カテゴリー別アーカイブ: 依頼の刃物

三本の三徳、一応の仕上がり

 

日野浦さんからの依頼品、黒打ち三徳の三本ですが・・・之までのパターンを踏襲した研ぎ方では、地金の方が同一の仕上がりに成り難い事が分かりました。

普段であれば合砥まで行かずとも、巣板からでも八枚⇒千枚の手順で半鏡面に成ってくれていたのですが。今回は、地金の種類に因る物か焼きの加減に因る物か同様とは行かず。

しかし今回、折角三条に出掛ける機会では有りますので一応、仮の仕上げとして日野浦さんの判断を仰ぎたいと思います。

 

KIMG4734

 

KIMG4736

 

KIMG4737

 

KIMG4738

 

 

もしも御依頼頂いた時点の御希望通り、何時もの私の半鏡面仕上げを御所望とあれば、再度使用砥石のバリエーションを変えて、狙い通りの結果を得られるか試してみる予定です

 

 

 

 

 

三本の三徳の下研ぎ

 

少し前に、或る所へ司作の柳・三徳を御送りしました。之までには、そういった事は経験が無かったのですが常連様の繫がりで、実力者の方に包丁・研ぎの両面をテストをして頂けました(加えて、関連の方に研ぎ依頼頂いた薄刃についても)。

結果的には双方共に高評価を頂けて一安心でした。数時間で数百人分の刺身を引いたり、近いレベルで野菜を打ったり。切れと永切れに御満足頂けた様です。包丁の特性としては、刃金の硬さ・粘りから来る切れと永切れは実感して頂けたのですが、其れと並んで手に伝わる刃先からの情報の豊富さを称賛されていました。自分でも、御薦めポイントとして重視している美点ですので御理解頂けて嬉しく思いました。

私個人に付いても過分な御評価を頂戴しましたが、ベテランであり優れた腕と感性を御持ちの方による裁定ですので、率直に有難い思いです。私の研ぎや選別した砥石・司作の包丁で、御要望にお応え出来る様でしたら今後も御役に立ちたいと願っております。手始めに御送りした今回の包丁ですが、更に多くの方にも御試し頂き、楽しんで貰えましたら幸いです。

余談ですが・・・テストして頂いている傍ら、若い衆が私の研ぎの角度も測っていたとの事で。何やら、スマホのアプリ?らしき物を活用したのか、刃先の正確さがチェック出来たと。伊達に、研ぐ際の標準角度を記載している訳では無いのを御理解下さった様ですが、怖い時代に成りましたね。数年前、中小企業センターで形状の測定などをして貰った事を思い出しました。

 

 

 

そして本日は、司作三徳の下研ぎをしていました。これ等は日野浦さんの所で見本として置かれるとの事なので、実用品としての通常研ぎよりも輪を掛けて、傷や面の不均等を消す必要を感じています。

自分の手持ちであれば、数回後までに研ぎつつ整えますし、依頼品でも切れが充分に出た所で留める事が大半なのですが。その上、今回は結構な荒い機械研ぎ段階で持ち帰りましたので、研削痕が深いです。加えて、左側の中央部が少々削り気味なので対処も必要で。

 

到着時の状態

KIMG4601

 

 

人造の中砥仕上げ

KIMG4732

 

KIMG4733

 

この後は天然砥石で仕上げて行きますが、何とか三条に向かう今月の中旬には間に合わせたいと思っています。直前には長野で削ろう会(砥石販売ブースへ参加予定)、直後には佐渡で樽づくりイベントに参加予定ですので、上手く繋がる事を願いながら。

其れが終われば中旬から下旬に掛けて、既に御送り頂いて居た鰻裂きの研ぎ(初の試み)・北海道のT様からの新たな柳の研ぎに取り掛かる予定で居りますので、宜しく御願い致します。

 

 

 

 

 

追加の研ぎ

 

少し前に、北海道のS様が講習に来てくださいましたが、その際に御自分の柳を題材にしました。形状は殆ど整って来つつありましたが、仕上げに少々、研ぎを加えました。

 

KIMG4629

講習修了時

 

KIMG4719

研ぎ後、全体

 

KIMG4721

研ぎ後、刃部アップ

 

 

 

