に画像も拝見出来たのですが、改めて現物を確認した所、結構な範囲にソコソコの錆が出ていました。箱の外観から分かる通り、相当に古い物でしょうから、手入れが中断したままに長期間の経過と在っては、致し方ないでしょう。

とは言え、地金部分は兎も角、裏の刃金部分が心配だったのですが・・・表よりも状態が厳しい様に見受けられました。

KIMG1841

KIMG1842

 

余りに警戒して、各種方法で試しながら錆取り・梳き直しを進めた為に、画像には残して居なかったのですが(笑)・・・先ずは網状の研磨シート・粗いサンドペーパーで錆落とし。梳き直しは始め、安定のリューターとダイヤモンドシートで進めました。

しかし、熱が上がり易い割りに研削が控え目だと感じ、ダイヤモンド鑢で取り掛かると案外、(以前は困難だったのですが)狙い通りの結果を得られました。

其の後は裏表共に、耐水ペーパーで番手を上げて行き、最終的には高番手の模型用布ペーパーとダイヤモンドペーストの併用で仕上げました。

 

 

 

刃付けの初期は、320番からでしたが其の後、平面維持に優れつつも研磨力も有るタイプの1000番で。

KIMG1843

KIMG1844

 

 

次に研削痕の浅い1000番・3000番で精度を上げて行きます。

KIMG1845

KIMG1846

 

 

天然に移行し、対馬です。

KIMG1847

KIMG1848

 

 

やや軟口~中硬の巣板で研いだ後、中山の硬口の巣板や戸前系統で仕上げ研ぎ。

KIMG1849

 

KIMG1850

 

 

更に中山の水浅葱各種で、相性を見ながら最終仕上げです。

KIMG1852

KIMG1855

 

 

 

研ぎ上がりです。

KIMG1857

 

 

KIMG1858

 

Still_2025-01-27_033503_60.0X_N0004

 

KIMG1859

 

 

 

O様には、此の度も研ぎの御依頼を頂きまして、有り難う御座いました。今後も私で御役に立てる場合は、宜しく御願い致します。

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

 

千葉県からオールドガーバーの御依頼

 

千葉県のU様から、二本のガーバーのナイフを御送り頂きました。双方、年季の入った革シースに入って居り、貫禄が有りました。

大き目の一本目は、余り詳しく無かったのですがプレゼンテーションシリーズの初期型だそうです。二本目は、私も三本程を所有していますがアーモハイドシリーズのミニマグナムでした。

 

 

研ぎ始めの状態です。大き目では有りますが、全体のバランス的にブレードが短めで、小回りが利くタイプの様です。

KIMG1709

 

所期の小刃の角度は強度重視ですので、万能性を持たせる(切れと頑丈さの両立)には、小刃の幅を広げた上で(若干の鋭角化)刃先角度の鈍角化が妥当かと思われます。

勿論、切っ先方向への鋭角化(小刃自体・刃先最先端の双方)も施します。但し、小刃の幅が左右で異なる事から、ホローグラインドのバランスが左右で異なる事が伺えますので、仕上がりの左右差も其れに準じる事に成りそうです。

KIMG1711

 

KIMG1712

 

 

此方は、元来が薄いブレードですので(しかも新品に近いので、研ぎ減りに因る刃先の厚みの増加も見られず)、殆ど小刃の幅を広げる必要は無いので正確な角度を出した上で、極僅かに切っ先方向へ鋭角化と、小刃の開始箇所の角を取る程度で良さそうでした。

KIMG1714

 

刃先には、そこそこ錆と摩耗が見られますね。

KIMG1715

 

KIMG1717

 

 

 

大きい方の研ぎ始め、320番からです。小刃の幅を少し広げつつ、刃付けの甘かった刃元・切っ先の辺りと整合性が取れる様に均します。

KIMG1718

KIMG1719

 

 

次に、1000番と3000番で傷を浅くしつつ、より正確な形状に。

KIMG1722

KIMG1723

 

 

天然に移行し、対馬で小刃の精度を高めつつ、研ぎ傷を浅く。

KIMG1726

KIMG1729

 

 

中山の合いさの硬口で最終仕上げです。

KIMG1732

KIMG1733

 

 

研ぎ上がりです。

KIMG1737

 

人造で研いで居る時は、かなり柔らか目と感じた鋼材と熱処理のバランスでしたが、返りが過剰に出る程では無く、細かい砥石に進むに連れて結構、確りした刃先に仕上がりました。

KIMG1739

 

Still_2024-12-23_164314_60.0X_N0001

 

KIMG1740

 

 

 

 

二本目、ミニマグナムも同様に。320番からですが、このタイプは保持する際に力加減と場所を間違えると、ブレードの撓りと保持場所の制限から、刃先精度が狂い易い事に留意です。

