カテゴリー別アーカイブ: 砥石の選別

一昨日の砥石選別

 

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一昨日は日野浦さんへ送る砥石を選別する為に、田中さんに予約を入れていた日でした。加えて、数日前にショッピングカートを通じて砥石を購入された千葉県のS様から、サイズと予算の御希望を頂いたので、追加の砥石も合わせて見て来ました。

当日は大きな原石を二つと小さ目の原石を一つ、田中さん自ら店先で切ってくれたのですが、二十四型相当の4~5本が取れました。其の中から最も良いと思った一つを先ずは確保。同時に、S様の御希望のサイズ通りに切って貰った二つを含めて数個、小振りな砥石も出来たのですが・・・質的に私が望むタイプとは少し、違って居ました。代わりと言う訳では無いのですが、大きなサイズとして切り分けられた一本が、加工途中で二つに分離。予定とは異なるサイズと成りましたが、大き目のレーザー型を選びました。

もう一方の巣板は、前回の選別で見かけた充分なサイズの物。やや硬口で高性能なのは間違い無いので、いつかは必要に成る事も有るかと取り置きを頼んでいたのですが、こんなに早く出番が来るとは思いませんでした(笑)。恐らく、S様にとっては予定より大き目に成るかと思われますが、端の方に少々ですが当たる筋が有りましたので、其の分は割安に出来ると考えて決めました。

 

 

下画像は今回の持ち帰り分の唯一の大型砥石、24型の水浅葱です。現地でも自らダイヤで平面度を上げて見たのですが、自宅で更に向上をと考えて持ち帰りましたので、判子が無い状態です。

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硬口で粒度も細かいですが、力加減次第では研磨力も相当に出ました。仕上がりも申し分ない、優秀な砥石でした。

此の状態で田中さんへ送付し、判子を押した上で新潟へ発送して貰う予定です。

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S様に選んだ水浅葱です。砥石の質としては、上画像の砥石と殆ど同じ物でした。

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此方も、平面度を上げる為に自力でも頑張りましたので、砥面の判子は殆ど消えています(側面のは健在)。とは言え、外縁部には平面が届いていない部分も残って居ます。そして砥石の質が同様ですので、仕上がりの状態は判別が困難な程に似通って居ますね。

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次は巣板です。硬さ・細かさで相当に優秀なバランスを持ちながら、扱い難い程では無いタイプで、滑走よりは食い付きを感じる印象です。

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超硬口で無い巣板としては珍しく、半鏡面以上と言えるレベルの仕上がりです。

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下は、白っぽい水浅葱ですが、中央に僅かながら干渉しそうな極細のヒビが有ります。過敏な反応をする地金でも無ければ、そう問題には成りませんので(取り置きしているカラスっぽい水浅葱の親戚らしいですし)、自分用に持ち帰りました。

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裏は、之までの浅葱系統でも一番、白い気がしますね。

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どうやら、此の手のタイプはクリーミーなパウダー状の感触を持つ様で、研磨力と滑走のバランスが良く、仕上げた刃先の掛かりも良好でした。

期待どおり?面直しを少々、頻回に行なうとヒビも減少して来たので、更に使い勝手も向上し、今後の活躍に期待です。

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最終的にS様は今回、浅葱の方だけを購入されるとの事でしたので、持ち帰った巣板は自分用として養生しました。想定していたよりも大分、早く入手する事には成りましたが、高性能かつ之までの巣板とはキャラクターを異にする砥石の追加は、仕事上で遭遇する様々な刃物に対応出来る幅を広げてくれるので、心強い物です。

S様には、此の度の水浅葱の御買い上げに感謝致します。御手持ちの刃物に適応し、活躍してくれる事を願って居ます。

 

 

下画像の奥は、小さなコッパですが中々に良さそうな巣板を選別出来ましたので、先々には販売用に持ち帰る予定です。

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後日、到着した水浅葱の性能を確認されたS様から、巣板も送って欲しいとの旨、連絡が有りましたので、予定通りに二つとも御手元に届く事に成りました。

先々、自分用としての活躍も楽しみに成って居た矢先ですが(笑)、S様の元で実力を発揮してくれるのも嬉しい事では有りますね。

 

 

 

 

 

先週の砥石の選別

 

一週間ほど前に、頼んでいた砥石の確認に行って来ました。と言っても主目的の水浅葱は、未だ原石を確認して切って貰う事の打ち合わせ段階です。此方は、さる方から砥石の選別を相談された日野浦さんから、代行を頼まれた分の続きとして。

其の他に関しては、私が仕事で使う(言い訳?)心算の物の予備の予備、或いは其の又予備を選んで来ました。しかし稀にでは有りますが、私の手持ちの砥石を御所望の方も現れる為、(私が入手可能かつ)産出量に余裕の有る種類に限り、或る程度の砥石は多目に持っていないと駄目かなとの考えも有ります。其れに当たるのは現状、中山の巣板です。

 

 

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上画像は、いきなりですが次回以降へ向けた取り置き分です(笑)。中山の巣板と水浅葱ですが、儲からない研ぎ屋にとっては聊か以上に立派なサイズでした。それにしても水浅葱としては、相当に珍しい模様・・・浅葱系統なのに、カラスみたいですね。聞いた所では、極偶に産出するらしい希少品でありつつ、性能も優れた物とか。確かに、自分で触れた際にも独特な感覚でした。此のカラス風化水浅葱、確か田中さんは惑星とか呼称していた様な。

