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砥石館に通う最終日

 

先週の土曜日で、私が通常砥石館に詰める予定は終了しました。後は、講習の御希望や他の集まり等の予定が有れば使わせて貰うかも知れません。

前回の記事に上げていた司作三徳の黒打ち。その一本を持参して常連様に無事、御渡し出来ました。実は以前、卯の花を作った話をした際に、持って来てくれないのかと言われたので近所の豆腐屋へ買い出しに。

残念ながら、おからは売り切れで代わりに木綿と田舎豆腐を駆って来ました。先ずは豚肉(スライスを手で微塵に)・豆板醤・豆鼓醤・甜面醤・酒・醤油で、木綿の方を麻婆豆腐に。

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最後に、ネギと山椒(ハウスの挽ける奴)で仕上がりです。流石に持って行けないので画像を見せたら、常連様親子には口を揃えて文句を言われる羽目に。藪蛇でした。

 

因みに田舎豆腐の方は、耳昆布の出汁で茹でてから切り分け、グリルで焼きました。片方は柚子果汁+味噌、もう一方は梅肉で。

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肝心の砥石館の最近の動きとしては、青砥に注力している所です。本より丹波地方は、青砥の産地として有名ですが代表的には三つの地区、即ち宮川・神前(こうざき)・猪倉があり、夫々性格の異なる砥石が採れていたとの事。特に猪倉では、佐伯砥などの毛色が違う物も。

ですので、今後は砥石館に足を運んで頂ければ試し研ぎ等、実際に触れて違いを実感出来るのみならず、購入頂ける可能性も視野に入って来た様に思います。実現すれば砥石の違いに敏感な方や、自らの拘りに忠実な方には喜んで頂けるのでは無いでしょうか。

参考までに、私の手持ちの青砥(お気に入りの三つ中の二つ)の画像を挙げてみます。

 

例題は青紙の切り出し、白巣板仕上げの状態です。

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研磨力は強いが、仕上がりは少々荒い物です。恐らくは宮川産。

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良く下ろしますが、比例して傷もそれなりです。

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数年前から、和包丁の裏押しなどに使う事もある鏡面青砥です。恐らくは神前産。

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上の青砥の次に、そのまま使ってみました。同じ青砥という名前ですが差が大きいので本来は、間に中継ぎに値する粒度の砥石を挟むべきですが。

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鏡面青砥は、カミソリ砥クラスの硬さと細かさを備えていますが、全く同等とは行かないのは砥粒の凝集の均一さや細かさに個体差が有る点です。手持ちは極めて優秀ですが、普通はもう少し控え目な性能の物が多いかも。此れは研磨力・細かさ・切れの三条件ともに高水準です。

二年ほど前、昆布砥を触る機会が有りました。昆布を削る鉋刃を研ぐ用途の砥石ですが硬さは兎も角、細かさや均一性の不足(超仕上げ砥としては)を感じました。砥石館近辺在住の古老に伺うと、神崎周辺の硬口青砥は昆布砥として出荷されていたそうです。ですので、其方が標準の仕様なのでしょう。

 

 

 

嘗ては、老舗砥石店の常套句であった「包丁には青砥で充分」に納得いかない物を感じていました。一般的な青砥で砥いだ状態では切れと永切れ、それに錆び難さも不足が有るからです。確かに人造中砥に比べれば幾分、マシかなとは思いますが。

しかし、此の様な硬口の物ならば(一気に飛び越え過ぎな気もしますが)合砥にも引けを取らない性能を発揮してくれます。但し、刃金は良いとしても地金の砥ぎ易さからは厳しい面が有るでしょう。

と言う訳で、小さな皮むき包丁では有りますが、料理にも使ってみます。

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刃先の2~3ミリを鏡面青砥で。

 

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新キャベツが出て、やっと安くなって来ました。

 

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滑らず吸着する事も無く、切り易いですね。切り口も十分以上に綺麗です。

 

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解凍した伊賀牛の切り落としと、出汁を効かせて炊きました。豚肉には昆布と煮干し類が合いますが、牛肉には昆布と鰹ですね。前者には白菜、後者にはキャベツの相性も良いです。

 

 

