カテゴリー別アーカイブ: 砥石の選別

伊予砥の産地へ

 

少し前に原石の選別の御手伝いと、その他で伊予砥の産地へ出掛けて来ました。

 

出発前には大急ぎで、海外から一時帰国した料理人の方が持ち込まれた洋包丁数本を、出国までの期限で砥いで発送(北海道のS様には順番を譲って頂き感謝です)。そして西洋剃刀一本の御依頼品を仕上げて発送。剃刀の方は、余り得意では無いのですが其れでも良いとの事で。結果は先ず先ずだったそうで一安心。

 

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人造3000番から硬口の中山赤ピン

 

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最終仕上げは、奥殿の浅葱

 

 

 

 

松山方面へ向かい、伊予砥の採掘地へ。大半は、砥部焼の材料と成る様ですが、性質の違う砥石向きの石も出て来ます。其れを選別する準備をしてくれていました。

 

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可成り大規模ですね。

 

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少し、小さ目に揃えられていた原石。ガラを掛けると言うか、加工済みなので丸い形状。

 

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其れよりは大きなサイズ。私が主に触っていたのが此の場所の物。

 

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採掘場の辺縁部には、道路脇まで迫る程に積まれています。

 

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堤防みたいですが、此方でも斜面に降りて選別して来ました。

 

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今回の物は磁器の原料に成る種類が多く、白っぽい外見です。他には、薄茶色や縞模様・卵上の模様など多種多様な柄も。

 

 

 

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不要な分は、近くに積み上げられているのですが、その中から記念に大き目の礫を頂いて来ました。自宅の階段を上がった所に置いといてみようかと思っています。

 

 

 

 

 

原石が出たとの御誘いで

 

数日前に、原石が出たとのお誘いが有ったので高雄に出掛けて来ました。中山の加工場近くの電柱を立て直した?際に掘り起こしたそうで。

緑の硬いのと赤ピンに跨る範囲での事ですから、結構色々と出ていました。端から暫く、叩きつつ割っては選別させて貰った所、幾つか狙っていた石が見つかりました。

北海道のS様からは現在、尺三の本焼き柳を御送り頂いて居ますが、以前に私が褒めていた砥石にも興味を御持ちで。硬口の中山赤ピン・超硬口の奥殿天井巣板がそれですが、出るまで待っているからと御依頼を頂いて居ます。

今回、全く其れに相応しいとまでは行かずとも、近い感触の物が有りましたので先ずは一度、御送りしてみますのでお試し頂ければと思います。

 

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到着時の状態

 

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暫く選別した分です。真ん中の幅広が、今回持ち帰った中で一番大きい石です。切って貰って、面を付けて来ました(下画像)。

 

 

 

赤ピンから黄色に掛けての辺りで、主として緑が強いです。原石の時は結構、赤味も見えたのですが。研いで見ると、中山の赤ピンと緑板の中間らしい砥ぎ感で、やや軟~中硬でありながらも切れと掛かりが良い仕上がり。

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対して此方は、正に赤ピン其の物ですね。砥ぎ感は他のどの砥石にも無い感触。中硬ですが、弾力と研磨力を強く感じます。切れも其れに相応しい仕上がり。

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序でに、浅葱も一つ。外観的には、やや模様がハッキリし過ぎで癖があるかなと思われましたが、却って滑走も良く砥ぎ易いし仕上がりも問題有りませんでした。来月の新潟行きの際に、日野浦さんへの御土産にしても良さそうかなと考えたりしています。

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あと、切り落としも出て来たので三つ程、持ち帰りましたが層の並びなどの点で、サンプルレベルの物も在りました。

下画像は普通に使えますが、研磨力が有りながら軟質ですので、平面刃物には向かないかも知れません。鋼に対する下りと仕上がりは良いのですが、地金を均等に仕上げる難易度が少々上がります。此の辺りは、長四郎引きの中硬と同様です。

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最後に、少し前から難の有る原石を、何処まで加工で改善できるかのテストをしていた物です。層の境界が砥面に出ている点と巣の入り方が酷かったのが問題でしたが、かなり改善されましたので此処までとしました。

S様には、赤ピン・中間の石と共に、此方も御送りしたいと思います。先の二つは、試してみての御判断次第で結構です。気に入った方でも、今回は両方パスで次を待つ、でも。自分で使う用にしても良いかなと考えて居りますので。