あと序でに、前々から不思議だった事も尋ねました。昔から、中山の巣板でカラスの話しは聞いた覚えが無かったが、直近の採掘では巣板の大部分がカラス混じりなのは何故だろうかと。答えは簡単で、古の職人たちが掘って居た箇所・方向とは、敢えて異なる部分へ掘り進めたからだと。成る程、嘗て採掘していた先達と情報を遣り取りしつつ、より意欲的?な掘り方をしているならば異質な砥石群も取れる筈だと納得しました。

 

 

 

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上は、以前に依頼されて選別した大きな砥石の切り落としです。直近の中山の巣板にしては、ハッキリとした巣が綺麗に並んでいるタイプ。硬さは、やや軟口~中硬と云った所ですが、刃金の仕上がりは充分な細かさと言えます。

 

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今回のテストに使用したのは、刃金が青紙一号の硬焼き・地金も少々、硬目の物。因って、砥粒の目が立って居る・砥面が硬い程に、綺麗に仕上げようとすれば苦労が伴います。

 

 

 

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若干ですが、戸前風味を感じる巣板。砥面の反射も独特な風情の硬口でした。

 

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充分な硬さ・細かさを反映して、仕上がりも良いですね。

 

 

 

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此方も、戸前寄りかと思われる質でした。硬さは、中硬~やや硬口の物。

 

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今回の巣板シリーズでは1、2を争うレベルの硬口~超硬口でしたが、此方は純粋な巣板としての性質を見せる物。しかし、側面から見れば一部の範囲で極めて色濃くカラスが観察できる、変わり種。通常、強烈なカラスの層は、筋や巣の周辺に出る確率が高いと思われますが、巣無しの巣板では珍しいですね。

 

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此処まで硬くて細かく成ると、巣板と言えども浅葱系統による仕上がりに、遜色が無い様です。

 

 

 

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やや硬口~硬口の細身の物。研磨力・滑走共に優秀でしたので、小さな刃物用に。

 

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此方はも相当な硬口で、やや並砥っぽいかなと感じる研ぎ感でしたが、仕上がりには特に、特異な点は有りませんでした。やはり一定以上の硬さと細かさでは、顕著な差は出難く成って行くのでしょうか。

 

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上画像は完全に、並砥と言っても良いレベルの硬口砥石でした。未だ砥面が揃ってはいませんが。

 

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仕上がりは、一級品の仕上げ砥である事を証明する物。砥石のサイズや形状は、研ぎ易さに直結する要素で重要では有るのですが・・・仕上がりに拘るならば、其れよりも石自体の性能が問われるのは、論を俟たないですね。

 

 

 

以上は、幾分ですが神経質(傷が入り易く消え難い)な刃金と地金の切り出しを使用しましたので、砥石に因っては研ぎ傷が残り勝ちでした。逆に、敏感過ぎない組み合わせの切り出しでは、最初の中硬の砥石以外、全体的に刃・地共に鏡面前後まで綺麗に仕上がってくれました。

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自分用に選んだ砥石達は、何れも細身だったり小振りだったりしましたが、性能的には間違いの無い物ばかりでしたので、今後の作業に使っても支障が出ないどころか、大いに助けてくれそうです。

 

 

 

 

 

先週の砥石の選別

 

一週間ほど前に、田中砥石で砥石を選別して来ました。と言っても、御目当ての砥石は既に事前に下見・取り置き依頼済みの物が大半でした。

御二方からの御依頼品と、自分用の小振りな物でしたが、其れ以外にも満足すべき結果と成って一安心です。特に、大きな物は文字通りに肩の荷が下りたと感じたのですが・・・。

 

 

下画像が其れで、品質と難の無さでは文句無し・サイズ的には想定以上のレベルと成りました。大きな一塊から切り分けて貰い、更に一回り大きな方は、(先代・先々代の頃の見本と並べる為に)田中さんの所で最近の良品を代表する見本として、置いて置かれるとの事。

ただ、御依頼の文面では中山の戸前とは言え、毛色の違う方だった事を、返信のメールを送信する時点に成って気付きました。過去には無い様な勘違いでしたが、御依頼主には次回、御希望品を期待と云う事で御了承を頂き恐縮です。先々には、日野浦さん用と並んで鋭意、努力したいと思います。

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下画像は、加工途中も含む参考画像として、もう一方の御依頼主に確認して頂く為に。此方も、豪華なサイズで品質も良さそうですので、御満足頂けるかなと。少なくとも、茶色の方は確実に取り置いて貰える筈の物です(笑)。白いのは、交渉・取り合い?に成るかもですが、今後も同等品の採掘を期待出来るとの事ですし、焦る必要は無さそうです。

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下画像は、小振り乍ら超硬口で粒度も細かい、中山の巣板です。

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研いで見れば、硬口以上の砥石で見られる仕上がりで期待通り。

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数年前、砥取家経由で畑中砥石の砥石を入手しましたが、其の中にはレーザー型の中山巣板も幾つか。下画像もその一つですが、一部模様や研ぎ感が今回の砥石と似ていると感じました。硬さや研ぎ感は酷似して居り、これは往時、採掘されていた層に近い部分へ掘り進んで来た為かなと想像したり。

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次の砥石も中山の巣板ですが、此方は幾分、弾力も有る硬口。

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仕上がり的には一つ目の超硬口に近いですね。研ぎ易さを併せ持つ分、研ぎ手に優しいですが恐らくは神経質なタイプの刃物にも優しいかと(笑)。

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此の砥石に関しては、カシューで養生したので判然とし難いのですが、側面に赤紫っぽい層が見えました。