先ずは、片側30度(刃元)~20度(切っ先)で小刃を研ぎます。

KIMG1720

KIMG1721

 

 

次いで、研ぎ傷を浅くしながら小刃の開始箇所の角を減らします。

KIMG1724

KIMG1725

 

 

対馬で更に精度を上げます。

KIMG1730

KIMG1731

 

 

中山の合いさ、やや硬口で最終仕上げです。私の手持ちとは年式が異なるのか、組織が若干ながら細かい気がします。硬さは殆ど変わらない感触ですが。従って、相性の良い砥石も異なるので予想通りの進行とは違いました。

刃先最先端は、若干ですが鈍角化(1~2割り程度ですが)して切っ先方向へは鋭角化。

KIMG1734

KIMG1736

 

 

 

 

研ぎ上がりです。

KIMG1741

 

KIMG1742

 

Still_2024-12-23_164423_60.0X_N0002

 

KIMG1743

 

 

 

 

U様には、此の度の御依頼を頂きましたことに加え、貴重なナイフに触れる機会を頂きました事、有り難う御座いました。

また今後も、私で御役に立てる場合は、宜しく御願い致します。

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

 

北海道のT様から、本焼きの薄刃の御依頼

 

北海道のT様から、本焼きの薄刃を送って頂きました。御依頼の内容は、切り刃を緩やかなハマグリに・マチの磨きを、との事でした。

到着時点では新品(長く置かれて居たそうなのでデッドストック?でしょうか)ながら部分的に錆も。しかし、初期状態の維持との兼ね合いで、其の儘にと。

 

 

研ぎ前の状態、全体。かなり薄目の切り刃ながら、相当に乱れが少ない仕上がりで、刃体の捻じれも見られませんでした。

KIMG1527

KIMG1528

KIMG1530

 

 

研ぎ始めは、320番の人造から。流石に、切り刃の中央は凹面である事が分かります。ただ、其の程度は酷くは無く、鎬筋の安定性も優秀な方と思われます。

KIMG1534

 

次に、当たりのソフトな1000番(キングハイパー1000の硬軟)で全体の研ぎ目を浅くしつつ均します。

KIMG1535

 

 

天然に移行し、対馬です。全体を更に研ぎ目細かく、かつ切り刃形状を僅かにハマグリに近付けます。

KIMG1606

KIMG1607

 

丸尾山の各種白巣板で傷消しを。

KIMG1608

KIMG1609

 

中山の巣板で仕上げ・・・の予定でしたが、相性的に今一歩の感。鋼材は柔らか目ですが組織は相当に細かい感触ですので、切り刃の纏まり・刃先の切れ、共に更なる向上が見込める筈なので。

KIMG1611

KIMG1612

 

手持ちの敷き内曇りの中では、幾つか均一に仕上がる物が有りました。

KIMG1613

KIMG1614

 

中山の並砥・合いさの中間みたいなのでは、光り加減・切れ共に向上するのですが。最終的に敷き内曇りの中で相性の良い物で最終仕上げとしました。

KIMG1615

KIMG1616

 

 

 

研ぎ上がり、全体画像です。

KIMG1617

 

刃部のアップ。

KIMG1620

 

刃先拡大画像。全体は緩やかな、切れ優先ハマグリに。刃先は永切れ優先に。但し双方、切っ先方向へ鋭角化して有ります。

Still_2024-11-27_001042_60.0X_N0012

 

初期刃付けの、特に深かった傷は一部だけ残存。此れを消す為だけに、他の全体を減らすのが心苦しいもので(笑)。

KIMG1622

 

同じ理由で、切っ先寄りの部分・刃元の部分の削り過ぎ箇所も無理には、砥石を当てに行っていません。

KIMG1623

KIMG1619

 

 

後は、マチの部分を研磨しましたが・・・水牛の角の一部に擦り減らしてしまった部分が出来てしまい、申し訳無く思って居ます。養生テープとセロテープを二枚ずつ重ねていたのですが。

KIMG1624

 

最初との違いが恐らく、見ても分からない裏の研ぎ上がりです。

KIMG1625

 

刃紋は、裏からは見えますが表で言えば、平の部分(手付かず)に位置していますので、今回の表側には現れていません。

KIMG1626

 

 

 

 

加えて今回は、日野浦さんから送られて来た「でっかいペティ」(実質筋引き)の内、七寸を御所望でしたので刃先の調整を。

因みに下画像は、私の分の七寸です。先ずは此れを研いで見て、その結果を反映させ、より高効率な研ぎの模索かつ相性の良い砥石を探る方向で。

KIMG1646

 

KIMG1649

 

Still_2024-11-27_001236_60.0X_N0013

 

