先々週あたりに、知人の方から手持ちの作り掛けの包丁を受け取って帰りました。砂鉄から作った玉鋼製の物だそうで、鍛えた模様も見て取れる、所謂、本焼き包丁に則っている作風です。
とは言え、作り掛けですし数年間?置かれていたらしく、全体的に錆も見られました。其れ以外には、刃線に近い部分の肉の取り方が、元側の六割と先側の四割で幾分、逆に成って居たので其の部分も修正しつつ錆を落として研いで行きました。
研ぎ前の状態。此処から、各段階の布ペーパーと400番の人造砥石の小割りを併用し、錆を落として行きました。
粗方の錆を除去出来た所でダイヤモンド砥石で刃先周辺を整え、次いで人造の320番(ビトリファイド)と600番(マグネシア)を使って研いで行きます。
主として側面の厚みを刃先方向へ向かって薄くして行き、刃先その物も適度に厚みを残しつつも薄く。更には、全体的に切っ先方向へ向かって厚み取りです。
人造の1000番と3000番で、研ぎ傷を浅くしつつ形状の精度の向上を狙います。
天然に移行し、対馬で更に研ぎ記事を細かく。
丸尾山の白巣板・敷き内曇りで、傷を消しつつ研ぎ肌の出方も確認。
仮の切り刃を設定し、其の部分と平に相当する部分との繋ぎ目の三つの範囲を破綻せず繋がる様に。
出来上がった形状を突き詰めながら、研ぎ目を細かくして行きます。どうやら、刃線上の刃元寄り、4㎝メートル程と切っ先カーブの一部(1cm程)に切れが出難い箇所が。
研ぎ進めると、刃元側は改善して行くものの、カーブの開始部分は余り変わらず。しかし、他の部分が揃っている以上、更に減らすのも憚られましたので(実際、野菜を切っても影響は些末)留めました。
とは言え、少しでも万全の切れを確保すべく、最終仕上げで水浅葱を。此れで双方、改善が見られ、特に刃元寄りの懸念は殆ど払拭されました。
研ぎ上がり、全体画像です。
刃部のアップ。届けに出掛けるのを急ぎ過ぎ、拡大画像は撮れていませんでした(笑)。
今回の刃を預かる際、持ち主から聞いた話です。「村上の研ぎは、切れは兎も角、形が綺麗でない」と批評する方が居たとか。
其れはそうでしょう、私は当初から(天然砥石を除いて)普通に手に入る道具立てで、(頑張れば)一般人でも手を出せるメンテナンスレベルを標榜して居ます。研がれた刃物が手元に帰って来ても、手入れが出来なくては維持管理も難しく成るでしょうから。
其の上で研ぎ方も、切れ(極端な薄さと鋭角に頼らず)と並ぶ刃持ち、加えて切る際の抜けと、余分に減らさない事を旨として居ます。従って、刃持ちを無視して切れに相当、振り分けるのは未だアレンジの範囲ですが、形状や研ぎ肌を(特に刀剣研磨の観点から)最優先にした研ぎ方は取りません。
もしも極端に所謂、「刀剣研磨的見地からの形状・傷一つ無い綺麗な状態」を求められる方には、御注意を御願い致します。しかし、全く切れなかった・直ぐに切れなくなった、等のクレームには無茶な扱いで無い限り、対応させて頂きますし一緒に最適な研ぎ方と仕上がりを追求したいと思って居ます。


















