カテゴリー別アーカイブ: 依頼の刃物

予定と変わった三条行き

 

数か月前から、鍛冶体験をさせて貰えそうか日野浦さんに頼んでいました。ただ今回は、一緒に行く相方に対する付き添いの意味合いが強かったのですが。

二日に渡る予定日の前日から、新潟に向かって走り出したのですが・・・相方の方が天候に祟られて、移動できないとの事。初日には間に合わずとも、二日目だけでも参加すればと返信しての出発。

 

 

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往復を含めて唯一、立ち寄ったパーキング。小布施でしたので、栗の和菓子と胡桃(二種)を購入。食事は、八割でしたかザルを一枚、手繰ってサッと出ました。パーキングで出される蕎麦としては、中々に良い部類だと感じました。

 

 

 

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到着して先ずは、依頼主から要望を頂いて居る関連を見せて貰います。

 

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欲しければ、回してやれる物も幾つか有るぞと。依頼品の他、自分用にも欲しい所ですが生憎、資金的に余裕が・・・。儲けが出たら又、御願いしましょう(笑)。

 

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其の他、参考に色々と。其の内、頼む事に成るかもですね。

 

話の途中で連絡が有り相方は結局、二日目にも間に合わない事が判明。一方の日野浦さんも多忙により大変そう。止むを得ないと判断し、私も今回の鍛冶体験は辞退する事にしました。

合間に、古い鉈の研ぎ直しの依頼をしていた方が来訪。日野浦さんとの遣り取りを興味深く拝聴しました。その嘴付き鉈を見て、以前からイメージしていた鉈に関する提案もしてみました、之まで余り注目されて来なかった分野での活躍を期待出来るかと。

 

 

 

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帰路は、打って変わって冷え込んでいた様子。途中、新井パーキングで冬用の足回りでない車はETC出口から下ろされます。現場では、そんなにか?と思って居たのですが・・・。

 

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下道を暫く走ると、妙高あたりで画像の状況。幸い、大通りの車道はキッチリ除雪されていました。

 

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途中の何処かで蕎麦屋が無いかなと探りつつ走っていたのですが、閉まって居たり準備中だったり。塩尻のあたりで情報を求める意味もあって、ワイナリーに立ち寄りました。

自分自身では味見と料理に使う程度ですが、今回は御土産として白と赤を一本ずつ。係りの方に意見を聞きつつ、数種類の中から選びました。

 

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更に進んで行くと、木曽路の道沿いに蕎麦屋が。外観は少し山小屋っぽい、和洋折衷風の店構えですが拘りの店主が居る様子。御品書きによると、原種の蕎麦をハンドメイドの石臼で挽いた玄蕎麦とか、キノコ等は自分で採取とか。

 

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山葵ザルと漬物セット。僅かにもろもろした食感と、ふんわりした風味。しかし、何より後口に余韻を残すのは矢張り、使われている水だなと改めて感じますね。

 

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初めて聞いたすんき蕎麦。スグキとは違いますが、乳酸発酵により結構な酸味を持つ漬物がアクセント。すんき漬け?は汁物の具材としても、味付けとしても用いられるとか。

 

 

 

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北海道のT様からご依頼頂いて居た雲竜鍛え地のペティ。出せる可能性の有る作品について話していると、奥さんが出して来てくれました。と言うか、出来てたんかい!です(笑)。新潟まで出掛けてから手に入るのは中々に大変。

 

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おまけは、私用に此れを。利器材使用ですが、焼き入れ・造形共に高次元と見受けました。切り刃から研いで仕上げて行き、柄を付けて普段用にしたいと思います。知り合いなどには、奨めてみたい位の出来です。

 

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背圧・厚みの変化も適切と思われます。後は、切り刃の角度変化や実用的な刃先の仕立てで、万全に成るでしょう。

 

 

 

土産に買った胡桃は二種類。表示されていた、かしくるみと言うのは、菓子胡桃だったんですね。一般的にクルミと言えば、此れを指すそうで。

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もう一方、名前は有名ですが初めて触りました。見聞きする限り、殻が強いと名高い鬼クルミ。金槌でも中々・・・と理解していましたが、割とキッチリ割れてくれました。小振りだからか分かりませんが。

