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手持無沙汰で(最近の考察)

 

本日、日野浦さんからの包丁到着が凡そ確定しましたので受講生のK様(長らく御待たせ)、もう一人のK様(運良く短め)、砥石館常連様(三本中の一本、残り二本は次)には三徳包丁納品の目処が立ちました事を御報告いたします。

磨き・黒打ち(二本)が週明けには当方に到着予定です。柳を御待ちの方々には、もう少々我慢の程を御願い致します。これ等を待っている間、手が空いていたので最近気になった事柄を試していました。(柳の大半は私が研ぎを施してからの発送なので)

砥石館に置いてある、商品としての包丁や研ぎサンプルとしての包丁の直しをしている際に、現地の様々な砥石を使う訳ですが、大抵は御決まりの数種に成ります。其れは研ぎ体験希望者への最終仕上げ砥石としても使われ易い物で、中山産水浅葱・若狭産戸前・菖蒲産浅葱です。

個体として最も硬いのは菖蒲で以下、若狭・中山と並びますが右二つは大差有りません。しかし、明らかに研がれた刃物の切れが違います。(硬さは勿論、砥粒の目の立ち方・泥の出方の何れも各産地・各層に固有の特徴では無いので、此処では余り重視せずに願います)特に違いが顕著となるのは組織が粗い刃物と熱処理が不正確と思われる刃物(焼き入れ温度が低いか戻し損ない・加工時の焼き戻り?で硬度が低い・保持時間が長いか鍛造不足?で炭化物が大きい)

一般に、正しいとされている考え方に「硬くて細かい砥石を、返りが出ない範囲で刃先の左右(表裏)撫でてやれば、最先端の整列と細かい仕上がりになり、大抵は切れる刃先に成る」というのが有ります。私も基本的には同意ですが、それだけでは解決困難な事例もあります。砥石館では各人各様の刃物を持ち込まれますので、自分の手持ち以外の色んな状態やレベルの物に触れられました。それに比べれば上記の研ぎ直した二種は標準の範疇では有りますが、性能をフルに引き出すのが難しい部類だと感じました。普通~普通以下で良ければ簡単なのですが。

最初は炭素鋼とステンレスの違いも有るのに、揃ってAの砥石で切れず、Bの砥石では切れるのが不思議でした。しかし更に試すと、切れる砥石Bと他の切れる砥石Cの結果が同一では無い事にも気づきました。切れのレベルと其の持続の違いですが、砥石館に複数備えてある顕微鏡で逐一確認しつつ、試し切りをして傾向が見えて来たと考えます。

やはり、人造と天然の大きな違いである砥ぎ目の多寡と深浅は、天然砥石同士の比較に於いても厳然と影響する様です。殆どの場合、研磨が速い(つまり研磨力が大)砥石は刃物表面に研ぎ傷が付き易いです。しかし、研ぎ傷が(実用上・或いは理論上悪影響を与えない程に)小さい場合は、寧ろ対象物への掛かりが良い刃先として機能します。此れに対して、更に研ぎ傷が小さい・或いは殆ど無いと表現可能な刃先には、刃物の(鋼材由来の但し製造段階で千差万別の)組織その物の荒さが現れた状態に成っています。

上記、二つの状態は、初期切れには前者・永切れには後者が優れる可能性が高いです。何故なら、(高品質な砥石前提ですが)明確で均一な刃先の研ぎ傷の方が、金属組織由来のランダムなセレーション(波刃)よりも、安定して対象に接触し続ける事が出来ると考えられ、逆に(強引に研磨剤で消すのでなく)砥ぎ目が付かないレベルの控え目な研磨力で砥がれた刃先は、強度が高い構成物(炭化物など)の残存が耐摩耗性に有利だと考えるからです。余り砥ぎ目が明確だと、それが摩耗した時との差が大きいのも有りますね。