一緒に送付されて来ていた、御知り合いの薄刃も仕上げました。到着時、偶にある「殆ど欠点らしい部分が無い状態」で。強いて上げれば、刃先が鋭角過ぎて強度が不足気味・切り刃中央の切っ先寄りの鎬側に厚みの残存・切り刃中央の刃元寄りの刃先側に厚みの残存、位でした。

刃金部分の角度を少し鈍角に研ぎ直し、刃先先端付近は極小範囲でハマグリに。刃先の最先端は45度から40度で仕上げました。此れは、切れのテスト結果から判断した内容です。

 

KIMG4715

研ぎ前、全体

 

KIMG4716

研ぎ前、刃部アップ

 

KIMG4718

人造中砥の後、巣板と合砥で

 

KIMG4722

研ぎ上がり、全体

 

KIMG4724

研ぎ後、刃部アップ

 

 

 

序でに、手持ち三徳(テスト使用に送る用途)とプレゼント用の副え鉈も砥ぎました。

司作の三徳

KIMG4729

 

KIMG4731

 

 

司作の副え鉈、槌目

KIMG4725

研ぎ前、全体

 

KIMG4726

研ぎ前、刃部アップ

 

 

KIMG4727

研ぎ後、全体

 

KIMG4728

研ぎ後、刃部アップ

 

 

 

 

これで五月上旬までに砥いで置くべき刃物は、日野浦さんから依頼されたサンプル用の三徳三本です。少し、人心地が付く感じがしますが司作の見本として扱われるだけに、殆ど万全の状態に仕上げなければ成らず身が引き締まりますね。

 

KIMG4601

 

 

 

 

 

司作の柳の研ぎ上がり

 

もう一方の北海道の常連様、T様には二年程の御待ちを頂いて居ましたが、最近ようやく司作の柳を持ち帰る事が出来ました。

近く、海外出張へ出発される事を聞き及び、間に合うように送ろうと仕上げました。最後の最後で、発送受け付けに間に合わず一日の遅れが出ましたが、期限ギリギリの火曜には到着予定です。

 

KIMG4603

 

1554301357665

 

 

 

人造の中砥から研ぎ始めましたが、かなりフラットに凹凸も少なく仕上がっています。ただ、切っ先カーブの始まる付近の刃金部分が若干、研削が多目だった点。その後方、鎬の切っ先側の厚みが少し多い点。裏押しの刃元寄りの一部に当たり難い部分有り。

KIMG4630

人造の3000番まで当てた後、小割りの人造も使って均し研ぎ。その後、天然の小割りも。

 

KIMG4631

やや柔な巣板➡中硬の天井巣板で形状を整えつつ、砥ぎ目を細かく。千枚で更に向上。仕上げに中山です。

 

KIMG4632

僅かに、切れに相性の問題を感じて水浅葱を試すとピッタリでした。

 

KIMG4633

奥殿の天井巣板ほぼ内曇り(何故か確りした硬さと弾力)の小割り➡天井巣板蓮華カラスの小割りで地金部分を整えます。

 

KIMG4635

切り刃の刃と地のコントラストも適度ですね。

 

Still_2019-04-13_060131_60.0X_N0004

刃先拡大画像でも問題無しです。

 

KIMG4636

裏も綺麗な物。

 

 

今回、司作の柳は初めて触りましたが、鉈や小刀よりは幾分、粘りに配慮している印象です。とは言え、司作らしい硬さもキッチリ備えており永切れも期待できます。其の上、今回の刃金は組織の仕上がりに優れるのか、過去の司作と比べても切れが一層際立ちます。黒の鍛え地の迫力に、引けを取らない存在感を放つ高性能な刃金で才色兼備と云った所です。

T様には、料金面のみならず御菓子も送って頂きまして、御気遣いに感謝致します。御満足いく包丁と研ぎに成っていましたら幸いです。

 

KIMG4642

 

KIMG4643

とても面白いので、頂いた御菓子の画像です

 

 

 

 

 

北海道から講習に

 

昨日は北海道の常連様であるS様が、講習に御出で下さいました。直前に海産物を御送り下さっているにも関わらず、御菓子と酪農製品を御土産に頂き恐縮です。私の方は、前日のプライベートな不調法が当日にも波及し、些かバタバタしてしてしまい申し訳無かったです。

