カテゴリー別アーカイブ: 依頼の刃物

いつもの常連様から

 

少し前にベスパの事でショップに立ち寄った際、研ぎ依頼の常連であるディーラー様から、来るんだったら包丁を用意しとくんだったな。と言われていたのですが・・・後日、連絡を受けて引き取りに。

主力の包丁、炭素鋼の和包丁と洋包丁(ナイフ含む)を持ち帰って砥ぎました。何度目かの研ぎであり、合わせるべき砥石の傾向と対策は把握しつつあると認識していたのですが、新たな組み合わせにより性能の向上を見ました。その備忘録みたいな物です。

 

 

 

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画像、下から中屋平治作三徳スウェーデン鋼・木屋牛刀スウェーデン鋼・岡山のメーカーの青紙スーパーだったかと。

 

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依頼主はアウトドアに傾倒しているので、ちょいちょい各種ナイフも砥ぎます。今回はビクトリノックスのスパイダルコ風。

 

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刃先は一応、まずまずの切れが出ていますが刃体の厚みに対して鈍角過ぎ、不十分。角度が不均一な部分も有ります。

特に、刃元2cm位の多段階的に研がれた小刃に付いては、実用的且つ統一感の有る刃線と刃角に揃える(緩いハマグリ+角度可変ですが)のに苦労しました。一見すれば均一に見えるのですが。

 

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包丁は其々、小さいとは言え無数の欠けの修正に人造荒砥から。続いて人造中砥で形状の調整です。

 

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青紙スーパーのは、刃金は柔らか目で組織も荒目、地金も荒目なので合わせる砥石に苦慮する対象でした。或る一定程度までは仕上がっても、其れ以上の出来を求めれば漏れなく難色を示すと言った具合で。

今回も様々試していたのですが、刃金は田村山の戸前(数年前の物)が良く馴染み、地金は奥殿の白巣板の小割り(相手の選り好みが激しい物)が研磨の速さと仕上がりの細かさ・均一さで好印象でした。

 

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戸前の効果に気を良くして、浅葱でも試すと尚良い仕上がりに。焼き加減が硬焼きであれば又、違う展開になるかも知れませんが(硬い青紙スーパーに御目に掛かった記憶が無い様な気も)。

之までも相性探しを試行し、その時々で満足すべき組み合わせを見付けては合格として来ましたが、恐らく今後の青紙スーパーのスタンダードとなるに相応しい結果を得ました。

 

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其れは此方も同様で、木屋のスウェーデン鋼は中山の並砥で上手く仕上がりました。この組み合わせで安定かな。

 

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ステンレスは基本的に黒蓮華が合うとはいいながら、それでも鋼材・製品毎に効果の程は結構まちまちで。しかし此れは可成り良い相性と見え、折りも砥ぎ肌も切れまで十分でしたが。

試しに奥殿の黒蓮華(硬口)で試すと、硬さに起因する研ぎ辛さは皆無で使い勝手の良ささえ感じさせます。山は違えど、やはり層に特有の性格と言うか傾向は似て来るものですね。結果として人造中砥段階までは気に成っていた、鋼材の柔さも影を潜めて強さ・鋭利さを併せ持つ刃先に。

 

 

 

研ぎ上がりです。

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平治作三徳、刃部のアップ

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木屋牛刀、刃部のアップ

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岡山の刃部アップ

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地・刃共に、錆の痕跡を消し切る程には削りませんでした。結構深かったので、性能が満足する状態に留めましたが相性の良い小割りが試せた事により錆び難さは向上するでしょう。

あと、今回の研ぎで切っ先側へ行くに従い厚みを増す地金部分が、何とか目立たなく成って来たので切る際の抵抗が自然に成ると思われます。4~5回を掛けて徐々に研ぎ進め、一回当たりの研ぎ料金を低く抑える方向でしたが、一応の目処。本来は逆に薄くするのが順当ですので、形状から来る最高性能は今後に期待。

 

 

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ビクトリノックスも、刃元から切っ先へ向かって厚みと角度の調整。勿論、刃先の鋭利さも強度を保ちつつ向上。