これ迄、砥石館で関わらせて頂いた皆様に感謝致します。本年度からは、開館日や受け入れ体制等に変更が見込まれますが今後も宜しく御願い致します。

少し前に訪れていた、ベルギーの砥石関係者との交流が進めば先々、彼の地の砥石も販売用として御目見え。なんて云う期待もしてみたり、楽しみが尽きません。益々の発展を祈ります。

 

 

 

 

 

 

数年ぶりに再会

 

前回の砥石館で、思いがけず懐かしい方の訪問を受けました。地域住民で、且つ砥石関係者だった方。特に天然砥石粉末を高濃度で配合した、人造砥石製造に携わっていた経歴を御持ちで。実は数年前に、関係者数人で自宅脇の工房に御邪魔した経緯があります。その際には見学のみならず、嘗ての製品の試し研ぎまでさせて頂いたり。帰りに頂いた数個を、自宅で試して気に入り、数日後に一人で買い増しに行ったのも良い思い出です。

使ってみての感想は、吸水が少な目で当たりがソフト。その割に研磨力と平面持続も悪くないと云う物でした。見学時の説明で、販売していた頃は研磨力の強さが全盛の時代だったので、うちの製品は不満を述べられる事もあった。しかし、自分は仕上がりの傷が浅くて当たりの柔らかい砥石を作ろうと努力していたと聞かせて頂いた通りの砥石達でした。

今回の訪問を受けて、同日の夕方には上野館長と工房を訪ねました。館でも貴重な御話しを頂いたのですが、機械類を前に更に詳細な説明を受けました。更に所有されている各種天然砥石と、残存している可成りの数に上る製品の在庫も確認。そして今回も、帰りには製品のサンプルを持たせて頂きました。

 

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今回の分。合砥をベースに研磨剤やボンドで整形した物。

 

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上画像以降は前回の分ですが、同様の物です。色合いは原料のバラつきなどで様々。一応、色粉も使用して範囲内に収めてあるそうですが。

 

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此方は赤門前がベースの物。

 

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対馬の黒名倉がベースの物。

 

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巣板ベースの物は特に気に入って買い増し、四本持っていました。

 

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やはり、原料の違いで色のみならず性格にも違いが。ある意味、天然砥石感に富んだ面白さにも繋がっています。でもそうなると、バラエティの幅が欲しく成ったり試し研ぎで選びたくなったりするのは、人造砥石としては痛し痒し?

 

 

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研いだ仕上がりを御紹介。先ずはシャプトンの1000番で。

 

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巣板ベースで砥いだ所。

 

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その拡大画像です。結構光っていますが、傷は浅いし均一な砥ぎ目です。

 

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次に合砥ベースで砥いだ所。

 

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光り方が強まり砥ぎ目も細かく成っています。此処からならば天然仕上げ砥石に繋ぐのも容易です。まあ、普通に切れるし持ちもまずまずなので、重症の方で無ければ此処で留めても良いのですが。

 

現在は研磨力の有る砥石で形状を作り、刃先の仕上げには返りの出難い砥石で仕上げるのがスタンダードだと思いますが、遥か以前の当時から其処に拘った製品造りをしていたとは、驚かされます。其の成果なのでしょう、人造は得てして永切れに付いては天然に及ばない物ですが、合砥ベースの黄色い砥石での仕上がりは明らかに持つ方です。切れも悪く無く、そういう傾向は研承シリーズの高番手を彷彿とさせます。

場合によっては、天然砥石館での商品として御目見えするかも知れません。実現すれば往時の郷土の産品として又、現地へ行かねば手に入らないレア物として、楽しい存在に成るのではと期待してしまいます。

 

 

 

 

 

前回の砥石館イベント

 

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この前の土曜・日曜は、天然砥石館のイベントとして集大成の様相を呈していました。土曜の内に、亀岡在住の刀匠の下で玉鋼を使用した鍛造・焼き入れ・焼き戻し・整形まで行なった小刀を、翌日曜に砥石館にて研磨を体験して貰うという内容です。

 

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ベルトサンダーで荒く仕上げた状態と、上野館長が内曇りまで仕上げた状態との比較。

 

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ダイヤから荒砥、中砥と進んで行く途中

 

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館長の完成品が此方。完成予想図ですね。刃紋も結構、様になっています。

 

 

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人造の中砥の後は巣板。最後には予て用意の水木原産の内曇りです。

 

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刃紋を表現するのは中々、難しいですね。

 