 

 

研ぎは人造の1000番、研磨力と滑走に優れる物から。小刃のベース角度は、片側20度ずつ。刃先自体は、片側30度ずつですが・・・其々切っ先方向へ、凡そマイナス5度の鋭角化。

KIMG1650

KIMG1651

 

次に研削痕の浅いタイプ、1000番と3000番で傷を浅くしつつ精度を上げて行きます。

KIMG1652

KIMG1653

 

 

天然に移行し、対馬で。

KIMG1654

KIMG1655

 

中山の中硬並砥(少々戸前っぽい?)で研ぐと、下り・切れ共にすぐれ、抜群の相性を見せました。普通なら、もう此れで御終い良かった万歳なのですが。

KIMG1656

KIMG1657

 

念の為、少し硬さが上の砥石達でも試してみました。カラス入りの合いさっぽい物ですが少々、目の細かさが控え目なタイプ。結果は、(掛かりは向上したものの)本当に僅かですが滑らかさの低下が。

KIMG1666

KIMG1669

 

上画像の砥石に比べ、やや泥の出易い同系統の砥石でも結果は変わらず。恐らく、今回の鋼材(銀三に鍛造+特殊な焼き入れ)は組織が細かく、硬さと粘りのバランスが均等な印象でしたので、組織が幾分は荒目だったり粘り気味の鋼材とは、違った結果に成ったものと思われます。

KIMG1671

KIMG1672

 

此方は、硬さは同レベルながら少し目の細かいタイプ。仕上がりは、最初の中硬並砥と硬口合いさの中間位で面白いなと。

KIMG1676

KIMG1674

 

結局、中硬並砥で研ぎ直した後、念の為に水浅葱で研いで様子を見た所、僅差で最も良い結果に。ただ、本当に僅差ですので、研ぎ易さ(研磨力や砥面の追従性)と難易度(角度保持など研ぎ手に対する要求の少なさ)を勘案するなら、前者一択でしょうね。

KIMG1678

KIMG1681

KIMG1686

KIMG1687

 

 

 

研ぎ上がり、刃先拡大画像。

Still_2024-11-27_014322_60.0X_N0014

 

 

刃先の観察と紙の束などでテスト済みですが、序でに大根の田舎漬けを切らなければ成らなかった為、試し切りに。此れでも掛かりの良さと滑らかな切れ・抜けの良さは変わらなかったので良しとしました。

KIMG1684

 

 

T様の分の七寸も、上記内容を踏襲して研ぎ上げましたので、新品時よりも実用性は向上していると思われます。既に御手元に届いている訳ですが、御使いの上で問題など有りましたら御連絡を御願い致します。

此の度は薄刃の研ぎの御依頼、並びに七寸の御買い上げを頂きまして、有り難う御座いました。五寸の方は、未だ送られて来ず、本日の電話では繋がりませんでしたので、予定外に御忙しくなってしまったのかなと(笑)。

数年前からの電話での御決まりの話題で、「営業職時代に大阪で回って居た地域(私の地元)を再び回って見たい」「付いては春の前に訪れる際には一緒に周ろう」も、また難しいかも知れません。

 

追伸

いつも、研ぎ代金の面でも御気遣いを頂く上に、時々は御菓子も送って頂き感謝致します。此方でのスーパーでも、北海道展などの催事にて見かける品は少数(有名銘柄のみ)、或るのですが詰め合わせには普段は見ない物も多く、嬉しく思って居ります。

KIMG1707

 

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

 

常連様からの定期的?御依頼

 

少し前に、ベスパの整備を御願いしていたのですが・・・引き取りに行った際、シート下のスペースに見覚えのない荷物が。昔に購入頂いた、両刃の和包丁の二本でした。

結構な確率で、修理や整備の後で研ぎ依頼を頂けるのは、当方が貧乏なので御気遣い頂いて居るのだろうなと(笑)。

 

 

司作の三徳、研ぎ前の状態です。刃先の欠けは、酷くは無いものの範囲の広さは中々です。錆の程度も、思っていたよりは広くて深い状態。

逆に言えば、(性能に相応の価格帯ですが)実用品として確りと使い込まれている事が伺え、作者も包丁本人も満足しているのではと。

KIMG1426

KIMG1436

KIMG1428

 

 

対して、平治作の三徳は使用頻度が控え目らしく、錆も刃先の損耗も控え目です。

KIMG1432

KIMG1437

KIMG1433

 

 

 

司作の方の研ぎ始めは、人造の1000番、研磨力と平面維持に優れる物からです。元来の作風として、切り刃をベタ研ぎ(特に左側)されている傾向が強いのですが、幾度かの研ぎを経て(更に今回の研ぎ減らしも加わって)僅かながら厚みが増して来ました。

