ナイフの記事を掲載したからでしょうか、バックとガーバーのナイフの研ぎに付いて問い合わせが。珍しく、電話に出られるタイミングでしたので少し御説明。遠からず、御送り頂けるとの事。
其れを待っている合間、少し前に予定外に届いた司作の黒打ち三徳を研ぎ直し。切り刃の厚み取りの調整と刃線が若干、S字気味の様でも有り気に成りました。
上野館長から、一月余り先に京都市で開催されるイベントに誘われた事も影響しています。何でも、世の中には世界博物館会議みたいなのが有るそうで、同時に展示会も行われると。天然砥石館も仲間入りの勧誘を受けたそうですが・・・大英博物館やスミソニアンも居並ぶ、ちゃんとした組織に入れて貰えるとは。亀岡市も鼻が高いのでは無いでしょうか。気を使う場面も有るかもですけど。
私は切れの実演などをする担当みたいですが、もしかすると其の刃物が欲しいとか言われかねないなと考え、一本位は用意しておくかなと。通常イベントで使う柳と三徳は、司作を想定していますので。
到着時
研ぎ前の全体
刃部のアップ
左側面
人造の1000番二種と、3000番で刃線を直線的に。少々タナゴっ腹に感じたので、抑揚を減らす方向で。
人造の小割りで、切り刃中央~切っ先側の厚みを集中的に減らして行きます。
左側の切り刃の角度が僅かに起きているので、右に近付けて置きます。
中硬の巣板で整形と傷消し。
赤ピン・緑板などで相性を確認しつつ仕上げ研ぎ。
今一決まらないので、バラエティを増やしたり。
研ぎ上がりです。現行の司作は、白紙系統の統廃合でアイテム数が減っている様ですが、その炭素量の上限寄りの方は、硬さと粘りのバランスが中央若しくは硬さ方向かな?と感じます。しかし、欠けや砥ぎ難さには繋がらず、永切れでは極めて優秀な性能を見せます。確りとした鍛冶技術が有っての事ですが、大変気に入っています。切れ味も、白一のカシカシし過ぎる程では無く、白二の滑らかさを併せ持った感じで好みです。
但し、地金の方は近年の製品(現代の極軟鋼)に成っているので、以前に使われていた物とは研ぎ上がりなどで差が有ります。人造では余り関係無いかも知れませんが。
刃部アップ
左側面。
取り敢えず、形状と砥ぎ肌の両面から調整が済みました。此れでイベント時に売り物は無いのかと聞かれても何とか成るかなと思います。まあ、展開次第で自分用にしても良いのは何時も通りです。