「きしな屋」さんで購入の品

 

きしな屋さんで、幾つか購入した商品の最近の使い道です。真空パックの調理済み鶏肉や、生素麺は当然の様に消費済みですので、主に調味料ですが。

 

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此方は珍しい天然塩。海塩でも岩塩でも無く、温泉由来の塩で製造法も特殊です。温泉の熱で煮詰めたとかで、エコでも有りますね。

幾つか食材や調理法を試したのですが、塩単体で或る意味、完結している味ですので本来的な相性を探すのは結構悩みます。例えばトマトに掛けるだけでは、引き立て合ったり並び立ったりで互いを活かすタイプでは無く、探り合いの様相を呈します。(トマトにはカマルグが合うと思います)

複雑玄妙な味が活きるのは寧ろ、個性が薄くて風味が控え目な素材と合わせる事でしょう。肉であれば牛モモ肉や鳥ムネ肉。と言う訳で、好みの料理である牛モモたたきに使用しました。

 

 

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1パックの肉を半分に。上下の面に温泉の塩を振ります。全面に振った時には濃過ぎましたので、その経験から。

近隣のスーパーでは近頃、アンガス牛が安いタイミングが有るので、偶に購入して作ってはいました。いつも使っていたのは手持ちのアンデス紅塩やモンゴルの塩。醤油はチョーコーです。

此のメーカーの特に薄口醤油には散々、御世話になっており殆ど此れを主軸に使っています。塩分調整は天然塩の追加、風味の強化は減塩の濃い口で。

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今回は、購入して来た二種類の内の此方。簡易ポン酢は下の果汁と合わせて。市販品ではひろたの物が好みですが、自作の簡易版も面白いものです。

 

 

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普段はレモン果汁にチョーコー薄口辺りですが、吟醸純生醤油とシークワーサー果汁を。一緒に購入しましたが、予想は付き難かったですね。

 

 

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もう一つは、少し先の御楽しみで。

 

 

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包丁も同じ出元の椿包丁。未だ切り刃には凹凸の名残りが有りますが形状や傷消しも合格ラインに来ましたので、試し切りも兼ねて。当然の事乍ら、問題無く切れますし、風味の低下も気に成りません。青紙ですから、厳密に比べれば白紙との差は有ると思いますが。

風味の劣化防止以外にも砥ぎ肌を細かくした効果は、塩分を含んだ肉汁の付着に対しても錆・変色の影響が低下。勿論、その除去時にも貢献してくれます。

レモンと薄口によるクリアで尖った味も良いですが、濃い口とシークワーサーの組み合わせは奥行きと幅を感じさせる柑橘のイメージ通り、抑制が効きつつも濃さを活かした味付けに。温泉の塩と併せて、バラエティーが広がりました。

 

 

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使用後の手入れも完了です。使っては砥いで、を繰り返すほどに姿かたちを含めて状態が整って行きますので、完成形に近付いていく過程は楽しいですね。

出来上がると他の未完成に意識が向いてしまうので、何時まで経っても仕上がらないガラクタと四苦八苦する時間が長くなりがちです。何とか性能を底上げしてやろうとの試みは、飽きないし勉強に成る面も否定できないですが、一番は妙な愛着が湧くからかも知れません。

 

 

 

 

後、御知らせですが司作の柳が進んで来ましたので、私の希望の仕様にする為に柄などの確認を経れば、御待ち頂いていた御依頼主に届けられそうです。(紫檀八角柄の予定)

昨日の電話での打ち合わせで、数本が準備出来つつありますが当方の事情に合わせて一定期間毎、断続的に送って頂く事に。最終的な研ぎは任せて頂けるのを前提に余白を残した状態で到着(此も初です)。到着後の研磨作業完了次第、販売可能となります。

京都のH様には、御都合に変わりが無ければもう少しで(一本とか二本づつではありますが)御案内が出来ると思います。北海道のT様には、御希望のサイズの事も有り、もう少し先に成りそうです(何とか適う物は有るそうで)。小西さんには、それら一巡目の最終盤に成ってしまいますが、宜しく御願い致します。

 

 

 

 

 

いつもの常連様から

 

少し前にベスパの事でショップに立ち寄った際、研ぎ依頼の常連であるディーラー様から、来るんだったら包丁を用意しとくんだったな。と言われていたのですが・・・後日、連絡を受けて引き取りに。