此処までは、以前から記載していた内容に準じる部分が多いです。しかし鋼材によって最適な粒度が違う等と言われて来たレベル以上の、相性の本質は、「組織の荒さ(山と谷の頂上)の先端に明確な砥ぎ目を付ける・或いは砥ぎ目を消す」のか、「砥ぎ目の先端に更に細かい砥ぎ目を付ける・或いは砥ぎ目を消す」も含まれるのでは無いか。前者は天然同士でも良いし、後者は人造から天然が適するでしょう。少なくとも、一筋縄では行かない難儀な刃物には効果的でした。飽くまでも、粒度の差が少ない仕上げ砥石同士が前提です。荒砥・中砥ベースでは永切れしませんので。あ、引き千切るのは出来るでしょう。(出来の良い刃物であれば、此処までの工夫は必要ない場合が大半です)

以上の事を踏まえると、砥石館に有った(個体差は有ります)最終仕上げに適した砥石三種は、①研磨が速くて形状を整えて掛かり良い砥ぎ目を付ける若狭戸前。②優しい当たりで傷を入れず寧ろ傷消しに働く中山水浅葱。③硬く滑らかな砥面で刃先の細かい整列を促す菖蒲浅葱。と言う、図らずも各々の特徴的な働きで仕上がりの差別化を齎(もたら)してくれていた訳です。しかし、ハマグリ刃なら刃先への異なる砥石でのアプローチも可能ですが、両面が平面の場合は困難ですね。精々、砥石の効果の上書きで二種のミックス狙いと言う所でしょうか。

結果的に、研ぎ直しは巣板仕上げからの最終、若狭(田村山戸前浅葱)で仕上げましたが、組織が粗く硬度も低い二丁の包丁をキッチリ切れる様にしてくれました。今回は、研磨力の強さと其れに伴う適度な砥ぎ目を利用して砥ぎましたが、平面の刃物ならば砥ぎ目は付き難いですし、泥を出してから・共名倉の使用など、幾つも仕上がりを変更可能(そもそも石毎に個性も有り)ですので、此れしか無い・こう使うしか無いとは受け取らないで欲しいです。寧ろ様々な知識を駆使して最大限、砥石の性能を発揮させ、然る後に刃物を活かす方向に繋げて行かれる事を願います。

 

 

以下は、例として手持ちの観察をした画像です。モバイル顕微鏡では、砥石館の光学の明るい奴には描写力で及びませんが、参考までに。

 

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青紙の切り出し

 

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炭素鋼のペティ

 

 

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田村山の戸前

 

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Still_2018-03-20_220113_60.0X_N0001.jpg若戸

 

 

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Still_2018-03-20_220237_60.0X_N0002.jpg若戸

 

 

 

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中山の並砥

 

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Still_2018-03-20_220903_60.0X_N0003.jpg若浅葱

 

 

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Still_2018-03-20_221023_60.0X_N0004.jpg若浅葱

 

 

 

 

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中山の水浅葱

 

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Still_2018-03-20_222041_60.0X_N0005.jpg中並砥

 

 

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Still_2018-03-20_222144_60.0X_N0006.jpg中並

 

 

 

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奥殿の天井巣板

 

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Still_2018-03-20_222952_60.0X_N0008.jpg中水

 

 

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Still_2018-03-20_224103_60.0X_N0009.jpg中水

 

 

普段、仕上げに使う事の多い砥石達で普段使いの刃物に試してみました。研ぎ目の大きさや付き方、光り方(仕上がりの細かさ)が其々に異なっています。従って、刃先の性状も其々です。

此の違いこそが刃物の個性を引き出す武器であり、好みの切れに調整する際も役に立ちます。鋭く掛かる刃先・滑らかに切れる刃先・耐摩耗性に優れる刃先等、使い方や組み合わせ方で、かなりの幅を持たせられます。全ての刃物に、自在に随意の刃を付けられれば良いのですが、簡単では無いですね。

 

 

 

 

 

奥殿産砥石

 

