むらかみ のすべての投稿

内曇りの採掘場所へ

 

内曇りの採掘場所を自分の目で確認したく、再度高雄へ行って来ました。事前に聞いていた場所に到着した所、採掘者の方と古来より採掘に従事されて来た一族の末裔の方が作業をしていましたので、自分もその横で少し採らせて貰いました。

 

台風で倒れた木の辺りから見つかったとの事で。

1542377682229

 

 

1542377692215

 

 

 

1542377755136

 

 

1542377764111

 

 

 

私は此の辺りで探してみました。

1542377700356

 

 

1542377710463

 

 

1542377737857

紫がかった、カラス混じりの墨流しの内曇りの塊が出たので、砕いた所です。あと、通常の天井巣板その他も見えます。

 

1542381461562

 

 

1542381468357

カラス+墨流しと、通常の天井巣板・内曇りの境界みたいな物。

 

1542381476306

白の硬いのも混じっていました。研磨剤を感じさせる程の目が立った砥粒、シャリシャリした砥ぎ感の割りに滑らか。泥を出せば一気に研磨力アップと、個性的です。右端は内曇りですがカラスが少々。

 

1542381482166

左はおまけの中山赤ピン層の硬口。右は天井では無い奥殿の巣板。

 

1542381542078

内曇りですね。適度な抵抗と滑らかさ、刃金の傷を消してくれます。

 

1542381502399

上画像よりも粒度が細かく、当たりは柔らかいです。

 

1542381518277

内曇りよりも滑らかで地金も揃って来ます。

 

1542381525314

やや硬さを感じますが、奥行きのある手応え。通常の天井巣板が硬質ゴムの感触とすれば、硬い木の様な感触でしょうか。刃金も地金も明るめ。

 

1542381532403

傷が入りそうな感触ながら綺麗な仕上がり。シャリシャリの砥粒でもトロトロとサラサラの間の泥で砥ぎ易い。

 

 

1542381549408

内曇りよりも、ややネットリした感触。当たりは柔らかく、傷も少ない。カラスは裏面には少なく色も水色なので、表側から使って行くと途中で印象が変わるかも知れません。

 

 

 

 

此方は当日に選んだ中の石ですが、購入の際に参考にしたいので寸法などが知りたいと御問い合わせが有った物です。

 

1542381580634

左から、12.5×9×2.2:609g  中 14×7.5×1.7:394g  右 13×7.3×1.2:254g  です。

 

1542381587750

天井巣板のグイグイでも無く、シャリシャリでも無い少し反応させにくいタイプ。硬い割に当たりは柔らかいのですが。泥を出してやれば滑らかさ・研磨力共に向上します。其のままでは繊細な研ぎ方を必要とされる印章。

 

1542381595855

此方は中央の石ですが、右も同様で。グイグイ食い付くよりは、シャリシャリに寄っている感じですね。或る意味、分かり易くて研ぎに迷わずに済みます。研磨力も十分です。

 

 

 

 

オマケの赤ピン層の硬目。赤と緑が薄っすら混じって居り、硬過ぎず柔らか過ぎずの良いバランス。泥を出さなければ明るめの仕上がり。出せば滑らかな砥ぎ感と曇り仕上げに成ります。

1542381602021

 

 

 

 

紫がかったカラス+墨流しの小割りに面を付けてみました。或る程度、天井巣板に共通の紫が強く出た泥が印象的ですね。自分では此の色が入っている石が好みに成って来ました。今後も勉強がてら、時々は探しに行かせて貰えればと思います。

1542381609148

 

 

 

 

 

初めての篆刻刀

 

北海道のT様から篆刻刀を四本、送って頂きました。黒打ちの物は、白鷹さんの作だとか。元来、彫刻刀の類は得意な方では無いのですが、三角や丸で無ないので出来るだけで良ければと御受けしました。しかし、結果的には何時もよりも長く御待たせしてしまいました。

 

1542377285614

研ぎ前の四本。

 

