大阪府下(南寄り)から研ぎの御依頼

 

大阪の南の方から、研ぎの御依頼を頂きました。文面ではペティナイフとの事でしたが届いてみれば、何方かと言うとハンティングナイフ寄りのアウトドアナイフ、但し調理にも適正が有るタイプとの印象でした。

研ぎ前の状態です。カスタムナイフ、乃至は手作りの部分が多目の丁寧な作りと拝察します。

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遠目にはフラットグラインドに見える方も有るかも知れませんが、関で御世話に成った事も有る、尾上さんの言葉を借りるならば「研ぎ切り仕上げ」となるでしょうか。切れ優先のハマグリと酷似しているとも言えますが、届いた段階の刃先は赤味肉を捌く位は出来そうながら、新聞の束に切り込むのは難しい状態。

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研ぎ始めは320番からですが、刃先が相当な薄さを保っていた(新品でしょうか)為、ほんの少しの研磨で済ませたい所。折角の刃先の薄さをスポイルしたく無いですから。そこで極小の小刃を、先ずは25度で付けてから35度くらいで二段階に付けます。

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次に1000番と3000番で研ぎ目を細かくしつつ、研ぎ分けた角度を繋げます。ベースの25度の面から峰側に急激に繋げ、25度と35度の間は緩斜面に。

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天然に移行し、対馬で研ぎ目を細かく。刃先角度は切っ先方向へ向かって、5度内外の範囲で鋭角化。

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仕上げ砥石で相性を探りつつ・・・と思ったのですが、予想以上に難航しました(笑)。鋼材と熱処理の加減で、カリカリ(粘り不足)・ネバネバ(硬度不足・焼き戻し過多)の傾向が有ったりしますが、其れに加えて組織の密粗・均一さの違いで下りの良さ・引け傷の入り易さにも影響します。

今回のナイフも大いに砥石を選ぶタイプだった様で、梅ケ畑の赤ピン系統・中山の各種・奥殿の天井巣板系統など、総力戦に近い様相を呈する事に。

下画像は、奥殿系の戸前っぽい(やや硬口)のと梅ケ畑の赤ピン(硬口)でしたが、上手く仕上がらず。(中硬の赤ピンでは辛うじて普通程度の仕上がりに)

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中山の巣板層の合いさ寄り・戸前寄りの硬口も御気に召さない様子。

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中山の巣板層、天井っぽい中硬~やや硬口では、僅かにマシかなレベル。この後、幾つかの水浅葱でも試したのですが同様で。

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奥殿系の天井巣板、紫とカラス(其々中硬)では、やや改善。

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奥殿系、超硬口の天井巣板では、ほぼ問題が無い仕上がりに。

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もう一段階上の性能を引き出す為、同じく奥殿系の天井巣板、超硬口の無地で最終仕上げです。

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研ぎ上がりです。刃先の小さ目の小刃(切っ先へ向かって鋭角化+刃先方向へ漸次鈍角化)と、刃体側面のハマグリ+直線部分の少ない刃線により、紙の束にも充分に切り込める、本来あるべき状態です。

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此の度は、M様には研ぎの御依頼を頂き頂きまして、有り難う御座いました。御使いの上、何か問題など有りましたら御知らせ下さい。刃先角度の調整その他、再調整も可能です。

今後も、私で御役に立てる場合は、宜しく御願い致します。

 

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

 

最近の事

 

少し前から、手伝い先の若手の方から天然砥石の御要望も頂く事が続いて居ました。基本的には、小さ目・薄目の中山を御手頃価格で探して来て(田中砥石で採掘中の物)の御提案と成って居たのですが、中砥石にも興味が出たとかで、又それの為に京都まで往復する事に成ったり(笑)。

当然乍ら或る程度は、数を持ち帰らないと採算が合わないのですが、私が貧乏なのと選別基準が少々、厳しいのとの二重苦で精々、数個ずつが限度なのが厄介です。本当は自分用にも欲しい気持ちを抑えつつ、手頃なサイズ(幅は狭めでも充分な長さ)の天草(若干硬目・細か目)と資料用の中山コッパを買い求めて帰阪しました。