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少し手順を早めて段階を踏み、仕上がりの加減を様子見です。やはり形状の完成度や傷消しに付いては再度、調整が必要な様です。もう一度、或いは二度程は研ぎ直してからの完成と成るでしょう。

単一鋼材(三枚その他の複合で無い)とは言え、素材は玉鋼で土置きによる本焼きですので、やろうと思えば美術刀剣の登録も取れるレベルの物が出来る体験です。鍛錬場で刀匠が付きっ切りの指導でもあり、刃物好きには堪えられない二日間だった筈です。

参加下さった方々、刀匠の将大様には感謝致します。有難う御座いました。研ぎには予備日が必要と成りそうですが、引き続き奮励を期待し、晴れて完成の日を迎える事を祈っております。

 

 

 

 

 

嬉しい再会と、新しい出会い

 

この連休には、砥石館で嬉しい再会が有りました。砥取家で六年前に出会った方が御家族と御来館、手持ちの包丁の研ぎ上がりと手作りした切り出し(自宅の庭で作ったとか)を見せて頂きました。

何でも、砥石の置き場所に不自由しない自宅の離れ?には、専用の研ぎ場も備えるなど、刃物趣味者には夢の様な恵まれた環境。拝見した見事な研ぎが施された包丁は、一度ならず月山刃物へ出掛けて手に入れた物だとか。趣味への傾倒を病気に例えるのは如何な物かと思いますが、これは重篤・・・予後不良ですね。

 

 

 

もう御一方は数か月前に御来館頂いた、割と私の御近所の方。以前は通常の酒屋を営んでいた店舗で、近頃は料理も出しつつ総菜の持ち帰りや御節の注文も受ける様に成っていらっしゃいます。

数週間前には、その総菜を幾つか購入に立ち寄って蛸と大根の炊いたの等を味わいました。その際に話した事が切っ掛けとなったのか、再度の御来訪。

仕事使いの小さな柳を御持ちになり、もう一つの包丁に比べて刃持ちや強度への不満を解消したいと。今回も研ぎ講習を受けて下さり、結果的には切り刃の整え方と刃先に必要な強度を得る角度分け、現状の形状に合わせた裏押しに付いて説明させて頂きました。

 

 

 

新しい出会いとしましては、美術関係の方がお見えでした。今回に先立って一度来られており、その際には切り落としの若狭砥石その他を御購入だったとか。

上野館長からは再度の御来館に合わせて、私の手持ちの田村山を参考にする為に持参する様、連絡を受けていました。結果的に、砥石館にある三つと私の二つを試し研ぎ。改めて正規のサイズの若狭が欲しいと気持ちが定まったとの事で、砥石の選別を御依頼頂きました。

 

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あと、尚さんに小西さんのレーザー型の加工を御願いした際、頂いた切り落としがいたくお気に召した様子にて御所望で。しかし、貰った物を売るのは(進呈するのも)筋が通らないので普通は御断りして来た流れです。

同僚各位にも教えてやりたいとの御意向を聞き、斯界のメリットにも成るのならとの思いから、御購入の他の砥石と一緒に御持ち返り頂きました。

 

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これの左側ですね。現在の砥面は結構狭いです。

 

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扱い易くて高性能な砥石だったのですが包丁メインの私よりも、小さな刃物も多く扱う方の下の方が、活躍出来るだろうと思います。新たな着任先で、持てる性能を遺憾無く発揮してくれる事を願います。

細かい御要望と共に注文を受けた砥石に付いては、春に成り雪と氷が収まったら舞鶴に出掛けてみないとかな、と考えております。

 

 

 

 

 

天然砥石館に付いて

 

本日は、常連の方御二人の他にも数組の御家族連れ、職人風の男性が数人と、広島の料理人の方が御出ででした。

料理人の方は、大阪への用事の後で興味が有った砥石館へお立ち寄り下さったとの事。道案内を要する御二人を上野館長が送り届けている最中でもあったので、切歯扼腕では無いですが、私が対応させて頂きました。

天然砥石に興味が出たのに加え、先輩から指導され続けて来た研ぎを改めて見直したいと、簡易研ぎ講習も御所望で。打ち物などに使用すると、切れを優先した研ぎでは刃先の永切れを期待出来ないのが問題点だと。

 