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何方のクルミにも有れば便利な物としては・・・。鬼クルミには、専用工具みたいなのも用意されている様ですが、其処まで常用するので無ければ、金槌かなと(叩くのに自信が無ければ別)。その後はラジオペンチとか、突っつき易い道具で。

下画像は、レザーマンですが、菓子胡桃なら付属のマイナスドライバーで割る事も容易です。物によっては指で割れる物も有ったり。

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何故か、家の工具箱に入っていた物。歯石でも取る道具に見えますが、何でしょう。対クルミ作戦の役に立ったのは間違い無いです。

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時間と費用を用意して、臨んだ鍛冶体験が延期に成ったのは残念ですが・・・二十年近く前に別冊モーターサイクリストのツーリング紀行で読んだ、馬籠や妻籠の旧宿場の近所。昔に教科書に載っていた野尻湖の傍に立っていたナウマン象の像の傍・小林一茶の生家の傍、などなど普段では通らない場所を(弾丸ツアーで立ち寄れませんでしたが)通れたので、何やら楽しい気分にも成りました。

 

 

 

 

 

北海道のT様から尺の牛刀の御依頼

 

前回までと同じく、既に廃業さた所で作られた包丁です。素材的には異なるとの事ですが、此方も中々に優秀な仕上がりだと感じました。組織は細かく、硬さと粘りのバランスが秀逸。厳密な永切れに限って言えば、前回の方が上回る可能性は有るかなと言ったレベルです。

 

 

研ぎ前の状態

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刃部のアップ

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左側面。右に比べて少々、初期刃付けと言うか研削での角度の違いが見られますね。刃先数ミリの範囲での段刃気味が強い事と、其れ以上に側面中央に薄っすらと切り刃状の形状に。

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全体に深い傷が気に成らないレベルまで磨く、との内容も依頼に含まれていましたので何時も通り、形状を整える(峰から刃先へのテーパー・刃元から切っ先へのテーパー)作業に付随した範囲内で磨きも行ないます。つまり、傷消しを追求するあまり、目指す形状の精度を損なう事態は避けたいと。

今回は、布ペーパー・耐水ペーパーの使用を主体として、削りと磨きを進めました。砥石での削りは精度、イコール性能も向上が明確に見込めるのですが前回、同様の作業を行った際に(和式刃物基準となり両刃扱いでもあり予想以上に?)代金が嵩んでしまいました。ですので、研ぎは飽くまでも洋包丁基準・削りを含んでも磨きの料金(難易度次第で一面1000~3000円)内に含めようと。

 

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180・240・320などの布の方から進めます。その後は400・1000・1500の耐水。

 

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一旦全体を均した後、厚みが気に成る部分を狙います。右は刃渡りの中央を挟んで手前と向こう側・そして切っ先手前。

 

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左は前述通り、切り刃状の連なりと段刃の起こり。この工程には、人造砥石の小割り240・320・1000で。

 

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やっと、本来の研ぎ工程とも言える段階へ。人造の1000と3000.

 

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其の上で刃先直前に掛けて、磨きを施します。

 

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天然砥石で仕上げ研ぎ。中硬の巣板⇒中山の赤ピン。此れで普通には切れますが、更なる鋭利さと刃持ちの向上を目指して。

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奥殿の硬口、天井巣板です。上の赤ピンもそうですが此方も、自分で採って来た砥石です。其れが性能・相性抜群で御依頼品に役立つのは、研ぎ工程の中でも大変に感慨深いです。

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研ぎ上がり、右側面全体です。

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刃部アップ

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刃先拡大画像

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左側面

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鍔や、柄も磨く事に成っていました。鍔とタングは普通に。木グリは鍔との境目が大きな段差でしたので、6~7割方を削って置きました。加えて全体に角張っていた部分の鈍角化。

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表面上の傷を消す事を最優先では有りませんので、特に厚みを残したい部分(刃元の他、刃幅で峰側の三分の一。削ると刃体の強度や剛性が低下)や深い傷だった部分には目立つ傷も残っています。しかしT様には、御使用でも不満の無い性能を鑑み、現状の外観にも納得して頂けた様です。