其の後、先方にとっての天然砥石一つ目であった中山に続き、天草は普通に御渡し出来たのですが、更に中山と天草の間を埋めるに相応しい砥石の追加も打診されました。おや、とうとう砥石沼に片足を突っ込んでしまうのかなと心配しつつも、御用命は有り難く。実は数か月前、有り金はたいて(当社比なので一般的には些少です)田中砥石で揃えた砥石群が、送ったまま返送された経緯が有りまして。期せずして、其れが活きて来る運びに成りました。

序でに、他の御一人からも同様のセットの御希望が有りました(借りて見て気に入った様子)ので、私が過去に入手の手持ちの中からも候補を挙げて、選んで貰おうかと。とは言え、流石に販売用の天草は無いので、再度の仕入れの為に遠からず京都まで出掛けるつもりです。勿論、今回は自分用にも購入する決意と共に。

 

取り敢えず御一人目に、天草から中山に研ぎ進める際に踏むべき、幾つかのステップとして提案したのが対馬(四分一)と相岩谷(レーザー型)でした。飽くまでも、ヘビーユーザー向けでは無く、天然砥石の御試し用~実用的には問題が無いレベルでサイズ・価格の面から妥当と思われるラインナップとしました。

 

御渡しした分の相岩谷の画像は無いのですが、対馬としては次の画像と同等品です。

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相岩谷は現在、私が最初期に買い求めた近所の道具店由来の三つ以外にも幾つか有り、其の内の一つを販売しました。系統としては中硬の緑色タイプで、下画像の大き目レーザー型のサイズ違いでした。

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下画像は、通常サイズレーザーですが左は難が無く、右は厚みが二倍ほどの物であり、対して販売用に選んだ緑色は普通サイズ・裏が一部欠け・側面に層の境界が有って割安に出来ました。

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側面を見ると、朱色の梨地とも言える模様が見えます。

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因みに、下掲の三つが天然砥石を集め始めた最初期の物です。左は超硬口に近い硬さと細かさで、嘗ては中山のマルカと強弁されて流通したとの噂?も強ち、有り得ないとも言えないレベルの高さです。

中央の浅葱色の砥石は、硬口で一部に当たる(鋼への影響は軽微)筋も有りますが、特に切り出し等の平面刃物への適正が高いです。

右側は中硬~やや硬口で、砥面が所期と比べて別物の質に成って居ますが、其れでも汎用性の高さは健在です。昔は、鎌型薄刃の切り刃を前面に当て、一気に刃金・地金を仕上げられる便利さに感動した物です。

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地金が敏感で、切り刃が広い切り出し(仕上げ難い)で試し研ぎです。上掲三つの内の右側の砥石は、泥が出過ぎない割りに滑走も適度に有り、研磨力に優れる(しかし平面の崩れは控え目)砥石です。

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左の砥石は、基本的に刃金は鏡面に近付きます。何年も前に有識者(清人さん)に鑑定を頼んだ際、欲しくなる位の石だと言われたり。地金に対しては少し気を遣う面も有りますが優等生で安定して居ます。

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真ん中の砥石は、泥が少なく鏡面系の石なのですが、筋が多いのが難点です。とは言え、当たる加減は様々で鋼材や形状で異なります。影響が少ない鋼材・形状の刃物を、問題個所を避けて研げばよい仕上がりも狙えます。ただ、今回の切り出しは難易度が高めですので地金に斑が出ています。

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中硬~やや硬口の、しかもヒビだらけでも、鏡面系かつ斑も出難い反則みたいな砥石も有りますね。

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もう少し、刃も地も明るくしたいならば、より硬く細かい砥石が必要に成りますが、泥は少なく滑走も減りがちなので、せめて弾力が多少は有るタイプが有り難いです。逆にカチカチ・シャリシャリは、綺麗な仕上がりには鬼門な事が多いです。

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あと、研ぎ依頼を頂いた方から、磨きはどうしているのかと御質問が有りました。私が御返送した分は、鏡面の御要望が無かった為に(通常、御受けするのは鏡面と言うより程々の傷消し止まりですが)、1500番か2000番位での磨きでした。