 

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刃部のアップ。小刃の始まりを緩やかにしつつ、小刃その物もハマグリに。刃体の(ホローグラインドを施されていながら均一では無い・或いは厚みを取り切れていない)部分的な厚みを小刃の範囲内外で解消しつつ、刃先最先端は切っ先へ向けて鋭角に仕上げて有ります。

 

 

T様には、いつも御依頼を頂きまして有難う御座います。最初期から、そしてベスパのみならずパソコン関係でも御世話になり感謝して居ります。今後も御役に立てましたら幸いです。

 

 

 

 

 

北海道から纏めて 後半

 

北海道のT様から、四本纏めて御依頼頂いた残りの二本分です。中屋平治作の柳とイカ割き。

 

先ずは柳から。二本とも通常の研ぎ以外に、平と峰・顎からマチの磨きも御所望で。

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研ぎ前の状態。刃先に角度斑の箇所が有り、其れが顕著な顎と切っ先カーブの辺りには錆も。

 

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刃部のアップ

 

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裏押し部分が切っ先手前で狭い傾向。他にはカーブの辺りで刃線の屈曲が少々、急であり厚みの残存も。それ以外は切り刃の厚み取りは、ほぼ整っている様です。

峰から裏側に掛けての角にも角度の斑。其処は同じく荒い砥ぎ目だからでしょう、錆も同様で。

 

 

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荒砥でカーブと其の手前の二か所の厚みを狙って下ろし、シャプトン1000の小割りでテーパーを目指して更に均し研ぎ。

 

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同様にキングハイパーと、その小割りで。

 

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巣板各種と其の小割りで仕上げて行きます。

 

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中山・奥殿で最終仕上げ。

 

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最後に御希望のコントラストを付ける為に、地金部分を八枚で。

 

 

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研ぎ上がり。

 

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刃部のアップ。聊か御急ぎの意向を受けての作業でしたので、必要以上の傷消しはせずに留めました。

 

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刃先拡大画像

 

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峰の状態。

 

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顎からマチに掛けての状態。

 

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裏押しの狭い部分ですが、返り取りが出来る位には砥石に当たるので他の部分のデメリットを勘案し、無理に広げませんでした。

 

 

 

イカ割きです。仕上がり条件は柳に準拠。

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研ぎ前の状態。切っ先カーブで刃線の繋がりが急なのと厚みが有るのは共通ですね。

 

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此方は、裏押しの狭い範囲が中央下寄りの部分。鎬筋と刃線は顎に向けて、少し下がっていると言うか広がっています。

 

 

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400番で厚みの調整と鎬筋の一体感を。その後は緑1000・白1000・白3000と順に。

 

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キングハイパーで大まかに纏め。

 

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巣板各種と本戸前で傷を消しつつ仕上げ研ぎ。

 

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奥殿の各種で最終仕上げ。地金は同じく八枚でコントラストを。

 

 

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研ぎ上がりです。

 

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刃部のアップ

 

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刃先拡大画像

 

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峰の状態。

 

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顎からマチに掛けて。

 

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此方も 裏押しの狭い部分も最低限は当たる状態です。双方共に、乱暴な扱いをされる類の包丁では無いので大丈夫でしょう。出刃の場合なら、強度に不安が残るので裏押しも広く取らねば成りませんが。

 

 

 

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柄の意匠は違えど同一の作者の包丁で、仕上げ方を揃えたので一体感が有りますね。

 

 

北海道のT様、此の度も大切な包丁類を多く研がせて頂き有難う御座います。メールでの遣り取りを通じて、より御希望の仕上がりに近付けたかと考えております。

本日、此の二本を御返送しましたので一両日は掛かると思いますが、到着した現物を確認された際に御気に召して頂けたら幸いです。

ブログ記載への御協力も併せて、感謝致します。今後も御役に立てる様でしたら宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

北海道から纏めて

 

北海道から纏めて四本、御依頼を頂きました。先行して二本を仕上げ、画像にて確認を頂いたので掲載致します。

仕上がりに拘りの有る方からの御依頼は嬉しい事ですし、生来の不器用である私などの研ぎを評価頂き、懲りずに御利用下さるのは有難い事と感謝しております。

 