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基本的には、調理の現場にて御自身で砥いで来られた経験者ですので大きな問題点など有ろう筈も無く、結構な仕上がりの牛刀を更に向上すべく砥いで貰いました。

人造の中砥三段階の後、巣板から戸前に繋いで、片刃風の洋包丁研ぎの右側に、少し糸引きを入れて強度と抜けを両立する仕上げを提案しました。

結果的に、刃の付け方に因る切れと永切れの両立、其れに天然砥石の掛かりの良さと更に上乗せされる永切れ性能に満足頂けた様子。その証拠と言う訳では無いですが、帰り際には岡花の硬口青砥と東物の白浅葱の砥石を購入されました。

 

 

今回も御役に立てて何よりでしたが、亀岡の天然砥石館は来年度から少々、体制が変更される公算が大きくなって来ました。現状、私も土曜・日曜・祝日は基本的に詰めていますが、それも今年度中までになりそうです。

対応する陣容・展示物・開館日など、変更箇所に付いては先々に広報される筈ですので、御来館をと御考えの皆様におかれましては御気を付けて頂きたいと思います。その為にも関係各位による会議が遅滞なく進み、その結果をHPにリアルタイムで反映される事を望みます。

 

 

 

 

 

玉鋼の小刀(こがたな)製作

 

 

少し前に、砥石館でのイベント準備として平日に亀岡に行って来ました。そのイベントでは、当初の計画であったスウェーデン鋼でなく、玉鋼を使用する事になりました。

場所は、何時も御世話になっている亀岡在住の刀匠の所で、此方は変更無しです。事前にサンプルを作って、当日の作業工程・時間配分割り出しと、告知用の画像に使う算段での作業でした。

 

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積み沸かしとか水減しとかでしたか?難易度の高い操作は事前に済ませた後、既に鍛錬した鋼材(玉鋼)を用意しておいて頂き

 

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形状を整えて

 

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館長との二人分、切り分けて貰いました。因みに、玉の炭素量というか硬度は、芯金と皮金の中間程度との事です。

 

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鞴(ふいご)で送った風で松炭を熱し、玉を温めます。

 

 

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私の画像は自分で撮れませんので、上野さんの作業工程をメインで。

 

 

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温め、鍛造(火造り)、修正して貰う、の繰り返しです。

 

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本焼きでもありますので、焼き刃土を準備して頂き、土置きです。当然、刃先は薄く、地金部分となる峰(棟)側は厚く。

 

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充分に乾燥すれば、焼き入れです。土を除いた部分は、模様も入れられるとの事で、テストしてみました。

 

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熱した鋼の色で判断する必要が有るので、焼き入れ時は暗過ぎて画像は取れていません。

 

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刀匠に粗削りまでして頂いた状態です。

 

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既に最初の鍛錬時による、縦の鍛え肌が出ています。

 

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ベルトサンダー、ダイヤ、人造の荒砥、中砥、巣板と順に掛けて行き、刃先は合砥。其の他は小割りした巣板・八枚・千枚で。

 

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刃紋らしき物も出て来ました。あと、匂いと称される様な物も見えます。

 

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裏は、ほぼ片刃だからでしょうか、少し大人しい柄です。模様を狙って土を除けた部分は、今の所は判別し辛いですね。

 

 

 

今回は、二月辺りに予定されている一泊二日のイベントでの作業内容を模して行いましたが、結構な難易度の工程が有り、参加者にとっては遣り甲斐とも成るのではないでしょうか。

現場でサポートや修正が入る部分で、幾らかは安心でしょうが其の難しい作業を体験する事こそ貴重だと捉えて頂ければと思います。

 

 

 

 

十二月三日の料理イベント

 

天然砥石館で、三日に行われたのは料理のイベントです。ぬのやさんには、手狭で水道設備なども最低限の中、仕込みを終えた料理や食材を持ち込んで腕を振るって頂きました。

 

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野菜から始まって蒲鉾や魚、宮崎牛のローストビーフや真鴨と合鴨のロースト、しんじょの椀や鯖の押し寿司まで出して頂きました。それぞれ違う砥石で砥いだ包丁、三本で切ってみて味比べをした訳ですが。(あ、イシガキ鯛を食べ忘れました)