奥殿で採掘される砥石の種類の幾つか、そのサンプルを試してみました。勿論、これ等の反応が必ずしもその層の標準的な特徴を体現しているとか、性能を保証するものでは有りません。

しかし何れも小振りな砥石達ながら、まずまず納得の仕上がりを見せてくれたと思います。刃物は青紙と極軟鋼の切り出しです。

 

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本巣板の白あたりになるでしょうか。蓮華も少し混ざっており、やや硬口です。

 

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刃金は薄曇り~半鏡面、地金も明るめの曇りに仕上がります。

 

 

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本巣板の黒蓮華ですが、かなり硬いです。

 

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仕上がりは、刃・地共に曇り~薄曇りです。

 

 

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本巣板の卵色がかる部分に紫も混じっています。此れもかなり硬口です。

 

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やや明る目の曇り~薄曇りに仕上がります。此の石は斜行で層の境が砥面に出ているのですが、硬さと研磨力を感じる程度で違和感無く使えます。

 

 

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天井巣板から八枚の層の砥石です。最大限の硬さを感じさせ、其れに相応しい粒度の細かさも併せ持っています。

テストに使った、ロックウェル硬度で60台後半の特殊鋼も難無く下ろし、硬くて細かい砥石における常識を聊か以上にグラつかせてくれました。

 

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上画像は裏側で、皮の表情をみていると、採掘時に村上株などと言いながら作業していたのが思い出されます。

 

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刃は薄曇り~半鏡面、地金は薄曇りで明るく仕上がります。

 

 

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巣板で有名な奥殿ですが、浅黄も採れます。此れは砥粒の凝集の仕方が独特で、泡立ちとも称される質の石です。

分類的には硬口でも、上記の質に因る反応から地を引くことが少なく使い易い場合が多いとの事。

 

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実際、研ぎ易くて仕上がりも良い結果となりました。

 

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刃・地共に明るい仕上がりです。

 

 

幾つかのサンプルと販売用の砥石での試し研ぎを経て、少しずつ砥石の性格や相性も理解出来つつあります。しかし、まだまだ見ていない・触っていない層や質も在りますし、違う山ともなれば言わずもがな。僅かずつでも経験と知識を蓄積していければと思います。

 

 

 

 

赤ピンの続き

 

前回、赤ピンの間府から幾つかサンプルを採ってきました。それらは柔らか目・やや柔らかい・やや硬いと性質の異なるものでした。

以前に採れた石にも、硬い物や大きな物などバラエティが有ったとの事で、その資料が下画像です。

 

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大型赤ピン

 

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硬口赤ピン

 

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研ぎあがり画像

 

 

 

そして、今回のサンプルですが

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中央

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右端

 

左から右へ行くほど硬めでした。それぞれ、刃金は結構細かく仕上がりますが、地金に対してはやや精粗の違いを見せます。基本的に、硬くなる程に細かい傾向にあります。

露天から間府に成って行くと硬さ・細かさが増し、赤ピンから、風化の進んでいない戸前層に近付くと此方も硬さ・細かさが上がる様です。

掘り進んで、層の中央部に近付けば同様の結果ともなり、天然の砥石層は興味をそそる要素が多くて飽きさせないですね。

 

 

 

 

採掘の準備

 

本日は午後から、中山の赤ピンが採れる間府の掃除をして来ました。随分前に一部が埋もれた所に進んで行き、途中の石や土を掻き出しては排除の繰り返しです。

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暫く続けるとかんな感じに。

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一度、捨てに行った後、更に続けると下画像の大きな石(長さ約60cm厚さ約15cm)が転がり落ちました。

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その御陰で、突き当りの部分が広がり

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上部の様子が見えました。

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此処は赤ピンが多く採れる場所ですので、簡単に加工無しで仕上がる原石も出て来ます。その中の一つをサンプルにしてみました。

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柔らか目で、泥も比例して多く出ます。邪魔になる事は無いのですが、結構砥粒の目が立っているので圧力や速度を一定に研がないと微妙な引け傷が入り易い性格ではあります。