1542377301124

細い方、二本。

 

1542377315672

黒打ちの二本。巻いて有る物に合わせて砥いで欲しいとの事でしたが、中々簡単では無いですね。慣れない道具で且つ柄が複雑な形状で。

 

1542377331205

電着ダイヤからです。

 

1542377349788

大体、狙い通りに成ったので人造砥石で揃えて行きます。

 

1542377388647

巣板で仕上げ研ぎ。

 

1542377402065

更に硬口の巣板。ですが角度や面の精度を上げる為に研ぎ直し。

 

1542377463938

白巣板の蓮華入り。

 

1542377531998

フライングで少し前に再度高雄で持ち帰った物。(詳細は次の記事で)

 

1542377412759

奥殿産の内曇りで。

 

1542377420108

 

1542377448347

 

1542377427320

 

 

 

研ぎ上がり

1542377583922

 

1542377590773

 

1542377599000

 

 

 

あと、小割りの石を御所望でしたので前回の内曇り薄片に面を付けた物。今回採って来た原石の物を同梱して本日、御返送致しました。

此方の内曇りは、奥殿の天井巣板にしばしば見られる紫やカラス+墨流しが良く現れているので、大きな塊を砕いた際に柔らかすぎるかなと思ったのですが持ち帰りました。(クロネコから帰宅後、面を付けた所では良い感じでした。柔いのと、筋を避ける必要が有る点を除けば選んで正解、当分使える量を確保出来て安心しました。)

1542377606553

 

濡らした状態。

1542377615065

 

 

 

T様には今回、特に長く御預かりをしてしまい申し訳無く思います。仕上がりも其々、完全とは行かない部分も有るとは思いますが、使う分には初期よりも改善されているかと考えて居ります。先ずは御試しの程を御願い致します。今回も御依頼、有難う御座いました。

 

 

 

 

 

奥殿内曇りの試し研ぎ

 

この前、持ち帰った内曇りを本焼きで試してみました。

 

1541850104900

 

 

現在は余り使っていない、五寸五分の薄刃です。大まかには面が揃っているものの、一部は研削痕・初期の面ダレが残存しています。

 

1541850042146

以前の研ぎ済みの表

 

1541850049789

同じく、裏

 

1541853076610

今回の砥石で砥いだ状態

 

1541850059330

部分的に残っている研削痕を狙って、小割りも当ててみました。周囲への余計な傷も入らず、残存箇所を減らしてくれます。

また、同じ水野鍛錬所の本焼き柳よりも刃紋が出難い此の包丁ですが、過去の何れの砥石よりも少しハッキリした様です。完全に面が揃っていれば更に見え易く成った筈ですが、無駄に減らさず使う度に整えて行く方針に変わりは有りません。

 

 

研ぎ上がりです

1541850137708

 

 

1541850123876

 

 

1541850131529

 

 

本焼き用として、やや軟・中硬・硬と使っていますが、今回の内曇りで軟も揃った事に成ります。今後は相性探しや、工程の適正で活躍の場面が期待されます。

もう少し詳しく知る為に、採掘場所や出て来た様子などを実際に見に行きたい気持ちになって来ますね。前回の天井巣板の採掘場所と合わせて、印象深い場所に成ると思います。

 

 

 

 

 

奥殿の追加

 

昨日は久し振りに、高雄へ行って来ました。数日前に包丁向きと思われる、新しい砥石が出たとの知らせが入ったからです。前回、採掘で御一緒させて貰った山肌とは違った場所らしいのですが、少し前の台風で崩れた際に現れたとか。

層としては天井巣板層で、種類的には内曇りに当たるとの事。通常の奥殿とは格段に硬さが違うので、使用目的や効果の違う砥石に成りそうです。

 

 

 

幾つか原石のまま、袋に入っていた中から選んでみました。

 

1541521520029

此れは形状的に其のまま使えそうでしたので、自分で面付けをさせて貰いました。

 