最後の石はサンプルとして、お納め下さい。天井巣板超硬口とは少し違いますが高性能ですし、始められた切り出し研ぎにも有用かと。研ぎのペースを、私の自由にさせて頂いて居ますので其の御礼も兼ねて。

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御話ししていました通り、この段階までは(中硬の巣板仕上げ)来ています。角度と形状は整いましたので後は、奥殿の蓮華巣板か天井巣板、もしくは中山の三毛で仕上げる事に成ると思いますので、もう暫くの御待ちを御願い致します。

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昔の原石

 

昨日は、嘗て長四郎の屋号で流通していた原石に触れて来ました。中岡さんと二人で半日、叩いては割って選別をさせて貰えました。東物らしい平行な割れ方をする物が多くて分かり易いのですが、使える所を探しながら鍛えて行くと全部が全部製品に、とは行かないのも共通です。

 

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現場着

 

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選別中

 

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加工場着

 

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面を付けました

 

 

自分用にサンプルとして選びました。

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元からこの状態です。加工途中で止められたんでしょうが、過去の職人の作業が偲ばれて風情が有るとも言えます。

其の所為でか、やや幅広のレーザー型な感じに仕上がっています。砥いで見た感じは、戸前よりは並砥に近いかなと。

 

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此方はレーザーより二回りほど小さく、逆に厚みは充分に有ります。砥いで見た感触は戸前の様です。かなりナマズが入っていますし、下の方は紫一色の層がはっきり分かれて見えます。

 

 

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右は、面付け途中で割れた物を接着しました。今回の原石から取れるサイズ的には、大から小まで此の範囲が多く成りそうです。

 

 

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試し研ぎでは、研磨力・仕上がり共に先ず先ず。泥の質と出方が適度な滑りを齎してくれます。

 

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ナマズが入っていると、大抵は柔らかい物ですが逆にゴリゴリとした硬さを感じます。砥いで見ても、地金に傷が入り易いです。

翌日に、何時もの炭素鋼ペティ・ビクトリノックススーベニアで試しましたが、十分な切れに。実用的な角度で砥いでも、短めに確り固定した髪を切ったり削ったりは可能でした。

 

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此方は質的に均一ですが、やはり少し地金に傷が入り易いですね。どうも、柔らか目な割に砥粒の目が立っているので、平面の刃物には辛い部分が。面が崩れると当たりが変わるので、目が立っている砥粒で構成された砥面に対して、均等に当て続けるのが難しく成ります。

 

 

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其れでは、平面以外ではどうかと皮剥き包丁の刃先を砥いで見ました。青紙と思われる鋼材ですが、純炭素鋼のペティと同様に柔らか目の戸前系統としては充分な切れ味です。巣板に因るさっくりとした切れで無く、ついっと切れます。

 

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どうやら、特殊鋼に向いている可能性が有るのかとステンレスでもテスト。柔らか目に仕上げられたVG10(ファルクニーベン)ですが、不必要に返りを出す事も無く、結構シャキッとした刃先を得られます。

 

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序でに、やや硬目の熱処理のVG10でも。此方も同様、良く切れて軽い手応えに仕上がります。特筆すべきは砥ぐ際の難易度の低さで、通常の巣板ではステンレス洋包丁を鋭利に研げない人でも(尚且つ硬い砥石は扱い切れなくても)、巣板同様の気楽な研ぎ方で更に上の切れを目指せそうです。案外、此の辺りの特性が現代に於いては活躍の場に成るかも知れません。

 

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常用している切り出しは、また田村山で砥いでリセットしておきます。定期的に硬い砥石で平面維持・技術のチェックです。

 

 

 

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おまけですが、この砥石を譲って頂きました。奥殿本巣板巣無し羽二重黒紅葉と書いてあります。私は羽二重は持っていませんでしたし、殆ど試しても来ませんでした。理由は、余りに希少で弾数が無いので、複数を触って傾向を測れないのと、手に入れる機会の少なさ・手に入った物のレベル判断が困難な点です。

ですので、この砥石が羽二重として如何かは評価し切れませんが、単体としては可成り硬口。そして、黒蓮華の性質を色濃く感じます。しかし特に炭素鋼に錆を誘発する訳でも無く、普通に硬く細かい仕上げ砥の性能を発揮します。其の上、黒蓮華的効果(ステンレスの研磨が早く、砥粒から予想される細かさ以上の仕上がり)は健在です。

