カテゴリー別アーカイブ: 依頼の刃物

市内からの御依頼、サイズ違いの洋包丁

 

大阪市内のO様から、三本の研ぎ依頼を頂きました。かなり包丁屋研ぎに拘りを御持ちなのかも知れません。同一銘柄で揃っている他、刃先周辺と刃先その物の研ぎに明確な方針を御見受けしました。

それだけに、届いた状態を踏襲するべきか悩むところも有りましたが・・・わざわざ御送り下さった事でも有りますし、今後の研ぎの参考にして頂くのも悪く無いかなと中庸を選びました。つまり、相当に薄く研がれている刃先周辺までは手を付けず、小刃の範囲だけで刃先へ行く程にキツクなる微細なハマグリ+切っ先へ向けて鋭角化を施しました。(厚みの出て来ているペティは除く)

 

 

KIMG5489

 

KIMG5490

一部に少々の錆が有ったりしますが、(刃先周辺の角度と併せ)刃先の糸引きの幅と角度は鋭利さ重視でありつつも、(此の鋼材に見合った)耐久性も考慮されており見事です。

 

Still_2020-01-21_143401_60.0X_N0006

一番、良い状態を維持していた中の牛刀の刃先。上記を証明しています。

 

 

以下に、研ぎ完了後にO様に宛てたメールの文章を一部、転載してみます。

簡単に到着時の状態などを御説明しますと、牛刀の大は刃先まで平滑で鋭利な研がれ方・糸引きの幅や角度も切れを重視。其の為に紙の束には効果的に切り込めましたが、捩った束には纏わり付かれて抜けが重かったです。

中は逆に、刃先の角度と刃先までの角度に少し差が有りました。其の為に、紙の束には手応えを感じつつも切り込め、捩った束には纏わり付かれる割合が少なかったです。

ペティに関しましては、厚みが増してきていたからでしょうか、刃先までの部分の処理に不足が有った様子。結果的に、紙の束や捩った束には苦戦する状態。
以上の内容から、其々の不足分を補う方向で研いで行きましたので、(もしも之までに研ぎ分けて居られたのならば)切れ心地に特徴が無くなったと感じられるかも知れません。しかし、私が必要と感じる性能は確保できたかと思われます。しかし、到着時の刃先角度は鋭利でありながら或る程度の永切れも満たしていて、良く考えられている刃先だったと感じました。
到着後に御使用の結果、問題など有りましたら御連絡下さい。

 

 

 

研いで行きますが、ペティ以外は厚みも無く欠けも微細なレベルでしたので、今回は人造の3000番から。

KIMG5491

ペティのみ、刃先までの数ミリ部分は厚みを取りつつ刃先へ向けて鋭角に。次に、最後の1mm程は刃先へ向かって鈍角に。

 

KIMG5492

次に、中硬の巣板で研磨痕を浅くしつつ、更に形状を整えます。

 

KIMG5493

最後は中山の戸前、緑板で仕上げました。

 

KIMG5496

大の牛刀は、刃先のみの研ぎです。しかし小刃の範囲内(2㎜未満)でペティに準拠した内容を盛り込みます。特に、切っ先寄りの数センチは抜けの重さへの対応の為、角度変化を兼ねて厚みの調整。

 

KIMG5497

牛刀の中は、大よりも若干ですが小刃を鋭角化。但しバランスを取る為に刃先の鈍角化は明確に。

しかし緑板では返りの出方が(大と比べて)強かったので、中山戸前の黄緑で。結果は返りも小さく緻密な刃先に。

 

KIMG5498

しかし、(大と比べて)切れが僅かに重かったので中山の合いさっぽい物で最終仕上げ。此れで大と中の差を埋められたかと。

 

 

 

研ぎ上がりです

KIMG5499

 

KIMG5500

 

 

Still_2020-01-21_181147_60.0X_N0008

牛刀の大、刃先拡大画像

 

Still_2020-01-21_181305_60.0X_N0009

牛刀の中、刃先拡大画像

 

Still_2020-01-21_181357_60.0X_N0010

ペティの刃先拡大画像

 

 

 

O様には此の度、三本の包丁を御送り頂き有難う御座いました。御好みの切れ加減に成っていましたら幸いですが、御使用に於いて問題などが有りましたら調整し直したいと思いますので、御遠慮なく御知らせ下さい。今後も、私で御役に立てる場合は宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