 

先ずは小刀(こがたな)、重房と有ります。地金には鍛え肌、と言うより和鉄にも似た模様が。左側には余り見られないので不思議な感じです。仕上げてみれば刃金の光り方にも若干の違いが。

 

研ぎ前の状態

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切り刃の状態は結構、薄く均一気味に刃付けされていましたので、人造の小割り程度で整うかもと当ててみました。

先ずは1000番(キングハイパー)から。

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次に、3000番。

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天然に切り替えて巣板。

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八枚(三種類の内、硬目の荒目)。

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千枚で仕上げ。

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この段階で、仕上がりの御判断を仰ぐ為に確認画像を添付したメールを。結果は更に錆の除去を推し進め、可能な限り地と刃のコントラストを、との事。

研承の400から緑と白の1000、白の3000で左右の形状バランスを見ながら砥ぎ下ろし。その後、キングハイパーで面の再構成。

天然も使用砥石を選び直し、地金は八枚(細か目・柔らか目)までとしました。

 

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キングハイパー

 

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各種巣板等

 

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千枚系統

 

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研ぎ上がりです。

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刃先の拡大画像

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刃先は、より揃って来ましたしコントラストも少し向上したかと思います。

 

 

 

 

次に、平治作のセミステンレスペティです。此方も切り刃のコントラストを、との御意向は共通で。他には峰とマチの磨き、それに平も鏡面にと。

研ぎ前の状態。

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先ずは御希望通り、研ぎの前に平その他を磨いておきます。

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研承の白1000・白3000で切り刃を研いで。

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キングハイパーの硬軟。

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巣板で仕上げて刃金はカミソリ砥で。此方も地金は八枚。

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磨いた峰です。

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此方は磨いたマチ。右側に深い傷でしたが左よりも削られていたので、余り削り代を増やせず程々で。

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刃先の拡大画像

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ペティの確認後、平に残る刃線と直交(峰から刃先方向に走る)の研削痕が気に成るとの事で磨き直し。長軸方向への砥ぎ目を揃える方向で。

刃元側は薄くしたく無いので程々で。切っ先側は、殆ど消えるまで追い込みました。結果、その他の研削痕も目立たなく。

切り刃も巣板から研ぎ直しました。

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刃先の拡大画像

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砥ぎ直した事で、刃金の光り加減が向上。因みに、使用砥石は傷消しを狙って奥殿の巣板です。刃先も、より揃えられた様です。

 

 

 

北海道のT様、此の度も御依頼を頂き有難う御座います。残りの二本も順に研ぎ進めて参りますので、もう暫く御待ち頂けます様に御願い致します。

 

 

あと、今回の二本を先行して御返送の際、御参考までに小割りの砥石を同梱しますので御楽しみ頂ければと思います。詳細はメールにて記載しましたが、種類は此方にも大まかに。

上から、神前の合砥(かなり風化)・白巣板(やや柔らか目)・八枚(細か目・柔らか目)・千枚(細か目)・カミソリ砥(中硬)・中山水浅葱・奥殿白巣板・中山黄色です。

もしかすると、御手持ちの刃物の御手入れに使える物も在るかと思いますが、惜しくない素材で御試しの上でどうぞ。相手を選り好みする石の方が多く入っております。

 

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両刃の小刀二本

 

少し珍しい、左久作製の両刃の小刀(こがたな)の研磨。サイズ違いの二本の御依頼を頂きました。切っ先の小さな欠けと、刃元の形状の段差を気にされていましたが、欠けは兎も角段差は余り変えられないかもと御伝えしての研ぎでした。

結果的に其の箇所に付いては、人造砥石での工程時や其の小割りで、ほんの少しマシかなと云うレベルの変化のみで申し訳無いのですが。切り刃に付いては、刃・地共に面精度・砥ぎ肌も整ったとは思われます

 

 

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二本の研ぎ前の状態

 

 

 