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下画像は、ある畑中砥石の側面ですが・・・かなり派手に同様の色の層が確認出来ます。以前は、こんな色の層を挟んだ巣板は有るのか?中山の層の、どの辺りかと訝しんでいたのですが今回の砥石で、図らずも答え合わせが出来た感じですね。

色柄・質とも奥殿は巣板のバラエティーが豊かですが、振り幅では及ばないかも知れませんが、良く見れば中山の巣板も結構な個性が有りますね。グラデーションで揃えて行ければと思います。

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下画像は、今回で最も小振りでしたが質と形状で魅かれた物。

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中硬でしたが、此方も仕上がりは他の石に遜色の無い仕上がり。

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下画像は、加工前に選んでいた物ですが、想像以上に変わった色彩と相当な軟口でした。此処まで来ると、色柄的にはカラスと言うより乳牛でしょうか。

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更に驚いたのは、軟口にも関わらず相当に細かく光り気味の仕上がり。このタイプは、手持ちにも殆ど有りません。特殊な使い道に備えて、待機していて貰いましょう。

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最後も、加工前から取り置きにしていた物。予想していた通り、筋は多く入って居ましたので、部分研ぎ・小割りを想定しての選別でした。

研磨力が強く、硬過ぎない中硬と、やや軟口の物が一つづつでしたので相応しい内容の作業の際には、活躍して貰う予定です。

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あと、加工途中の大き目砥石の切り落としも取り置きして来ましたので、次回訪問の際は其方もと。中山の巣板としては、明確な巣の層が入っているタイプですが、性能に特色があるタイプの可能性が。

畑中砥石の一つに、同様の巣の入り方の砥石が有り、切り出し等の平面の刃物に好適だった、其の手持ちの小振りな物に準じる性能を期待しています。

 

 

 

 

 

砥石の選別(下見?)

 

御二方から一本ずつ、日本剃刀の研ぎ依頼を頂いて居たのですが、一本目が研ぎ上がった翌日である昨日、久し振りに田中砥石店に出掛けて来ました。以前、研ぎ講習を受けて頂いた事も有るK様から、中山の巣板と浅葱の選別依頼を受けての訪問です。

事前に伝えて居た事も有ってか今回も、巣板をメインに相当な量と種類の原石が置かれていました。其の中から、御依頼に適う石を探しては見ましたが・・・流石に、加工前の段階と在っては確証が持てませんので、幾つかの気に成る物を取り置いて来ました。更に浅葱に付いては、別に置かれていた大きな厚物の原石を出して貰えましたので、次回の訪問までに大き目に切り分けて頂く事にしました。

 

 

 

其れ等とは別に、折角ですので予備の薄物浅葱(しかし超硬口)を始め、幾つか選別してみました。ですが今回、持ち帰ったのは資料的な目的で選んだ三点です。

 

之まで掘り進めていた巣板層の、端まで行った部分の石らしいのですが、戸前に近い質に成っている様子。嘗て、採掘をしていた方が確認された際も、同様の見立てだったそうで。

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巣板層では有りますが、色・柄・砥粒の状態から天井巣板相当かと思われます。研いだ感触も、硬口乍ら弾力を強く感じます。其の両方の特色に因り、極端に研ぎ減りが少ない性質と成って居ます。

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最後は、変わり種?と見受けましたが、馬路の巣板です。巣と巣の感覚は狭いですが、特に軟質でも無いし、巣も当たり難い質なので使い勝手に悪影響は小さいとの判断で。

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試し研ぎですが、上掲の順とは逆と成ります。

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予想以上の細かさで、薄曇り以上、少なくとも刃金部分は半鏡面に近い仕上がりです。サラサラとしつつも、泥が出て来ると適度な食い付きが見られます。

 

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此方は更に硬く細かく、半鏡面と言うよりは鏡面に近いです。相当な弾力と、強い食い付きにより、軽く滑らかに研ぎたい人にとっては扱い難く感じるかも知れませんが、個人的には面白くて好みの性質です。

 

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適度な硬さと幾分、サラリとした研ぎ感でしたが鏡面と言える仕上がりと成りました。

 

 

 

次回の訪問時には、浅葱と共に巣板の目ぼしい物が見つけられればと考えていますので、K様にはもう暫くの御待ちを御願い致します。

n御二人目の日本剃刀の御依頼を頂いて居る、N様の作業は梳き直しが終了して居り、後は研ぐだけと成って居ますので同じく、もう暫くの御待ちを御長い致します。(御一人目は現在、仕上がり確認画像付きメールを御送りして返信待ちです)

 

 

 

 

 

週初めに京都へ行って来ました

 

田中さんから先々週、以前からの採掘で多方面(採掘口)へのアクセスを可能にし、多様な原石を持ち帰ったとの連絡を頂いたので、早速ですが週初めに伺って来ました。

今の所、急ぎでの砥石選別の御依頼は無いのですが(一件は、条件が厳しいので中・長期の構えで当たる事にしています)、私が過去に取り置いていた分を持ち帰る事、そして最近の原石を確認する為でした。相岩谷も数個、取り置いていたのですが其れは、又次回に。

 

 

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先代が掘っていた中の物だったでしょうか、馬路山の戸前系?やや軟口です。傷消しに役立ってくれればと選んでいた石です。

 

 

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中山の巣板、中硬~やや軟口です。砥粒の目は細かいですが、此方も最終仕上げの目的よりも、傷消し等の中間的な役割を期待しての取り置きでした。