何時もながら、拘りの外観もさる事ながら、やはり実用面を最優先との方向性に賛同下さり有難う御座います。加えて、私の狙い通り(前回よりは)リーズナブルになった代金を心配して?キリの良い額での御振り込みにも感謝致します。今後も御役に立てる場合は、宜しく御願い致します。

 

 

 

 

 

何時もの常連様からの御依頼、二本

 

少し前、芦屋での食事会の折りにベスパのディーラーの方から預かっていた物です。

二本共に炭素鋼、と言っても片方(下画像下側)は特殊鋼に近い青紙スーパーですね。それででしょうか、地金の方が錆に弱い様子。

 

 

研ぎ前の状態。双方、未だ切れると言える位ですが、全体に軽く摩耗して居り、何箇所かに小さな欠け・捲れが有ります。

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青紙スーパーの方、刃部アップ

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裏です

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人造の1000番二種・3000番から研ぎます。

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天然は中硬の巣板⇒中山の天井巣板超硬。以前に中山の中腹から山頂へ案内を受けた際に、サンプルとして得た物です。ほぼ奥殿の天井巣板超硬と似て居り(まあ隣の山ですし)、滑らか且つ掛かりの良い刃を付けてくれます。

おまけに返りの処理が難しいタイプの鋼材・熱処理の仕上げの刃物への最終仕上げにも向いているので便利。

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研ぎ上がり

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研ぎ後、刃部アップ

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刃先拡大画像

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牛刀の方も、人造に関しては同様。ただし、此方は刃先の厚みが若干ですが邪魔に成って来ていましたので、小刃の幅を広げつつ(その幅の中で特に右側中央~切っ先に目立った)厚みを調整。幅の先側半分で刃先へ向かってハマグリ。切っ先へ向かってテーパー状に刃先を角度調整。

天然の仕上げには、以前に採って来ていた原石(かなり昔の切り落とし)を、昨日ハツって面を付けたばかりの物。手持ちの炭素鋼のペティに対して、嘗て無い種類の刃を付けてくれたので、小さいながらも使って見ましたが大当たりでした。

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研ぎ上がり

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研ぎ後、刃部アップ

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刃先拡大画像。欠けや錆の痕跡が殆ど影響しないレベルに成った時点で研ぎを留めました。

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T様には何事によらず、御世話に成っておりますが此の度も研ぎの御依頼を頂き、有難う御座います。今後もベスパ・パソコン関係その他、御面倒をお掛けすると思いますが宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

五本の御依頼、最後の一本

 

でっかい三徳と言うか、三徳っぽい菜切り(やや大)と言うべきか、多数派には含まれない感じの包丁です。全体に薄い赤錆・一部に深い錆(と黒っぽい錆)が有りましたが欲を出すと大事に成りそうですので、今回は軽い作業で落ちる赤錆びのみを狙って落としました。

 

研ぎ前の状態。

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人造から研いで行きます。刃先の錆と欠け・摩耗をチェックしつつですが、当初は目立たなかった刃元の摩耗が予想外に厄介。

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中砥で傷を消して刃先を揃えます

 

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一旦、巣板まで仕上げたのですが試し切りにて、どうしても厚みが邪魔をするので(仕上げた刃先の後ろ側を)研いで行きます。特に切っ先寄りの三分の一が初期刃付けの段階からと思われますが抵抗に成っていました。

 

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再度、中硬の奥殿天井巣板で。

 

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相手を選ぶ傾向にある、奥殿敷巣板茶色際?で最終仕上げです。かなりの相性の良さを見せてくれました。

 

 

 

研ぎ上がりです。

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刃先の拡大画像。側面からは摩耗や錆の痕跡が刃線に掛かっている様に見える部分も有りますが、切れに影響しない段階までは研ぎ進めました。

 

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此れで、今回の五本は仕上がりましたので本日、御返送の運びと成りました。明日には到着との事でしたので、H様には御手元に到着の際に御確認の上、問題など有りましたら御知らせ頂きたいと思います。

此の度も研ぎの御依頼を頂きまして、有難う御座いました。今後も御役に立てる場合は宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

五本の御依頼、次の二本

 