小さい方、刃部アップ

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刃先拡大

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大きい方、刃部アップ

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反り(切っ先カーブ)周辺の錆跡?も気に成る所。

 

刃先拡大

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錆跡らしき部分ですね。

 

 

 

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小さい方から砥ぎます。研承の400・緑1000と進みますが今回、二本共通で刃元(此方はリカッソ直前・大きい方は少し手前)の削り過ぎが見られます。

 

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研承の白1000までで大体、揃って来ました。

 

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次の白3000で、ほぼ整いました。

 

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柔らか目の巣板で傷を消しつつ均し研ぎ。

 

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他の巣板・千枚を挟んで奥殿の巣板で仕上げ研ぎ。

 

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両面、地金は改めて千枚で撫でて置きます。

 

 

 

大きい方

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先ずはキングハイパーで様子見と言うか状況把握。事前には分かり難かったのですが、大きい方は初期刃付けで可成りホローグラインド的に成っていました。つまり、中央部が凹面に削られています。

凸面よりは研ぎ易いのですが、切り刃を平面や其れに準じる形にするとなると、相応に手順を踏む必要が有ります。砥石に当たる面積が希望の範囲に収まる迄、荒砥から地道に研ぎ進めます。

 

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左側の方が、より明確ですね。

 

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400での研削痕を取りながら、緑1000で形状を整えます。

 

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左は、反りの周辺の陥凹が残り勝ちでした。その痕跡を消しながら、白1000・白3000へと繋ぎ巣板各種で均し研ぎ。

 

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仕上げは、矢張り相性の良かった奥殿産の巣板で。

 

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左側も、刃元の極僅かな痕跡を除いて整いました。

 

 

 

研ぎ上がりです

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小さい方

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刃先拡大画像

 

 

 

大きい方

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刃先拡大画像

錆跡は消退しました。鍛え傷やイモなどで無くて何より。

 

 

 

奈良県のY様、此の度は小刀の御依頼を有難う御座いました。御希望に副い切れ無かった部分は、申し訳なく思っております。

造形に便利な設備などが有ればと悔やまれる部分では有りますが、私としましては研磨後に一般の方が普通に手に入る道具で普通に維持管理可能な範囲で仕上げる。と云うコンセプトの道具立てで作業している一面も有りまして難しい所です。

設備も才能にも乏しい研ぎ屋ですが、今後も御役に立てる様であれば宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

土佐の両刃出刃

 

香川県の常連様が和包丁の練習にと、土佐の両刃出刃を御購入。予想通り、切り刃の状態は修正の要を認める物で其処を任されました。

 

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研ぎ前、全体画像(右側)

 

 

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同じく刃部アップ。多段階の刃先に成っています。

 

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研ぎ前、全体画像(左側)

 

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同じく刃部アップ。此方は更に多段階ですね。

 

 

 

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GC荒砥で、厚みが残っているカーブから切っ先までを減らし、中央から刃元までの切り刃中央のホローグラインドを均します。その後は研承の400・緑と白の1000・白の3000で整えます。

 

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巣板で傷を浅くし、本戸前で追い打ち。

 

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更に早速、新型の田村山の巣板。刃金の光り方が冴えて来ます。

 

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田村山の戸前で仕上げ研ぎ。

 

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田村山の浅葱で最終仕上げです。この包丁は徹頭徹尾、若狭の砥石と相性が良い印象でした。砥ぎ易く、仕上がりも万全。

 

 

 

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研ぎ後、全体画像(右側)

 

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同じく刃部アップ(刃元寄り)。初期の研削状態(ホロー)から地や刃に段差が、又その影響で傷が消し切れていませんが、切る性能に問題無い段階に達したので留めました。

 

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刃部アップ(切っ先寄り)。厚み取りを確り施す必要が有ったので、結果的に形状は整い気味に。

 

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刃先拡大画像

 

 

 

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研ぎ後、全体画像(左側)

 

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同じく刃部アップ(刃元寄り)

 

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刃部アップ(切っ先寄り)

 

 

極めて高級な物を除けば、和包丁の大半は切り刃の状態から刃先の切れまで、販売時点では其れ程には整っていない物です。特に一定の厚みや角度に統一するなら未だしも、其れを漸減させながら切っ先まで砥ぎ上げるとなれば困難を伴います。