本来なら、時間に余裕が有れば近隣の多少は真っ当な店で御馳走しようとか策を練っていたりしたのですが・・・帰り際、咄嗟に最低限、手持ちの中で御返しに成るかもと大宇陀の本葛と葛湯(直近に購入)を手渡せました。森野旧薬園の製造で、大通りに面したアンテナショップ?である葛の館で購入の物。当地では、下画像の様な甘味も食せます。葛饅頭も買えますが少量です。

 

1555053092951

葛餅

 

KIMG4622

本蕨粉のわらび餅

 

KIMG4624

 

 

 

 

本題の研ぎ講習ですが、事前に御自身の包丁を(知人の方の分、共々)送って頂いて居ましたので、其れを題材にして説明と実演と成りました。

御自身でかなり、使いつつ手入れをされているヘビーローテーションの柳だそうですが、鎬も乱れず切り刃の凹凸も目立ちません。厚みも抜けて居り刃先も鋭利。紙の束を切っても、まずまず不満は出ません。ですが強いて改善すべきポイントを挙げれば、刃元側の厚みが少ないまま角度も鋭角過ぎる・刃先最先端が強度的にギリギリの角度である・切っ先カーブと少し手前の厚みが他の部分より残存、と言った所です。

人造の400・1000・3000番で解説しながら修正研ぎをして、天然に移行した時点でバトンタッチです。切り刃に付く研ぎ目の違いを利用して、説明通りの当て方・研ぎ方が出来ているかのチェック。

 

KIMG4628

スピードを上げるより、角度の安定にこそ注意を払うべきと助言しました。それ以外は、基本的な研ぎ方の範囲で大きな問題も無さそうでしたので。

ゆっくりでも、正確に任意の角度で狙った個所を当てられれば、どんなに複雑な研ぎ方も可能に成ります。技術向上への捷径は、正確さだと御理解頂けた様です。

後は、少しの研ぎ方や刃先角度・使用する天然仕上げ砥石の僅かな違いでも、切れと永切れ・・・特に切れの軽さに影響する点も実感して貰えたかと思います。

 

 

KIMG4629

最終的に、此の段階まで到達しました。外観・切れ・永切れの各要素で、ほぼ不足の無い状態と言っても差し支えないでしょう。後は、もう少しだけ手直しをして御返送したいと思います。

但し、御送り頂いた中で知人の方の薄刃が残って居りますので、其れを仕上げてからと成りますが宜しくお願い致します。

 

 

 

 

それ以外の身の回りの方の分。既に御返送に及んでいます。

KIMG4608

研ぎ前の全体。切っ先とカーブが損耗していますね

 

KIMG4609

刃先は少し薄過ぎる位ですが、刃線の繫がりが乱れている事も有り、摩耗した最先端とでは切れ難い状況。

 

 

KIMG4618

研ぎ後です。刃線を修正しましたが、その際に少々、厚みが出ました。しかし其れを逆手にとって、(側面もテーパーを上乗せで強調した上で)小刃の幅を広げつつ角度を切っ先へ向けて鋭角化。最先端は鈍角化して行くハマグリで仕上げました。

 

KIMG4619

切れと永切れ、頑強さをも備えた刃先(自分好み)にしましたが、初期状態が薄目だったので此れで問題無いのか心配して居りました。結果的に、図らずもハードなテストにもパスしたとの事で安心しました。その後の打ち物にまで支障なく使えたとあっては、面目躍如と言わねば成りません。因みに手持ちで今回のUX10に向いていたのは、中山の並砥でした。

 

 

 

KIMG4610

研ぎ前ですが此方は、ほぼ新品の状態での摩耗と言うべき状態。所謂、小刃の研ぎ直しで充分と言う奴です。但し、使用者は結構、切れに対する感覚が真っ当な方と見えて鳥の皮が切れないとの事。其れを力技で対処しようとしないのが立派です。S様が村上の研ぎをプレゼントしようと、粋な計らいに及んだのにも納得ですね。包丁全体の扱いも丁寧ですし。

 

KIMG4611

最先端の摩耗と、極少々の刃毀れ程度です。

 

 

KIMG4617

研ぎ後ですが、全体画像では変化に乏しいですね。

 

