御知らせ(御願い)など

 

後述の方が、当ブログを閲覧下さっている事を祈りつつ。

本日、二度に渡って留守電にメッセージを入れて頂いたO様、出られずに申し訳有りませんでした。しかし、折角の研ぎの御依頼の内容でしたが当方の留守電、余りに古く先方の電話番号の表示機能などが有りません。

番号を吹き込んで頂けていれば、折り返しの電話をさせて頂けるのですが之までには殆ど、そう言ったメッセージが無いのが現状です。先々週にも鋏に関する問い合わせが有りましたが、同じく折り返し出来ませず。

ホームページには当方の電話番号を掲載していますが、此れは架空の住所や設定では無い証明がてら載せている意味合いが強く、基本的にはメールでの対応と送付(返送)での遣り取りを行なって居ます。出来ましたら、以下のメールアドレスから御連絡を頂きたく思いますし、万が一、電話で御連絡を頂く場合は御当人の番号を入れて頂けますでしょうか。宜しく御願い致します。

 

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

手伝い先では仕事の一部として、偶に豚肉の塊(10㎏程度)を切り分ける作業も有ります。モモ肉と呼んでいますが恐らくは、ランプ周辺と言うべきと思われる其れは、ちょっとした枕位は有りますので、通常の家庭料理では試せない包丁の性能を確認出来ます。

先ずは下掲の二本。24cm牛刀と21cm筋引き(パンスライサー改)です。刃渡りと厚み、何より刃幅の狭さの差が大きいので、完全両刃(左右均等)と片刃寄りの両刃(右側に大き目切り刃風)による違いは出るのか興味が有りました。

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画像上の左右側面が対称な牛刀に比べ、画像下はパンスライサーとしての適正からなのか、裏は梳いてあるかと思われる程にフラットです。小刃の幅を1~2cm程度に広げれば、ほぼ完全な片刃に成りそうな勢いで。

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予想としては、両刃と片刃の違いは有れど、刃先最先端の角度は若干の差(やや筋引き鋭角)のみですので、やや刃厚が薄く刃幅も狭い筋引きが有利と考えて居ました。所が、出自がパンスライサーな事も有るのか、切っ先カーブから先に相当の厚みが残されており、引き切りの最後の抜けで抵抗を感じました。

其れ以外の部分は結構、良い勝負でしたが此れは、牛刀の方が手作業で切っ先方向へのテーパー化・ほぼ峰から刃先まで浅いハマグリにしていた事が奏功したものと思われます。通常は側面の仕様が同等でしょうから、長さと広さに比例した摩擦抵抗を受ける筈なので、逆の結果に成るのでは無いでしょうか。

結果として此の比較では、「抵抗の少ない仕様の長い刃」を持つ牛刀の方がストローク数が少なくて済むので、筋引き(パンスライサー改)よりも優れていると感じました。逆に、肉の塊を端から薄切りにして行く場合は、反対の結果に成る可能性も有りそうですね。

 

 

 

次は、側面片方に平・鎬的な角度分けを設けた方式では無い、牛刀を薄く狭くした方式の筋引きです。全くの別物感は薄いながら、此れは此れで柳に対する河豚引き的な利便性を好まれるタイプです。

刃体全体が切っ先に向けてテーパー化されていると迄は行かないものの、刃厚自体が元来、24cmの刃渡り全域で薄手に仕立てられていますので抜けや走りが期待出来ました。

新品時よりも、やや右側の小刃を広げ気味・鋭角化すると同時に、左側の小刃を鈍角化(小刃の広さを半分程度に)。実際に使用してみると、切れは充分乍ら存外、抜けが重く感じました。其処で、右側の小刃のみ切っ先方向へ鋭角化してみると改善。更に左側の小刃も切っ先方向へ鋭角化すると更なる改善が見られました。

小刃のアレンジ以前から、切っ先カーブ周辺の抜けに関しては(刃厚・刃先角度から見て)妥当で、前述の筋引き(パンスライサー改)に比べて優位でしたが、切っ先方向へ鋭角化アレンジ済みの其れと比べれば直線的な刃線の部分の抜けは大差がない状態で。しかし小刃のアレンジを経てからは同等以上に。ただ、刃先最先端の切れに依存する傾向が強いのが気にはなりました。刃体形状的に、余り切り開く性格では無いからでしょうか。そして、端から薄切りする場合の優劣は此方も未知です。

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最後は、一番の新入りです。かなり広い小刃を付けられていますので、鋭角過ぎるキライも有り、刃先角度を2~3割り程ですが鈍角化しつつ切っ先方向へ鋭角化しておきました。此の仕様での試し切りでは、筋引き(パンスライサー改)に近い切れ感で、まさか21cmの刃渡りが同一故にか?とも思い難く、考えられるとすれば次の二点。刃幅が広く抵抗を受けるデザインの牛刀ながら、両側面に広目の小刃を持つ為に刃先周辺の抵抗は少ない。対してパンスライサー改では、右側面の切り刃的な幅広小刃はアレンジの範囲が広く抵抗をいなすのに有利ながら、左側面の小刃は極端に狭いのでアレンジ幅が狭く抵抗を受けやすい状態。極端に言えば、左右の小刃の広さを合計して二で割ると恐らく、同程度に成ると思われますので、合計の抵抗も近いのではと。

まあ、あらゆる厚さと刃幅・刃先角度・刃線のカーブの度合いをグラデーション的に取り揃えて詳しく比較検討する訳にも行かないので、飽くまでも実用の結果からの推測でしか有りませんが、事前の予想より少し意外な結果・狙い通りの効果など、入り混じって楽しい実験と成りました。

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総評としては、刃体の形状の最適化(此の場合は抵抗の少なさ)が、どれだけ全般に及んでいるか次第に依ると言えそうです。例え、刃厚が薄い・刃幅が狭い・刃先角度が鋭角であったとしても、側面がフラット過ぎたり小刃が単純な一定であったりすれば、切れ込む際の抵抗(摩擦含む)は軽減するにも限界が有るので、刃厚たっぷり・刃幅広い・刃渡り長い鈍重なデザインの包丁(刃体・刃先アレンジ済み)に敵わない結果と成りました。