 

 

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上画像は中山の水浅葱、硬口です。予定には無かったのですが、私の好みや必要としているラインナップを把握している店主からの御薦めで(笑)、ついつい買ってしまう砥石は有る物です。

 

 

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八木乃嶋だったかと思いますが、蓮華巣板です。此方も良ければとの事で、分けて貰いました。蓮華は、筋が入っている部分に特徴的に出て来る様ですが、小さい砥石とは言え全体に分布しているのは少数派でしょうね。

筋・焼け・巣の痕跡など、難の部分は避けて研いだり、酷く当たらない様に加減しつつ研げば良いだけで。少なくとも、適応する刃物・部位などを適正に当てれば充分に活躍させられます。

 

 

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上画像は、嘗て砥石が大量に生産されていた頃の販売促進用のグッズでしょうか、幾つか見つかったとの事で、選ばせて頂きました。私が喫煙者なら、他の浅目の物を選んだ所ですが、小物入れ用にと大き目を。

 

 

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此方も、過去の息吹を伝える砥石。電動工具に取り付けて使われていたのでしょうか、大きな原石からの削り出しとは贅沢な感じがしますね。初見では、人造にも見えたり粒度も中砥レベルか思われましたが、天然でした。直径と厚さは、14cm×10cm。

 

 

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最後は、田中さんの所で製造している1000番の砥石をサンプルで一つ、購入してみました。予想よりも、やや厚手な製品で硬目な性質と相俟って、長持ちしそうです。

 

 

 

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その人造1000番ですが、均等に配分された密粗のバランスの為か滑走に優れる印象。食い付きは良いのに研ぎ感に必要以上の重さを感じさせない理由にも成って居そうですが、もう一つは砥粒の目が立って居ながら、砥面の構成要件により食い込みが深過ぎない点でしょうか。

 

 

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丸い砥石ですが、面直しをすると但馬砥と三河白の中間と言うよりは、かなり三河に近い研ぎ感で、中硬・中程度砥粒の巣板の一歩手前な感じです。硬さ的には、やや硬口で変形し難い物。

 

 

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やや軟口の馬路は、其処から繋ぐのに適役で、上手に傷を浅くしてくれます。

 

 

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蓮華巣板に繋げば、より細かい砥粒かつ平面維持力が上がるので、一気に仕上がりに違いが。既に、普通に使える状態とも言えます。

 

 

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中山の巣板ですが、硬口では無くとも充分な砥粒の細かさが活きて、かなり細かい仕上がりに。当然、刃先も普通以上に切れる状態に。

 

 

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水浅葱で最終仕上げです。今回、持ち帰った砥石達は偶然にも、炭素鋼の切り出しなら(荒研ぎは別として)段階を追って研ぎ進められるルートを構成するチームとして使えました。

何れも、鋼材や熱処理次第で、相性的に万全で無い刃物との接触では性能を活かし切れない場面も有るかも知れませんが、各砥石ともに守備範囲は相応に広そうです。

 

 

 

いつも御世話に成って居ますが田中さんには今後も、砥石の選別や研究(趣味要素多目)に御協力頂けましたら幸いです。

 

 

 

 

 

最近の事(特に砥石関連)

 

以前から、日野浦さんに依頼されていた砥石を漸くの事、発送出来ました。正確には田中砥石へ代金を支払いに行った流れで、丁度集荷に来た佐川へ其の儘まま出して貰いました。

 

寸法に関しての相談の結果、現状の定寸より大き目のままで良いとの事で。

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質的にも、普通以上なら良いとの事でしたが・・・現場に自前のダイヤ・切り出しを持ち込んで確認の結果は当たり品で安心して送る事が出来ました。

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其の上で折角、出掛けた訳ですから(最近の産出・過去の採掘済み原石の加工品)サンプルに丁度、良さそうな小振りな物を幾つか持ち帰りました。

 

下画像は、大平の巣板ですが裏面です。反対側が本来、砥面に成る方です。

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此方は、中山の巣板層から掘り進めて出た様子。並砥・合いさも狙えるとの見込み通り、黄緑と薄紫の混じった色調。研ぎ感と仕上がりからは、超硬口で鏡面的な浅葱に準じる性能を確認出来ました。残念ながら、面積の上半分には当たる筋が数本、走って居るので避けて研ぐ必要は有りましたが。

之まで、私は幾つかの中山の並砥を購入しましたが、此処までの硬口・細かさは経験が有りません。明らかな合いさに至っては、全くの未経験です。もしも、此の砥石の質で大き目が出て呉れるなら、大いに楽しみにしたいと思って居ます。

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此方の巣板は、中硬よりも硬口と言うべき硬さと細かさで、性能的には之までと同様の物でした。

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下画像の巣板も、硬口に近いですが上の石よりも若干は中硬寄りです。以前の巣板と此の二つから、巣板の層の硬さ・細かさの分布と云うか・・・現在採掘中の層に於ける石質の配分が朧気乍ら理解出来るかなと。

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此方は、以前からの取り置き水浅葱の最後の物です。水浅葱の採掘場所と、巣板~合砥を目指している箇所は、流石に違うそうです。

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全く同じ個所では無いかも知れませんが、画像を頂きました。予想していたよりも、数段は奥まで進んだ場所だそうで驚きました。二十数メートルだか四十数メートルだか聞いた様な気がしますが・・・当然ながら、改めて安全優先で御願いしたいですね。

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あと、天然砥石館の上野館長が出張で九州に出掛けていたのですが・・・取材と買い付けを終えて帰って来ました。