御自身での体験を通して上記を理解した方なら、其の一番大変な最初の慣らしとも言える段階を、任せてしまうのが有効だと判断される事も多いです。今回は正に、その御依頼でした。

香川県のK様、いつも御依頼を有難う御座います。此の仕上がりで問題無い様でしたら、前記事の若狭田村山の戸前と合わせて御送り致しますので、御判断のほど宜しく御願い致します。

 

 

 

 

 

北海道から再度の御依頼

 

数か月前に御依頼頂いた、北海道のT様より再び和包丁二本が届きました。柳の方は一部の欠けを取り、刃と地の対比が際立つ仕上がりを御希望でした。

 

柳刃

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研ぎ前、全体画像

 

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欠けも大した事が無いので、研承1000番(白緑2種)からです。

 

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3000番の白

 

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3000番の緑

 

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巣板で傷を減らして、更に小割りで(主に地金を)均し研ぎ。巣板から八枚、千枚と進みます。後者に成る程に錆・変色を抑え、汚れ落ちも速く食味の向上にも貢献してくれます。

 

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千枚で仕上げ研ぎです。

 

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最終は、此れで。

 

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研ぎ上がり全体画像

 

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刃部のアップ

 

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刃先拡大画像

 

刃と地のコントラストを強調するなら、地金は巣板や八枚仕上げの方が良かったかも知れません。しかし地金の質が千枚向きでしたので、つい普段通りの仕上げにしてしまいました。御好みの仕様と、かけ離れていなければ良いのですが。

 

 

 

 

出刃の方は御任せだそうなので、調子を見ながら相性次第で。

出刃

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研ぎ前、全体画像

 

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研承の400番で形状の土台を。

 

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1000番の緑で確認と正確な刃先を。刃元側の鎬下に、少し砥石に当たらない部分が現れます。(切り刃の地金の光沢部分)

 

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1000番の白で更に精度を上げて

 

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3000番の白まで掛けましたが、当たらない部分が未だ大きく

 

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久々にキングハイパーを使いました。研承以外で使っているのは、殆ど此れ(標準と軟)くらいですね。

 

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研承に戻って3000番の緑

 

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巣板で傷を減らして

 

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小割りで均し研ぎ。八枚の小割りは、砥粒の目が立っているのと滑らか二種ですが、前者との相性が良かったので其れで仕上げました。千枚よりも八枚が合う地金も、結構在るものです。

 

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最終は此れで

 

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研ぎ上がり全体画像

 

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刃部のアップ

 

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刃先拡大画像

 

 

今回は、両方とも青紙だったのですが硬さと粘りのバランスには違いが見られました。柳の方は少し硬さが控え目で、出刃は硬さと粘りが均等な印象です。

一般的には、柳は強引な使い方が少ないので硬い刃で永切れを。出刃は、其れに比しては荒く使う場面が有るので大きく欠けない硬さで。と成るでしょう。

しかし何れも、目的の使い方に照らして適切な刃先角度に砥ぎ上げれば問題無いと思いますし、その様に仕上げましたので御確認頂ければと思います。

北海道のT様、今回も研ぎの御依頼を頂きまして有難う御座いました。今後も、私で御役に立てる様でしたら宜しく御願い致します。本日、発送しましたので明後日には到着との事です。

 

 

 

 

 

香川県の常連様から

 

ビクトリノックスのツールナイフ(大小ブレード)と和式の小刀(両刃)です。両方とも、結構な所まで御自身で砥がれているのは何時も通りなので少々、戸惑う面もあるのですが・・・もっと追い込んだ研ぎをしろとの御要望なのでしょう。

 

と言う訳で、初期の状態です。先ずはビクトリノックスから。一応、オリジナルは片刃寄りの両刃で刃付けされていたと思いますが、かなり片刃寄りを強調されています。

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大きい方のブレード

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その拡大画像

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小さい方のブレード

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その拡大画像

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傷んでいる訳では無いので、人造中砥からです。

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次に黒蓮華

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最終仕上げは、奥殿の天井巣板です。やはり、ステンレスに向いている印象です。私の手持ちでは、中山の並砥と並んでステンレスを仕上げる標準と成りそうです。