主力の包丁、炭素鋼の和包丁と洋包丁(ナイフ含む)を持ち帰って砥ぎました。何度目かの研ぎであり、合わせるべき砥石の傾向と対策は把握しつつあると認識していたのですが、新たな組み合わせにより性能の向上を見ました。その備忘録みたいな物です。

 

 

 

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画像、下から中屋平治作三徳スウェーデン鋼・木屋牛刀スウェーデン鋼・岡山のメーカーの青紙スーパーだったかと。

 

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依頼主はアウトドアに傾倒しているので、ちょいちょい各種ナイフも砥ぎます。今回はビクトリノックスのスパイダルコ風。

 

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刃先は一応、まずまずの切れが出ていますが刃体の厚みに対して鈍角過ぎ、不十分。角度が不均一な部分も有ります。

特に、刃元2cm位の多段階的に研がれた小刃に付いては、実用的且つ統一感の有る刃線と刃角に揃える(緩いハマグリ+角度可変ですが)のに苦労しました。一見すれば均一に見えるのですが。

 

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包丁は其々、小さいとは言え無数の欠けの修正に人造荒砥から。続いて人造中砥で形状の調整です。

 

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青紙スーパーのは、刃金は柔らか目で組織も荒目、地金も荒目なので合わせる砥石に苦慮する対象でした。或る一定程度までは仕上がっても、其れ以上の出来を求めれば漏れなく難色を示すと言った具合で。

今回も様々試していたのですが、刃金は田村山の戸前(数年前の物)が良く馴染み、地金は奥殿の白巣板の小割り(相手の選り好みが激しい物)が研磨の速さと仕上がりの細かさ・均一さで好印象でした。

 

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戸前の効果に気を良くして、浅葱でも試すと尚良い仕上がりに。焼き加減が硬焼きであれば又、違う展開になるかも知れませんが(硬い青紙スーパーに御目に掛かった記憶が無い様な気も)。

之までも相性探しを試行し、その時々で満足すべき組み合わせを見付けては合格として来ましたが、恐らく今後の青紙スーパーのスタンダードとなるに相応しい結果を得ました。

 

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其れは此方も同様で、木屋のスウェーデン鋼は中山の並砥で上手く仕上がりました。この組み合わせで安定かな。

 

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ステンレスは基本的に黒蓮華が合うとはいいながら、それでも鋼材・製品毎に効果の程は結構まちまちで。しかし此れは可成り良い相性と見え、折りも砥ぎ肌も切れまで十分でしたが。

試しに奥殿の黒蓮華(硬口)で試すと、硬さに起因する研ぎ辛さは皆無で使い勝手の良ささえ感じさせます。山は違えど、やはり層に特有の性格と言うか傾向は似て来るものですね。結果として人造中砥段階までは気に成っていた、鋼材の柔さも影を潜めて強さ・鋭利さを併せ持つ刃先に。

 

 

 

研ぎ上がりです。

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平治作三徳、刃部のアップ

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木屋牛刀、刃部のアップ

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岡山の刃部アップ

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地・刃共に、錆の痕跡を消し切る程には削りませんでした。結構深かったので、性能が満足する状態に留めましたが相性の良い小割りが試せた事により錆び難さは向上するでしょう。

あと、今回の研ぎで切っ先側へ行くに従い厚みを増す地金部分が、何とか目立たなく成って来たので切る際の抵抗が自然に成ると思われます。4~5回を掛けて徐々に研ぎ進め、一回当たりの研ぎ料金を低く抑える方向でしたが、一応の目処。本来は逆に薄くするのが順当ですので、形状から来る最高性能は今後に期待。

 

 

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ビクトリノックスも、刃元から切っ先へ向かって厚みと角度の調整。勿論、刃先の鋭利さも強度を保ちつつ向上。

 

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刃部のアップ。小刃の始まりを緩やかにしつつ、小刃その物もハマグリに。刃体の(ホローグラインドを施されていながら均一では無い・或いは厚みを取り切れていない)部分的な厚みを小刃の範囲内外で解消しつつ、刃先最先端は切っ先へ向けて鋭角に仕上げて有ります。

 

 

T様には、いつも御依頼を頂きまして有難う御座います。最初期から、そしてベスパのみならずパソコン関係でも御世話になり感謝して居ります。今後も御役に立てましたら幸いです。

 

 

 

 

 

珍しい来客

 

