業務連絡(何時もの?御願い)その他

 

少し前にも記載をしたと思いますが、御問い合わせや研ぎの御依頼に関しては基本的に、ホームページの「御問い合わせフォーム」などから御願いして居ります。

もしも留守電に伝言を入れて頂いたとしても、機会が余りに古いので自動的には相手方の電話番号が表示されません(私の操作が駄目な可能性は有りますが)。従って、御自身の電話番号と御都合の良い日時を提示して頂けた場合は(さらに私が可能な場合)例外的に折り返しの電話が出来るかも知れません。

普段、電話に出られないのは不規則な時間帯で研いで居たり(珍しく依頼が有った場合)、他に掛け持ちで働きに出て居たりする為ですので、御理解いただけましたら幸いです。直近の、A様からの留守電に掛け直せないのも同様ですが、有難い事に私のホームページやブログを御覧に成って居るそうですので、ナイフの研ぎの記事と並んで、今回の記載内容にも目を通して頂ける事を願って居ります。

(A様からは、この記事を書き込み中に、以前の記事のコメント欄へコメントを頂けました。ホームページのフォーム、又は次のアドレスまで御願い致します。togiyamurakami@gmail.com コメント欄に承認済みとして、御本人のコメントを載せると本名である点を懸念しています。イニシャルに書き換えて載せたものかどうか・・・)

 

 

 

他にも、K様からの御注文にて発覚したのですが、私のホームページに記載の販売用包丁(大抵は品切れ)の価格、此方が製造元の価格改定前の儘に成って居ます。済みませんが御注意の程、宜しく御願い致します。

 

 

 

あとは私事、でも無いですが・・・亀岡の天然砥石館の前館長こと上野氏が、新館長(田中氏)に完全にバトンタッチした上で三月一杯にて郷里に戻られる、と聞き及びました。

砥石館設立以来、色々と御世話に成りましたし、或る意味では苦楽を共にした場面も有りました。そんな上野さんには、之までも私の最推しの包丁(司作)を何とか贈れないかと考えた機会が有ったのですが、如何せん資金力に難の有り過ぎる生活に変化は無く、断念せざるを得ませんでした。

流石に、今回ばかりは何か・・・と思いめぐらし一計を案じた結果?苦肉の策を思い付きました。数年前に、日野浦さんから「買い取るから戻せ」と言われていた共柄黒剣鉈八寸と、交換に入手した四本の包丁の内の一本を餞別に贈ろうと。

既にミニサイズの柳は、サンプル兼モニター(かの地で試して頂きたい方々が居られた為)として北海道のS様に御贈りしていましたが、黒打ちの菜切りや三徳が御好みと御見受けした上野さんには、黒打ち(おまけに槌目入り)三徳が相応しそうです。更に、特別なルート?で入手した事により、銘が入って居ないモデルは私以外は殆ど(皆無かも)持っていない筈ですので、「村上と苦労した記念」には寧ろ最適な気もします(笑)。

(因みに以前、常連様から伺った話では、「焼きムラが有る司作の包丁」との触れ込みで廉価に販売している業者が居たとかで。其れを日野浦さんに話した所、「焼き入れミスの製品は出さないので、怪しいな。無銘の包丁に偽の銘切では無いか」との返事。「(村上の)ブログで注意喚起しても良さそうだな」とも言われて居たのを思い出しました)

 

 

やや鋭利気味に研いであったので、耐久と切れを五分五分に狙った刃先に研ぎ直しです。相性的に良かった水浅葱の一つを選択。

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研ぎ上がりですが、この(時期以降の)モデルは、それ以前の地金よりも研ぎ目細かく仕上げるのは難易度が上がって居ます。

先々、上野さんが使用しつつ研ぎ直す際は、相当に歯応えの有る対象として楽しんで頂ける筈です

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地金の仕上がりの難しさと言う点では、ステンレスも引けを取らないのですが、ステンレスも様々ある中で下掲はマシな方と判明しましたし、上掲の軟鉄(極軟鋼)地金は別方向の難しさ乍ら更に一枚、上手(うわて)と言う他は有りません。

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何はともあれ、交換で手元に来た銘の無い司作の内、(下画像の)上から一本目に続き二本目も離れる事に成り、残すは中央の二本です。

日野浦さんの引退までに、銘有りの司作を三本(出刃・柳・三徳か牛刀)は追加したいと希望していますが、叶うかどうか。日野浦さんからは一応、まだまだ現役で製作すると聞かされていますので、諦めずに機会を待ちたいと思います。