極端に、掛かりの良さを求める等であれば他の選択も有りますが。

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研ぎ上がりです。

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大きい方のブレード研ぎ後

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拡大画像

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小さい方のブレード研ぎ上がり

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拡大画像

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和式小刀の研ぎ前

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切り刃のアップ

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拡大画像

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人造中砥から始めて、白巣板で形状を整えつつ傷を消し、敷き内曇りです。

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拡大画像

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千枚で更に傷消し

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拡大画像

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田村山の切り落としで

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大谷山で

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拡大画像

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此処までで分かるのは、硬く細かい砥石で仕上げる程、刃金や地金が明るく、或いは光って来る事です。大まかに言って、刃金の状態が光っている程、微細で鋭利な刃先となり永切れが期待できます。

但し、刃物と砥面が平面同士でないと傷が入り易い砥石とも成り得ます。上画像は、刃を拭う際に硬い砥粒が擦れた跡が付いています。刃先の光り方は期待通りでは有りますが。

 

 

 

此処で終了でも良かったのですが、満足出来ず研ぎ直しです。青紙は、白紙に比べて添加物の影響や耐摩耗性の高さから、光り難い傾向にありますがこの砥石は何方も同様に仕上げてくれます。

東物ではあるでしょうし、恐らく中山なのでしょう。しかし層は良く分かりませんね。砥ぎ感としても合砥と巣板の何方とも付かない感触です。強いて言うなら巣板寄りかなと。

レーザー型ですが私の奥の手の一つで、返りを出さずカッチリした刃先を研ぎ出してくれる最右翼の一つです。後は中山の黒?浅葱でしょうか。

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拡大画像

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刃先のみならず、刃金の広い部分が同様に光って来ています。通常の硬いだけの砥石と違い、面の構成を問わず砥ぎ易さも併せ持ち、追従性の高さもまずまずです。

 

 

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一応例の判子も有りますが、絶対的な性能保証では無いと考えています。相当数を試した結果の実感です。勿論、それに恥じない性能で面目躍如の石も有り、此れもその一つでした。

しかし結局は、相性次第です。私が試し研ぎをする場合は、有名どころも無名もスタートラインは横一線です。研ぎ上がりだけが判定基準と成ります。実際、この砥石はステンレスには極限の刃先とは行きませんでした。

 

 

香川県のK様、いつも御依頼を頂き有難う御座います。この状態で宜しければ、明日には御返送させて頂きます。宜しく御願い致します。

 

 

 

 

 

再び京都市から御持参の本焼き

 

 

以前にも一度、本焼き包丁を纏めて御持ち頂いた方から再度、御依頼を頂きました。御自身での研ぎに際して幾分、乱れが生じたので修正をとの事。

ただ、切っ先が欠けた切り付け以外は大して問題が有りそうな外観には見受けられませんでしたが、結果的には切り刃よりも裏押しの部分が少々気になる共通点でした。

 

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過去に出した研ぎ屋が切り付けの形状を改変した状態にして返して来たそうです。厚みが減るので余計に強度が落ちたのでしょうか。

流石に電動工具を使って先端部を削り、嘗ての名残りを頼りに復元を試みました。取り敢えず、使える切っ先と不自然さの少ない形状には出来たかと思います。

人造中砥を数種、その後は各種天然の巣板で相性を探りつつ砥いで行きます。奥殿白巣板で裏、田村山巣板・敷き内曇りで切り刃を整えて。

 

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最終は奥殿天井巣板で仕上げました。

 

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研ぎ上がりです。

 

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切り刃のアップ。

 

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切っ先です。

 

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裏です。改善して来ましたが、急激にサイズが変わるのを避けて徐々に表裏から追い込む方向に。其れまでは、返りが取れる角度でサラッと仕上げ砥で撫でて貰います。

 

Still_2018-01-31_163234_60.0X_N0003.jpg切り付け

刃先の拡大画像。

 