1541521528331

此方は、大きな三角形でしたのでカットを御願いしました。もう自分で切れよと言われますが、まだまだ失敗が気に成りますので。

 

1541521535703

最後のは、薄くて広い物。厚みもバラバラ、従って角度もマチマチに成りますが全体的に面を付けました。持ち帰って小割りにするので、其の状態で問題無いです。

 

 

 

試し研ぎ

 

1541521570186

最初の筋が目立つ石ですが、あからさまな筋は乗っかる感じがしますね。ただ、刃金にダメージが出る程では無く案外、普通に研げます。地金に傷を入れずに仕上げるには工夫を要するものの、刃・地共に深い傷を浅くする能力や刃金を曇らせる働きには有効です。

 

1541521552789

裏の状態、刃金のみの部分ですね。刃物と砥石、双方の面を安定させて砥げば結構、均一な砥ぎ目に成って来ます。

 

 

1541521604706

炭素鋼のペティ、刃先を研ぎました。切れは、巣板仕上げとして妥当な物。掛かりの良さと手応えの軽さが印象的。後述の小割りした砥石で軽く側面も撫でて有ります。

 

 

1541521579342

此れは筋の数や質が幾分、控え目なので更に使い勝手や仕上がりが良いですね。

 

1541521588575

裏の状態も同上。

 

 

 

1541531137811

小割りした分です

 

1541531118871

未だ大き目のも有ります。広い面積用に、残して置いても良さそうです。

 

1541531110003

参考画像です。小割りした中には、三段階くらい硬さや層成りの違いが有った様です。基本的に、層が素直に出ている部分は当たりの滑らかさ・砥ぎ目の均一さに優れ、やや(練り物との表現も有るらしいですが、其れに近いのか)複雑な成り立ちと思われる部分では当たりがキツク、砥ぎ目もバラツク感じですね。まあ、役割分担で中継ぎと仕上げに振り分ければ良いと思います。

画像は、余り素直でない部分の小割りを地金部分に当ててみました。割った方も、そうでない方も適度な弾力が有り、奥殿の天井巣板の特徴を示しています。此の層に産する石は、どんなに硬くても一定の弾力を伴って扱い易さに繋がっています。

 

 

 

おまけです

 

1541522868474

北海道のT様から、メールの遣り取りを通して剃刀関係の文面を頂いて居ました。其れに適するかどうかは現物と合わせてみないと分かりませんが、必要とあれば用意しておこうかなと考えていました。期せずして、今回の作業中に目に付いた物を(本当は探して居たり)無理を言って持って帰って来ました。

奥殿産の浅葱、泡立ちとも称される砥ぎ易いタイプ。しかし彼方に通っていた時期を通して、此処まで硬さ・細かさ・均一性で匹敵するのは在ったかと思わされるレベルですので、砥ぎ易さは少し難易度アップかと。

もしも試して頂いて、扱い難いとの結果であれば自分用にする気満々で選びました。彼方でも、御目が高いとの言葉を頂戴しましたので間違い無い物なのは確かですね。

 

1541521618398

 

1541597633579

 

 

 

1541522882166

 

 

1541522894311

 

 

1541522911693

 

 

1541522904059

 

 

 

おまけのおまけ

 

1541521543922

序でに、辺りに転がっていたのも持ち帰りました。超硬の緑板が採れたとの会話中に、此の辺も・・・との説明が有りましたので同等品かなと思われます。(あやふやな書き方でしたね。此方は、正確には中山です。其の坑道付近での会話中)

 

1541531129574

薄い部分のコバはハンマーで丸めたり、大きな凸部はハツったりして面を付けました。左の上、原石の面が残る部分と右側面下方の二か所に油膜の様なホログラムの様な異質な反射をする部分が有ります。

特有の成り立ちに由来するのでしょうか、奥殿の山で薄暗くなって来ると原石の状態でも若干の蛍光色を思わせる色の違いが有るのを思い出させます。でも中山の方はもっと局所的で、代わりに強い反射を見せます。生まれか育ち故か、外観にも特徴が現れます。

