連休中に小鮎様と

 

連休中に、小鮎様と砥取家にてミーティング?をして来ました。旧交を温めると言うか、お土産交換会と言うか砥石の品評会でしょうか。稀少な銘柄や豪華なサイズなど、手持ちの殆どが実用一点張りの自分では適わない砥石たちを披露頂きました。

 

その中で、幾つか共名倉にと頂いた石があります。黄色が中山産、グレーが奥殿産(浅葱)、褐色が関東の合砥?クリームが伊予砥との事です。

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共名倉といえど、当然小さい刃物ならば普通に研げる訳で、実際前回の剃刀研ぎでは、その種類の中でほぼ手持ち中、一番小さいサイズの砥石たちを幾つか使いました。

今回頂いた砥石を試す前に、自分の普段使い用の本戸前の切れ端で砥いで見ます。

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次に千枚(これは最初、極めて形状が歪だったので、面を均しながら使える所を使っています)

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奥殿産

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中山産

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因みに、共名倉は絶対性能よりも馴染みを優先して八枚です

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試した結果、本戸前⇒千枚⇒中山・奥殿の順で刃金が鏡面に近づく様です。地金も同じ順で明るく仕上がりますが、中山と奥殿では刃金の違いが少ない割りには、奥殿の方が地金の明るさ(反射)はかなり上となりました。

小鮎様、砥石の知見を広めさせて頂き、又楽しい石たちを有難う御座いました。前回亀岡から連れ帰った、いきむらさきの共名倉もお役に立てば幸いです。

 

 

 

おまけは、今回の亀岡行きで購入できた新たな千枚です。今現在、最も鉄を吸わせていないので成るべく使用頻度を抑えて性状を維持したいと思っています(使用して行く内、水分・鉄分・塩素も?で硬くなり勝ち・弾力が無くなりパサつきが出る傾向が多い印象です)。

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切り出しと入れ違いに日本剃刀を

 

前回の切り出しを返送後、日本剃刀もとお送り頂きました(之も岩崎ですね)。いつもの常連さんからの二本(御本人+御友人所有の包丁)を挟んで取り掛かりました。内容的には、表の研がれた部分の均一化なども含まれていましたが、本格的な事は見合わせました。

裏と違って砥石に当たる面積が小さくないと切れに直接影響する訳では無いし、元の状態(作成時の梳きの入れ方や刃体の厚みの精度)から来る物を修正するには、適切な道具や工具が必要となる上にリスクもあるからです(加えて作業が長期間になり、料金も比例して上がります)。ですが、研ぎの工程に於いては平面に悪影響が出ない範囲で、出来るだけ砥石に当たる部分を揃える方向で作業する事に。

 

研ぎ前 表 画像

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表 刃部

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表 刃先 拡大

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研ぎ前 裏 画像

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裏 刃部

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裏 刃先 拡大

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今回は、形状がかなり整っており、刃先の研ぎ目も細かめに研がれていたので、シャプトンの2000番からのスタートでした。

次に、白巣板各種(黒蓮華・墨流し・巣無し)で前段階の傷を消しつつ、面を整えて行きます。その後、本戸前と共名倉にも使ういきむらさきで更に研ぎ肌を細かく。

最終は千枚を挟んで大谷山(共名倉は前述のいきむらさき)です。千枚は、少し久々に引っ張り出しましたが、緻密な鋼材をよく鍛造されている刃物相手には独特のぐいぐい来る研ぎ心地で、今回の玉鋼が良い状態である事を伝えてくれました。

本来、剃刀は毛は切れても肌を切らない様に刃先を僅かに鈍角化したりするものですが、実はこの剃刀の用途は刷毛の毛先の調整との事で、返りを取って完了としました。

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研ぎ後 表 画像

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表 刃部

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表 刃先 拡大

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研ぎ後 裏 画像

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裏 刃部

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裏 刃先 拡大

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料金的には、状態に鑑みて一寸当たり1000円基準、刃の寸法が5cmでしたので1.5寸として1500円+税の1620円となりました。

 

I様、引き続いての御依頼、感謝に堪えません。使用に際して、御希望に叶いましたら幸いです。有難う御座いました。

 

 

切り出しの御依頼で

 

特にブログ記事では、砥石の試し研ぎに今井義延作の切り出し等を多用する為か、切り出しの御依頼を頂きました。

片方は二代目の千代鶴さん(乱菊)、もう一つは岩崎の刻印があります。依頼内容は、岩崎の刃毀れを無くし、乱菊を切れる様に。との事で、切り刃はほぼ平面に研ぎ、最終は巣板で仕上げようと纏まりました。

 

乱菊 研ぎ前 表

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乱菊 研ぎ前 裏

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表 アップ

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表 刃先拡大

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裏 アップ

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裏 刃先拡大

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岩崎 研ぎ前 表

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岩崎 研ぎ前 裏

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表 アップ

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表 刃先拡大

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裏 アップ

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裏 刃先拡大

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シャプトン・キングハイパー・キングデラックス(1000・1200)で刃先を整えつつ平面度を向上

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白巣板・敷き内曇り・黒蓮華の系統で中砥ぎの傷を消しながら更に面を揃えていく(実際には下画像の砥石達を使った後、小さめの巣板を倍程度並べて砥面の崩れと相性に留意し仕上げました。今回は完全平面までは追い込まない仕様でしたので、平面用卵シリーズは活躍せず)