普通にホームセンターで手に入る、耐水ペーパーですが案外、メーカーと言うか研磨剤の種類により鋼材と熱処理のバランス毎に相性も有りますので、厳密には御持ちの刃物とテストする必要が有ります。

ただ、使用時には工夫した当て木(木材・硬質ゴム・フェルト)の併用が望ましいでしょう。参考までに下画像は、電動工具用のビットの棚から見繕った物で、左下は円盤を四分割して居ます。

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其の後、もっと傷を浅くしたいなら、下掲の二種類の選択肢が有ると考えて居ます。模型用と思しきベースが布の物と、スポンジベースの物です。

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どうしても手作業で限界に近付きたい場合は、最後にダイヤモンドペーストを使う事に成るでしょうか。

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細か目のバフ仕上げ(研磨剤の付き布羽布)等のヘアライン的な仕上がりの側面に対し、完全な傷消しでは無く中位のミラーフィニッシュ(途中経過)ですが、上記内容を実践して到達した現状も結構、気に入って居ます。

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最後に、数か月前に送って貰った司作の銀三筋引きを実際に使って見ました。フランスの有名料理人の弟子用とかの経緯で作った残りですが、確か鍛造と水焼き入れの仕様で作られた逸品。自分用に選んだのは七寸で、柄はエンジュに水牛の両口輪です。

平と切り刃を持つ、両刃の形状ですが適切な熱処理+サブゼロ+加工時のオーバーヒート無しの加工を経たVG10に、優るとも劣らない性能でした。刃体の厚みと刃幅、切り刃のベース角から予想される切れ加減を上回った結果に加え、掛かりの良さでは凌駕するかもと思わせる使い心地で、また大人買いして来たココロ(牛心臓)を快適に捌けました。

エンジュの柄は初めてでしたが、軽い割に確りしており、水分等でも滑らず良かったです。朴とは違う木目と色調で、其の面でも興味深いですね。

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多過ぎる部分の脂肪を除き、薄い膜も剥がして切り分けた状態です。刺身包丁(柳など)に近い作業性でしたので、極限の薄さでも目指さない限りは、筋引き・膜剥がし・切り分け・薄切りを不満無く熟してくれるでしょう。

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日野浦さんとは、例年通り?十月の初旬に関で御会い出来る予定ですが、前回の電話口では珍しく、食事でもしながら話そうとの事でしたので、内容は分からない乍ら(久々に会える事を楽しみつつも)聞き手の役割を果たしたいと思って居ます。

 

 

 

 

 

神奈川県からの研ぎの御依頼

 

神奈川県から、ヴォストフのスライサーを御送り頂きました。ローストビーフやスモークサーモン等に御使用だそうで、硬い物には使わない為に切れ優先でとの事でした。加えて、中央から切っ先までの間で刃線が乱れて居るのを修正して欲しいと。

現物を拝見すると、かなり鋭い刃先ですが確かに刃線はS字状に見える部分が有ります。そして、必ずしも研ぎ斑(ムラ)に因る物だけで無く、刃体の側面の凹凸・切っ先方向へのテーパーの不足が確認出来ました。

 

 

研ぎ前の状態。中砥石ではマズマズの仕上がりに成れど、仕上げ砥石では乱れが目に付くとの事ですが、遠目には分かり難い人も有りそうです。

研ぎ跡の付いている側面が必ずしも薄く成っている訳では無いので、元来の製造段階で結構、凹凸も存在していたのではと。勿論、抜け・走りに関して最も避けたい「切っ先カーブの辺りに残存している厚み」も合わせて調整したい所です。

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刃先最先端は充分な薄さですが、刃先の先端部の側面が平面で摩擦が大きい為、(押し引き共に)側面抵抗を受け易い状態です。単に厚みを抜く・薄い刃先の組み合わせでは、前述のデメリットが付いて回ると認識しています。

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下画像は、刃先を上側にした左側面です。偶々ですが、光が当たって居る二か所が刃線の凹んでいる部分です。