熊本・長崎あたりを回って来たみたいですが、取り敢えず持ち帰ったメインは天草砥の様です。

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早速、試し研ぎを依頼されましたので、常連さんの炭素鋼の出刃と廉価なステンレス包丁で。近頃は、硬口で泥の少ない天草が多く見受けられるのではと思いますが、適度な硬さと泥の出方で、初心者でも研ぎ易いでしょうし和包丁の切り刃を当てるのも容易でした。

この後、天草全体を二人で面取りしたのですが、八割方が研ぎ易いタイプでしたので、館長の目論見通り二井宿砥との組み合わせにも合致するでしょう。

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少し前から、遣り取りして居たという二井宿砥で仕上げ。但馬砥と会津砥の個性を合わせた感じの砥石で、水分量や圧力の掛け方で砥面の性状が変わり易いタイプとの印象。仕上がりの細かさは中砥相応ながら、切れは充分なレベル。

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備水の元と成ったのか?鬢の水との印章が。其方に産する砥石を備水、虎柄の天草の中で白い物は上白、でしたか。一般的には混同されがちな砥石かも知れません。

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佐賀産でしたか、こま砥らしいです。「こま」は細かい、の意味では無いかとの事です。底面は刳って有り、安定を図って居る物と思われます。つまり此の状態で据え付けて研がれていたそうです。

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中山の水浅葱の御依頼

 

御依頼を頂いていた水浅葱を選別する為に、先週末に田中砥石店へ出掛けて来ました。提示して貰い、当たりを付けた原石から切り分けられていた砥石達を、自分でも手伝いながら整形。

初めは一つくらい持ち帰れれば良いか?との段階でしたが、予備の一つと合わせて、三つの準備が整いました。事前の遣り取りでは基本的に、八十型・大き目レーザーの広目?狙いの心算でしたが・・・いざ切り分けるとなると、無駄に小さ目にする事に気が引けて、結構なサイズに(笑)。OKが出ると良いのですが。

 

 

此方で御世話に成って以来、最初に関わった原石が最もオーソドックスだった気がします。とは言っても其れは、白浅葱・水浅葱・黒っぽい浅葱と(大きな原石では有りましたが一つの中で)様々な色調と性格を見せてくれましたが。

それ以降の特徴としては、白浅葱に近い水浅葱・・・尚且つ墨流しや水流を想起させる模様の出る砥石が多かった印象です。白っぽくは無い水浅葱でも前記特徴は共通して見られ、今回の三つも同様でした。

余り模様や色調の変化に乏しい物(大人しいと言うか無難)と比較すれば、刃物の形状や鋼材(硬さか粘り?)・圧力や研ぎ進める内の砥面の変化により、滑走と食い付きが変化し易いかも知れません。硬さと細かさは勿論、研磨力と切れに関しては炭素鋼の切り出しによる平面研ぎ・糸引き。ステンレス包丁によるハマグリで優れた性能は確認済みですので、完全に個性と言えるでしょう。

 

 

では先ず、最も面積が広く難も無さそうだった物。現地でかなり、回転式の動力機械とダイヤ砥石により表裏共、其れなり以上には面を出して来ました。

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自宅で更に、ダイヤ各種により両面の平面度を高め、カシューで養生。

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研ぎ上がりと切れに問題無しですね。

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二つ目、少し色調に変化している部分が見られ、初期は研ぎ感にも違いが。ダイヤで面を整えて行くに従って、厚みが減って行くと其れも消退したので、其処で留めました。未だ残存する薄い茶色は、側面からの観察で先々には無くなると思われます。

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三つ目、上記の二つが想定した性能を満たして居なかった場合の為に、予備として持ち帰った物です。面積は最小ですが、厚みは最大でした。白っぽさでも、此方が随一では有りましたが・・・表層は色調の変化が複雑に入り乱れている様子。研ぎ感のバラツキも砥面の各所で現れ、側面から見る限り、数ミリ以上を減らすまで続きそうでしたので自分用に。

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扱い難さに加え、層割れに近いヒビ(細い物と極細の物)が二本、砥面の端から四センチ程ですが入っていたので、薄めたカシューで養生。此方も、細い方の一本(下画像の左下)は数ミリ減らした暁には消えそうです。

質的には、私の希望していた白っぽい物の予備として相応しいので、或る程度を減らした頃には扱い易い厚さ(台要らず)と相俟って、万全の状態に成ってくれるでしょう。

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何度も面直しを繰り返すと、その度毎に砥面の反応(食い付きと滑走のバランス)が安定して来ます。硬い鋼材と繊細な地金の切り出しでも、少し注意深く研げば充分に熟せる程に。

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当然、研ぎ易い方では不足が有ろう筈も無く。

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オマケは、天井巣板でしょうかカラス混じりの巣板。「面白いと思って作ったが、やや荒いのでは?」との事でしたが・・・行けると判断して選んでみました。

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結構な硬口寄りの中硬でしたが、流石に巣板。浅葱系統とは別格の研磨力と、其れに似付かわしく無い細かい仕上がりで、期待通りの性能でした。もしも浅葱で地金を引いても、此れが有れば憂い無し?ですね。粒度が近いので、間に何らかの砥石を挟む必要が無く便利です。

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水浅葱の選別で

 