二か月ほど前でしたか、小西さんから御話しが有った件で、一昨日の日曜は「きしな屋」の岸菜さんが宮崎さんを伴って御来訪。

宮崎さんは五島列島で「宮崎鍛冶屋」を営む若い鍛冶であり、椿包丁で有名な方。単に民家で内職程度の装備しか無い拙宅では余り面白みも無いとは思ったのですが。

先ずは紅茶と和菓子を用意しながら、挨拶と話すべき内容、質問項目などを打ち合わせ。

 

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次に研ぎ仕事から見える、刃物の仕上がりに反映する鍛冶仕事の精度や完成度、其処を目指す為に必要な工程に付いて等を話し合いました。

宮崎さんの仕事に対する姿勢・研究熱心さは成る程と思わされる物でしたが、驚いたのは究極の目標とも言える環境整備?です。極言すれば、電気の供給が無くても作業可能な設備と、使用する道具も手作りしたいとの事。例えば鑢なども自作を目指しているそうです。

広範は研ぎに関しての話題が多くなって行き、使用する人造砥石に付いて・天然中砥の御薦め・傷を消す際の手法等、個別の質問や意見の交換に。その流れで、食味に与える鋼材や砥石の違いも体験して頂きました。

 

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偶々、家に在ったトマトで鋼(炭素鋼)とステンレスの違い。双方、天然仕上げ砥石で砥ぎ上げたペティです。やはり鋼の方がえぐみや酸味を感じにくいとの事。

 

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続いて、同じステンレスペティですが、一方は其の場でキングの8000番で研ぎ直した物。此方も天然砥石の方が好印象で、同じ仕上げ砥石同士でも此処まで違いが有るとは予想外といった反応。

 

 

 

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最後は手持ちの包丁等で試し切りの披露。私が依頼を受けた刃物は、此れに準じたテストと刃先の拡大画像での確認をパスしてから御返送に成ります。紙の一枚・二枚を切るだけでは、刃先のしかも一回の切れのテストにしか過ぎません。厚みや粘りの或る対象を、まな「板」の上で繰り返し切る包丁のテストとしては不足ですので、此れをパスした後に研ぎ直して完了とします。

宮崎さん御持参の(鍛造と研ぎを改良済・巣板仕上げ)椿包丁・私が今回に備えて購入後、砥ぎ上げて置いた椿包丁・水野鍛錬所の廉価版相出刃・司作三徳・自作の菜切りでトライです。

結果は研ぎ方や使用砥石の違いを感じて頂けた様です。宮崎さん御持参の椿包丁(巣板仕上げ)を、自宅の同等品と思われる巣板で研ぎ直して試して貰ったり、更に若狭の戸前で研ぎ直して試して貰ったり。その差を実感して頂けて良かったです。

改良版の椿包丁は、刃先の研ぎ上がりに比して予想される以上の性能で、確かに改善されている印象。特に鋼の焼き入れが少々、硬度が高目に成っていたので粘りは充分ながらシャキッとした刃先に。刃体の薄さ・切り刃の薄さと相俟って、通常は切れに不足は感じないでしょう。

後は、研ぎに拘る方向けとして研ぎ代(とぎしろ・削り落とせる余分な厚み)を残した方向も勘案頂きたいと要望しておきました。そうすれば現状少ないとは言え、切り刃の凹凸や砥ぎ肌の傷を無くすのに、薄くなり過ぎる懸念を払拭してくれますので。

兎も角、今回の御訪問は三人揃って意義深い意見交換会となりました。今後の活動に於いて、様々な情報発信・協力関係に活かせて行ければと思います。御二方には御訪問、有難う御座いました。今後とも宜しく御願い致します。

 

あ、お土産に頂戴した五島のはっちかんかん(八匹雷)とオーブンラボ?のレアチーズみたいなのは美味しかったです。感謝です。

 

 

 

 

 

研ぎ方の基本形

 

御依頼主とのメールでの遣り取りから、必要かなと感じて少し説明を。嘗ての記載内容の整理にも成るかなと・・・。

最初は切れても直ぐに鈍る物が多い中、「切れと永切れの両立に感心」との文面への御答えとして。(洋包丁も基本的な構成要素は同様で、和包丁の縮小版とも言える刃先ですが)和包丁の切り刃に於いて、先ずは刃元から切っ先への厚みの漸減を図ります。当然、元の厚みや想定される凹凸の程度と個数によっては或る程度、汎用性の高い厚みと減らし方・目的に応じた理想の厚みと減らし方から外れる場合も有ります。それでも妥協点を探ったり方向性を変えない努力は欠かしません。応用を効かせる訳です。以下は其の項目でも有ります。