 

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少し前に、私が希望する寸法の砥石に付いて話し合う機会が有りました。普通の砥石は(30型・40型など)大工道具などを想定していると思しいので、包丁用としては、もう少し幅広な方が使い易いです。具体的には8~9cm幅で、逆に長さは18cmも有れば十分ですし、最悪15cm~16cmでも何とか成ります。

そんな内容を形にしてくれたとも言えるのが此の砥石で、丁度扱い易かったです。和・洋問わず包丁向きだと思います。まあ、試し研ぎは何時も通り切り出しだったのですが。私の好み(提案サイズ)を反映して頂き、有難う御座いました。

 

 

 

 

 

小割りの砥石に付いて 2

 

昨日は中岡さんと遣り取りしたのですが、幾つかの話題の中には小割りの話も。曰く、「むらかみの小割りが欲しいから、切り落とし?詰め合わせを」との問い合わせが有る。しかし其の際、全員に「むらかみに聞いて」と答えるのは如何な物か。あとは小割りの記述を読んだ方が、いざ探そうとしても如何にすれば良いのか?と。

確かに初めて天然砥石に触れる場合でも簡単では無いですし、更に小割りに適する素材を選別した上で自力で作れと云うのも酷な話かも知れません。おまけに向こうにも聊か手数を掛ける可能性も有るとすれば考えざるを得ません。

駄目押しで、「もう村上が作れば良いだろう。材料は此処のを使えば良いんだし」と言われては、否やは有りませんね。そんな訳で先々、販売用の小割りを作り貯めて行こうかと考え始めています。勿論、私の持っている物と寸分違わぬとは行きませんが、実用する上で妥当と思われるレベルで数種類、予定をしています。

 

 

 

現在使用している小割りの例(奥殿産巣板)です。

 

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右は、下画像(二年前?共栄で購入)の原石白が不定形かつ厚かったので、整形も兼ねて半分に。その際の小割りです。左の二つは一年前、山頂付近で採掘した天井巣板(硬口)です。云わば奥殿の超硬口シリーズですね。

 

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毛筋や茶色部分も問題なく使える硬口巣板

 

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少し前に採って来た、天井巣板(内曇り)の小割りです。同じ天井巣板でも山頂の硬口は、此れの数倍硬いです。其の為、使い勝手は此方に分が有ります。ただ、仕上がりは全く違います。

 

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同じく、天井巣板(内曇り)を採りに行った際に見つけました。全体が紫がかっている事に加え、カラスでも有ります。小さな筋の部分は邪魔だったり、使用中に幾分割れ易い傾向も有りますが先ずは扱いに困る程では有りません。

 

 

 

例に挙げた此れらの小割りですが、当然の如く使用者や対象の刃物により使い分けが必要です。此処まで種類が違うと、相性の問題も大きく変わって来ます。同じ山の同じ層であれば、流石に程度はマシに成りますが。後は目的とする仕上がり次第でしょう。

性質的に層の並びが平行であったりと、東の石は製作上は利点も有りますが硬さは柔らか目が少なかったりします。ですので、硬軟・粒度・目の立ち方など様々な要素でバランス良く揃えるのは簡単では無いでしょう。時期やラインナップ・価格帯に関しても未確定ですが、出来るだけ本当に使ってみて良い仕上がりが期待出来る石だけを選別したいと思います。

 

 

 

 

 

高雄産砥石の傾向の確認

 

昨日も又、砥石の追加などで出掛けて来ました。到着時刻の加減により少し待ち時間が出来たので、手近な所の原石を選び鍛えたり面付けさせて貰っていました。

少しして中岡さんが帰着、購入希望の可能性が有る御二方用の赤ピンの選別もしました。以前に赤ピンの問い合わせをした所、在庫が無いとの返答でしたが加工して頂いていた事に感謝です。

 

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此方は、某理髪店の方からFBでコメントを頂いたので、念の為に持って帰って来ました。砥面の一部に荒れ?は見えますが、硬過ぎず柔らか過ぎず。砥粒は均質で目の立ち方も適度です。

 