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上掲の一本目、飛紋の磨きです。これ等は、偶々に所有していた柄を自分で仕込んだ物ですから、余り確りとは出来ていないのが恐縮です。しかし刃体の方は特に問題が無い筈なので、相応に活躍してくれているのでは無いでしょうか。

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残りの一本、雲竜の黒打ち。自分用に柳を発注するとすれば、雲竜の磨きに成る筈ですので、黒が入手できたのは望外の僥倖でした。

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残った二本目は、鍛え地の黒打ちから磨きに移行している最中の物でしたので、引き続いて自分で最後まで仕上げました。黒打ちだった名残りとして、マチの部分は磨かずに置いて居ます。作業は予想以上に大変でしたが、今となっては良い思い出です。

他の三本と同様、仕立て直し途中で在ったこのモデルは、柳としては切り刃が狭かった為、願わくは将来、牛刀か長目の三徳(鍛え地)を手に入れる迄の万能包丁の位置づけと成って居ます。片刃ですが鈍角気味な分、強度の高さを活かした恰好です。

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砥石館には近々に、三徳を持参する予定ですが・・・月末(上野さんの完全引退間際)には再度、酒でも持って伺おうかなと考えて居ます。

昔(アイリッシュを渡した際)バーボンが好きとの事でしたので、次にフォアローゼスのシングルバレルをプレゼントした記憶は有ります。今度はベイカーズか、ノブクリークのシングルバレルでもと。ブラントンは、フォアローゼスを万人向け且つ上品にした感じでしたので、ベイカーズの方が良さそうでしょうか(パワフル且つ複雑なので。比べるとノブクリークは端麗辛口過ぎるかも)。ブッカーズは流石に、希少且つ高価に成って居ますので、手が出ないのは高級包丁と同様で悲しい所です。

 

 

 

 

 

常連様から二本の包丁の御依頼

 

何時も御世話に成って居る、ベスパのディーラの方から、御馴染みの包丁の研ぎ依頼を頂きました。二本共に炭素鋼ですから、(黒打ちの方は黒皮部分以外)錆も程々に出て居ます。

其れなりに使われている証拠と言えますが、その割に刃先の損耗は少なく、俎板の材質の選定・使い手の扱い方が、包丁の負担に成らない運用なのだと想像できます。

 

 

研ぎ前の状態です。青紙スーパーを芯材とした物だったと思いますが、独特のシェイプと薄い作りが特徴的ですね。

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刃部のアップ

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左側面

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人造の320番からです。刃先を整える事で、僅かに減った切り刃の幅を維持する程度に鎬筋を上げつつ研ぎます。やや硬目・平面維持に優れた砥石の特性を活かして、カーブ周辺の厚みの残存を特に狙って減らします。

後は、何時も通りに切り刃幅を切っ先方向へ、少しずつ広げながら鋭角化させて行きます。

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人造の1000番、研磨力と滑走に優れるタイプで刃先近辺に、最先端に向かって鈍角化・切っ先方向に向かって漸次、鋭角化するハマグリにします。

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人造の1000番、やや柔らか目で研ぎ目が浅く、複雑な面にも追従性の高いタイプで全体を均します。

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天然に移行し、相性の良い対馬で傷を浅くしつつ中仕上げです。

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丸尾山の中硬の巣板で仕上げ研ぎ。

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中山の合いさっぽい石(三色混じり)で、最終仕上げです。

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研ぎ上がりです。

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二本目の牛刀、研ぎ前の状態です。

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人造の320番からのスタートは変わらず。少し、刃先が厚く成り掛けて居ましたので、小刃を広目に研ぎます。僅かに切っ先方向へ鋭角化しつつ進めます。

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1000番、滑走の良いタイプで小刃の上側との段差を均し、より広げます。

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耐水ペーパーを用いて側面の錆を落とすと同時に、刃先近辺の厚みの低減を狙います。

其の上で人造の1000番.3000番の研ぎ目の細かいタイプにより、刃先最先端へ向かって漸次、鈍角化させて行きます。

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相性の良い対馬を選んで、中仕上げです。

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梅ケ畑の研磨力重視タイプで仕上げ研ぎ。

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最終仕上げは、中山の合いさっぽい石(薄い墨流し?)で。

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研ぎ上がりです。

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T様には、此の度も研ぎの御依頼を頂きまして有り難う御座います。結構な確率で、整備や修理のタイミングに合わせて御依頼を頂けるので、流行らない研ぎ屋としましては常々、御気遣いに感謝して居ります(笑)。

本日は休業の様でしたので(予定を確認しとけと)、改めて一週間後に又、御届けをと考えて居ります。宜しく御願い致します。