KIMG4616

只、上画像のUX10に施した処置と同様の内容を盛り込んでいます。若干の簡略化と極小範囲に収める格好では有りますが。効果の程は、使用者の弁として切った手応えが無い(いや無くは無いでしょうけど)との評価であった由にて安堵しております。此方の最終仕上げは、硬口の中山赤ピンです。

 

 

 

S様には、最初期から御贔屓にして頂いている筆頭と言っても過言では無く、今回の様に周囲の方々への広報的な活動までも含めて御世話に成って居ります。

私自身が、押し売りは嫌だの宣伝は苦手だの言っているので、業を煮やした知り合いの方々の方が熱心にしてくれる始末。その中でも、S様の御高配で評価下さる方が増えつつある現状には感謝しか有りません。

御返し出来る物が他には無い物ですから、精一杯の研ぎと砥石の選別で喜んで貰える様に、精進を重ねたいと思います。此の度は、遠い所まで足を御運び頂き有難う御座いました。直接に御目に掛かれて嬉しかったです。今後も宜しく御願い致します。

 

 

 

 

 

久々に三条へ

 

二年振りでしょうか、新潟の三条へ行って来ました。日野浦さんに会う為でしたが、顔を合わせるだけなら関の刃物祭りで毎年、お会いしていました。今回は、注文していた柳に痺れを切らして?受け取りに。

 

KIMG4585

途中のサービスエリアで食事後、奥へ進むと直ぐに海が見えました。

 

 

 

1554109705602

到着後は早速、作品などの展示場所として増築された場所へ。想像以上にモダンと言うかお洒落な内装。

 

 

KIMG4591

何時もの様に?鉄・鋼材関連の話しから始まります。上画像は、たたらで作られ送られて来たもの。炭素量の多い、所謂玉鋼と組み合わせて和鋼・和鉄の作品に。出来た内の一本は、私に天然砥石で仕上げて欲しいとの事。そう言えば、以前にも電話で伝えられていた内容でしたが、其れが此れですね。

 

 

KIMG4592

昭和10年前後に製造の白紙。成分の管理に学者の方が関わって作ったと聞いていましたが、叩いた音からして不純物が少ない印象で良い物なのだろうと納得です。大事に使っている様子です。

 

 

KIMG4596

二階には、展示物が揃いつつありました。味方屋本家から独立して三代目までの作品が増えて行くのでしょう。本家から数えると司さんで四代目と成りますね。

 

 

KIMG4597

示しているのは、その間に使用されて来た各種の刻印。

 

KIMG4588

そして、いよいよ御待ちかねの柳を受け取りました。北海道のT様には、御待ち頂いた甲斐の有る出来ですので御安心頂ければ。

右の二本は、私の私物です。何時も、出来るだけ研ぎ込んでお見せすると刃金も地金も組織や模様が見えるので楽しいとのコメントが。ただ、三徳の方は砥石館でのイベント使用で若干、錆の影響が。ざっと落とすに留めたのでキッチリ、前回とは肌の状態が違うねとの指摘も。

 

 

KIMG4582

今回は、展示施設が出来た暁には返却するとの数年前からの約束通り、上画像の黒共柄剣鉈八寸を持参しました。もう15年以上前に成りますか、初めて日野浦さんの刃物を購入した三本の内の一本。(掲載の実物)

初めから売りたく無いなと言われながら持ち帰りましたが、それ以降、顔を合わせる度にも買い戻したいなと・・・。何でも当時の作風とは、年代が進む程に(出来不出来の意味とは違う)同じ物は出来ないとの感が強くなるそうで。

 

 

KIMG4583

此れを返すに際して、現地に在った物と交換では?と提案しました。

 

 

KIMG4593

丁度、手頃なのが有りましたので此方を。

 

 

KIMG4595

今回は柳でしたが、必要なら、こんなのも出してやるけどと。次回、常連様他の要望が有れば御願いしますと伝えました。此れは此れで、違う良さが有りますね。少し、標準とは感じが違うのですが私に注文をくれる方は実用面を重視されますし、何方かと言えば私好みの仕上がりです。

 

 

KIMG4607

今回持ち込んだ柄のサンプルとの組み合わせも楽しみです。手配を上手くして頂き、供給量も材質も融通を聞いて貰える様です。日野浦さんにも、幾つかの柄に興味を持って貰えましたし。