先日は、水浅葱の選別に出掛けて来ました。其方の砥石を現在、御二方が御希望で。自分用の追加も含めて見に行って来ました。

前回に訪れた際に見せて貰った大きな原石を、相談しつつ切り分けて貰ったり、もう少し小振りな原石も試しに切って貰ったりしつつ、四つ程の砥石を選別。その場で全てを加工は出来ませんので、取り敢えず一つを確認すべく面付け等を待ち乍ら、採掘の展望を聞いたり、次の層から出た砥石のサンプルを眺めたり。

 

適度なサイズと形状ですが、層の繋ぎ目の茶色と後述する模様の流れから、難易度高目と判断して自分用としました。

 

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青紙一号と、少し敏感(硬口砥石では傷が入り易い・均一に仕上げ難い)な地金の切り出しの結果。

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青紙二号と研ぎ易い地金の切り出しの結果。

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浅葱の系統は、単に硬くて細かい砥石なので(産地の違いも含めて)、個体毎の差は僅少だとの認識も結構有る様です。しかし、硬さと粘りのバランスから、弾力の有る無しに繋がりますし、研ぎ感でも粉っぽさが強かったり層の流れを強く感じたりします。

層の流れで言えば、単に砥石の長手・短手方向に向いているかどうかでも、滑走や研磨力の違いと成ります。使用者の求める性能に従って、何方の向きで砥石を使うかにも関わって来ますね。弾力が有れば、地を引く可能性が低くなるだけで無く、砥面の変形もストローク数の割りに局地的な出方が少なくなる傾向かなと。

あと、今回の砥石も含まれるのですが・・・剥離・分割する時に基準と成る、層と層の境界線と砥粒の積層が平行に成って居ない物も。基本的に、層の境界線と砥面・底面が平行なのが本来で、砥面が平行で無ければ斜向している事に成ります。しかし、境界線と砥石の基質の積層が平行で無ければ、何方に基準を合わせるかは難しい所です。

強いて決めるならば、やはり境界線(劈開する方向)だと考えますが、私の経験では食い付き方や滑走に特徴が出る気がします。砥石・刃物が平面同士の場合、軽く擦っている時は特に変わりは有りませんが、圧力を強めたり同一箇所でストロークを稼いで行くと、急に食い付きが強く成って来る。其れが広範囲に起これば、全体的に滑走の重さも変化します。

此れを回避・改善するには共名倉・ダイヤでの泥出しを併用すれば問題は無いので、逆に考えれば無難中の無難な優等生には無い個性や特徴を活かし易いとも言えます。無難な物で研磨力を上げるには、ダイヤでの泥出し・やや泥っぽい共名倉での強化も可能ですが、前者では必要なら研ぎ方如何のみでも変化を出せる訳です。

因みに、平面でない刃物やステンレスに於いては、このタイプの砥石が効果的な場合が多いですし、(更に微視的ですが砥粒の形状や並び次第で)平面の刃物の「磨き」で綺麗な仕上がりを得られた経験も。砥粒の目が立ち過ぎタイプ(鑢っぽい)による研磨力とは、一線を画す事が原因なのでしょうか。

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上画像、薄い茶色の二重線?が層の境界線です。

 

 

 

そして、取り置きしていた砥石も一つ。現状では少数派で珍しいと思われる、天井巣板です。やや硬口で泥は少な目、研ぎ易いレベルですし触察から予想する以上に細かい仕上がり。

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特に意識せずとも、繊細な地金の切り出しでも研ぎ斑に成らず。

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研ぎ易い方なら尚の事、楽々でした(笑)。

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御待たせしている御二方の分は、月末までには持ち帰って御報告をと考えていますので、宜しく御願い致します。確認した際、もし質的な難易度で懸念が出ても、取り置きの私用(厚物)を切り分けて貰う成りしますので、御心配には及びません(笑)。

 

 

 

 

 

千葉県から西洋剃刀の御依頼

 

千葉のH様から、かなり珍しいと思われる西洋剃刀を送って頂きました。珍しいと言うのは其の素材で、刃体全てがダマスカスで出来ていました。私が流行りに疎いだけな可能性は有りますが。

近年のダマスカスと言えば、包丁・ナイフ類を連想しますが其れ等は、ラミネート的に芯材を挟み込むだけの物が殆どで、例外的なのはコアレス(V金の10と1でしたかの積層)だけの印象で。

あと、届いた時点でも結構な切れが出ていましたが・・・御希望としては、刃線を直線的に・刃先(小刃と言って良いのか?)の幅を均一にとの内容で。ビニールテープを同梱して頂きましたので、其れを使いつつ研ぐ事に。ただ、一度でも使い出せば、角度が変わるので使わずに研ぐ選択は無しに成りますね。荒研ぎから遣り直すなら別ですが。とは言え、テープの厚さ・粘着剤の精度は如何ほどかと若干、気には成りつつ。

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上画像、研ぎ前の状態。特に悪いとも見えない様な(笑)。剃刀のベテラン方やマニアレベルの方々から見て、何処まで改善できるか定かでは有りませんが、幾らかでも御希望に近付けばと。

 

 

 

先ずは人造の1000番、研磨力と平面維持を兼ね備えた物。刃線を直線に近付けつつ、研がれた部分の幅の様子を観察。

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次に、同じく1000番ですが傷が浅く細かい物。此処で大まかな形状や角度が決まります。研がれた部分の幅は、一定以上には揃わない事が判明。特に、左側面ですね。研ぐ前に触察した時点で、薄々は感じていましたが、ホローグラインドの精度的な問題に起因しています。厚みの残存箇所は、他の部分よりも同角度で研がれても幅広に成ります。

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人造の3000番、研ぎ目を細かく本格的に切れを出します。