北海道の常連様からの御依頼、三本目

 

T様からの包丁、三本目は司作の出刃、流水飛紋です。

御自身で軽く研いで見たものの、狙い通りの仕上がりに成らなかったとかでしたか・・・刃先の状態は殆ど問題無かったのですが(裏押しとの整合性は少し不足気味?)、切り刃の角度の最適化・厚みのテーパー状の変化は要改善でした。

 

 

研ぎ前の状態

KIMG5457

 

KIMG5458

結構、良く纏っている様にも見えます。実際、刃先その物の切れ・刃先から数ミリの範囲での切れ込みは、マズマズ。

しかし切り刃は、切っ先から5cm・10cmの辺りに凸部が。又、初期刃付けからの傾向か、切り刃の角度自体が少し鈍角気味。加えて切っ先へ向けての角度・厚みのテーパーが不足。

其の辺りを改善しつつも、外観が大幅に変更に成らない様に仕上げて行きました。刃金部分近辺は、何時もの刃先へ向かって二次曲線的に鈍角になって行くハマグリ(切っ先へ向かって可変鋭角)です。

 

KIMG5459

裏押しは、もう少し追い込むと揃って来そう。

 

 

 

人造の400・1000の二種・3000番で均して行きます。

KIMG5460

 

KIMG5461

 

人造の小割りで、微調整。此の作業は、後に何度も必要に成る工程でした。

KIMG5462

 

天然に移行し、中硬の巣板で。

KIMG5463

 

KIMG5464

 

最終仕上げで、中山のコッパ二種を試します。結果、緑よりも黄色の方が相性的に優れて居り、万全の仕上がりに。

KIMG5467

 

 

 

研ぎ上がりです。

KIMG5469

研ぎ乍ら、何度も切れ加減をテストした甲斐があり?、切り刃の外観は初期と比べても著変無しに。複雑な計算を盛り込み、刃先の変更と合わせ、切れ込み・抜け共に性能的には大幅改善なのですが・・・(笑)。

 

KIMG5470

刃金部分では、何時も通りに刃先へ向かうに従って角度が急に(砥ぎ目の幅が狭く)成っていますね。

 

Still_2019-12-25_000758_60.0X_N0004

拡大しても同様。刃元~切っ先まで、柳の50度➡40度➡30度に対して70度➡50度➡30度と成っていますので、角度変化が顕著に。

 

KIMG5471

裏も、切っ先周辺の数ミリ以外の部分は裏押しが整いました。

 

 

 

T様には、今回も大事な包丁達を御任せ下さり、有難う御座いました。仕上がりに関しては、メールでもOKを頂きましたので明日にも御返送の予定です。

いつも研ぎの御依頼、有難う御座います。今回は、奥殿天井巣板の小割り三種の内、二種を多用しましたが御自身での御手入れ用に、幾つかの小割りを同梱しておきますので、お役立て頂けましたら幸いです。

 

 

 

 

 

北海道の常連様からの御依頼、二本目

 

此れも、同一メーカー・同一鋼材の希少な牛刀という事に成ります。切れに関する御要望以外には、大きな傷まで目立たなくする事と、鍔・ハンドル周りも磨いて欲しいとの事で。

 

KIMG5421

 

 

KIMG5422

 

KIMG5425

 

KIMG5428

 

 

 

先ずは、人造の400番辺りから刃先を中心に研いで行きます。次いで1000番・3000番へ。形状は整っている方ですが、若干は刃元・切っ先カーブよりも刃線中央に厚みは残存。

KIMG5429

 

角砥石に続いて、小割りの人造各種も用い刃先周辺の厚み・角度変化の調整。

KIMG5430

 

細かい人造の小割り・荒目の耐水ペーパー・布ペーパーで傷消しに重点を移して。

KIMG5431

 

番手を上げて、更に細かく。一旦、此の状態で様子を見るも物足りず。T様からは、鏡面ほどでは無くてヘアライン程度でも可、との事でしたが・・・。

KIMG5432

 

やはり予想よりも均一さが今一かなと。

KIMG5433

 

 

再度、(既に数回は、やり直して居たのですが)刃先寄りの傷消しと側面の傷の軽減を狙います。

KIMG5434

 