 

 

 

KIMG4603

柳は箱入りです。

 

1554301357665

槐の両口輪

 

 

 

1554301363964

此方は、五月に佐渡島でのイベントに御誘い頂いたきしな屋さんと関係各位への御返し用に、購入して来ました。桶の製造などに関わる事が多いとの事ですので、鍛冶屋の兄上への参考例・桶屋の弟君への実用品として砥ぎ上げた此れを贈りたいなと。

 

 

 

KIMG4601

上画像は、日野浦さんの所にサンプルとして置いておく為にと研ぎ依頼を頂いた三本です。

 

KIMG4602

此方は、交換の時に追加で付けて貰った方。「イベントで使ったりするのに良いだろう」と。

 

1554301311532

此方が交換の主体の柳。磨いたり研いだりして仕上げ、運良く手配が整いつつある柄に入れてみたいなと考えています。

 

帰り際、見送りに出てきた日野浦さんから「やっぱり、時々こうして来て貰った方が良いな」と。実際に現場で見て選んで欲しいそうですが、少し距離が・・・。まあ打ち合わせ兼、少量の持ち帰り程度ならば新幹線ででも通えば何とか成るかな?と考えながら帰路につきました。

 

 

 

 

伊予砥の産地へ

 

少し前に原石の選別の御手伝いと、その他で伊予砥の産地へ出掛けて来ました。

 

出発前には大急ぎで、海外から一時帰国した料理人の方が持ち込まれた洋包丁数本を、出国までの期限で砥いで発送(北海道のS様には順番を譲って頂き感謝です)。そして西洋剃刀一本の御依頼品を仕上げて発送。剃刀の方は、余り得意では無いのですが其れでも良いとの事で。結果は先ず先ずだったそうで一安心。

 

KIMG4564

人造3000番から硬口の中山赤ピン

 

KIMG4565

最終仕上げは、奥殿の浅葱

 

 

 

 

松山方面へ向かい、伊予砥の採掘地へ。大半は、砥部焼の材料と成る様ですが、性質の違う砥石向きの石も出て来ます。其れを選別する準備をしてくれていました。

 

1553666272569

可成り大規模ですね。

 

1553666281365

少し、小さ目に揃えられていた原石。ガラを掛けると言うか、加工済みなので丸い形状。

 

1553666304982

其れよりは大きなサイズ。私が主に触っていたのが此の場所の物。

 

1553666320775

採掘場の辺縁部には、道路脇まで迫る程に積まれています。

 

1553666326705

堤防みたいですが、此方でも斜面に降りて選別して来ました。

 

KIMG4579

今回の物は磁器の原料に成る種類が多く、白っぽい外見です。他には、薄茶色や縞模様・卵上の模様など多種多様な柄も。

 

 

 

1553666338187

 

不要な分は、近くに積み上げられているのですが、その中から記念に大き目の礫を頂いて来ました。自宅の階段を上がった所に置いといてみようかと思っています。

 

 

 

 

 

本焼き薄刃の御依頼

 

少し前に、温泉で有名な所?から本焼きの薄刃を送って頂きました。T様からは細かい欠けを取り、切り刃の厚み抜く。加えて錆びの跡を消しつつ可能な限り磨く作業が御所望で。

到着した包丁を拝見しました所、暫く御使用のとの事ですが御自身の評価に相違して、可成り過不足無く研がれている印象です。

 

KIMG4521

 

KIMG4522

 

KIMG4526

 

KIMG4524

 

 

 

KIMG4527

初めに、切り刃中央の幾分かは凸に成っている部分を狙って400番を当てます。刃先と鎬筋近辺を避けて厚みを減らして行く訳です。

 

KIMG4528

次に、白の1000番で全体を整えます。

 

KIMG4529

続いて、白の3000番。研ぎ目を細かくしつつ、更に形状も整えます。

 

KIMG4530

一部、気に成る所を人造の小割りで微調整。

 

 

天然砥石で仕上げて行きます。

KIMG4535

白巣板蓮華

 

KIMG4536

 

 

KIMG4539

奥殿の蓮華巣板や菖蒲っぽい巣板で砥いで見ましたが、傷の消え方が思わしく無いので中山に。

 