 

 

 

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やや細身の柳です。研ぎ前

 

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切り刃のアップ。研ぎ前

 

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人造中砥の後は天然に。

 

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奥殿産の白、白の蓮華。

 

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中山の。

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刃先と裏押しは、中山産戸前です。

 

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研ぎ上がり。

 

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切り刃のアップ。

 

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裏です。此処は、上記の包丁と同一の対応です。

 

Still_2018-02-02_195033_60.0X_N0005.jpg柳細

刃先の拡大画像。

 

 

 

 

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ややふっくらの柳。研ぎ前

 

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切り刃のアップ。研ぎ前

 

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人造の中砥。

 

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もう一つ中砥。

 

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巣板で整えます。

 

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中山の。

 

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最終仕上げは、奥殿産天井巣板です。

 

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研ぎ上がりです。

 

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切り刃のアップ。

 

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裏は以下同文ですね。

 

Still_2018-02-02_195214_60.0X_N0007.jpg柳太

刃先の拡大画像。

 

 

 

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先丸タコ引きです。研ぎ前

 

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切り刃のアップです。研ぎ前

 

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人造中砥で。

 

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其の後、白巣板。

 

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白巣板蓮華。

 

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最終仕上げは、中山産戸前です。

 

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研ぎ上がりです。

 

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切り刃のアップ。

 

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裏は同じくです。

 

Still_2018-02-03_023454_60.0X_N0008.jpg先丸

刃先の拡大画像。

 

 

 

 

全体的には刃先の損耗も極軽度で、切り刃の形状の崩れも僅かな物でした。敢えて言えば初回時にも見られた、刃元寄りの4~5割の範囲で逆側よりも砥がれ過ぎの傾向が踏襲されているかな、との印象を受けた程度です。やや鋭角過ぎて耐久はどうかな、と感じた刃先は、好みと使い方次第ではありますし。

裏押しの乱れに付いては、当てにしていた裏押し用の砥石の平面維持力が期待程では無かったのが原因らしく今回、新たな砥石もお求め頂きましたので改善されていくと思われます。

また、今後の御依頼予定もお聞かせ下さったのみならず、近しい方にも御声掛け頂けそうとの事で有難い限りです。しかし、更に楽しみなのは店舗へ御伺い出来るかも知れない事です。自分の砥いだ包丁が存分に働いている所を見られる機会を得られるとしたら、冥利に尽きると言うものですね。

H様、此の度は研ぎ依頼は勿論、様々な事柄に渡って御世話になり、有難う御座いました。ブログ掲載への御協力にも感謝致します。御自身で御持ち下さり、引き取りに来られる程に大切な包丁を任せて頂くからには、可能な限り良い状態にして御返ししたく思っております。私で御役に立てる限りは、今後とも宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

常連様からの副え鉈

 

今度も和式の刃物、副え鉈と言うべきかと思われる物の研ぎ依頼です。切れが思うように出ないので何とかして欲しいとの事。更に、刃元周辺など厚みのバランスも取れればと。

 

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研ぎ前、全体画像

 

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刃部アップ

 

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刃先拡大

 

 

 

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先ずは400番から。厚みのバランス取りと、刃先の明確過ぎる段刃を少なくして行きます。鍔元の緑はマスキングゾルです。

 

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緑の1000番で形状を細かく調整。段刃も更に小さく。

 

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白い1000番で大まかな形状は完成です。

 

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緑の3000番で傷を浅く

 

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巣板で本格的に傷を消し、刃先の調整。刃元側は40°近辺、切っ先寄りは30°位に。通常よりも軽めの刃先ハマグリ。切り刃全体はベタに近い緩いハマグリ。

 

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切り刃・刃金を千枚で仕上げ、小割りの八枚・千枚で均し研ぎ。最終仕上げは中山の並砥。但し当てるのは刃金の刃先側、三分の一程度です。

 

 

 

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研ぎ後、全体画像

 

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切り刃の状態。切っ先手前のカーブ辺りの厚みは軽減。しかし顎寄りは厚みを減らしたく無いので、刃元の段差は残っています。それ以外のバランスは或る程度、整ったかと。