とは言っても、刃金に対して悪さをする訳でもなく、極端に地金の仕上がりに拘らなければ問題ないレベルです。寧ろ、その柔らかさと泥の多さによる当たりの優しさ・滑走感の良さで、研ぎ易さが際立つ印象に成るでしょう。

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石の性格を把握して、其れを生かす方向で研げれば全く問題ない場合が多いのでは。一定数、赤ピンに拘る向きがいらっしゃるのもむべなるかな、と言った所です。

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この赤ピンの仕上がりは、刃金がやや明る目の薄曇りでした。戸前との境界付近の赤ピンや、そうで無くとも硬口の物も採れるとの事で、先々には様々な仕上がりの砥石達が期待出来そうです。

 

 

 

 

砥石の勉強の為に

 

この前、天井巣板に触れる事が出来た所へ再び出掛けて来ました。尚さんと一緒なのは変わりませんが、今回は採掘している山へ連れて行って貰い、現場を見ながら手伝いをしつつ、実地に教えて頂く機会に恵まれました。

 

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本巣板の天井辺り?

 

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大きな原石です。

 

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此方は自分で割った所だったかと。

 

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前回頂いて帰った、ピンク掛かった紫の入った物と同系統に見えますね。

 

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主としては中腹と、山頂手前の辺りが手付かずと言うか新たに見つかった様な場所ですが、下画像の山頂手前の剥がれかけた層が露頭している部分などは見ていて分かり易いです。

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この付近で並んで採掘していた折りに、私が採った妙に硬い小さ目の砥石が変わっているとの事で、村上株だな。などと話しながら作業する一コマも。

因みに、鉱脈の露頭している部分が株で、其れを掘り進めて行くと間府になるのだとか?

 

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かなりの量の原石の採掘・鍛えを終えた所。天井巣板から八枚辺り?

 

 

御当地に産する砥石の特徴や、其れに付随する加工上の注意点、更には加工法その物も説明して貰えました。というのも、指導に当たって下さる方が古来より伝わる山本流の採掘・加工法を継承する方で、私の事は内弟子(通いですが)扱いしても良いと言って頂けたからです。

自分としては、砥石に関して採掘場所の周辺から原石の状態、更には加工の良し悪しによって如何なる違いが出るのかまで、興味のあった内容を網羅する勉強が出来る、願っても無い機会です。喜んで御願いして来ました。

喜んでいた為か、慣れない傾斜地での行動で疲れていたのか、当日に採れた肝心の石は置いて来てしまったのですが、今後もちょくちょく寄せて頂けるので、近々連れて帰れるでしょう。此の度の二日に渡る勉強に感謝すると共に、今後も御指導宜しくお願い致します。

 

 

 

 

速報です

 

未だ、文字通りに新鮮(過ぎる)な話ですので、取り敢えず端緒に付いてを少し御知らせです。

昨日、或る方の所まで天然砥石尚さんに案内を頂きました。其処では、之まで疑問に思っていた事柄についての答えや勉強になる様々な知識、更には有難い御提案まで御聞きする事が出来ました。

長時間、当方の現状に付いて説明したり双方が将来、目指すべき理想などを確認しての帰り際には新鮮な(?)砥石を持たせてくれました。

新鮮とは採掘されて直ぐであるばかりで無く、過去に採られていなかった場所から今回、初めて見つかったと云う意味をも含みます。大枠での産地名としては奥殿になるのですが、新たな株からの発見です。

勿論、株と言ってもピンポイントで狭小な一部分を指す其処だけで無く、周辺に広がりを持っている相当な範囲で確認されました。

 

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浅葱色?ですが、天井巣板らしいです。此方は表。

 

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そして裏です。側面中央から裏に掛けて、明る目の紫になっています。

 

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それを強調された感の有る二本目。層は同一ながら、少し質が違います。一本目より、やや硬さが控え目でムッチリとした弾力が有ります。