KIMG5435

 

KIMG5436

 

KIMG5437

 

 

T様からはヘアラインと聞いていたのですが、此処からだとサテンフィニッシュに成るなと考えつつ御確認頂いた所、此の儘で良いと。最後の仕上げとして、一日前に高雄から持ち帰った奥殿の巣板で砥ぎ上げました。

KIMG5440

 

KIMG5441

 

 

 

KIMG5442

 

KIMG5444

 

刃先の拡大では、柳よりも若干ですが(牛刀としては)鋭さを追求してみたのが観察できるかも知れません。まあ、此方は両刃なので片刃より元から有利では有りますが、熱処理の関係でしょうか確りしている感触でしたので。

Still_2019-12-07_173812_60.0X_N0003

 

KIMG5445

 

 

 

T様には、御依頼初期の仕様とは変更になってしまったり、研磨痕を正確にヘアラインにも仕切れず、ミラーフィニッシュにも仕切れない、どっちつかずにも関わらずOKを頂きまして有難う御座います。

念の為、軽い負荷から試して頂きたいですが、恐らくは通常使用に於いて不安は少ないと考えて居ります。次の出刃は、かなり順調に作業を進められると思いますので、今回最後の御待ちを御願い致します。

 

 

 

 

 

北海道の常連様からの御依頼、一本目

 

北海道には御二方が御贔屓にして下さっていますが、その一方のT様は可成り昔からの銘品、名人の作などに造詣が深いです。今回も、今は存在しない有名なメーカーから出された凝った物、過去から既に希少と成っていた二本を含む三本を送って頂きました。

しかしマニアックな刃物が届くと毎回思うのですが、不器用な上に砥石と最低限レベルの道具・工具しか使わない流儀の私に扱わせて大丈夫なのか・・・もっと多彩な機材を使いこなして如才なく仕上げる人間も居るのでは・・・。そんな気持ちを押し殺し?(以前にメールで尋ねると、様々勘案した結果、御前で良いとの返答だった様なので)今回も戦々恐々、進めて行きました。

 

到着時

KIMG5393

刃線を接地させると、裏押し部分が揃って当たりますが峰側の先寄りが浮きます。軽く修正しましたが、余り刃幅の無い包丁で追い込むと刃先に乱れが移動し易いので、程々に。

 

KIMG5394

 

KIMG5395

 

 

 

研いで行きますが、見た目よりも切り刃は均一で無い部分が見られます。従って人造の400番から。但し、薄目の刃体ですので加減しつつです。

KIMG5396

 

軽く400を当てた効果を見る為、1000番を。刃元寄りの半分で、凹凸が目立ちます。

KIMG5397

 

傷の浅い1000番で、切っ先寄りの半分を進めてみます。割合、揃って来ましたが少し、中央からカーブまでの厚みが余分な印象。

KIMG5398

 

傷は浅いが研磨力の有る1000番で、先寄りは厚み取り。元寄りは形状の均し研ぎ。

KIMG5399

 

それでも、銘の下二文字の辺りの初期の研削痕が残存。刃先中心に全体的な均整が取れて来ましたので、此れ以上は他の部分を余計に減らさねば成りません。其れは避けて、研ぎ目を整える方向に。

KIMG5400

 

 

平の他に、マチの磨きも御希望で。運よく?研いでいる最中に柄の固定が緩い事が発覚したので取り去りました。

KIMG5401

 

マチの磨きはダイヤ鑢とペーパー、布ペーパーで。平も其れに準じますが、傷が入り易く取れ難い性格の様です。

KIMG5403

 

当てる素材や方向、力加減を工夫して仕上がりの違いを確認。此れが今回、一番苦労した部分でした。

KIMG5404

 

 

中硬の巣板、数種で切り刃と裏押しを。

KIMG5405

 

中山の中硬。

KIMG5407

 

切り刃の均し研ぎ(奥殿の天井巣板の小割り)と、平の磨きを継続。

KIMG5408

 

平の磨きで感じた繊細さを、刃先の仕上げでも感じます。特に、切っ先カーブ手前の範囲で返りが大きいと言うより、小さな欠けが出易く刃先に乱れが。

KIMG5409

 

少し、当たりの柔らかい巣板でも改善は僅か。

KIMG5410

 