 

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前述の通り、厚み取りの猶予が無い部分は少々、段刃を消す際の落差が大きめに。反対に、切っ先寄りは小さな段差と成りますが、それ自体が刃元の頑丈さと引き切りの際の抜けに貢献します。

 

 

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研ぎ後の刃先拡大画像

 

 

K様、先程メールにて画像付きの御知らせ致しましたので、此の仕上がりで良いか御判断下さい。

木・金であれば御返送が可能です(土・日は砥石館に詰めます)ので、宜しくお願い致します。

 

 

 

 

特大の小刀

 

切り出しの形ではありますが、此処まで大きいと小刀(こがたな)とは呼び難い程ですね。私が日野浦さんの所で鍛冶体験を通じて作った大き目の小刀より二回りは大きいです。

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岐阜県から御送り頂いたのですが、御依頼の際にサイズへの言及や画像が無かったような?ですので、クロネコから一抱えはありそうな箱が届いた時には驚きました。てっきり、他の刃物や纏めて数本と一緒なのかとも思いましたが。

下画像は、通常サイズの切り出しと並んでいます。手前に位置しているので大きく見えている通常サイズより、段違いに大きく全長は33cm。所謂、尺一ですね。包丁であれば(本職用)柳の刃渡りと同等です。刃の長さは9cmです。

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手に持ってみればズシリと持ち重りがする、共柄の剣鉈と見紛う程の迫力。ただ峰から見れば厚み抜きは確りと成されています。

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岩崎さんの作ですね。

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最初は意識しませんでしたが、積層模様が?

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一番の御要望は、この裏の錆取りでした。全体では有りませんが、幾つかは結構深い物も。

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到着した状態から、研承の白い1000番と3000番、緑の3000番で平面研ぎと様子を見ながらの裏押し。途中で裏梳き部分の錆取りです。

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全体が重かったり、柄が長かったりすれば当然、切り刃を安定させて研ぐのが難しくなります。

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巣板で形状の詰めと傷取り。

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千枚で仕上げ研ぎ。

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中山の黄色と大谷山で、交互に様子を見ながら最終仕上げ。

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研ぎ前の刃先の拡大画像

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研ぎ後の刃先拡大画像

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研ぎ上がり、全体。

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裏押し・裏鋤き部分の錆取り後。

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同じく切っ先の裏。

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切り刃のアップ。

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同じく、光の当たり方を変えて。

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今回は、錆取りがメインで合わせて研ぎとの御依頼でした。問い合わせ中の御返答で、出来る範囲と仕上がりの予想を御伝えして、御諒承の上で御送り頂きました。

本来は元の状態を再現可能でしたら良いのでしょうが、私は錆を落とす作業の完了は錆び難いレベルでの磨き仕上げとしてしまいます。見た目の渋さや砥ぐ際の滑り難さを勘案すれば、センで仕上げた感じが好ましいのですが、現実的な時間と手間と錆への予防から実用一点張りです。

完全に払拭するのも、鋼が薄くなる上に時間も料金も掛かるので、痕跡は残るものの錆の根は搔き出される所までとしており、此れも基本的な仕様です。次に錆びた時の削り代(しろ)が無くなりますので。

絵にも歌にも成りませんが、其処が私の言う実用研ぎな訳で、賛同頂けたので良かったと思います。切り刃は平面の鏡面に、との御希望にも可能な限り努めましたが、前述の高難易度に加えて鋼材と砥石との相性から、ほぼ平面の半鏡面辺りの結果と成りました。

 

 

岐阜県のH様、研ぎ依頼に加えてブログ掲載への御協力を頂きまして、有難う御座いました。今後も、私で御役に立てる場合は宜しくお願い致します。

あと、H様を介して御世話になりました、切り出しの所有者の方にも同じく感謝申し上げます。本日御返送の此の切り出しが、お手元に届いても御気に召して頂けましたら幸いです。問題が有りましたら、研ぎ直しにも対応させて頂きますので宜しくお願い致します。有難う御座いました。