刃先のみの研ぎで問題が無いと判断された、二本の和包丁です。柳と出刃ですが、切り刃の状態・刃先の状態ともに私の研ぎに若干ですが近い感じ。

紙の束への切り込み・抜けも通常は納得いくレベルでしたが、最終の刃先角度は鋼材・熱処理由来の特性から見ると、ギリギリの強度かと思われました。

あと、出刃の切っ先の欠けは知れていたのですが、双方ともに先寄りの四割程度が表側(地金側)に反っていました。八寸の出刃は厚みが厚みなので現物に合わせて研いで行き、柳の方は三分の一程度まで反りを減らして研いで行きました。

出刃は、本格的に修理すると表から鏨を入れて削っての大手術に成りますし、柳も反りを追い込むと裏の歪みに逃げられない範囲で留めました。砥石への載せ方で対応出来るレベルであれば何とか成るとも言えます。

 

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研ぎ前です。刃金部分の研ぎは、初期刃付けの痕跡と思われる角度の不均一。地金部分も幾分は厚みの不安定も有りますが、一般家庭的には許容範囲でしょうか。

 

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同じく裏。表もですが、薄っすらと錆び(少し濃い変色レベルが大半ですが)も。

 

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柳の刃部のアップ

 

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刃先の拡大

 

 

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出刃の刃部のアップ

 

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出刃の刃先の拡大

 

 

 

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人造の緑1000⇒白1000⇒3000番で刃先の形成。刃先周辺の厚みを増やさずに、先へ行く程に鈍角化。そして、切っ先へ向かって50°⇒40°⇒30°の角度変化。

 

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奥殿の中硬天井巣板で傷消しと形成の仕上げ。次に中硬の中山赤ピン。最終は、同じ中山赤ピンながら硬口の物。

 

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研ぎ後、刃部のアップ

 

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同じく、刃先の拡大

 

 

 

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出刃も、人造は同じ工程です。但し、角度変化は刃元から70°⇒50°⇒30°としています。

 

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巣板までは天然も同じですが、中山の緑板各種で相性を見て。

 

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研ぎ後の刃部アップ

 

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同じく、刃先の拡大

 

 

 

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研ぎ上がりです。切り刃全体も、奥殿の軟質天井巣板の小割りで撫でて研ぎ目を浅くしています。多少は錆対策に成るかと。

 

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裏も、研磨剤(細か目)で変色を減らして置きます。

 

 

 

H様には現在、此れで問題が無いか画像添付メールにて判断を仰いでいます。大丈夫であれば此の二本は終了となりますが、今回の二本は刃先メインの研ぎでしたので、和包丁基準では無く洋包丁基準での研ぎ料金と成ります。

それも、洋包丁基準の中でも低(1cm当たり100円+税)・中(1cm当たり200円+税)の段階。因みに柳が前者・出刃が後者です。切り刃に問題さえなければ、この様な場合も有ります。逆に、当方で切り刃を適切に砥ぎ上げて置けば、暫くは刃先を御自身で研いで維持管理も可能となります。

H様には御連絡を御待ちしつつも、最後の一本を仕上げて参りますので、今少しの御待ちを御願い致します。

 

 

 

 

 

纏めて五本の御依頼、二本分

 

さて東京のH様からの御依頼品です。先行して洋包丁の方が二本、研ぎ上がっていましたので其方から。

和包丁(柳・出刃)に関しては、初期の状態で充分な切れが確認出来ましたので、若干の心配が有る刃先の研ぎだけでも良いか?の質問をしました。併せて、上記二本の画像を添付し状態確認をしてほしい旨、メールしました。結果、和包丁は刃先のみで良いと。洋包丁の仕上がりに言及は無かったので、まあ大丈夫だったのかなと判断しました。

 

 

 

研ぎ前の状態。三徳っぽい牛刀と言うか。

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刃部のアップ。刃先に少し、厚みが出始めています。或る程度の摩耗と、そこそこの欠けも。

 

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人造から研いで行きます。刃先の2mm程度の幅から、3mm程の幅に変更して鋭角目に研ぎます。切っ先10°~刃元15°弱と云った所でしょうか、或る程度は刃先周辺が薄くなった段階で、(1mm前後幅で)先へ行く程に角度を鈍角に。