硬目・細か目で有りながら、当たりがソフトな若狭の各種で。

KIMG5414

 

 

 

何とか仕上がりました。

KIMG5415

研ぎ後、全体。

 

KIMG5416

刃部アップ。

 

Still_2019-11-18_174135_60.0X_N0006

刃先拡大画像、先寄り。角度30度強。

 

Still_2019-11-18_174205_60.0X_N0007

刃先拡大画像、元寄り。角度45度強。

 

Still_2019-11-18_174108_60.0X_N0005

欠けが出易かった部分。範囲・程度は大幅に改善。今回の組織は敏感なので、何時もより一定の角度で確り当てた事により小刃っぽくなっています。

 

KIMG5418

裏の状態。此方も、相性と作業性を求めて各種砥石を当てましたが、幅の狭い砥石の時に峰側の切っ先手前の裏梳き部に接触。裏の磨きは依頼に含まれなかったので、消すに消せなく申し訳無かったのですが。御送りした画像を確認したT様からのメールで、必要な作業で付いた自然な傷は美しいと・・・精進在るのみですね。

 

KIMG5419

マチの磨きが、最も上手く行っている気がしないでも無いのが複雑ですが・・・此れもT様からの御依頼で鍛えられた様な物ですね(笑)。柄が外せたのも大きかったのですが。

 

 

T様には後、二本の仕上がりまで御待ちを頂きますが、宜しく御願い致します。次の牛刀は同じシリーズらしき牛刀とか。再び強敵の予感ですが、コツコツ進めて行きたいと思います。最後の、司作の出刃はスムーズに終えられる予定では居ります・・・。

 

 

 

 

 

京都の常連様からの御依頼、二本目

 

京都の常連様からの二本目です。此方も本焼きですね。刃渡り迄、尺一前後と御揃いで。

 

研ぎ前の状態。幾つかの小さな欠けと、其れより若干ですが大きな欠けが一つ。あと、切っ先の損傷が目に付きます。切り刃全体の厚みのテーパーも弱いと言うか、不均一な部分が混在。

KIMG5370

 

KIMG5373

 

 

KIMG5372

 

 

 

やはり最初は、人造の400番から。その後、1000番⇒3000番で。

KIMG5375

 

KIMG5376

 

天然に移行し、中硬の巣板⇒若狭のカラス。

KIMG5377

 

KIMG5378

 

一本目と比べて此方の包丁は、硬さや組織の細かさが幾分ですが上回る印象です。其の為、奥殿の蓮華入りの白との相性は同様ながら、研ぎ肌の仕上がりと刃先の永切れも十分と成りましたので最終としました。

KIMG5379

 

 

 

研ぎ上がりです。

KIMG5383

 

KIMG5385

 

Still_2019-11-03_005607_60.0X_N0003

 

KIMG5386

 

裏は、やはり裏押し時の平面度の不足でしょう、其の傾向が強かった切っ先寄りの三分の一は、僅かに角度を起こして合わせて有ります。此方も、研ぎ進む内に表裏から揃って来るのを期待する所です。

 

 

 

H様には、此の度も研ぎの御依頼を頂き、感謝致します。先日に見せて頂いたネタの切り付け・味わわせて頂いた、熟成した魚の数々は大変勉強に成りました。今回の包丁達も、素晴らしい御仕事に貢献できる研ぎに成っている事を願って居ります。

御返送は、御希望に合わせて発送致しますので、宜しく御願い致します。既に画像で御確認頂いておりますが、もう少々手元に置く事に成るので、表面的にですが軽く手直しをしてしまうかも知れません(笑)。見ていると、もう少し此処が気に成るかな?と言う部分が出て来たり。少しでも良くしたいとの思いが消し切れませず・・・終わりが決められないのも、困り物ですね。

 

 

 

KIMG5391

殆ど自己満足のレベルですが、発送前に少々の研ぎ直し。複雑な面の連続性が、より滑らかに成ったと思って居ます。明日の到着時、喜んで頂けると良いのですが。

 

 

 

 

 

京都の常連様からの御依頼、一本目

 

以前、二度ほど研ぎの御依頼を頂いた折りに、店舗の方へ伺いたいと希望していた鮨店に行く事が出来ました。今回は、司作の柳の納品に伴っての機会と成りました。

 