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先ずはダイヤ砥石にて、刃線の修正(或る程度は直線的に刃先を削り落とす)です。左右の側面共に削りますが、右側に厚みが多い様子。当然ですが、削った分だけ刃先の厚みが増しますので、次の工程で厚み抜きが必要に成ります。

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粗い番手の耐水ペーパーを用いて、刃体自体の側面の凹凸(狭小範囲)・厚みの残存(一定の範囲)を優先的に減らして行き、更に切っ先方向へテーパー化もしつつ、増えた刃先周辺の厚みも(前述の加工に則った方向で)減らします。

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人造の320番で、小刃(其処まで明確では無い)の研ぎ直し。

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1000番と3000番で、精度を上げつつ研ぎ目を細かく。

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小刃(仮)を付けるだけでも、僅かとは言え再び厚みが増すので、ペーパーで軽く削り直しです。

此の段階まで来ると、洋包丁の側面の仕上げとは言え、和包丁の切り刃の調整に匹敵する作業内容に成って来ますね。まあ、砥石(就中、硬口の砥石での面修正は格段の精度に成りますので一概に同列には論じられませんが)で正確に研ぎ上げた物は一線を画しますが。

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一つ前の段階で、既に刃先周辺の厚みは(普段の私の標準より)薄目かつ刃先は鋭角目ですので、天然の仕上げ砥石に直接乗せても充分な刃が付きます。其れだけ、最後は目の細かい耐水ペーパーで刃先最先端ギリギリまで、厚み抜きをして有ります。

因みに、画像は梅ケ畑の中硬の赤ピン各種です。通常ならば、此れで充分とされる事も多いですが。

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もう少し、硬目・細か目の赤ピンで小刃の精度を上げます。

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奥殿の紫入り、黄色の巣板(硬口~超硬口)で最終仕上げです。

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所が、研ぎ後の画像・刃先拡大画像なども撮影後、刃先の仕上がりの(重箱の隅レベル)気に成る箇所が目に入ったり、柔らか目ながら組織の細かい製品の可能性を探りたくなり、最後に水浅葱で一撫でしました。偶に蛇足(自己満足?)と思わない事も無いのですが(笑)、今回は明らかに奏功したと感じました。

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研ぎ上がりです。

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刃部のアップ

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刃先拡大画像

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此の度は、N様には研ぎの御依頼を頂きまして、有り難う御座いました。現場での御使用に於いて、此のスライサーが問題無く働いてくれる事を願って居ります。

今後も、私で御役に立てる場合は、宜しく御願い致します。

 

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

 

御近所の方からの御依頼

 

一週間ほど前に、御近所のK様から三本の包丁を送って頂きました。何れもステンレスですが、一本は少し珍しい波刃のパン切り包丁で。珍しいと言うのは通常、波刃であれば凹部が多いのが常道ですが幾分か、凸部が占める割合が多いなと。

他の二本は、片刃と両刃の違いは有れど形状的には和式(平+切り刃の構造)でしたが、①余り研ぎ減っておらず刃先周辺の厚みが邪魔に成らない➁刃先の損耗も軽いので研ぎ減らす部分が少なくて済む(此れも刃先の厚さ増大に繋がり難い)との判断により、切り刃自体の研ぎは行わず刃先主体の研ぎのみとしました。

 

 

先ずは出刃ですが此方は、切り刃の捻りは控え目、尚且つ刃体の厚みのテーパーも大幅とは感じない物の、外観的には整っている印象です。ただ、裏梳きと言う程には凹面に成って居らず、現状でも裏からの小刃で仕立ててある為、其れを踏襲する方向で研ぎ進めます。因みに、刃先の損耗は三徳よりも軽微です。

新聞の束を用いての試し切りでは、切っ先へ向かっての厚み・刃先角度の減少が何れも控え目の為、小刃の最先端が少し切り込める程度。従って、小刃の研ぎ直しに際して(最先端の充分な切れ・必要な強度を両立させた上で)限られた幅の中でも、切っ先方向へのテーパーをも盛り込む必要が有ります。