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此方は現在、ガーバーのアーモハイド四本の研ぎ依頼を頂いている西宮のM様(過去にもオールドガーバーを研がせて頂きました)に試して頂こうかと念の為に持ち帰りました。メールにて、使用するべき砥石に付いての問い合わせも有りましたので。

御依頼品を研ぐ前、自分の手持ちのショーティーを題材に、仕上げに使う砥石の相性を調べて居ましたが、研磨力と仕上がりの良さで硬口の中山赤ピンに候補を絞りました(奥殿産硬口巣板・白のシャリシャリも遜色無しですが、僅かに研ぎ目が大きい。次点では中山並砥かなと)。以下画像は、本件砥石の砥面を整える作業に平行して試した結果の拡大画像です。

 

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そして、自分で面付け他をして来た石達です。

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左下は、少し硬いですが基本的に全部柔らか目です。

 

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此方も左が少し硬い位です。

 

 

 

ゴロっとした原石が三つあったので、比較対象として使用。其々、表裏に皮が付いた状態で表の皮側から削って行きました。すると狙い通り?難の有る状態が見られました(しかも程度の違う)。

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一度は面を付けたのですが、特に層の走行が暴れていた為に余計に巣や筋の影響が出ていました。筋・巣に対して斜めに面が付いていると表面に出る面積は増大・其の上、巣が減って来ても次の巣が頭を擡(もた)げる確率が高く成ります。余りに層の繋ぎ目が明確に出ると牙目に成りますし。

 

 

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ですので、一部側面に剥離が見られた事もあり鏨を使って割って見ました。画像の砥面は、表の皮が付いていた側を向けてあります。

下側に位置していた(裏側に近かった)半分の方は、層の走行に合わせつつ面を付けたので、上半分よりも砥面に出る層の繋ぎ目が減少しています。元から少なかった巣の影響が、其の所為も在って尚更に薄く。

 

 

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見て分かる様に此の個体は、裏に近付く程に白寄りに成っています。裏の一部は、奥殿の特徴なのか紫が出ています。巣板の茶色と白の境付近は蓮華も出易い様です。

上側単体でも、上面に対して裏の方が巣・巣の成りかけが少ないので、この点でも中央・裏寄りに難が少なかったと言えますね。

 

 

 

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上の巣板に比べると、表の皮の直下から巣以外の難は二本の筋程度しか見られませんでした。但し、巣の範囲は広い。電着ダイヤに掛けても、硬くて滑り易いので整った砥面が出て来るまでは大変です。

持ち帰って、2~3度は面付けし直したので此のレベルに成っていますが、初期は白い部分が目立たない程。ですので、その段階で下画像の茶色原石と研ぎ比べれば当然、切れが劣りました。下画像の方は既に、研ぎに際して殆ど悪影響が出ない程には質的に恵まれた作業工程でした。

 

 

 

 

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少し、白い部分が広がって来ました。

 

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その状態で試し研ぎ。何とか使える感じです。

 

 

 

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今回の原石の三個中で一番、難の少なかった茶色。層の荒れも巣の影響も砥面(砥粒の凝集・均質さ)の問題も極僅かです。そう云った雑味レベルでさえ、厚みを減らしていく程に改善されて来ました。

 

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もう此の段階で一線級ですね。早速、本調子で使えそうです。

 

 

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白い方は、あと1.5mmも(斜行を軽減する方向で)減らせば立派な白に成るでしょう。但し、まだまだ表の皮から少し進んだだけですので、次に如何なる難点が潜んでいるかは分かりません。此のまま著変無し、で経過を辿ってくれる事を期待します。

事ほど左様に、石の質によっては皮を剥がせば即、使い物になり全層に亘って最高性能を発揮してくれるとばかりは限りません。石の成り立ちにも因りますし、層に平行に面付けしなければ難の出現を誘発もします。余程、幸運に恵まれれば大きいまま最後まで問題無く性能を発揮してくれる石も存在するでしょうけれど。

以上は、特に巣板に限った話では有りません。合砥もそうで、更に言えば浅葱に顕著に見られる傾向だそうです。実際、地を引くとか針気が有るなどと評価された砥石であっても、性能を出せる層の部分を見付けてやれば、改善するどころか本来の一番美味しい部分を期待出来得ると。随分、難儀ですが面白いと感じます。

 

 

 