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天然に移行して、赤ピンの中硬と奥殿の天井巣板の中硬。

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中山の巣板を二つ三つ。

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中山の白浅葱からの水浅葱。

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研ぎ上がりです。刃線が或る程度、直線に近付いた時点で切れが出ました。そして刃先の幅を均一にするには、通常の研ぎのみでは限界が有る事が分かった為、研ぎ減らすのは最低限にする事を優先しました。

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拡大しても、刃先にダマスカス模様が見えます。やはり不思議な感じがしますね。

 

此の度、H様には貴重な剃刀を研ぐ機会を頂き有難う御座います。本日、御返送しましたので、到着後に御使用の上で問題が無いか御確認を御願い致します。何か有りましたら、御気軽に御連絡下さい。

(メールにての御感想に加え、鋼材のデータも送って頂きました。XC100とXC130で、其々が炭素量1と1.3も入っている様です。HRC64も狙えるみたいですが、研いだり切ったりした限りでは、少しソフトな印象で、研ぎ直し易さを考慮かなと。錆に強かったのでセミステンレスかとも思われましたが、純炭素鋼で。)

 

 

 

 

剃刀を砥ぎ上げた次の日は、砥石館のイベントに向かったのですが・・・途中で田中砥石に寄って見ました。以前から砥石の御相談を頂いたり、推薦砥石を御送りしていた東京のH様との会話により、先々には水浅葱も幾つか用意しておこうかと。

其の時には随分と良さそうな原石を出して貰え、田中さんの兄弟子に当たるんでしたか?の方が、其処から大きな砥石を切り分けて欲しいとの流れで。私は其れではと、残りの分から大き目のレーザー型を希望して置きました。出来れば、自分用も含めて二つは欲しいですね(笑)。

当日は又別に、少し変わった性格の水浅葱も手に入りました。白っぽい色調ながら、モヤモヤした模様の有る物ですが可成りの硬口です。

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先ず試したのは何時もの切り出しの一つで、地金の性質が気難しく無く、仕上がりに難が少ない物。この時点では、普通に研ぎ易くて良い仕上がりの砥石だなと(若干、食い付きが強過ぎる気も。そんな時に奥殿の水浅葱は、粉末っぽいパサッとした研ぎ感の物が共名倉に好適です)

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只でも下画像の様に、少し当たる筋・凄く当たる筋の二つを物ともせずに仕上がる様な切り出しでしたので、余計に美点が引き立ちましたが・・・切れ加減が今一つ。まあ、普通に近い性能なのですが、「青紙二号・此の製品の製造工程」との相性かな?と。

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続いて、青紙一号と若干の気難しさを見せる地金の切り出し。此方も刃・地共、相当に上手く仕上がります。切れは幾分、向上しました。

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最後に、一番の新入り且つ、最も砥石を選り好みする地金の切り出し。未だ面が出揃って居ませんが、中硬の巣板でしか地を引かずに研ぐのが難しい性格です。浅葱・水浅葱は言うに及ばず、硬口~やや硬口の巣板・合砥程度でも(筋や砥面の不均一が有れば更に)十字傷の様な状態に。

しかし此の浅葱では症状が出難く、研磨に時間は掛かるものの上手く仕上がります。(ダイヤでの泥出し・奥殿の水浅葱による共名倉を併用で効果大)因みに此の切り出しも青紙二号と思われますが、今回の三本中では一番、切れが出ました。

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他にも、炭素鋼・ステンレスの洋式刃物で試すと抜群の切れが。総合的に見ると、切れに関しては平面の刃物よりも立体的な刃先を研ぐのに向いている印象ですが、平面の刃物を綺麗に仕上げる性能にも特化している様です。仕事の上では、そう言う砥石も必要だなと考えて来た訳ですから、良い出会いでは有りました。

しかし、自分としては珍しく尖った性格の砥石を選んだ物です。従来から、天然砥石は其々が唯一の物で相性次第で結果も変わると説明して来ましたが、半分は保険みたいな感じでの補足でした。基本的に私が選ぶ砥石は、意図しなければ守備範囲の広いマルチパーパスながらも高性能との認識でしたし、実際もそうでした。従って平面の刃物を磨くのを得意とする此の浅葱は、手持ちの中では少数派な、専門的な役割を持つ石でした。

 

 

オマケに、細身の巣板も質が良さそうでしたので(笑)。

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浅葱と遜色の無い仕上がりで、硬口の高性能な巣板で在る事が分かりました。そろそろ、周辺にも試掘が進みそうですが巣板の良い物も、ついつい気に成りますね。

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司作を纏めて送って貰いました

 

以前から御注文を頂いて居た、北海道のS様の副え鉈が仕上がるタイミングで、最近の御注文である千葉のH様からの、ほぼ御要望通りの作品も在庫が。これ幸いと纏めて送って貰いました。

 

先ずはS様の雲竜の副え鉈、磨きです。刃金は新生白紙一号、地金は錬鉄よ極軟鋼の積層を捩った物。鍛え地(捩り無し)は磨きが似合うとの印象ですが、雲竜は黒打ち・磨き共に特徴が出易いですね。私も遠い将来(笑)には、雲竜黒打ちの出刃と雲竜磨きの柳の新規注文をと画策して居ります。其の時には、鍛え地磨きの三徳もですね。

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次に、H様の通常モデルの司作出刃と、珍しい鎬無しのフラットな三徳。後者は、通常モデルである和式(鎬有り)に比べて幾分、軽量に仕上がっている気がします。