 

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二本目の裏ですがグレーで、砥面に比べて柔らか目。グレーの感触は一本目も同様で、サラサラよりはトロッとした泥が出ます。

 

 

 

試し研ぎですが、結果は一目瞭然。先ずは一本目からです。

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二本目です。

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刃金・地金共に良く下りますね。

 

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拡大しても、刃先の仕上がりは上々です。

 

 

 

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古くて組織も荒い炭素鋼のペティも砥ぎ易くて良い仕上がり。

 

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刃先拡大画像でも傷や荒れは見られません。荒い組織を適度に躾け直してくれる、少し田村山を感じさせる性格。外観的には硬口~超硬口の砥石仕上げに近いかも。

 

 

 

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少々、曲者のVG10ペティですが、硬口~超硬口で偶に見られる様な上滑りや弾かれる感触も無く、弾力の有る砥面でしっとり砥げます。

 

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刃先拡大画像でも、安定して整った仕上がりが分かります。

 

 

 

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砥ぎ感を改善する目的でのダイヤによる泥出しは、必要性が皆無と言っても良いでしょう。仕上がりを曇り気味にしたいとか、特に前段の傷を消し切りたい等、明確な目的が有れば別ですが。

 

 

 

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特に気に入った二本目の砥石ですが、余りに使い勝手や仕上がりが良いので、楽しくなって色々と試してしまいました。

切れと永切れテストでも余裕で好成績(ペティ二種)。超硬口の砥石特有の効果である微細で鋭利な切れ味と永切れを齎してくれ、其れに反する砥ぎ易さと平面維持力は魅力です。

先々、このシリーズは予備を含めて数本、揃えて置きたいですね。出来れば面積は贅沢を言わないので、少し厚目の物を。しかし適度な硬さと弾力で、かなり減り難いのですが。飽くまでも安心感と、包丁を研ぐ場合の取り回し上の要求です。

 

 

しかし、従来は高性能な奥殿というだけでも貴重で、新たな(現行の採掘された)奥殿産砥石の大幅な追加は望み薄と思われていた処、少しオーバーに言えば世紀の発見によって天然砥石好きには晴天の霹靂レベルの朗報となりますね。

平成も押し詰まって来たと思われる今日、願っても無い御出ましに立ち会えるのは幸運としか言えません。正に平成(後半ギリギリ)の大発見でしょうか。今後も注目して行きたいと思います。

 

 

 

 

あと、こんな砥石も連れて帰って来たのですが

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赤っぽい方

 

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浅葱色の方

 

 

試し研ぎ

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少し柔らか目ですが肌理の細かい、鋭利な仕上がり。

 

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刃金は文句無しですね。

 

 

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浅葱色は対照的にゴリゴリと感じる砥ぎ感ながら、豈図らんや綺麗な刃金に仕上げてくれます。

 

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抜群な刃金を見て、不思議というか呆気に取られる程。天然は面白いですね。

最後の二つは天然砥石館に置かれる予定ですので、御来館の方には砥いで頂けるかも知れません。なるべく多種多様な砥石に触れて、天然砥石の奥深さと魅力を感じて頂ければ幸いです。

 

 

 

 

此の度は、御案内と御紹介を頂いた尚さんと、教えを頂いた方に感謝致します。先々、自分に可能な事柄を通じて恩返しを出来れば幸甚に存じます。今後も勉強させて頂きながら精進したいと思います。有難う御座いました。そして今後も宜しく御願い致します。

 

 

 

 

昨日の料理の研究

 

料理人や関係者とのイベントを控えていたり、業界への貢献を目指す立場から、上野館長と私で少し前から料理店を回ってみる計画を実行中です。

其れに当たるのは砥石館の閉館後だったり、休館日になりますので先ずは、昨日も台風にも拘らず御出で下さった来館者への対応をしておりました。

「簡易研ぎ講習付きの天然砥石体験」コースを御希望の方の中に、私の地元からお越しの方がいらっしゃいました。以前も、自宅から歩いて数分の鉄工所の方と砥取家で出会った事は有りますが、近さでは其れに次ぐ程で御互いの周辺事情も言い当てられるくらい。