最後は、自分用に購入した二つです。

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奥殿産の巣板、茶色に紫混じりです(と言うか下の大半は紫)。硬さは中くらいで砥粒の目の立ち方も中くらい、扱い易いです。

 

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幾つか赤ピンを作ってくれていたので、その中ではやや柔らか目を。目は細かく、滑走感も適度で余り粘る泥では有りません。

 

 

 

 

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オマケは、サンプルで購入した包丁。見た目は普通のステンレスっぽいですが、セミステンレスでSKD12相当との事。切れ・永切れは充分で、食材を切って見ても味や香りの低下はステンレス程では無かったです。それでも、天然砥石で仕上げた方が良い結果に繋がりました。

 

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早速、茶色を使っていますが・・・3~4割、切れが落ちた状態からでも此の砥石で充分に戻せます。寧ろ、返りが出易くて分かり易い性質の鋼材・焼き加減ですね。

 

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その状態の刃先拡大画像です。十分な仕上がりになっています。

 

 

この包丁の製造元へ、研いだサンプル持参で見学に行く事に成るかも知れません。色んな仕様で製造されている筈ですので、思う様な製品が有れば少量、販売用にとも考えています。包丁購入の相談などを受けた際に炭素鋼・手打ち鍛造を薦めてはいますが、どうしても錆の心配や重量・価格の点で二の足を踏む方への回答に成るかなと。

標準仕様の刃付けは鋭利過ぎる嫌いも在りますので、販売時には幾らか耐久性に振った角度で天然仕上げ砥による刃先調整を経てに成るでしょう。

 

 

 

 

 

最近、手に入れた砥石達(奥殿産)

 

ここ最近までに入手した砥石の内、最新の物です。

 

先ずは、少し大きめの巣板二種です。

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此方は、もう一方よりも少し硬いですね。

 

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適度な硬さと研磨力が有り、使い易いです。

 

 

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中硬か、やや柔らかい砥ぎ感ですが研磨力はまずまず。

 

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しっとり研げて、結果も綺麗な曇り仕上げです。

 

 

 

一番新しく入手した二つが下画像です。

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側面から見ても卵色と言うか黄土色で均一、加えて全域に梨地が確認出来ます。

 

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奥殿の本巣板(茶色系統)には硬さと食い付きで大きく二種類ある印象です。此れは食い付きと滑走感のバランスが良く、抵抗感少なく研げます。天井巣板(硬口)の、ガチガチでありながら食い付きが良いのは大変好みであり、仕上がりも鏡面近くで良いですが普通は此の石の方が万人受けするでしょう。

因みに茶色系統のガチガチ・食い付き強いタイプも、天井巣板(硬口)に近い性格と仕上がりです。

 

 

 

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上画像も本巣板ですが、少し珍しい石です。上半分弱は白に蓮華混じり、下側は茶色系統で間に薄い巣の層が有ります。外観からのイメージでは、ベルギーのコティキュールを想起させます。

此処まで来ると二層で使用感や仕上がりは全く変わるでしょうけれど、白が無くなる迄は本焼き用に活躍してくれるのではと期待しています。まあ、本焼きの仕上げには白の蓮華が自分にとって使い易いだけですので、先々茶色が予想外に良かったりするかも知れません。ある部分、研ぎ手次第でもありますので。

 

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やや硬いだけに?刃・地共に明るめに仕上がります。僅かにシャリシャリタイプの白の感触が混ざる印象も。

 

 

 

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最後はおまけで水浅葱の近辺らしき、硬口の石です。色柄からは不均一な砥ぎ感と仕上がりが懸念されますが此れ又、食い付きと滑りがバランス良く砥ぎ易さと仕上がりに問題無いです。

 

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かなり、刃・地共に鏡面寄りです。薄目の砥石でも此処まで硬いと研ぎ減りによる変形も少なく、従って砥面修正の頻度も低いので長期に渡って使えます。と言うか減る気がしないですね。

 

 

 

之までも自然と、最終仕上げの砥石は中山の水浅葱や並砥・奥殿の巣板が務める事が多くなっていました。切れと永切れ、切れの軽さで満足し得る結果が多かったからですが、奥殿産の砥石達が揃って来た事により相性探しの不安も解消されて来ました。