前述の縦方向の厚みの調整ですが、平の厚み(刃体自体)が一定に近かったり殆ど変わらない場合は、縦方向にもハマグリを付ける意識で(平面的で無く)極緩いカーブを意図して厚みを抜く事も有ります。最近のT様の御依頼内容の様に、平の研磨が含まれていたりすれば僅かながらも平の峰側よりも鎬筋側の厚みを減らしつつ面を出したり。

鎬から刃先に掛けては、切り刃を全体的にベタに近いハマグリに。刃先側三分の一から四分の一は少し急なハマグリに。この時点で、刃先は最も薄い(鋭角な)状態ですので切れの追及は満足させられます。刃先の後部に控えるアールで、斬り進んでも張り付き・摩擦と言う抵抗も減少。一般的に言うハマグリは此れですね。私が言う切れ味優先ハマグリ。

しかし、永切れをも満足させたいとなると、刃先の最先端へ向けて一手間必要です。刃先側の1.5mm~2mm程の範囲で、先へ行く程に鈍角なハマグリに仕上げます。つまり、刃先から鎬筋までに掛けて後部が未完成の紡錘形にする訳です(切り刃の長軸方向のハマグリも、同じく刃元側が未完成の紡錘形ですね)。先端に強度を持たせた紡錘形。切り刃の中に三種類の砥ぎ分けです。

刃先最先端を鈍角にするのは、ひとえに切れ止むのを遅らせるばかりで無く、切り込んで行く際に刃先ハマグリの直後に続き、切削対象からの抵抗を受ける箇所の負担を減らす為でも有ります。必要とされる、見かけ上の刃先の薄さと耐久力に優れる厚さの両立を図れます。

最後に、そうやって揃えた刃先ハマグリの角度を可変にします。刃元は鈍角で切っ先へ向かう程に鋭角に。(此処で言う鋭角や鈍角は数学で言う直角を基準としての物言いとは違い、刃物の相場となる角度。例えばスポーツナイフの刃先は片側が大体20°、合わせて40°が標準。それと比較して~的な事です。)

因みに私は普通、(切り刃全体は更に鋭角ですが)刃先の最先端つまり最終刃先角度を柳で50°⇒40°⇒30°、出刃は70°⇒50°⇒30°で砥ぎます。牛刀なら片側40°⇒30°⇒20°です。此れでも殆どの包丁が、刃元で髪の切断くらいは可能ですし問題は無いでしょう。ただ単に、薄く均一に研いだだけの形状とは違う性能を必要とする方には、御薦めです。

 

 

 

あと、コメントに「芸術的かつ実用的」と言う文面も頂戴し恐縮ですが、綺麗と感じて頂けるのは之まで記載した研ぎ方を進める際に、可能な限り面構成と言うか面の連続を滑らかに繋いで凹凸を均し研ぎしているからです。

押し切り・引き切り・押し付けの如何に関わらず、凹凸は抵抗にしか成らないからです。単に視覚的に粗が見えなくする為に施した化粧研ぎでは、機能性が伴わず見た目だけで使うとがっかりと評価されるでしょう。

天然砥石を使うのは、こういった様々な効果を底上げしてくれる効能を見込める為であり、ただ人造とは違う色柄を狙っての事と思われては不本意と言わざるを得ません。其処を否定はしませんが、最大の目的は矢張り汎用性が高く切り込める刃先・永切れです。(食味への貢献も大きいですが。可能な限り傷を消すのも同様の狙いです)

その上で、見た目にも拘る方には御好みの仕様に出来るだけ御応えしたいとは思います。と言い乍ら、霞仕上げの御要望に巣板で無く八枚で仕上げたりしてしまうのは、少しでも錆・変色を遅らせたいからですが悪い癖ですね。

最終的には、なるべく複雑な研ぎ方をした痕跡が現れない様に、特徴的な外観に成り難い様に、普通の仕上がりと見紛う状態を目指しています。多様な要素を盛り込みつつも、一見しての判別は不可能。それが出来るのも手研ぎならではであり、仰々しいのは気恥ずかしいですから。