最終刃先角度は刃元⇒中間⇒切っ先へ、40°⇒30°⇒20°の変化付き。小刃の幅が左右で違っていましたので、右側優先を踏襲。

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軽く錆も落として天然へ移行。中硬の巣板から。

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中山の緑板で仕上がりました。

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研ぎ上がりです。

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次に、ペティです。此方は、殆ど新品の状態。多少、シャープナーで擦った様な痕跡は有りますが。

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人造は、前述の内容と同じ。天然に入ってからは、黒蓮華。

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中山の緑は同様ですが、僅かに硬さと細かさが上回る物。返りの出方や取れ難さへの対処が、変更の主な目的です。其の上で切れの仕上がりに不足が無ければ合格。

440系統にしては、素直な仕上げの熱処理との印象を受けます。ステンレス系統は結構な割合で、(中山なら)浅葱や並砥で仕上がる事が多いのですが。

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研ぎ上がり。小刃の範囲を極僅かに広げて、刃先側と反対側で角度変化を。抵抗の低減と、耐久の向上を図ります。切っ先へ向けての鋭角化も施しますが、視覚的には判別困難でしょう。狙い通りに仕上がりました。

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H様には此の後、錆のより多い菜切り様?の三徳でしょうか、其方に掛かりますので宜しく御願い致します。仕上がりましたら順次、出刃・柳へ進みたいと思っております。

 

 

 

 

 

日本剃刀の御依頼

 

埼玉のI様から、日本剃刀の研ぎの御依頼を頂きました。カミソリの系統は稀に御依頼が有るのですが・・・私にとっては得意分野・専門分野とまでは言えませんので、飽くまでも出来る範囲でと断った上で御受けしています。

 

 

 

到着時の状態。中梳きの部分が減っています。つまり、砥石に当たる面積が増加している。研ぎ難い程では無い物の、刃先を安定して砥ぎ上げる事には若干、気を遣う傾向に有ります。

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裏は逆に、当たっている面積が少な過ぎる位です。あと、刃線の両端が不定形・・・特に先端は欠けている状態。

 

 

 

研ぎの前に、軽くですが梳き直して置きます。此の手の作業にしか使わないリューターの出番です。その後は砥石の小割りや細切り、ペーパー類で。

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人造の400番から3000番まで。

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天然です。刃金に向いた中硬の巣板から。硬さの割りに、地金には優しくない(均一な研ぎ肌を現わし難い)ですが今回の役割は刃金重視ですので。

 

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少し硬さと細かさが上回る巣板。剃刀の刃先は、繊細さを重視される筆頭ですので、細かい段階分けを経て仕上げて行きます。

 

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更に上の八枚。

 

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奥殿の本巣板。

 

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最終仕上げは、中山の水浅葱系統の二つ。こんな事も在ろうかと、予て用意のレーザー用です。

やや変形している此の砥石は、初めて中山の砥石を購入する機会に選んだ砥石達の内でも、最初の物。其れも在って思い出深いのですが、綺麗な長方形の物と合わせて今回の剃刀には、可成りの相性の良さを見せてくれました。

御尻に確認できる例の判子は、かなりフランクに捺されていて愉快です。此処まで適当?なのは珍しいレベル。

 

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両者、細かさでは甲乙付け難いのですが、硬さは僅かに長方形が上。其の所為か、切れの仕上がりでも凌駕していました。やはり同質・同性能と思えても、相性の差は厳然と存在する様です。

 

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硬くて細かい砥石の代表でも有りますが・・・刃物の切れの性能は、極限までの硬さ・細かさに依拠する・階層に比例するとは限らない気がします。鋼材の組織の状態次第で、ベストと言える仕上がりに差が出るからです。

まあ、通常は其処までの追い込み方は為されないとは思いますし、煎じ詰めれば?の話しでは有ります。しかし、折角ですから対象の実力を少しでも引き出して、刃物が持ち主に惚れ直して貰える事を望んでいます。

 

 

研ぎ上がりです。

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刃先の拡大画像。返りの処理と全体の均一性に不足を感じたので、この後に何度か研ぎ直して何とか改善しました。

 

 

 

I様には今回、研ぎ依頼を頂きまして有難う御座います。到着後の御使用に於いて、問題など有りましたら調整し直したいと思いますので御知らせ下さい。

 

 

 

 

 

市内からの御依頼、サイズ違いの洋包丁

 

