砥石好きの方への御連絡

 

幾人かの、砥石好きの方々への御知らせとして、業務連絡みたいな物です。

先日、ひょんな事から珍しい砥石を数個、手にする事が出来ました。愛宕の近辺の月の輪で、文章で読んだ限りでは赤不動と呼ばれたりする赤ピン系統が多く見られる、特徴的な砥石山だそうです。

実際には、幾つかの層から相応に多様な砥石が採れる様ですが、確かに手元のは赤・朱の目立つ砥石が。緑・茶をベースにしつつ、そこに赤・朱が混じるのが実際には多いのかなと。

 

 

 

KIMG0454

上画像は、結構な厚みが有りながらも上下の層で、段差が見られた物を二枚に割った一枚です。砥面は大まかに擦って貰っただけで、裏は一切、手を付けていません。

其れは初めから、自然な風合いを好む知人に御裾分けするつもりで、砥面の面取りもせず、裏と側面の泥だけ落とした最低限の加工に留める為でした。

 

 

下画像、左側は上掲の砥石の片割れ、其れを整形した物で、右は八枚の切り落としです。

KIMG0485

 

 

研いで見た結果は、中硬~やや硬口で、その割には相手を下ろして自らは余り減らないタイプ。此の個体は若干、砥粒の均一性は部分毎で異なるものの、研ぎ感・仕上がりからは誤差の範囲。

純然たる細かさでは幾分、控え目ながら薄曇りよりは半鏡面に仕上がります。但し、それは砥石に切り刃を安定させて、ストロークや力加減をゆっくり・ソフトにする必要が有ります。

と言うのも、砥粒の目が立ち気味(ツルツルは少数派らしく、主流はスベスベとサラサラの中間でグラデーションの模様)で研磨力が有る事の裏返しと言えます。(因みに、試し研ぎの一本目は青紙二号に丈夫な地金)

KIMG0471

 

下画像は、青紙一号に繊細な地金の切り出しでの試し研ぎです。此方は、より丁寧に扱う必要は有る物の、充分な仕上がり。

何れにしても、研磨が速い上に、平面の刃物を研ぐには過去からの経験上、最も扱い易い印象でした。尤も、これは滑走や研磨力その他の要素の何れを重視するかにも因りますので、研ぎ手の好みや判断次第では有りますが。

KIMG0477

 

 

八枚の方は、浅葱に近い硬さと細かさにより刃・地共に鏡面に近い仕上がりです。

研ぎ感は、浅葱と巣板を足した様なイメージで、微細な砥粒の集合体の上でストロークさせている感触。上滑りはしない代わりに研ぎ傷、と言うより研ぎ斑を出さない様に留意は必要かなと。

KIMG0480

 

やはり、刃金の反応よりも地金への影響の方が大きいですが、切れに関わるのは第一に刃金ですので、問題は無いでしょう。どうしてもなら、ダイヤで泥出し・名倉の使用を選択肢に入れる事で対応可能な筈ですし。

KIMG0483

 

 

 

下画像の二つは、自分で砥面・下面ともにダイヤで摺りました。左の方が多少、硬くて(やや硬口~硬口)右は泥も幾らかは出ます(中硬~やや硬口)。

右の長い方は、何時も天然砥石館でのイベントを手伝ってくれているYさんに、次の差し入れにでもと考えて居ます。左のは、自分の切り出し研ぎ用コッパシリーズに加入の予定です(笑)。

KIMG0460

 

 

確り地金と青紙二号で長い方

KIMG0463

 

繊細地金よ青紙一号で長い方

KIMG0464

 

 

確り地金と青紙二号で長い方

KIMG0467

 

繊細地金と青紙一号で短い方

KIMG0469

 

 

今回の分を試した限りでは、限界まで細かく仕上げる砥石が多いと言うよりは、速く研げる研磨力重視でありつつも、充分以上の鋭利さと光り気味の仕上がりを実現できるタイプが主流な印象です。

其の中でも、特に平面の刃物に適していると感じさせるのは、砥面の性状なのか層の構造の違いなのかも知れません。少なくとも自分では今後、切り出しや鉋の刃を研ぐ際には、頼りにする事が決定しています(笑)。

後は遠からず、同銘柄でタイプ違いやグラデーション、予備を含めて数個の追加を出来ればと期待しています。