基本的には、上記の条件を満たそうとすれば硬口~超硬口の仕上げ砥石に頼る事に成るのですが、飽くまでも相性次第な部分は無視出来ず、対応する為にバラエティの広がりは有難い訳です。ですので、東の砥石~西の砥石・更には若狭の砥石の其々で硬い石が揃って来た現在は、最も安堵しています。とは言え奥殿産の砥石は、もう少し追加したい気持ちも有りますので、今後も注目して行きたいと思います。

 

 

 

 

 

田村山の選別(舞鶴行き二回目)

 

週の頭に、舞鶴へ出掛けて来ました。目的は天然砥石尚さんの所で田村山(若狭砥石)を選別する為です。

最近、砥石館へ通って頂いている美術関係の方と、私に研ぎ依頼を下さる常連様からの御依頼を受けて。もう一つは、自分用に少し追加をと考えていました。

 

 

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上画像、左端の大きなのは美術関係の方向けの豪華な石です。鉋も砥げる大きさで、研磨力と切れ、砥ぎ感についてまで御聞きした希望内容を求め、試し研ぎをしました。尚さんに無理を聞いて頂き、選んで来ました。

恐らく、御好みの性質に比して少し滑りが少なく感じられる可能性は有りますが、それ以外では文句の付け様も無いレベルの性能です。御満足に至らなければ、喜んで自分の手持ちに加えたいと思います。

砥石館に置いて来ましたので、来館された折に試して頂ければと思います。因みに尚さんの眼鏡に適う、格上砥石である事を示す印も見えますね。そして、右下の四角い印は一番新しい物だという事ですので、最新型をも意味しています。

 

 

 

小さい方、先ずは北海道のS様に向けた戸前浅葱

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若狭の砥石は基本的に、どんなに硬口でも幾分は弾力を感じさせる優しさを持っています。稀には、殆ど泥も出ない位に硬い物も在りますが、大抵は滑走感も備えており砥ぎ易さに繋がります。

此の浅葱は上記の特徴を可成り備えており、硬い割に弾力と適度な泥によって砥ぎ難さは感じません。但し、食い付きが強いので荷重の掛け方によっては滑りが重いと感じるかも知れません。

しかし粒度は細かく、砥粒の目の立ち方が適度(寝ている・立っている中間)であるので、動かした分だけ上滑りせず完全に比例して鋭利且つ微細な刃が付く硬派な砥石です。

 

 

 

次は、四国のK様へ向けた戸前(墨流し入り)

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此れは、戸前ながら硬口の傾向です。そう言う意味では戸前としては僅かに上級者向きですが、滑走感は浅葱よりも感じ易いでしょうね。

研磨力・切れも十分で、厚み・長さ・砥面の広さは浅葱共々、手持ちに加えたいレベルです。但し此の戸前は左側面下部が幾分、不定形ですので価格的には少し差が有ります。

 

 

 

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最後は自分用の巣板、レーザー型です。前回の舞鶴行きの折りに、分けて頂いた一本の巣板が有るのですが矢張り予備が欲しくなりまして。

若干、前回のよりも硬口で巣板感は希薄ですが、砥ぎ易さと研磨力、その割に光って来る刃金の印象は前者を彷彿とさせます。

 

 

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試し研ぎの切り出しは通常、上画像の切り落としで砥いであります。数年前、殆ど初対面に近い状態での尚さんとの遣り取りで入手した一つです。

始めは難易度が結構高いと思いましたが、使いこなせれば守備範囲も広がります。

 

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その普段通りの状態

 

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巣板で砥いでから

 

 

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試し研ぎ。刃金は半鏡面、地金も明るく顔がハッキリと映って来ます。

 

 

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新たな切り落としも、期待通りの性能で

 

 

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此方は、産地が別な感じですが面白い反応で且つ、実用性も高い石でした。この様なテストピース的な役割をも果たしてくれるので、小さ目の砥石を追加するのは有用です。

大きな砥石購入を前に、事前調査としての役割は勿論、小さな刃物は普通に研げますので、常に大きな砥石と併用での運用が望ましいですね。

 

 

 

いよいよ田村山の砥石が揃って来ましたので、之まで以上に使い惜しみせずに付き合えるのではと感じます。尚さんには御手間を取らせたり無理を言ったりで申し訳無かったですが、御蔭様で納得の砥石達を選別出来ました。有難う御座いました。

 

 

 

 

 