大阪市内のO様から、三本の研ぎ依頼を頂きました。かなり包丁屋研ぎに拘りを御持ちなのかも知れません。同一銘柄で揃っている他、刃先周辺と刃先その物の研ぎに明確な方針を御見受けしました。

それだけに、届いた状態を踏襲するべきか悩むところも有りましたが・・・わざわざ御送り下さった事でも有りますし、今後の研ぎの参考にして頂くのも悪く無いかなと中庸を選びました。つまり、相当に薄く研がれている刃先周辺までは手を付けず、小刃の範囲だけで刃先へ行く程にキツクなる微細なハマグリ+切っ先へ向けて鋭角化を施しました。(厚みの出て来ているペティは除く)

 

 

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一部に少々の錆が有ったりしますが、(刃先周辺の角度と併せ)刃先の糸引きの幅と角度は鋭利さ重視でありつつも、(此の鋼材に見合った)耐久性も考慮されており見事です。

 

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一番、良い状態を維持していた中の牛刀の刃先。上記を証明しています。

 

 

以下に、研ぎ完了後にO様に宛てたメールの文章を一部、転載してみます。

簡単に到着時の状態などを御説明しますと、牛刀の大は刃先まで平滑で鋭利な研がれ方・糸引きの幅や角度も切れを重視。其の為に紙の束には効果的に切り込めましたが、捩った束には纏わり付かれて抜けが重かったです。

中は逆に、刃先の角度と刃先までの角度に少し差が有りました。其の為に、紙の束には手応えを感じつつも切り込め、捩った束には纏わり付かれる割合が少なかったです。

ペティに関しましては、厚みが増してきていたからでしょうか、刃先までの部分の処理に不足が有った様子。結果的に、紙の束や捩った束には苦戦する状態。
以上の内容から、其々の不足分を補う方向で研いで行きましたので、(もしも之までに研ぎ分けて居られたのならば)切れ心地に特徴が無くなったと感じられるかも知れません。しかし、私が必要と感じる性能は確保できたかと思われます。しかし、到着時の刃先角度は鋭利でありながら或る程度の永切れも満たしていて、良く考えられている刃先だったと感じました。
到着後に御使用の結果、問題など有りましたら御連絡下さい。

 

 

 

研いで行きますが、ペティ以外は厚みも無く欠けも微細なレベルでしたので、今回は人造の3000番から。

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ペティのみ、刃先までの数ミリ部分は厚みを取りつつ刃先へ向けて鋭角に。次に、最後の1mm程は刃先へ向かって鈍角に。

 

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次に、中硬の巣板で研磨痕を浅くしつつ、更に形状を整えます。

 

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最後は中山の戸前、緑板で仕上げました。

 

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大の牛刀は、刃先のみの研ぎです。しかし小刃の範囲内(2㎜未満)でペティに準拠した内容を盛り込みます。特に、切っ先寄りの数センチは抜けの重さへの対応の為、角度変化を兼ねて厚みの調整。

 

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牛刀の中は、大よりも若干ですが小刃を鋭角化。但しバランスを取る為に刃先の鈍角化は明確に。

しかし緑板では返りの出方が(大と比べて)強かったので、中山戸前の黄緑で。結果は返りも小さく緻密な刃先に。

 

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しかし、(大と比べて)切れが僅かに重かったので中山の合いさっぽい物で最終仕上げ。此れで大と中の差を埋められたかと。

 

 

 

研ぎ上がりです

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牛刀の大、刃先拡大画像

 

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牛刀の中、刃先拡大画像

 

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ペティの刃先拡大画像

 

 

 

O様には此の度、三本の包丁を御送り頂き有難う御座いました。御好みの切れ加減に成っていましたら幸いですが、御使用に於いて問題などが有りましたら調整し直したいと思いますので、御遠慮なく御知らせ下さい。今後も、私で御役に立てる場合は宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

北海道の常連様からの御依頼、三本目

 

T様からの包丁、三本目は司作の出刃、流水飛紋です。

御自身で軽く研いで見たものの、狙い通りの仕上がりに成らなかったとかでしたか・・・刃先の状態は殆ど問題無かったのですが(裏押しとの整合性は少し不足気味?)、切り刃の角度の最適化・厚みのテーパー状の変化は要改善でした。

 

 

