数年前に、司作三徳五寸五分の注文を頂いた東京のS様の分と、北海道のT様の分の五寸五分の菜切り(此方は案内が来たので御紹介)が到着。ほぼ時を同じくして、関の先輩から名古屋のM様の骨スキ改と、自分用の骨スキ(世話に成って居る人へのプレゼント用)が届きました。
司作三徳
司作菜切り
骨スキ改(刃渡り21cm・ココボロハンドル+黒スペーサー・ステンレス+ニッケルシルバーのカシメの表裏ミラーフィニッシュモデル)
此れのバランス(刃厚を含めて確りして居るのでアウトドア風味を感じる程)と、使用されているココボロの質の良さを目の当たりにして、次の注文で自分用に21cmの筋引きを少し薄目の同じ仕様でと、頼んでしまいました(笑)。
骨スキ(ブラックマイカルタ+赤スペーサー・ステンレスカシメ・表裏ミラーフィニッシュモデル)
送られて来た二本の司作ですが、何方も研ぎを御希望で。とは言っても、何れも両刃の和式ながら、三徳は刃先調整のみ・菜切りは切り刃の全体の研ぎです。
T様の方は何時も通りですが、S様の分は(標準的な司作は汎用を考慮すると鋭角に過ぎるキライが有る為)研ぎ依頼を頂いて良かったなと。何故なら今回の刃先は二本共、小さいながら捲れが数か所に点在。恐らくは柄入れ・保管・輸送の段階の何処かで何らかの接触が有ったものと思われます。
あと、三徳に限っては刃先の一部に、鍛え傷と思しき箇所も見受けられ、研ぎにより切れには殆ど影響が無くなる迄、持って行けたので良しとしました。(S様には報告して承認済み)
三徳の研ぎ始めは、対馬からです。薄目設定である初期刃付けの切り刃に対し、より実用的な刃先角度(刃元片側40度強~切っ先側片側30度弱)で、糸引きレベルの研ぎですが、捲れが消えてからも一か所、手強い欠けに見える部分を発見。
周辺の状態を含め、其れが鍛え傷と見受けられる物でしたので、刃先最先端に影響が無くなる迄、通常よりも研ぎ進めました。
愛宕付近と思われる砥石で仕上げ研ぎ。
中山の合いさっぽい物で、最終仕上げです。
研ぎ上がり、右側面です。刃先の糸引き程度では、違いの判別は困難ですね。
刃部のアップ
下掲の画像の左寄り、刃線上の側面に見える錆や欠けに酷似した部分の横、右方向の範囲にも痕跡が確認出来ます。まあ、この後は研ぎ進めて行けば消退するだけで在り、現状でも過度な衝撃などを与えなければ強度的にも不安は無いと考えます。
左側面です。
次は骨スキ改では無く、正真正銘の骨スキです(笑)。骨スキ改は、基本的にガラスキ程には幅広で無く、やや筋引きに寄せたデザインと成って居ます。その意味では此のモデルは本家本元の骨スキ(手伝い先で使用中の正広製と同クラスの最小サイズ)と言えます。
研ぎ始めは、ダイヤからです。別に、研がずとも当分の間、其の儘で使える程度には刃が付いていましたが、念の為にと。敢えて理由を挙げるなら此のシリーズ、始めの0.5mm程が研ぎ減ってからの切れを知った後では、早く本領を発揮して欲しくなります。
人造の1000番と3000番で。小刃に近い幅ですが、切っ先方向へ鋭角化しつつも刃先へ向けて三段階の鈍角化のハマグリに。
刃元付近の切り刃には、完全なベタ研ぎよりも僅かに厚みが(他の部分に比べ)残って居る様子にて、浅い擦過痕が。目の細かいペーパーとダイヤモンドペーストで粗方は見掛けを整えて置きました。
対馬で大まかに傷を消します。
馬路で更に細かく傷消しと、精度の高い刃先の形成です。
中山の巣板、やや硬口で仕上げ研ぎです。
同じく中山の巣板層の産ですが、戸前に近い質の物で最終仕上げとしました。
研ぎ上がりです。
東京のS様と名古屋のM様には、此の度の包丁の御注文を有り難う御座いました。(M様には、此のモデルで問題が無いか確認中ですが)もしも御手元に届いた際、気に成る点など有りましたら、御知らせ頂きます様、御願い致します。
北海道のT様の分の菜切りは、後半として次の記事にての記載に成ります。
現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。