 

1541522995454

砥ぎ感は、(超?)硬口の砥石と中硬の砥石の間位で、仕上がりも其れに準じます。

 

1541522988024

 

 

 

今回の砥石達は、新たな役割を果たしてくれそうなので有難いですね。特に、私は基本的に本焼きに付いては小割りの砥石を使わずに研いで来ましたので、其処に使える様であれば助かります。

軟鉄の地金にも難しさは在るのですが、本焼きの全面鋼(硬度差は有りますが)で面の連続性を保って一律の砥ぎ肌に仕上げるには、角砥石のみで勝負するしか無かったからです。

そうで無くとも、軟鉄部分の均し研ぎに使えるのは確認済みですので、今後活躍してくれる事は間違い無いでしょう。此の度は有難う御座いました。

 

1541522941494

 

1541522949315

 

 

 

 

 

追加で本日、もう一つの方も仕上げました。

 

1541597640665

 

1541597647915

元から薄かったので、流石に此の儘では使い難いですね。鉋や切り出しと違って、包丁では致命的です。17日には砥石館でのイベントに呼ばれているので、現地で板に張り付けて来ようかなと考えています。

その後には神戸のS様が、当方にて砥石や包丁の動画を撮られるとか。共に研ぎや天然砥石に付いて情報発信をと誘われていますので、研ぎや切り・食材の味の違いに付いても表現出来ればと思います。上記の薄い砥石は、板に貼った後にデモンストレーション用に持っておいて貰おうかなと考えています。前々回には私の予備の巣板を御買い上げ頂いたので、薄くて筋も有るとは言え戸前系の砥石のイメージを掴んで頂くには良いサンプルでしょうし、初めて見る方や未体験の方には原石の雰囲気も伝わるかと。

 

 

 

 

 

暫く前の一日、今日の半日

 

暫く前に、近所の和菓子店の店主夫妻とツーリングに行って来ました。普段から何くれと無く気に掛けて頂いている上に、遊び相手が居ない心配迄されているのかなと思いながらも御誘いに応じました。実は仕事の成功の願掛けも兼ねてだとは聞いていましたが。

 

1540895169614

スクーター三台を連ねて、金剛山越えからの奈良県を南下。

 

1540895198135

天河の弁財天でしたか

 

1540895214527

 

 

1540895230535

 

 

1540895246505

立派な舞台ですね。之の対面には有名な五十鈴が下がっています。

 

1540895287407

鍾乳洞も見学しようとウロウロ

 

1540895300294

結局、登りはモノレールで

 

1540895346088

鍾乳洞はライトアップ等で演出が

 

1540895372763

 

 

1540895413399

 

 

1540895422838

 

 

1540895471957

此の滝を見に行っている内に、鍾乳洞近くの蕎麦屋が売り切れに。奥さん曰く、手打ち蕎麦は食べた事が無いとの事で、いずれ又、何処かでの流れに。

 

 

 

 

其の流れを受けて、本日は記憶にある蕎麦屋を10年振り位に偵察です。その前に、此方も一年振りに買い物に。

 

1540895550721

嘗ては大阪の北に在ったのですが、芦屋に移転。少し通い難く成りました。喫茶店機能は排して、販売のみの店舗です。

 

1540895564406

二回から売り場を

 

1540895581871

購入者へのサービスとして、希望の茶葉で淹れてくれます。(別の茶園を選択したので)今回購入リストから外れた、ファーストフラッシュのマリーボーンを頼みました。念の為に確認ですね。例年より味と香りが確りしていました。

 

 

 

 

1540895619287

鴫野駅近くの蕎麦店です。昔の勤務先に蕎麦っ食いの御兄さんが居て、近くに目ぼしい店が有ると連れて来てくれた思い出の店。

 

1540895625893

 

 