僅かとは言え、切っ先へ向かって鋭角化して行けば、小刃の幅が徐々に広がりつつ切っ先へ到達する筈ですが、其処まで広がって見えないのは切っ先カーブから先の刃体の厚みが減少している為でしょう。

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研ぎ始めは、人造の320番です。ほんの少しの刃先の荒れを削り落とし、裏は返りを落とす程度に砥石に当てます。

私の経験上、裏梳きの無い裏(ほぼ平面)の刃先には、二段階の角度で小刃的な仕立てにすると抜けが改善し易いです。一例として、20度+25度あるいは25度+30度の二段階が汎用性に優れる様です。ただ、荒砥石に分類される段階では未だ一段階で軽めに。

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1000番と3000番で、研ぎ目を細かくしつつ小刃内の角度の研ぎ分けと、裏の精度を高めつつ二段階化。表の小刃は、最終刃先角度が刃元:60~70度、中央:50度、切っ先:30度強ですが、ベース角度は其々からマイナス30度・20度・10度です。

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天然に移行し、対馬砥石で。上記内容を踏襲して、より研ぎ目を細かくします。

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中硬・やや硬口の中山の巣板層・合いさっぽいカラス混じりで仕上げ研ぎ。

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更に、相性的に良さそうと感じた水浅葱で最終仕上げです。

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研ぎ上がりです。此の研ぎも、外観では研ぎ前との違いを判別するのは困難でしょうね(笑)。しかし、試し切りでは刃先の切れ・走り・抜けの何れもで改善が見られました。

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カメラ(モバイル顕微鏡)の走査線?と思って居た人も居た様ですが、小刃の中に見える平行線(此の場合は等高線と言うべきか)は、角度の研ぎ分けの結果です。しかも、刃線に平行に研いでの物では無く、更に峰側へのストロークでは無く刃先へ向かってのストロークです。

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二本目、和式の両刃の三徳です。此方は、上掲の出刃よりも刃先の損耗が幾分、進んでいましたが何よりの違いは切っ先の欠けでしょうか。まあ、其れを含めても新品時から大きく摩耗していると迄は言えない位では有ります。ですので切り刃を研ぐ必要に迫られるのは、刃先の厚みが邪魔に成ってからと言う事に成りますね。

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取り敢えず、掛けた切っ先をダイヤ砥石で削り直します。

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其の後、320番で刃先の欠け等(若干の錆も)を削り落とし、刃線を整えます。

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1000番と3000番で研ぎ目を細かくしつつ、刃元40度・中央35度・切っ先30度(何れも片側ですので両側を合わせた角度が刃先角度)に。因みに、小刃のベースは其々、マイナス10度くらいに成って居ます。

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天然に移行して対馬砥石。研ぎ目を細かくしつつ、小刃の角度の研ぎ分けの繋がりを均します。

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中硬の相岩で仕上げ研ぎ。

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そう一段階の切れの上乗せを狙って、超硬口の中山の戸前系で。

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研ぎ上がりです。

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小刃の中で峰側半分は緩い角度変化、刃先側は最先端へ近付く程に急激な角度変化である事が見て取れます。(平行線の間隔が狭まる)

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最後のパン切りは、未だ最適な仕様・研ぎ方を確立出来ているとは言えない為、研ぎ代金は今の所、大抵の場合で頂戴して居ません。

特に今回は、波刃の凸部のみ少し切れが落ちている様子ですが、凹部は殆ど変わらないのでは?との印象で。止むを得ず、耐水ペーパーを適切な形状の物に当てて、刃先最先端(特に凸部)の切れが向上する程度には仕上げて置きました。

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此れこそ、全く判別不可能とは思いますが、切れのテストでは改善が見られましたので、試して頂ければと。何せ、自分では如何なる硬いパンでも(逆に柔らかいパンでも)牛刀で済ませていますので、パン切り包丁の研究が中々に進みませんで(笑)。

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此の度はK様には、研ぎの御依頼を頂きまして、有り難う御座いました。出刃と三徳に関しましては、初期状態よりは使い勝手が向上していると思いますが、御使用上で不都合などが有りましたら御知らせ下さい。また今後も私で御役に立てる場合は、宜しく御願い致します。

 

 

 

 

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