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乱菊 研ぎ後 表

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表 アップ

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表 刃先拡大

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乱菊 研ぎ後 裏

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裏 アップ

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裏 刃先拡大

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岩崎 研ぎ後 表

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表 アップ

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表 刃先拡大

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裏 アップ

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裏 刃先拡大

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作業完了後、確認用に上の様な画像を添付の上、メールでお知らせするのですが、その後で自分的に納得し切れずに研ぎ直す時があります。今回の場合(岩崎)もそうで、もう少し刃先を整え、それ以上に面精度を高めたくなって仕上げ直しました。ですので、最終的に現物は上画像とは少し違っていると思います(目視での研ぎ肌・切れは向上)。

料金的には、到着時の所見で乱菊の方がやや面が揃っていない様にに見えました(特に裏)ので、一寸当たり3000円。岩崎は一寸当たり2000円と提示しました。結果、前者が刃渡り7センチでしたが二寸として6000円+税。後者は(刃渡り6センチ程で二寸として)4000円+税でした。

実際は乱菊の面は予想より少しましで、逆に岩崎が(切り刃の面積が狭いからか)やや捻じれ取りに梃子摺りました。前述の仕上げ直しは之の名残に納得がいかず乱菊に近く精度を上げる為でした。

東京のI様、この度は御依頼有難う御座いました。あと、返送と入れ替わりにお送り頂いた方の処置は御相談の上、と言う事になりますのでメールでお示しした所感を参考に御判断頂きたく存じます。

 

小鮎様からの質問で(九月六日の砥石選別含む)

 

少し前に、共名倉用の肌理が細かく柔らか目で刃金を光らせる石は?との質問を頂いたので、其れについて自分の手持ちを参考までに。

昨日は本来、天上戸前うぐいすを狙っていましたが探し当たらず、代わりに卵色巣板のこっぱと共名倉用の戸前いきむらさきを選んできました。

 

購入時

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持ち帰って面付け後

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購入時

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表裏面付け後

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卵色巣板は、鉋の刃や切り出しなど特に平面を研ぐ用途専用に、面が崩れる間もなく小振りな砥石をローテーションする為、複数揃えています(白の後で卵複数はお奨めです)。今回の卵もそれに役立つと思いました。

 

平面用卵色シリーズ

1 やや黄色巣板寄りと思われる物

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2 少し紅葉の混じった物

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3 黒付け坊主に近いらしき物

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4 これも少し紅葉混じりですが茶・灰でなく緑褐色

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5 一つだけ有る天上巣板層の卵

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何故此処まで卵を載せたかと言えば、砥取家に贈った切り出しの手入れを兼ねて共名倉の実例を示そうと考えたからです。それらの切り出しは、欠けや錆が出る度に研ぎ直しをして来ており、一度仕上げてから確か三度目の手入れになります(錆びや欠けを狙って研ぐので初期よりも平面度合いが甘くなっており、次回行なうとしたら人造の1000番辺りから再び精度を出して進める事になりそうです)。

左久作 大小刀 アーサーバルファー鋼に和鉄地金(三原鉄だったかと)

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中屋平治  錬鉄切り出し スェ-デン鋼に錬鉄地金

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これの手入れに使うのが卵シリーズと言う訳で、その後に大谷山と共名倉で仕上げる場面では今回購入したもう一つを俎上に上げようと。

 

 

自分が鏡面を狙って使う共名倉は以下の通りです(共名倉に求める性能・性質はHPの記載も御参照頂ければ)。

八枚

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大上

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やや軟らかい大上

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いきむらさき寄りの戸前系

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硬軟二種の戸前(一本松)

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千枚系らしきもの

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特に大上二種は適応範囲・扱い易さ・仕上がりで抜群です(但しこれらは、この目的に沿って選別した石であり、同銘柄でありさえすれば同じ働きが期待できるとは限りません)。

 

 

先ずは裏の錆を落とし、梳き部分を磨いた後、白巣板で裏押しをしました。表は白巣板からですが、砥粒の目が立ち気味とまったりの二種で刃金・地金双方の反応を窺いながら進みます。

 

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まずまずの結果だったので、続いて購入し立ての卵を試しますが、これも充分な性能。砥ぎ感は黒付けと紅葉入りの中間、つまり目が細かく泥も出るが多すぎず、研磨力はやや目の立った砥粒で(トロトロではなく)さらりと研げる(地金・刃金共に均等に仕上がる)印象です。過去の3つ程の経験上、黒付けに近いほど、(特に硬くない限り)泥がやや多めで地金に優しい様です。

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念の為、従来の卵と比較してみても遜色ない様子。

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ここから、本来はやや硬口で目の細かい合砥(千枚・八枚系か、特に細かい大上・戸前系)に繋ぐ所ですが、鋼材・砥石の質・更に相性も良かったのでこのまま大谷山(三つ有る手持ちの中で扱い易さが最も優れた石)へ。

そして合わせる共名倉はいよいよ、新入りのいきむらさきです。

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使い勝手・仕上がり共にまずまず。

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しかしもう一声と、万能タイプの大上(やや軟らかめ)を使用。

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潤滑性・クッション性が適度で、接点の状態が正確に伝わる研ぎ心地で扱い易い上、仕上がりも更に向上しました。此方に比べると、このいきむらさきは共名倉としては中の上くらいでしょう。

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只、そんないきむらさきも通常使用では、鋼を結構明るめに仕上げてくれます。逆に言うと、この段階でこうならない合砥は鏡面狙いの共名倉としては不足と言う事になります。

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裏側の緑褐色ではやや粗い砥粒なので扱い難いですが、これはこれで共名倉のコンビ砥石?みたいで面白くもありますね。

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小鮎様には参考にして頂けましたでしょうか。お役に立てば幸いです。