研ぎ前の状態

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結構、良く纏っている様にも見えます。実際、刃先その物の切れ・刃先から数ミリの範囲での切れ込みは、マズマズ。

しかし切り刃は、切っ先から5cm・10cmの辺りに凸部が。又、初期刃付けからの傾向か、切り刃の角度自体が少し鈍角気味。加えて切っ先へ向けての角度・厚みのテーパーが不足。

其の辺りを改善しつつも、外観が大幅に変更に成らない様に仕上げて行きました。刃金部分近辺は、何時もの刃先へ向かって二次曲線的に鈍角になって行くハマグリ(切っ先へ向かって可変鋭角)です。

 

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裏押しは、もう少し追い込むと揃って来そう。

 

 

 

人造の400・1000の二種・3000番で均して行きます。

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人造の小割りで、微調整。此の作業は、後に何度も必要に成る工程でした。

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天然に移行し、中硬の巣板で。

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最終仕上げで、中山のコッパ二種を試します。結果、緑よりも黄色の方が相性的に優れて居り、万全の仕上がりに。

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研ぎ上がりです。

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研ぎ乍ら、何度も切れ加減をテストした甲斐があり?、切り刃の外観は初期と比べても著変無しに。複雑な計算を盛り込み、刃先の変更と合わせ、切れ込み・抜け共に性能的には大幅改善なのですが・・・(笑)。

 

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刃金部分では、何時も通りに刃先へ向かうに従って角度が急に(砥ぎ目の幅が狭く)成っていますね。

 

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拡大しても同様。刃元~切っ先まで、柳の50度➡40度➡30度に対して70度➡50度➡30度と成っていますので、角度変化が顕著に。

 

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裏も、切っ先周辺の数ミリ以外の部分は裏押しが整いました。

 

 

 

T様には、今回も大事な包丁達を御任せ下さり、有難う御座いました。仕上がりに関しては、メールでもOKを頂きましたので明日にも御返送の予定です。

いつも研ぎの御依頼、有難う御座います。今回は、奥殿天井巣板の小割り三種の内、二種を多用しましたが御自身での御手入れ用に、幾つかの小割りを同梱しておきますので、お役立て頂けましたら幸いです。

 

 

 

 

 

北海道の常連様からの御依頼、二本目

 

此れも、同一メーカー・同一鋼材の希少な牛刀という事に成ります。切れに関する御要望以外には、大きな傷まで目立たなくする事と、鍔・ハンドル周りも磨いて欲しいとの事で。

 

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先ずは、人造の400番辺りから刃先を中心に研いで行きます。次いで1000番・3000番へ。形状は整っている方ですが、若干は刃元・切っ先カーブよりも刃線中央に厚みは残存。

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角砥石に続いて、小割りの人造各種も用い刃先周辺の厚み・角度変化の調整。

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細かい人造の小割り・荒目の耐水ペーパー・布ペーパーで傷消しに重点を移して。

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番手を上げて、更に細かく。一旦、此の状態で様子を見るも物足りず。T様からは、鏡面ほどでは無くてヘアライン程度でも可、との事でしたが・・・。

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やはり予想よりも均一さが今一かなと。

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再度、(既に数回は、やり直して居たのですが)刃先寄りの傷消しと側面の傷の軽減を狙います。

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T様からはヘアラインと聞いていたのですが、此処からだとサテンフィニッシュに成るなと考えつつ御確認頂いた所、此の儘で良いと。最後の仕上げとして、一日前に高雄から持ち帰った奥殿の巣板で砥ぎ上げました。

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刃先の拡大では、柳よりも若干ですが(牛刀としては)鋭さを追求してみたのが観察できるかも知れません。まあ、此方は両刃なので片刃より元から有利では有りますが、熱処理の関係でしょうか確りしている感触でしたので。

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T様には、御依頼初期の仕様とは変更になってしまったり、研磨痕を正確にヘアラインにも仕切れず、ミラーフィニッシュにも仕切れない、どっちつかずにも関わらずOKを頂きまして有難う御座います。

念の為、軽い負荷から試して頂きたいですが、恐らくは通常使用に於いて不安は少ないと考えて居ります。次の出刃は、かなり順調に作業を進められると思いますので、今回最後の御待ちを御願い致します。