(良く考えれば以前、柳の研ぎに付いて「上級者向け研ぎ講習」を受けに来て頂いた方も、仕事場はバイクで数分と言った所だったかと。此方は来月、薄刃の研ぎを習いたいと再度の研ぎ講習を御考えで有難さと共に身の引き締まる思いです。)

他にも常連さん親子、千葉からの方など悪天候にもめげずに数組の来館が有りました。

 

 

 

閉館間際から勢いを増した風雨に若干の不安を感じましたが、館長を載せて京都市目指して走り出しました。ラジオからは冠水や増水、避難指示などが引っ切り無しに伝えられます。

往路では時折り放送が聞き取り難い程度で寧ろ、交通量が少ないなど特に問題も無く到着。早速出された料理に付いて双方、あれやこれやと知識や感想の応酬。何時もながら、中々楽しい時間を過ごしました。

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(ですが、無謀な長距離行は矢張り要注意です。亀岡から大阪までの途中は路面に堆積物が散乱し、冠水間近な部分も多数。極め付けは、もう少しで山間部を抜ける所で通行止め。此の先で倒木が有り、回り道しろと。かなり時間を掛けて帰宅しました。)

 

 

 

 

其れに触発された訳では無いのですが、以前から聞き及んでいた蓮根に付いて試してみました。曰く、研ぎの仕上げが余りに細かいと、蓮根などは切れ難いと。

先日の関の刃物祭りでも、私の菜切りを見せた時に尾上さんから同様の意見を頂いたので気になっていました。細かい仕上げだと本当に困るのか。仮に本当だとしても世の中では年がら年中、蓮根を切っていて広く遍く、凡そ調理に関わるほどの者には恐れられているのか。

何故、二言目には蓮根が出て其れが研ぎの基準・切る対象の代表となるのか。対象に応じて砥ぎ分ける手も有るのでは?とも感じますが、蓮根が切れれば他は取るに足りないのでしょうか。まあ、世界のラスボスが蓮根と言うなら仕方無いのでしょうか。

 

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で、蓮根です。何やら、長男・次男・三男で硬さや食感・向く調理法も違うそうですが、これは硬い方でした。

 

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序でに、来館下さった小西さんから差し入れの賀茂茄子と思われる物も調理します。何れも簡単な事しか出来ませんが。

 

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数年来御世話になっている料理?ブログで記憶に残っていたのを大まかに再現です。

 

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蓮根を飾り切りして軽く加熱後、酢漬けに。余っていた茗荷を載せました。

 

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色んな切り方をした残りの蓮根と飾り切りで落とした部分を金平みたいな物に。山椒(ハウスの挽ける奴)と七味(常連さんから頂戴)を天に。

 

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ハンバーグでは無く、フンドーキンの麦味噌と美杉村の長期熟成の米味噌を酒で伸ばして煮詰め、無農薬レモン(冷蔵庫にあった唯一の柑橘)の果汁を絞り入れ。魚焼きグリルでホイル焼きにした茄子に塗った後、再度焼きました。レモンの皮も少し刻んで。

 

 

 

包丁の厚みで両断(二つ割り)は硬く感じましたが、端から(小口に)薄く切る分には特に不便は感じませんでした。割るのに関してはペティの方が楽でしたが。

其れよりも、灰汁による変色がやや強く出る感じですね。まともな錆にまでは成らないのですが。小まめに拭きながら切れば、もう少しマシになるでしょう。

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クリームクレンザーで擦れば、変色も半減するのですが砥石館で説明用に試し切りもして来たので、研ぎ直す傍ら小割りで磨き直して置きます。

これで何時でも試し切りや調理に使えます。人前での説明にも使うからには、外観・性能ともに最低限の仕上がりは維持したい所です。

 

