先日は、前回の京都行きで空振りとなった、「以前より範囲が広がった採掘場所からの砥石を」との御要望に沿う為、再度の選別に出掛けました。
今回も前回に続いて、多忙な店主には御目に掛かる事は叶いませんでしたが、代わりに?留守居役の方には親切に対応して頂き、採掘場所や周辺の状態、取れる石の種類や傾向に関して詳しく伺えました。
前回よりは大き目の原石が混じって居たのですが、以前に採れていた種類と質に比べて、幾らかでも異なる砥石をと見て行く内に珍しく、扱い易そうなカラスを発見しました。硬くて神経を使う様な物は偶に見て来ましたが、難が少ない・又は実際には邪魔に成らない難だけの中硬のカラスは珍しいと思います。
二回り程、大きな原石から余分な所を切り落とし、形状を整えて貰いました。採掘時に相方と呼べる、もう一つの砥石と一緒に出たそうですが其方は、更にカラスが明瞭に見られたものの、難の性状が強面過ぎて敬遠しました。
全体に薄目で、其処の皮の一部が浮いていた為に、カシューで養生しました。多種・多様な筋などが見えますが、研いで見ると部分的に地金に対して影響する可能性が有るレベルに収まって居ます。
試し研ぎは、刃金が青紙・地金が極軟鋼の切り出しです。刃・地共に鏡面に仕上がりました。砥面は研磨力を感じる「食い付き」と、滑走の良さを同時に伝えて来る不思議な印象。
上記、砥面の性質から特殊鋼やステンレスに適していると判断し、VG10でもテストしました。結果は、極めて研ぎ易く研磨も速い・刃先の切れは充分以上でした。
硬く細かく滑る砥石では無く、泥が出過ぎて精細な刃先が形成し難い砥石でも無い、絶妙なバランスなのでしょう。御待たせしている方には、近日中に御送りして試して頂こうと思って居ます。
参考までに過去、持ち帰った同じく薄目の巣板です。基質の色調や砥面の硬さは同様ながら研磨力は若干、控え目で切れは殆ど同等です。強いて使い分けるならば此方は神経質な刃金や地金の仕上げ・最終仕上げの手前に向いていると言えそうです。
あと、少し早いですが(八月の下旬の事なので)イベントのお知らせです。と言っても、半分は参加に制限が有るのですが・・・主として子供(小学生高学年~高校生)を対象とし、全三日間に参加が可能な方と成って居ます。
当該イベントは一日当たり90分程度ですので、亀岡まで出かけて置いて残りの時間を如何にするか?と思わなくもなかった所、館長のアイデアで研ぎ講習の上級向けを設定しようと成りました。内容としてはハマグリ研ぎを俎上に載せた講義と実習を予定しています。どうやら、過去からも通常の一定角度の刃付けでは飽き足らない方々からの要望が有り、其れを受けての判断だそうで。
上記とは別件ですが、パート先でも研ぎに興味のある方々を集めて講習をして欲しい旨を打診されたりもしましたので其々、コロナを挟んで御無沙汰に成って居た分、経験を思い出すに留まらず不断に重ねて来た修練をも反映させ、再構成した内容で挑みたいと考えて居ます。
現在ホームページ不調に付き、御面倒を御掛けしております。申し訳有りませんが、御問い合わせ等は下掲のアドレスから御願い致します。