KIMG4540

 

 

KIMG4544

或る程度は傷消しも進んだので、刃先と裏押しに中山の水浅葱。

 

KIMG4543

 

 

KIMG4545

予想に反して、思う様に切れが出て呉れず(普通には切れますが)、此方で仕上げました。幸い相性的には好適で、充分以上の切れに。

 

 

 

研ぎ上がりです。鍛造や熱処理に起因するのでしょうか、偶に見られる現象・・・どうやら若干、研削痕が消え難い表面の性状と成っている様です。その所為で、当初の狙いよりは砥ぎ目の消え方が今一な部分も残存しますが、全体が整って来た上に刃先も揃ったので、此処で留めました。

錆跡の除去を兼ねた鏡面的な磨きに関しましては、削り過ぎも気に成りますので半減以下に成った時点で減らすのを終え、細かくして行きました。

後は鎬筋を上げてでも、直線気味にとの事でしたが之に付いては平と切り刃の関係性にも因りますので、可能な範囲で揃えてみました。

 

KIMG4552

 

 

KIMG4547

 

 

KIMG4548

 

 

Still_2019-03-14_144635_60.0X_N0003

刃先拡大画像を見ても、問題有りません。しかしT様には、刃線の御希望も承りましたので、磨きの加減や刃先の切れ以外に切っ先付近へ向けた僅かなアールも不足が無いか到着時に御確認頂ければと思います。

 

 

 

 

あと、包丁と共に送られて来たのが此方の砥石。日照山の合砥との事ですが、如何なる用途に向く物か判定して欲しいと。外観からは大平っぽく見えない事も無いですが、砥面の模様は中々に特徴的。少し似ているのは、中山の緑板にも出易い流れを感じさせる柄ですね。日照り山に詳しい訳では有りませんが、希少な石かと思われます。

手にした印象と試し研ぎからは、中硬~硬口でありながら砥ぎ易さと砥粒の細かさ、それに研磨力の有る食い付きを砥ぎ感として伝えて来ます。

KIMG4554

 

 

KIMG4557

 

先ずは切り出しで試し研ぎ。可成り、細かく仕上がるので明るめに。ただ、研磨力の有る砥粒の目の立ち方ですので、面精度や当て方で研磨痕が出るかも知れません。柔らかい砥石よりは扱い易いとは思いますが、場合によっては目の立ち方が大人しい裏の面の方が傷消しに向くのではと。邪道と言われかねませんけれど。

 

Still_2019-03-15_223507_60.0X_N0001

刃先拡大画像でも、均一さと結構な細かさが分かります。

 

 

Still_2019-03-15_223624_60.0X_N0002

参考までに、ステンレス一つ目。ビクトリノックスのスーベニアも十分な仕上がり。

 

Still_2019-03-15_223702_60.0X_N0003

ステンレス二つ目、VG10のペティ。此方の方が、研磨力と仕上がりの総合ではビクトリノックスよりも上な感じです。硬さでは結構な差が有ると思われるのですが、此処が相性の面白さでしょうか。

結論的には、炭素鋼には過不足無く良い刃が付き、ステンレスでは柔らか目の刃物よりも幾らか硬目の方が向くかも知れません。但し、焼き戻しの加減や添加物の(耐摩耗性向上目的の成分など)如何に因るとは思われますが。

 

 

 

 

此の度は研ぎの御依頼を頂き、有難う御座いました。又、珍しい砥石に触れる機会を頂いた事にも感謝致します。合わせて、ブログ記事へ御協力にも。明日には御返送に取り掛かれるかと思われますので、宜しく御願い致します。

到着後、磨きや研ぎの状態で問題が有りましたら、研ぎ直しを致しますので御遠慮無く御送り下さい。

 

 

 

 

 

 

尺三の本焼き

 

北海道のS様から、長い柳が届きました。御自身で研ぎに励んでいた処、行き詰ったとの事で。到着時、運搬中の衝突で出来たらしき切っ先の欠けが見られましたが、それ以外は一見しただけでは余り問題が無さそうでした。

確認の為に新聞の束を切って見た所、刃先の鋭利さは有りますが角度的に鋼材と焼き加減には鋭角過ぎる様子。にも拘らず切れ込んで行かないのは、切り刃の一部に余計な厚みが残っている事。そして刃元から切っ先へ向かってテーパー状に均一で無く、凹凸が残存している為です。