ですので特別、必要に迫られた訳では無いのですが・・・折角、私に研がせて頂いて居る以上、より抵抗の少ない切り刃に整える為に刃元から切っ先へ向けて明確なテーパー化。鎬筋から刃先へ向かっては漸次、厚みを抜く鋭角化ハマグリ。刃先最先端付近は漸次、鈍角化するハマグリにしました。

此れに因り、抜けの良い切り刃と、切れ良く永切れも併せ持った刃先を施せたと思います。ただ、刃元の厚みは元から少な目ですので、其れを助長しない為に研ぎ減らしは最低限に留めて置きました。

KIMG1438

KIMG1439

 

同じく3000番で傷を浅くし、砥面の追従性の高い1000番で切り刃を均します。

KIMG1440

KIMG1442

 

 

天然に移行し、対馬です。複雑な要素を盛り込んだ切り刃を、破綻無く融合させつつも遠目には、均一に見える程に馴染ませます。

KIMG1444

KIMG1445

 

 

丸尾山の巣板で仕上げ研ぎ。研ぎ傷を浅くし、より切り刃の形状を整えます。

KIMG1452

KIMG1453

 

 

最終仕上げは、中山の合いさ各種で。

KIMG1455

KIMG1457

 

 

研ぎ上がりです。平の錆は完全に除去すると、(特に何度も繰り返す場合は)かなり厚みを減らす事に成りますので、程々に。

KIMG1468

KIMG1471

Still_2024-11-04_124111_60.0X_N0002

 

今回で、やっと左の切り刃もベタ過ぎる状態を脱する事が出来ました(笑)。何とか殆ど、左右均等な形状に仕上がって居ます。

KIMG1476

KIMG1478

 

 

 

平治作の方は、既に切り刃も整っている上、錆と摩耗も軽度に抑えられていましたので、対馬砥石からの開始です。

僅かな刃先の摩耗を取り去り、切り刃全体を再度、以前の状態を踏襲して研いで行きます。刃先方向への鋭角化・刃先の鈍角化のハマグリ研ぎの二種は、殆ど整って居るのですが・・・刃元が薄目なのと、切っ先カーブに厚みが残存しているのは今後も、改善して行くべき点です。従って今回も、全体に比べてカーブの部分は、多めに研ぎ落とします。

 

KIMG1447

KIMG1448

 

 

丸尾山の巣板で傷を浅くしつつ、より形状を整えた後は中山の巣板で最終仕上げです。

KIMG1462

KIMG1460

 

 

研ぎ上がりです。

KIMG1479

KIMG1481

Still_2024-11-04_124227_60.0X_N0003

 

此方も切り刃の左右差が、より小さくなり均等に近付きました。

KIMG1485

 

刃元が薄く成り勝ちなのは、御多分に漏れず。従って、切っ先へ向けたテーパー化実現の為、可能な限り厚みを残す方向で。よって、研ぎ目の消え方も控え目です。

KIMG1491

 

 

 

 

日野浦さんに頼んでいた包丁も到着しました。

KIMG1463

 

希望するサイズ・柄の材質の違いにも、注文主の好みが伺えて面白いですね。

鍛造した銀三無垢材に自家焼き入れですが、空冷・油冷の何れでも無い、尖った工程ですので、切れの緻密さはステンレスとしては違和感を覚えるレベル。流石に外注で満足出来なかったと言うだけは有ります。

順次、お届けしていますが北海道のS様には、一両日中には御手元に到着すると思われます。同じく北海道のT様には、御依頼を頂いて居る包丁が研ぎ上がった際、一緒にと考えて居りますので、もう暫しの御待ちを御願い致します。今回、二本を御送り出来るかは微妙ながら、尺を含めて次回の分は頼んでおきましたので、楽しみにして頂いて良いのではと(笑)。

KIMG1466

 

 

 

あと、関の先輩からは、汎用型改造骨スキ(VG10無垢材)の熱処理中の身の画像が。取り敢えずの今回分、サイズ違いの二種類の二本ずつは順調に進んでいますので、御注文を頂いた皆様には御安心を。

1730768500966

 

 

序でに、ブログを通じた知人へのプレゼント用に、長目のペティも。此れを御覧になったS様から洋出刃、ベスパのディ―ラー様から牛刀の御要望も頂きましたが、次回の製作時に作って貰える様に依頼済みです。直前に成れば、ハンドル材に付いて御好みを伺う為にも、御連絡の予定ですので、宜しく御願い致します。

1730768519750

 

 

 

 

研ぎの御依頼、並びに包丁の御注文を頂いた皆様、此の度は有り難う御座いました。随時、お届けして行きますので宜しく御願い致します。

 

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com