下画像の二本の御届け。飛紋と雲竜の地金ですが、現状ではノーマルの鍛え地自体、利器材を使わず製作出来るのは数人に限られる様です。

KIMG5226

 

KIMG5256

 

 

 

出て来た料理の一部です。断らずに載せてしまい良く無いかも知れませんが・・・普段、接する機会が無いレベルでしたので、ついつい。勿論、味に不満の有ろう筈も無く・・・感服しました。

KIMG5289

 

KIMG5294

 

KIMG5298

 

 

 

入れ替わりに、此方を受け取りました。本焼きの二本・・・次の研ぎの御依頼と言う訳ですが、分不相応な贅沢をしてしまった直後ですので、有難い限り(笑)。

1572538672422

 

先ずは此方から。切っ先が少々、傷んでいる他は鎬筋周辺の揺れと、切っ先カーブ辺りの厚みの残存・小さな欠け程度です。

KIMG5314

 

KIMG5315

 

KIMG5316

 

 

 

人造砥石から研いで行きますが、400番で欠けを取りつつ全体を均します。

KIMG5317

 

次いで、1000番で形状を大まかに。

KIMG5318

 

3000番で細部まで揃えます。

KIMG5319

 

天然で傷消し。中硬の巣板と若狭の巣板(軟口)です。

KIMG5320

 

中山の三毛みたいな奴で更に傷消し。防錆と食味に貢献します。

KIMG5358

 

KIMG5359

 

奥殿の巣板(硬口)で最終仕上げ。特に、刃先と裏押しに。

KIMG5360

 

KIMG5361

 

やや柔らか目の仕立ての包丁ですので、永切れを狙って更に中山の浅葱も当てて置きます。

KIMG5363

 

KIMG5364

 

 

 

研ぎ上がりです。

KIMG5366

全体画像

 

KIMG5367

刃部アップ

 

Still_2019-11-01_010045_60.0X_N0002

刃先拡大画像

 

KIMG5368

裏です。従来からの影響で裏押しが、やはり平面に成り切れていなかったので切っ先寄りの三分の一、やや起こして砥石に当てて有ります。

先々には、刃が研ぎ減りするに連れて平面が整って行く筈ですので、表裏から正確に研ぎ進めて行かれる事を期待したいですね。

 

 

 

京都のH様には、今回の研ぎ依頼を含めて御利用を頂き、有難う御座います。其の上更に、司作柳の追加まで発注下さり感謝致します。但し此方は、御存じの様に直ぐさまとは行きませんので、少々の御待ちを頂きます様に御願い致します。

あと、一両日中に今回の二本目が研ぎ上がりましたらメールにて御連絡を致しますので、研ぎ上がり画像で問題が無いか御判断頂きたいと思います。宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

博物館会議に御来場で

 

京都で行なわれた博物館会議に、砥石館もブースを出していたのですが其の際、御来訪を頂いた方の中から先日、研ぎの御依頼を頂きました。

近所と言っても良い距離から御送り下さったI様ですが、左利き・右利き双方の御二人で使用中との事。なるべく、偏りが無い方向で仕上げようと考えて砥ぎました。

 

KIMG5301

研ぎ前の状態。炭素鋼の刃金を、ステンレス地金で挟んだ三層利器材の三徳ですね。炭素鋼の部分(刃先や峰・マチの断面の中央)に錆が見られます。

 

KIMG5302

刃先の欠けや摩耗は、酷いと言う程では有りませんが刃線は白く見えています。

 

KIMG5303

 

 

 

刃先だけの研ぎで済むと思っていたのですが、平や切り刃を軽く磨くと、切っ先付近の切り刃(地金部分)に厚みが残っているのが気に成りました。人造砥石で研ぐ前に、人造の小割りで大まかにですが均し研ぎ。

其の後は、400番⇒1000番⇒3000番と上げて行きます。小割りの終了段階で安心してしまい、画像は撮り忘れです。

KIMG5305

 

 

KIMG5306

天然に移行し、中硬の巣板⇒中山の合いさっぽい物で仕上げ⇒奥殿の天井巣板超硬で最終仕上げとしました。

 

