料理人や関係者とのイベントを控えていたり、業界への貢献を目指す立場から、上野館長と私で少し前から料理店を回ってみる計画を実行中です。
其れに当たるのは砥石館の閉館後だったり、休館日になりますので先ずは、昨日も台風にも拘らず御出で下さった来館者への対応をしておりました。
「簡易研ぎ講習付きの天然砥石体験」コースを御希望の方の中に、私の地元からお越しの方がいらっしゃいました。以前も、自宅から歩いて数分の鉄工所の方と砥取家で出会った事は有りますが、近さでは其れに次ぐ程で御互いの周辺事情も言い当てられるくらい。
(良く考えれば以前、柳の研ぎに付いて「上級者向け研ぎ講習」を受けに来て頂いた方も、仕事場はバイクで数分と言った所だったかと。此方は来月、薄刃の研ぎを習いたいと再度の研ぎ講習を御考えで有難さと共に身の引き締まる思いです。)
他にも常連さん親子、千葉からの方など悪天候にもめげずに数組の来館が有りました。
閉館間際から勢いを増した風雨に若干の不安を感じましたが、館長を載せて京都市目指して走り出しました。ラジオからは冠水や増水、避難指示などが引っ切り無しに伝えられます。
往路では時折り放送が聞き取り難い程度で寧ろ、交通量が少ないなど特に問題も無く到着。早速出された料理に付いて双方、あれやこれやと知識や感想の応酬。何時もながら、中々楽しい時間を過ごしました。
(ですが、無謀な長距離行は矢張り要注意です。亀岡から大阪までの途中は路面に堆積物が散乱し、冠水間近な部分も多数。極め付けは、もう少しで山間部を抜ける所で通行止め。此の先で倒木が有り、回り道しろと。かなり時間を掛けて帰宅しました。)
其れに触発された訳では無いのですが、以前から聞き及んでいた蓮根に付いて試してみました。曰く、研ぎの仕上げが余りに細かいと、蓮根などは切れ難いと。
先日の関の刃物祭りでも、私の菜切りを見せた時に尾上さんから同様の意見を頂いたので気になっていました。細かい仕上げだと本当に困るのか。仮に本当だとしても世の中では年がら年中、蓮根を切っていて広く遍く、凡そ調理に関わるほどの者には恐れられているのか。
何故、二言目には蓮根が出て其れが研ぎの基準・切る対象の代表となるのか。対象に応じて砥ぎ分ける手も有るのでは?とも感じますが、蓮根が切れれば他は取るに足りないのでしょうか。まあ、世界のラスボスが蓮根と言うなら仕方無いのでしょうか。
で、蓮根です。何やら、長男・次男・三男で硬さや食感・向く調理法も違うそうですが、これは硬い方でした。
序でに、来館下さった小西さんから差し入れの賀茂茄子と思われる物も調理します。何れも簡単な事しか出来ませんが。
数年来御世話になっている料理?ブログで記憶に残っていたのを大まかに再現です。
蓮根を飾り切りして軽く加熱後、酢漬けに。余っていた茗荷を載せました。
色んな切り方をした残りの蓮根と飾り切りで落とした部分を金平みたいな物に。山椒(ハウスの挽ける奴)と七味(常連さんから頂戴)を天に。
ハンバーグでは無く、フンドーキンの麦味噌と美杉村の長期熟成の米味噌を酒で伸ばして煮詰め、無農薬レモン(冷蔵庫にあった唯一の柑橘)の果汁を絞り入れ。魚焼きグリルでホイル焼きにした茄子に塗った後、再度焼きました。レモンの皮も少し刻んで。
包丁の厚みで両断(二つ割り)は硬く感じましたが、端から(小口に)薄く切る分には特に不便は感じませんでした。割るのに関してはペティの方が楽でしたが。
其れよりも、灰汁による変色がやや強く出る感じですね。まともな錆にまでは成らないのですが。小まめに拭きながら切れば、もう少しマシになるでしょう。
クリームクレンザーで擦れば、変色も半減するのですが砥石館で説明用に試し切りもして来たので、研ぎ直す傍ら小割りで磨き直して置きます。
これで何時でも試し切りや調理に使えます。人前での説明にも使うからには、外観・性能ともに最低限の仕上がりは維持したい所です。