庖丁は月山さんの特上の黒打ち菜切り。あらかた砥いで貰ったのを受け取って、私が人造の1000番と8000番、そして天然仕上げ砥石で砥ぎ分けました。

月山さんには、当日も参加頂き、先ずは包丁の柄入れと歪みのチェックをして貰いました。

 

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其の後、切って試したのですが、味や香りの差を比べるとやはり人造の低番手と高番手では、後者に軍配が上がりますね。勿論、切る際の難易度も違い、ぬのやさんも荒い刃付けでは難渋する場面が見られました。

そして天然仕上げ砥で砥ぎ上げた包丁は、如何なる場合も人造低番手に後れを取る事は有りませんでした。人造高番手も、低番手とは比べるべくも無い切れと味で、味に関しては天然にも比肩するかと見紛う場面も。ただ、刃の掛かりと永切れに関しては天然のリードが揺るがない様です。

味比べの無記名投票を集めた上野館長が、集計を出してくれるのが楽しみな感じも有り、従来からの自分の感覚を確認するのみの作業という感じでも在ります。

 

 

調理に当たって頂いた御三方や、イベントに参加下さった方々、そして主催側で準備などに当たって頂いた皆さんに感謝致します。有難う御座いました。

 

 

 

 

以前の切り出しに続き

 

平治作の小刀が送られて来ました。柄や地金の選択を含め、全体に風情のある仕上がりですね。兵庫県のH様からの研ぎ依頼は、前回の切り出しに続いて二度目です。

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研ぎ前、刃先拡大画像

 

 

余りご存知無いかも知れませんが、この様に偶には、研ぎの仕事もしています。切っ先の直しと、和鉄地金の表情が良く現れる様にとの御希望です。形状は悪く無いので、人造中砥からです。

 

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白1000と白3000で切っ先の欠けを取り、切り刃を更にベタに近付けつつ整えます。

 

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緑3000で傷を消しながら、砥石との当たりを確認。其れを元に小割りした砥石で面の修正。

 

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巣板や戸前・並砥など、数種の天然砥石で(傷や砥ぎ肌の)様子を見ながら相性を探ります。 刃金は光り気味、地金の明暗は兎も角も積層様の模様がハッキリを目指して。光らせ過ぎは見え難いので注意ですが。

 

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田村山の戸前で切り刃の基本を砥ぎ上げました。部分的な均し研ぎは、千枚その他で。

 

 

 

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研ぎ上がりです。

 

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右側

 

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左側

 

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研ぎ後、刃先拡大画像

 

 

 

砥ぎ上げた時点で、刃元の凹みや切り刃中央の研削痕は完全には消えていませんでした。その他の部分が整ってしまったので、消すには余分に減らさざるを得ないからです。

画像を御送りした所、それで良いとの御返答でしたが少し追い込んでみました。田村山の切り落としで刃金部分を重点的に当てた後、それをダイヤで擦った泥を使って磨く事で幾らか改善したかと思います。

 

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H様、此の度も研ぎの御依頼を頂きまして有難う御座いました。ただ、私は飽くまでも実用研ぎの一環として砥いでいますので、コレクション用や観賞用途での研ぎとしては充分では無い部分も有ると弁えております。

もしも要求を満たしているなら幸いですが、そう云った御要望に接する度、常に心胆寒からしむる プレッシャーの中、作業に臨んでいます。到着後、不備が有りましたら御遠慮なく御申し出くだされば研ぎ直しも致します。

今後も、私で御役に立てる事が有りましたら幸甚に存じます。

 

 

 

 

 

第二回、小刀造り体験

 

前回の体験では、募集に漏れた方が出ましたので急遽、二回目を募集したところ其方も短期間で埋まりました。その第二回目が昨日に行われたのですが、御参加中の女子率が段違いに高かった様です。

勿論、親子連れ(御兄弟の御子息含む)や御息女を伴っての御参加も有りましたが、過半数が女性陣でした。関の刃物祭りでも顕著であった、刀剣女子の影響か?とも思ったり。

 

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一回目に比べ、刃体の厚みを減らしての造形で焼き入れとなった様子にて、焼きの入りも仕上がった断面形状の点からも切れ味は向上し、参加者の満足度も上がったと御見受けしました。

