昨日は、かずけんさんの御依頼である「水浅葱の白っぽいの」を探すと共に、前回訪問時に御聞きした、倉庫の整理の結果を見てきました。
多分、此れがそうかなと思われる物の一つは、大平の所謂、いき紫の戸前が有りました。初めて見る位に濃い紫で、其れが全体に渡って居る逸品。やや柔らか目で、傷消しに適する質でした。
ただ、山と積まれている原石・仕上げ間近の加工済み砥石のチェックで、現場の画像を撮ったりは出来なかったのですが(笑)、週一ペースで採掘に出ているそうですので当方は、月一か二のペースで覗きに行ければと。
下画像は水浅葱の層の中でも、数個の白い物の中から選んだ物。他の石は小振りなレーザー型近辺であり、かつ白さと砥粒、双方の均一さで此れに一~二歩譲る物でした。
比べて此方は、23cmの長さと7cmの厚みを持ち、片手で気軽に取り廻せるサイズの上限に近いかも知れません。
砥粒が細かく、適度な硬口では有るのですが、結構な研磨力を発揮しつつも超硬口並みの鏡面に仕上がります。
続いては、ブログを通じての友人の御希望で。恐らくは天井卵色巣板のカラス、硬口です。何処かのネット画像で、此れと近似の物を目にして強く食指が動いたそうで。
探し出した此方は、拝見した当該画像の物と色柄・厚みのみならず、砥面以外を皮が覆って居る点も含めて酷似している為、代替品としては申し分無い筈。まあ、そもそも出元も採掘時期も同一ですしね(笑)。実用面よりも色見本としての用途との事です。
あと既に購入済みの、巣板から並砥の系統に成って来たサンプルと共に、合いさに成って来ているサンプルも合わせて送ろうと考えていましたので、下画像の石も。
5cmの厚みでしたが、中央付近に一部、層割れの端緒が有りましたので、割って貰いました。下画像は、上側であった一枚目裏側と、下側であった二枚目に付けた砥面。
上側の一枚目を濡らした所。相当に鮮やかな色彩が。田中さんに拠ると、基本的に紫が出るのは合いさだそうですが・・・戸前でも黄色・緑系に加え、紫が出るとの事です。
しかし、黄色っぽくても分類としては合いさに成る石も有るそうで、見極めは一筋縄では行かないですね。とは言え私としては従来通り、高品質の砥石かどうか・研ぐ刃物と合うのかどうか、が最大の関心事でしか有りません。
上側に比べて、如何にも地味な下側の試し研ぎ。殆ど超硬口ながら、食い付きの良い砥面に因り滑走は控え目。其の分、研磨力は強く、仕上がりは硬さに応じたレベルを達成しています。
もう一つ、やや硬口~硬口の殆ど合いさを。此方は、最初の大型水浅葱と同程度の長さです。幅は狭い部分が目立ちますが、普通に中型の刃物も研げるでしょう。
硬さ・細かさは二つに割った合いさより、僅かに劣るものの其の分、研磨力は明らかに上回り仕上がりは近いレベルに迫ります。
下画像は、もう戸前と呼んで差し支えないとの事でしたが、確かに色柄のみならず研ぎ感も巣板とは懸け離れています。
やや硬口~硬口ですが、泥は少ないままに研ぎ汁は出て来ます。つまりは砥石自身の摩滅よりも研磨対象たる刃物の方を多く下ろしている訳です。
合いさの系統は此れに比べると、下ろす・食い付くとは言いながら、研ぎ減らすよりも磨く方向での性能に強みが有る印象です。
下画像は巣板では有るのですが、合いさの要素・並砥の要素も混じっているかの研ぎ感を強く感じ、仕上がりも其れに準じます。大まかな傾向としては、純然たる巣板に近い程、相当に硬く無ければ鏡面的な仕上がりには成らない様子。然るに、若干ですが硬さ控え目ながら鏡面・ほぼ鏡面に成るのは、巣板以外の要素を含むと考えて良さそうですね。
従って、遠目には薄っすらカラス混じりの巣板と見える、中硬~やや硬口程度の砥石ながら、仕上がりは鏡面に迫ります。研ぎ感も幾つかの要素が入り混じった滑走・食い付きで複雑な印象。
最後は、小割りにする為に分けて貰った石。此の系統は、弾力を持った当たり方をするので、刃物に引け傷が入り難く、その割にグイグイと食い付く研磨力が有ります。
其の他、販売用の小振りなコッパも2~3、選別しましたが今回は、取り置き箱に入れて来ました。愈々、戸前・合いさ・並砥を直接狙いで採掘する時期が近付いて来ている様ですので、順調に選別を進めて其方の種類でも、バラエティーを含めシリーズ各種を組めたら良いなと考えて居ます。