KIMG5307

人造で研いでいる段階では鋼の質も結構、硬さを感じていたのですが、仕上げに掛かると若干の粘りを感じました。研磨力の強い砥石・圧力を掛ける研ぎ方では、返りの処置が厄介な傾向。ですので、今回は掛かりを犠牲にする事なく、刃先を軽く滑らかに研げる奥殿の天井巣板超硬を選びました。

 

 

 

KIMG5308

研ぎ上がりです。

 

KIMG5312

刃と地の境界は、錆の痕跡が残存しますが無駄に減らしたく無かったので研ぎは、此処までで留めました。

切り刃の地金部分はベタに近い研ぎ。刃金部分は刃先に掛けて、鈍角にして行くハマグリ。地金・刃金共に、切っ先方向に向かって厚みを減らしています。

 

Still_2019-10-23_004928_60.0X_N0001

刃先拡大。

 

KIMG5310

切り刃その物の刃付けが元来、右側の厚みが多くなっていましたので、左右均等に近付ける為に左の切り刃を研ぐ割合を減らしました。

 

 

 

I様には、ブースに御越し頂くのみならず、研ぎの御依頼まで頂きまして有難う御座います。当日は、可成りの方々に説明やデモンストレーションをしていたのですが、其の中の幾人かでも砥石や研ぎに関心を持って頂ければとの思いでした。

実際に、依頼をしてみようと思って下さった方が現れた事は、感謝の念に堪えません。仕上げた包丁が御好みに合って、御使用上でも有用で有りましたら幸いです。

 

 

 

 

 

司作柳の二本目、鍛え地雲竜

 

さて二本目の鍛え地です。捻りが加わっているので、雲竜という事になります。シンプルな鍛え地とは、又違った雰囲気で躍動感・奥行きを感じさせますね。まあ、両方とも好きなんですが。

 

研ぎ前

KIMG5241

 

KIMG5238

 

KIMG5239

此の個体は、切り刃の厚みの残存が少なくて仕上げ易いかなと思ったのですが・・・刃線の突出部が刃元・切っ先カーブの開始部分・切っ先手前の三か所に。其処を減らして刃線を整えました。

他には何時も通りに、切り刃全体を刃先へ向かって鋭角のハマグリに。刃金部分は刃先へ向かって鈍角のハマグリ。勿論、切っ先へ向かって角度変化を伴いながら仕上げます。

 

 

 

研いで行くに当たり、平の磨きから始めました。

KIMG5243

 

磨いた平に、天然砥石の小割りを当てて仕上げます。巣板三種に、千枚と八枚。

KIMG5248

 

切り刃の方を、巣板で仕上げ研ぎ。

KIMG5250

 

千枚で最終仕上げ。

KIMG5252

 

刃金部分の先端と裏押しは、水浅葱で。

KIMG5255

 

 

 

研ぎ上がりです。

KIMG5256

 

KIMG5257

 

KIMG5258

 

 

 

此れで今回、送って貰った二本が仕上がりましたので、先方へ連絡する事が出来ます。二年程前から御要望を聞いていたのですが今でも必要とされているのか?いや覚えていてくれてるのか心配ですが・・・。

 

 

 

KIMG5259

 

 

 

 

 

司作柳の本番一本目、流水飛紋

 

手持ちの流水飛紋で予習を終え、御依頼の方に掛かります。

 

KIMG5206

到着時の状態

 

KIMG5217

塗布されていた油を除去。結構、薄目と言うか鋭角な仕立て。

 

KIMG5216

 

KIMG5218

 

 

 

研いで行きます

KIMG5219

人造砥石の小割りで、厚みの調整と鎬筋の修正。カーブ辺りの厚みの残存・刃先の鋭角すぎ?へも対処します。天然の小割りも使って反応の確認。平の仕上がりが、光り気味・砥ぎ肌の表現、の中間でしたので、思い切って磨きました。

この後は天然で仕上げますが折角、私のオリジナルっぽい扱いの商品ですので、納得いくまでやって見ようと。幸い?事前の予行演習で要領も把握済みですし。通常の物ならやりませんけれど。

 

KIMG5221

研承の白の1000と3000で切り刃の全体を調整し、刃金部分の角度の調整は研承の成。研磨力・平面維持・傷の浅さのバランスが良く、便利ですね。其の内、同シリーズの3000番も試してみたい所です。