刃体の薄さに依り、切り込む際の抵抗も受け難そうで、使い手の好みに合えば通常モデルとは違った使い勝手が好まれるでしょうね。

刃金は司作に共通の白紙一号、地金は極軟鋼ですが・・・日野浦さん本人は、いつも「使うなら通常モデルで充分なので、其方の価値が理解されて、使い手が増えて欲しい」と言って居ましたので、正に我が意を得たりの心境では無いでしょうか。

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司作の包丁は通常、殆どベタ研ぎに近く、かなりの鋭角な刃先に仕上げられています。ラフに使わない限りは、問題も出ない仕立てだと思いますが、私が注意点として説明した所・・・H様からは用心の為にと刃先角度の調整も承りました。

人造の1000番と3000番で。刃元は70度・中央は50度・切っ先は30度強で。裏は切っ先周辺が、幾分当てに行かねば成らない感じでしたので、其れを均しつつ全体の裏を押して行きます。

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天然に入り、奥殿の天井の二種で傷を消しつつ刃先までの面を細分化。

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仕上げ研ぎで、新入りの中山産やや硬口の巣板。十分と言えば十分でしたが、もう一押しの切れが出るかなと。

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同じく中山の超硬口ですが、戸前系統。相性が良かったので、食い付き過ぎず滑り過ぎず、しっとりと研げました。当然、結果も其れを反映してくれます。切り刃(地金部分)の面の繋がりを良くするのと、傷消しの上乗せ・錆予防を狙って奥殿の天井巣板の小割りで撫でて置きました。

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研ぎ上がり、拡大画像です。

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続いて三徳です。人造で角度変化を意識しつつ研ぎますが、両刃ですので片側が刃元40度・中央30度・切っ先20度近辺で。此れは現物の刃幅や刃体の厚み、グラインドなどでも変わりますので、飽くまでも目安です。

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天然は同じく、奥殿の巣板二種。

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中山の巣板。

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やはり、超硬口の戸前系で仕上げました。司作の刃金の仕立て方には相性が良い様で助かります。硬口以上に成って来ると、相性の幅は狭く成り易いので。勿論、一定レベルの対応を見せる砥石が大半では有りますが。

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研ぎ上がり、拡大画像です。刃体が薄く、刃付けも鋭角でしたので・・・狭い範囲で細かく角度分けをしてあります。

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まあ、刃先調整のみでしたので、外観的には著変無しですね。

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昨日は、又京都へ出掛けて来ました。主目的?は醤油漬けで、昔から御気に入りであった店が開いているタイミングに出会えないなと感じていましたが、どうやら(高齢故?)閉めてしまった様子に付き、両親が現地の親戚から聞いたという、似た感じの店へ様子見に。実際の商品も送ってくれていて、物自体は満足すべき仕上がりでは有りました。

福住と笹山の河原町では、割と離れていますが同じく、昔の街並みっぽい家や商家が並んでいる中に、その店を見付ける事が出来ました。同じく醤油を主体とした商品構成に見えますが早速、山椒の実や木の目・セリなどを購入し、これで今後の買い出しに付いての不安も払拭出来ました。

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折角出掛けたので、京都市周りで大阪に帰る事とし、田中さんの所へ・・・そろそろ、取り置きの中でも少し変わり種の物を持ち帰ろうかと。

下画像の石が其れで、白浅葱に分類されると思います。水浅葱の一種では有るのでしょうが(実際、過去には同一原石から白と水を切り分けて貰った経緯も)、硬さや質感が相当に異なります。

今度の御依頼が、西洋剃刀(レーザー)だからと言う訳でも有りませんが、カミソリ砥に相当する同じく手持ちの浅葱・水浅葱と合わせて活躍してくれるかも知れません。

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ただ若干、私にとっては豪華すぎるきらいは有りました。自分では大き目のレーザー型なら、大抵の物は研げるとの意識が有るので、其れに準じるサイズの物を物色する癖が有ります(流石に、厚みは普通よりも余裕を持ちたい所ですが)。

其れでも、目的とする質の砥石が大きめでしか見付からない巡り合わせも有る物です。以下の画像の、奥殿の浅葱の24型とかですね・・・面積的には完全にオーバースペック。

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其れでも買ってしまったのは、数年前の畑中砥石由来の砥石群から購入した中に、水浅葱と異なる白っぽい物が有って気に成って居ました。丁度、刃物との相性を探る際にバラエティーとして助かった事も(下画像)。

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四国の剃刀に拘る方からの御依頼で、前述の切り分けて貰った白浅葱を御送りし(下画像)、

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先日の手のひらサイズの水・白の表裏一体砥石(下画像)で研究をして行く内に、とうとう抑え切れなくなりました(笑)。利益が出る度に、興味を持っていた方向への追及を始めてしまうので行けませんね。

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オマケは、従来の巣板よりも数段、高い位置から採掘された巣板です。天井っぽい巣板と此れが気に成ったのですが、此方の方が珍しい質に見えました。

予想通り、硬さと細かさで硬口浅葱に匹敵するレベルで、研いで見た感じでは千枚・八枚の雰囲気も感じさせる質でした。只、巣板ならではの食い付きも残しつつ、硬さが最上級と成って居る為に、滑走と突っ張るバランスが絶妙に使い手を翻弄する部分も。

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様々な刃物に対応する必要も有るので、どうしても少しづつは砥石も増やして行かねば成らない側面は有ります。楽しいのは間違い無いのですが、終わりが見えないので恐ろしくも有りますね。