新たな砥石の追加

(注:砥石の名称に修正を加えました)

 

東物の砥石などに少々御縁が出来た事も有り、サンプルなどで確認したり、コッパを中心に幾つか出品したりする傍ら仕事で使うレベルの形状・サイズの砥石を購入しました。

先行して手元に来ていた奥殿天井巣板も、その性能と個性で魅了してくれましたが此の度の砥石も又、方向性の異なる性能と個性を感じさせてくれる物でした。層の名称としては、中山産戸前(五合目の間府だそう)となります。

奥殿産天井巣板が幾分、弾力を感じさせつつの硬口であるのに対し、中山戸前は滑走を助けてくれる泥の御蔭でカッチリとした純然たる硬口砥石のネガな砥ぎ難さを緩和。研磨力と其れに相応しくない程の微細な仕上がりを実現してくれ、平面の持続力も双方甲乙付け難いレベルで優秀です。

 

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その中山戸前です。原石から切り分けて、面を付ける前の状態。

 

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同じく、裏側。

 

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電着ダイヤ(アトマ)で擦って、面を付けた状態。

 

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青紙一号の切り出しで試し研ぎ。刃金の状態は、薄曇り~半鏡面に仕上がります。

 

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角度を変えた画像。地金も明るめで薄曇りに。

 

Still_2018-02-03_023811_60.0X_N0009.jpg切り出し本店

刃先の拡大画像。均一な仕上がりです。

 

 

 

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半自作の菜切りも砥いでみました。主として刃金部分狙いです。

 

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同じく、反対側も。

 

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研ぎ上がりです。刃金は白紙二号のAで、やや硬焼きかと。

 

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完全平面で無い地金には少々、当たりが厳しいので小割りした砥石で均し研ぎを加えてあります。

 

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刃金部分の仕上がりは、カミソリ砥に近いレベルの細かさ・鋭利さ・永切れに加え、其れを凌駕しかねない掛かりの良さを齎(もたら)してくれます。

 

Still_2018-02-04_231703_60.0X_N0001.jpg菜切り

刃先の拡大画像からも上記内容を確認できます。

刃金部分は、地金よりもハマグリ度合いが強いので、うっすらと等高線が見えます。其れが最先端で、よりハッキリと密になっているのは一番、急な角度変化を与えてあるからです。

 

 

下画像は少し前にTVで放送された内容ですが元々は、その場の流れで突然、何か披露をと考えた末の単なるテスト動画でした。

思いがけず其のまま流れてしまいましたが、準備万端な状態では有りませんでしたし、現在の仕上がりであれば満足いく動画として十分な切れを見せられたのにと、忸怩たる思いです。

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味方屋作の三徳ですが、刃先のみ砥いでみました。鋼材は白紙相当ですが少量のクロームが添加されていた筈です。焼き加減は中庸な感じです。

 

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右側を研いで。

 

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左側も。

 

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研ぎ上がりです。前述しましたが、刃先以外に砥石は当てていません。

 

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ですので薄曇りの切り刃の先の、半鏡面~鏡面に仕上がった刃先が分かり易いと思います。

 

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切っ先付近のアップ。

 

Still_2018-02-04_232231_60.0X_N0002.jpg味三

刃先の拡大画像でも、コントラストがくっきりですね。刃金部分の先側三分の一が中山戸前で砥いだ部分です。一番光を受けて光っている最先端は、他の部分に対して最も鈍角に研いである部分です。

 

 

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序でに普段使いのビクトリノックスのスーベニア。

 

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刃は、荒れている状態から下研ぎ無しで砥ぎました。

 

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ですので、余り綺麗では無いですし、厚みも結構出ている状態です。厚みが出ている場合は、先に行くほど鈍角にするハマグリでは無く、最先端は可成り鋭角に仕上げてあります。

 

Still_2018-02-04_233256_60.0X_N0004.jpgスーベ

とは言え、拡大画像で見る限り研磨痕も刃先も整っています。どちらかと言えば、天井巣板の方が特殊鋼・ステンレス向きだと思いますが、ステンレスでしかもハマグリ形状の研ぎ方にも可成り対応してくれる様です。

 

 

巣板の王様などと称される事もある奥殿ですが、教えて頂いている方曰く、本巣板天井がその真髄・或いは止めを刺すとか?だったと記憶しています。試し研ぎでは、少々難易度高目な記憶があり、上級者向けかも知れません。