 

KIMG5224

 

KIMG5222

天然の中硬の巣板

 

KIMG5223

中山の緑板で仕上げ研ぎ

 

KIMG5225

中山の水浅葱で最終仕上げ

 

 

 

KIMG5226

研ぎ上がり、全体画像です。

 

KIMG5229

刃部のアップ

 

KIMG5232

裏ですが、初期段階では刃線中央で僅かに、裏押しが刃先まで当たり切れていない部分が。研ぎ後は、何とか全体が揃って来ました。

此れで、今回の柳はあと一本ですので、仕上がった時点で御依頼主へ御連絡をと考えています。最短で、来週前半には御届け出来るかと思いますので、宜しくお願い致します。

 

 

 

KIMG5235

 

 

 

 

 

海外からの牛刀二本(二本目)

 

本来は、此方の方が御問い合わせの本命でした。鍔元の錆?の痕跡を消せないか?・刃紋をハッキリさせられないか?との事で。前記事の合わせは、発送頂く際に同梱したからと送られて来ました。

 

KIMG5166

切り刃の大部分は、機械仕上げと思われますが結構、肌も綺麗で(少し粒が大きいか)鍛流線も現れています。

 

KIMG5167

刃先の切れも、中々の物。ただ、刃線中央から切っ先寄りで切断時に抵抗が増します。

 

 

Still_2019-09-23_140005_60.0X_N0009

刃先拡大画像

 

KIMG5174

上画像の痕跡を消したいとの事でしたが、見る前から局所ばかりを削れば全体のバランスを崩す事は予想できたので、半減するくらいで留めてはと助言しました。

 

KIMG5168

 

 

 

本焼きの刃紋は、出る時は出るけれど専用に使う砥石を選んで来た訳では無いので、分かりませんよと断って引き受けたのですが。やはり可能な限りは期待に沿える様にと、小割りの増強も一本目の研ぎと同時進行で。

 

KIMG5137

以前に上野館長から貰った水木原の内曇り

 

KIMG5135

更に以前に採取して来た奥殿の天井巣板。現行使用中との性格違いを追加。

 

KIMG5134

同じく、性格違いの奥殿天井巣板の二つ目も追加。

 

KIMG5136

奥殿天井の現行の物。

 

KIMG5130

奥殿天井巣板の現行の物、その二。硬くて明る目に仕上がります。

 

KIMG5133

奥殿の天井巣板、現行の物ですが超硬口。光り系です。

 

KIMG5175

中硬の巣板の後で、上記の各種巣板で様子を見ます。合間に、千枚・八枚で光らせつつ仕上がりを判断。

 

KIMG5176

やや、明るい曇りに仕上がった所で終了。

 

 

 

1569404896168

中山の緑板・合いさっぽい物・中山水浅葱で最終仕上げと狙ったのですが、相性的に普通レベル。

 

KIMG5187

奥殿の本巣板の白、各種ではマズマズ。珍しく持ち出した菖蒲の蓮華入り巣板で仕上がりました。

 

 

 

KIMG5190

研ぎ上がり、全体画像

 

KIMG5192

刃体

 

KIMG5193

刃部アップ

 

Still_2019-09-25_193101_60.0X_N0010

刃先拡大画像

 

KIMG5191

痕跡は、半減しました。

 

KIMG5194

 

 

主目的の平の部分は、何とか狙った範囲の研ぎ肌に成ったかと思われますが、傷や痕跡を完全には消し切れていませんし、刃紋に沿って砥ぎ上げた訳でも有りません。

自分の仕事は切れを出すのが本筋だと考えていますし、美観を重視した仕事は不得手であると自覚もしています。ですので、余り綺麗さに過度な期待は御控え頂きたいのですが、どうしてもと言われれば応えようとしてしまいます。結果的に、仕上がりに満足出来る事が少なくて辛いのですが・・・。

此の度は、わざわざ国外から御依頼を頂きまして感謝して居ります。前述の通りで、拙い技術に御気を落とされるかも知れませんが、切れに関しては間違いなく向上していると思いますので、美観に関しては御諒承頂けましたら幸いです。

もしも、私で御役に立てる様でしたら今後も宜しくお願い致します。ですが先ずは今回の二本を、間違いなく御返送しないと行けませんね・・・。