刀匠には、工夫を頂きましたが形状修正や、薄いだけに頻出する曲がりの修正まで手間が増えてしまった筈で、恐縮でした。

他にも、一番の常連の方には御自身も体験に参加されるだけで無く、(何時もですが)対応や作業の裏方仕事もして頂き感謝致します。御蔭で、御参加の皆さんへの対応や研ぎの御手伝いに専念できました。

 

今後も同様の企画が可能かは、上野館長の判断待ちに成ると思われますが、確度の高い線としてはスウェーデン鋼に土置きしての本焼き刃物作りの企画が進められていますので、本格的な刃物を自ら作りたい方は御見逃しなく・・・でしょうか。

 

 

 

 

 

砥石館での講習後

 

天然砥石館では、砥ぎ体験・試し研ぎの他にも「初心者向け研ぎ指導」もあります。それとは別に、特に熱心な方には少し難易度の高い研ぎ指導も別日に私が直接受けています。

昨日はその二回目でしたが、受講頂いたのは一回目と同じ方。包丁の研ぎに拘って、同種でも複数本の包丁を御持参です。次回以降では、更に別種の刃物をと益々積極的でした。

刀匠による小刀製作体験にも御家族で参加下さる程、マニア気質の血筋であると御見受けするK様に、今後も満足頂ける様に努力したいと思います。今回は、二階の工事中で時折り喧しい中、有難う御座いました。

 

 

 

その講習前日の事ですが、土橋さんから電話連絡が。なんでも、NHKの番組の一部で流れる予定の撮影が有るとの事。付いては切るシーンが必要で手を貸して貰えないかと。

丁度平日ですが砥石館で講習が有るので、終わってからなら顔を出せますと返事をしました。しかし砥取家に着いても撮影が押しているのか、大分待ってかのロケ班の到着となりました。

砥取家での撮影開始時は未だ、少し寒い位でしたが遅れ遅れで進んだ撮影の後半に手がかかじかんで、切り難い事夥しい状態に成ったのには閉口しました。

 

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撮影を横目に頼まれたのは又、100均包丁な訳で。新品と研ぎ後の切れ味の対比を出したいと。切れの差を見たいとなると、何故か此の流れに収斂して行きますね。他の案も出すのですが・・。

 

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カメラのアップで研ぎ前後の刃先画像が出ましたが違いに驚いてくれました。本当は、現場でのお急ぎ研ぎなので傷消し等は充分では無かったのですが。

一番困ったのは十数年振りに胡瓜のスライス速切りで、三分の一か半分かと、終了指示が出るのを窺いながらでしたが一本全部切るまで続きました。しかし逆に、余り勢い込んで怪我をしなくて良かったです。

 

切る場面ではアボカド(種ごと)からカボチャ、トマト輪切りや食パン切り分け等も行い、包丁の向き不向きは有れど何とか熟せました。一応、比較対象として自作菜切りも使いましたが、どれが何処まで反映されるか分からないのがTV番組ですからね。

ただ、最近では100均包丁を研ぐ奴とのイメージに成っていないか心配です。それ程、顔や名前が出ていないし、今回も恐らく食材と私の手元しか映っていないので杞憂だとは思いますが。

 

 

 

 

帰宅後、使用した菜切りを研ぎ直す前に料理を一つ、やっつけておきます。残っていた材料的に、豚汁でした。

 

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促成熟成の折浜を水から

 

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反応が速く、火にかける前から1~2分でエキスが滲出(上部左側)

 

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人参とジャガイモを先行

 

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温度が上がった所で玉葱を追加

 

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沸騰した所で豚肉と酒・塩を投入

 

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味噌は、器(供する容器)で混ぜます。白・黄色の味噌をベースに、赤色系統を追加しました(中央左)。混合済みでも混ぜながらでも良いですが、アクセントは白胡椒が安定でしょうか。

 

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使用後は切れの回復と、錆・変色を落とす為に御手入れを

 

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講習や100均包丁研ぎと活躍してくれた砥石も面直し。その途中で菜切りも砥ぎ上げておきました。

因みに、前記時で記載漏れだった以前からの手持ち田村山は上の浅葱。硬さ・細かさ・砥ぎ易さで、一つ前の白巣板と共に砥石館に「講習用砥石群」として独自に準備してあります。

時折り、体験用には飽き足りない重病の方が来られるので、其の時には参考にと出したりしています。中山・大谷山・御廟山なども有るのですが、立派なサイズ・形状で無くても良ければと云う感じですね。