自分自身では、本巣板の卵色掛かったのや紫色掛かった物、そして勿論天井巣板も良かった印象です。そして、今回の中山戸前ですが特に炭素鋼の平面刃物に適する様に感じたものの、それ以外へも対応してくれる幅の広さも併せ持っており、優れた砥石だと感じました。

今後は此の砥石を仕事でも頼りにしつつ、刃物の形状や質・研ぎの工程など、相性を探りながら活躍して貰おうと考えています。

 

 

 

 

再び四国から御依頼

 

以前に甲伏せの剣鉈を送って頂いた、香川県のK様から新たな二本が届きました。

積層地金の小刀?と両刃の副え鉈ですが、両刃の方はかなり御自身で試行錯誤された結果、私に託されました。

 

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ほぼ新品で刃先と裏押しのみ、触ったとの事です。

 

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研ぎ前の刃先拡大画像

 

 

 

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これ以上は困難だった、との事ですが形状的には良い所まで揃って来ています。

 

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画像では分かり難いですが、凹凸の斑以外は、人造のまずまず高番手ならではの光り気味で研ぎ上がっています。

 

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研ぎ前の刃先拡大画像

 

 

 

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人造は、研承の新型の1000番と従来の1000番から。時々、状態確認と傷消しを兼ねて新型3000番も併用。

 

 

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白巣板・敷き内曇りからの千枚。小割りした3000番・巣板・八枚・千枚で均し研ぎで切り刃を仕上げます。

 

 

 

研ぎ上がり

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同じく、研ぎ上がり

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鋼材は、小刀が青紙スーパーで副え鉈が白紙との事でした。確かに、砥いでいて青紙スーパーの砥ぎ肌に近いなと思った反面、副え鉈は白にしては光り難く減り難いとも感じました。鋼材毎の傾向が顕著だったりそうで無かったりして興味深い所ですが、其処にメーカーや作者の見識や力量が現れて飽きさせませんね。

今回はベタ(平面研ぎ)に糸引きとの御依頼により、余り薄く成らない内に研ぎを留めたので少し傷消しが控え目ですが、砥ぎ目が消え難い要因の一つには、上記の鋼材の仕上がりの関与も以前から感じています。

私が形状を整えた後で、御自身により研ぎ進めて行かれるとの御意向ですので、同時に御注文の下記砥石により刃物との対話を存分に楽しんで頂きたく思います。

 

 

表に押された印が消えるのを惜しまれていたので、裏面を面直しの後、再度砥取家で押して貰って来ました。

 

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最後に、御希望に沿って裏面の方と側面を石ちゃんで養生の上、明日にも刃物と共にお送り致します。

K様、此の度も研ぎの御依頼並びに砥石の御注文を頂き有難う御座いました。今後も私で用が足りる場合は、宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

最近の事柄

 

最近は研ぎと砥石関連の、少し枠外に広がる活動が増えています。天然砥石館で料理関連のイベントが企画された事に対してアイデアを出したり、鍛造体験に関して御協力したり。

二つ先のイベントまでに、もう何軒か(特に伝統的な所に成りそうですが)料理店にも顔を出さねばと話し合ってもいます。

 

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この前、鍛造して焼き入れ・焼き戻しまで行っていた小刀に、簡易な刃を付けてみました。

本格的な炭素鋼では無く、確りと焼きが入る鋼材では無かったものの、鍛造効果ゆえか意外と切れが出ていて驚きました。

 

 

 

 

また先日は注目していた山で、地元の方に伴われ嘗ての採掘跡を見学する機会を得ましたが、此方は館長の先々の展望を踏まえての確認も兼ねていました。所有者の方や地元集落の方の御理解・御協力次第では、共に発展の道を模索出来るかも知れません。

 

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それ以外には、過去に研ぎ依頼を頂いた方からの要望にお応えして、敷内曇りを選別もしました。

 

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恐らくは、予算・大きさ・性能の点で御満足頂けるのではと思います。

 

 

 

 

最後は、届いたばかりの顕微鏡で館長が砥石中からコノドントを見付けていたので画像を。

 

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戸前系統には見られるも、巣板からは発見出来なかったとの事。砥石の層の成りたちに関係しているのかも知れませんね。