御本人も気にしていましたが、研いでいる最中の研ぎ減りに応じて歪みが出て来ます。コジ棒で戻しつつ研ぎ、変化を確認しつつの研ぎでした。少し前にも同様の反応を見せる包丁が有りましたが、完成品の状態で落ち着いて居ても研ぐ事でバランスが変わるのは、或る程度致し方無いのでしょう。

今回の包丁で苦労したのは、上記内容と共に切り刃の研ぎ代(とぎしろ=削り代)が余り無い程に厚みが抜かれていた事です。只でも長大な刃渡り(込み部分までで尺三、刃渡りで尺二・五)ですので、例え切り刃の凹凸が無くても抜けが悪い・或いは抵抗が強いと感じ易いものです。結果的に、十分なテーパーを活かす程の差が出難いので刃先のハマグリを明確化。加えて其の刃元から切っ先への角度変化とで目標を達成しました。

 

 

 

研ぎ前の状態

 

1551370611084

欠けてますね

 

1551370593584

厚みは結構、抜いてあります

 

1551370582825

平の変色は有りますが、鎬筋の乱れは其れほどでは有りません。

 

1551370602844

しかし、裏は折角磨かれているのに電動具?らしき擦過痕が。

 

Still_2019-02-13_003948_60.0X_N0003

刃先拡大画像

 

 

 

1551370621359

人造中砥の1000番、各種で修正研ぎに係ります。中には伊予砥の粉を固めた砥石も。

 

1551370646827

印象的には、キングハイパーを可成り硬くした感じで、研ぎ減りや研削痕を少なくしたい時に良さそうです。

 

1551370659989

更に、部分的な凹凸を狙って小割りの人造で。

 

KIMG4508

丸尾山の蓮華巣板で傷消しの後、奥殿の天井巣板(ほぼ内曇り)中硬で大まかに仕上げます。更に最終仕上げは奥殿の蓮華巣板。

 

KIMG4509

切り刃は刃先まで、裏押しも此の砥石で充分な切れが出ました。

 

 

 

研ぎ上がりです

 

KIMG4513

切っ先を修正

 

KIMG4512

刃元は、顎周辺に掛けて薄目に成っていましたので、切り刃の中で砥ぎ分け。刃先側三分の一は、他の部分よりも鈍角目に。

 

KIMG4511

全体画像

 

KIMG4516

裏の傷が気に成ったので、大まかに磨いて置きました。

 

Still_2019-03-01_011207_60.0X_N0005

刃先拡大画像ですが、何時も通りにベタに近いハマグリで、刃先手前からは徐々に鈍角に。

 

 

 

S様には、度々研ぎ依頼と砥石の依頼を頂きまして有難う御座います。今回御送りした砥石達も、楽しんで頂きつつ御役に立ってくれればと思います。

更に追加での研ぎ依頼も頂いておりますので、其方の方にも感謝致します。御送り頂けましたら、またコツコツ仕上げて行きたいと思いますので宜しく御願い致します。あ、御送り頂くとしたら、三日後くらいで御願い出来ましたら幸いです。そして現在、他の一本が届いていますので完了次第、其方に掛かりたいと思っております。

 

 

 

 

 

二度目のオールドガーバー

 

以前に、古いガーバーのナイフ(フランボージュだったかな)を送って頂いたM様から再びガーバーのナイフ四本が届きました。

 

1545234173565

長いの(緑のアーモハイド)は、フィレナイフですね。デュレンダル?らしいです。黒いアーモハイドはA400、ハンティングナイフですね。銀色の二本はミミングですが、一方は上記二本と同様にハイス鋼(ハイスピードツールスチール)モデル、もう一方はステンレスモデルで違いが有ります。

 

長いのの刃先部分アップ。かなり損耗が見られます。 1545234182304

 

1545234244514

 

1545234235680

 

 

黒いのは大分マシですね。 1545234226567

 

 

ステンレスミミングも、少々傷んでいます。 1545234196919

 

 

ハイスのミミングには錆も。 1545234205482

 

 

 

 