 

 

 

 

最近の事柄

 

最近は研ぎと砥石関連の、少し枠外に広がる活動が増えています。天然砥石館で料理関連のイベントが企画された事に対してアイデアを出したり、鍛造体験に関して御協力したり。

二つ先のイベントまでに、もう何軒か(特に伝統的な所に成りそうですが)料理店にも顔を出さねばと話し合ってもいます。

 

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この前、鍛造して焼き入れ・焼き戻しまで行っていた小刀に、簡易な刃を付けてみました。

本格的な炭素鋼では無く、確りと焼きが入る鋼材では無かったものの、鍛造効果ゆえか意外と切れが出ていて驚きました。

 

 

 

 

また先日は注目していた山で、地元の方に伴われ嘗ての採掘跡を見学する機会を得ましたが、此方は館長の先々の展望を踏まえての確認も兼ねていました。所有者の方や地元集落の方の御理解・御協力次第では、共に発展の道を模索出来るかも知れません。

 

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それ以外には、過去に研ぎ依頼を頂いた方からの要望にお応えして、敷内曇りを選別もしました。

 

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恐らくは、予算・大きさ・性能の点で御満足頂けるのではと思います。

 

 

 

 

最後は、届いたばかりの顕微鏡で館長が砥石中からコノドントを見付けていたので画像を。

 

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戸前系統には見られるも、巣板からは発見出来なかったとの事。砥石の層の成りたちに関係しているのかも知れませんね。

 

 

 

 

 

自主研究(取材向け・イベント向け兼用)

 

此の所、天然砥石館の上野館長の顕微鏡熱が鰻登りです。少し前から程度の良い物を探しており、発注していましたが先方の不手際に痺れを切らして(地球環境子供村?から)モバイル顕微鏡を借り出したり、もう一つ別に生物顕微鏡を購入したり。

最新のコースとして、若年の琥珀を天然砥石で磨く体験を新たに導入する予定も有り、以前からの刃先の拡大・切られた素材の性状の比較と共に、研究を充実させて行く方針によるものです。

加えて、TVの取材でもその辺りが取り上げられるとあっては弥が上にも熱が入ろうと言うもの。実際、スタッフの操作へのアドバイスや習熟過程でも協力していました。

 

 

 

以下は其の際の画像の一部です。

 

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館長が生物顕微鏡で鉋の削り屑(檜)を覗いていたので、スマホを接眼に直接当てて無理やり。1000倍くらいだと思いましたが、細胞の中で動きが見られたような?削ろう会でも此処まで拡大して比べる事に成ったら面倒だろうなと思いました。

 

 

 

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撮影前日に、スタッフと旅館で三人、事前準備で顕微鏡の試験運用をしました。私は主として切る係。

 

 

 

撮影当日です。物撮りからみたいです。

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砥取家の加工場と丸尾山の採掘場所は何時も通りとして、今回は天然砥石館でもロケが行われました。これで、砥石館を御存じない方々にも知って貰えればと思います。

放送は結構、先に成りそうですが今回は朝方の放送との事。多分、私も少し出ている筈です。丁寧に作られた包丁の価値は勿論ですが今回は局側の方針に沿って、(簡略な包丁を題材に)天然砥石と研ぎに付いて実演(切り)と簡単な説明をして来ました。

他にも、切られた食材の味の違いに付いて比較して貰えました。予想と違う結果に驚かれたので良かったです。その合間を縫って、和包丁の画像も使われる事を狙い、さり気なく置いておきましたので上手く行けば一瞬出ているかも知れません。

 

 

 

 

先々には、上記の味の違いに焦点を当てた料理に関するイベントが企画されてもいます。その際に御協力を仰ぐ方々には、御話しをさせて頂きつつあります。以前から御世話になっている布谷さんを筆頭に、その他の方面からも御助力願える可能性が出て来ました。

そうなると気になるのが受け入れ側の経験と知識です。もう少し補強をするべく、無理をしてでも経験値稼ぎを期待して料理の勉強です。

 

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館長も新たな体験が含まれていたとの事で、此の度の訪問には手応えを感じた様子。私は生まれも育ちも関西でしたので、比べてみれば馴染みの印象が多目だったでしょうか。それでも、得た物は大きかったと思います。

 

 

 

 

 

館長と三河白巡りなど

 

少し前になりますが、天然砥石館の館長である上野さんと三河白の産地を見て来ました。採掘跡までは難しいので、嘗て採掘・販売していた店舗(現在は住宅)で記録や試料を見せて頂いたり、現在でも販売中の店で商品を選んだりしました。

前記の御宅とは上野さんの個人的な繋がり(御身内同士が同級生とか)があり、快諾を得られたので実現した訪問となりました。大奥さんが、先代や更に前の採掘者が遺した三河白の極上品を大切に保管されており、本や専門誌に掲載された文章や多数の写真と共に解説もして頂きました。

 

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上画像は、当地を離れて販売などのイベント?に出向く折にと、御家族の一人が制作されたとか。

此方に伺うまでは、現状なかなか真に細かいコマを触った事が無く、実は目白が一番微細なのでは?と考えていました。しかし往時の最高クラスと云う物を触れた今ではコマの名声にも納得が行きました。貴重な原石なども御提供下さり、有難く展示させて頂きます。

 

 

 

 

次に訪ねたのは、峠道に面した販売所が併設された御宅。此方は未だ、商品が並べられています。ん十年前に、上野さんが買い物した時とは少し様子が違っていた様ですが。

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開店前の到着にも拘わらず対応下さいました。所謂、泥だし用の名倉サイズが多いですが現在では希少となった、砥石本体で研磨可能なサイズも残っています。近頃、上物二つの内の一つが売れたとか。此方では、折角なので小さい物ですが一つ購入して来ました。

 

 

 

 

近くの自然公園の川沿いにも、砥石層に近いのではと思われる石が散見されたり。

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最後に見学した下画像の施設で、豊かな動植物の分布と共に周辺で確認される多種多様な岩石に感銘を受けました。

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因みに、一軒目で拝見した三河白の全層並べた木枠入りサンプルが、此方でも展示されていました。彼方が提供元だった訳です。

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下画像の右は一軒目での頂き物の鎌砥。当地では層の違いや質のバラつきで使い分けたのでしょうが、ほぼ砥石と言えば三河白のみが出回っていたとの事でした。左は二件目で購入した物。当代の方からは、層などの分類は困難であると。

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現地で御世話になった方々は勿論ですが上野さんには、今回の三河巡りに誘って頂いて感謝しております。現地に行かねば分からない事や、当時の採掘関係者からで無ければ聞けない話など、貴重な経験をさせて頂く事が出来ました。

そして大奥さんが御主人を始め、一族の男達が採掘した砥石を大事にしている様に、自分も頂いた鎌砥を大事にしたいと思います。

 

 

 

 

お終いは極最近、手に入れた砥石達です。

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かなり、平面の刃物に特化した様な砥ぎ感と質。剃刀や鉋、切り出しの平面研ぎと包丁の裏押しにと言った所ですが、そうそう出番が有るのかどうか。でも念の為にと、ついつい買ってしまう千枚。

 

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直近の本焼きの研ぎにも使用した蓮華巣板です。これで丸尾山の蓮華巣板は大小合わせて四つ目で、ようやく切迫感が無くなりました。2~3個では今一、相性の幅から不安が残ります。

 

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天然砥石館で、DIYの砥石づくりコースとして用意されている種類から、会津砥を選んで面付けしてみました。

数年前、義理堅い北海道の刃物店から情報提供の返礼として、詳細不明だがと砥石を送られました。きよんどさんに鑑別を願い出て会津らしいと判明した其れとは、やや質が違ってより仕上げ砥に近いですが此れは此れで使えそうです。