Still_2018-12-08_225934_60.0X_N0003

M2(ハイス)と云う鋼材は傷が付き易く取れ難いので、今回も事前に手持ちのショーティで試していました。ハイスの耐磨耗性に打ち勝つ研磨力の砥石では新たな傷が付き、傷を付けない柔らかな砥石・砥粒の目の立ち方では、前段階の傷を消せない印象です。現在の手持ち砥石の中で相性的に良かったのが中山の赤ピン(硬口)で、下りに加えて傷消しと切れまでも満足いく物でした。其れで仕上げる計画を立てて、研ぎを開始。

 

1545234253804

人造の400番で欠けや摩耗を落として行きますが、特に大きな物三つは取れ切る頃には不必要に刃幅が狭く成ります。

 

1545234264703

同じく400番ですが、全体的には揃って来ました。

 

1545234282189

緑の1000番で荒仕上げです

 

1545234307698

同じく緑1000番

 

1545234325388

白1000番

 

1545234336857

白3000番

 

1545234348473

蓮華巣板

 

1545234375368

同じく蓮華巣板

 

1545234417848

奥殿の本巣板の白

 

1545234460163

同じく本巣板の茶色

 

1545234441618

同上

 

1545234498894

フィレナイフ特有の、ブレードを骨に当てたまま湾曲させ三枚に卸す方法に適する様、鋭角にはしない研ぎを御所望で。最後には掛かりを強調する為に天井巣板(硬口)で仕上げました。

 

 

 

他のは、やや鋭角気味にとの御意向に沿ってオリジナルよりも僅かに鋭角に。中山の赤ピン三種(やや軟・やや硬・硬口)で。

1545234514203

左がやや軟、右がやや硬

 

1545234521287

硬口赤ピンで仕上げ

 

1545234530841

ミミング(ハイス)も同じ仕上げ

 

 

 

1545234542950

最後のステンレスミミングですが、小刃を落としてベタにとの御要望で。しかし、刃体の寸法や強度が激変するのは如何な物か、との助言を入れて頂き刃先中心の研ぎで小刃を取る事に。

 

1545234550265

400⇒緑1000⇒白1000⇒白3000で下地を

 

1545234569594

中硬の巣板⇒本巣板茶色

 

1545234577073

此の茶色よりも相性の良かった本巣板白で整え

 

1545234584437

此れ又、掛かりを優先して天井巣板(硬口)で最終仕上げです。ただ、此のナイフは刃線中央に少し返りが取れない部分が。熱処理ムラか、電動工具の影響でも有ったのでしょうか。サイズと予想される作業内容から、実用上では(使用環境にも因りますが)余り問題は出ないレベルと思われますが。

 

 

 

 

1545234593407

仕上がりです

 

1545234602531

Still_2018-12-20_010526_60.0X_N0002

フィレナイフの研ぎ上がりと刃先拡大画像です。三つ有る欠けの痕跡の内、最大の物の周辺です。取り切ると全体を無駄に減らす事に成るので、此処までで留めてあります。

 

 

1545234614892

Still_2018-12-20_010629_60.0X_N0003

A400の研ぎ上がりと刃先拡大画像です。

 

 

1545234787549

Still_2018-12-20_010720_60.0X_N0004

ハイスのミミング、研ぎ上がりと刃先拡大画像です。

 

 

1545234635107

Still_2018-12-20_010815_60.0X_N0006

ステンレスミミング、研ぎ上がりと刃先拡大画像です。

 

 

 

西宮のM様には、再度珍しいガーバーのナイフを御送り頂き有難う御座います。メールでも記載しましたが、此の状態で問題無いか御判断頂きたいと思います。もしもOKが出て、御手元に届いた際に問題が有りましたら再調整しますので宜しく御願い致します。

 

 

 

追伸です

御送りしたメールの通り、砥石も参考に御送りします。この前、幾つか用意されていた赤ピンの中の一つです。中硬と硬口の中間で、硬口寄りです。

1545317099517

 

 

序でにもう一つ。奥殿の山裾で、天井巣板を探して居た折りに偶然見つけた本巣板の白のサンプルレベルの一つです。赤ピンの硬口よりは傷を小さくし難いかも知れませんが、代わりに研磨力が上乗せ。切れも十分な良い砥石で、砥ぎ易さでは此方が上です。

1545317093131