1540895633480

鴨せいろとザルを頼んだのですが、本来の目的の手打ちが売り切れで。機械打ちの蕎麦で二種類を頼みました。やっぱり、余り運が良くは無いのでしょうか。

因みに、手打ちは二八で機械は十割です。今回の二種では、ザルのバランスの良さが気に入りました。手打ちを食べに、今度は早目に到着するか、予約で取って置いて貰うかしないといけませんね。

 

 

 

 

 

箸休め?の研ぎ

 

北海道のT様からの篆刻刀は、私にとって初めての形状(柄)だったり狭い面積を平面気味にとの御意向もあり、角度を固定しての研ぎが容易では無く・・・。進捗が遅いのみならず手指の摩耗対応をも勘案して、少し長期戦に移行。

間欠的に研ぐ、その合間を別の物を研ぐ時間に当てました。一つは私の習い事の、関西の纏め役から預かっていた包丁。もう一つはベスパのディーラーの方のナイフ。刳り小刀を届けた際に此方もと。共に、いつでも良いからとの言葉を添えて渡された物。

 

 

先ずは包丁から。小さな欠けと、そこそこの錆が問題ですね。出刃としては若干、鋭角な気がしますね。ただ、大幅な修正を必要としない切り刃に研がれているので、対症療法的な日常手入れレベルの略式の研ぎです。

1540733100087

 

 

1540733143731

 

 

1540733153355

 

 

1540733162406

 

 

1540733171013

 

 

1540733190946

 

 

1540733197508

 

 

1540733203553

 

 

1540733210810

 

 

1540733224945

 

 

1540733242100

 

 

1540733248044

今回程度の研ぎでも、切れと永切れの両立を図りつつ、使用中の錆の発生・使用後の錆と変色への対処が軽減されると思います。

 

 

 

此方は更に、状態も良かったので珍しく天然のみで砥ぎました。天草⇒黒蓮華⇒水浅葱で短時間に満足いく切れが得られました。

1540733254227

 

 

 

T様には予定より御待たせが長くなり、且つ御希望通りの刃付けとなるか不確定ですが、もう少々御付き合いを頂けます様、宜しく御願い致します。

 

 

 

 

 

福岡からの御依頼、二本目

 

福岡のG様からの二本目です。一本目より裏の状態は良いですが、矢張り平面の砥石での裏押しでは刃先まで当たり難いですね。ただ、此方は大半が平面の砥石で当たる迄に改善しましたので、裏押し時の砥石に留意頂ければと思います。

切り刃の厚みは、刃元が薄くて中央が厚い傾向に。其れを切っ先に向けて厚みが減って行く様に調整しつつ、切り刃全体を緩いハマグリに。刃先周辺は、最先端へ向けて鈍角に。その最先端も切っ先へ向けて角度を漸減。つまり切り刃・刃先と共に先端に向けて角度が変わっています。

刃先最先端は、刃元・中央・切っ先の各所周辺で50°⇒40°⇒30°に成っています。暫くは切れが落ちない筈ですが、(少し落ちた位が望ましいです)御手入れの要を認めた折りは刃先に仕上げ砥で軽く糸引きを入れ、同じく裏押しを御願い致します。その際は、刃先角度を40°程度で問題無いと思われます。

 

 

1539925991031

研ぎ前、全体画像

 

1539925998211

研ぎ前、刃部アップ

 

1539926005268

同じく裏

 

 

 

1539926012087

中砥で裏の状態を確認。当たり面は、刃先まで少し有りますね。

 

1539926020596

キングハイパーで全体の様子見

 

1539926038568

裏も少し押してみます。

 

1539926046673

白1000と3000で厚みの調整と刃先の形成

 

1539926055051

面直しを頻繁にしつつ、裏を整えて行きます。

 

1539926077815

巣板で砥ぎ目を細かく、面精度を高く。

 

 

1539926095126

同じく裏

 

1539926119558

奥殿の巣板で形状・刃先を仕上げて行きます。

 

1539926128443

同じく裏

 

1539926152268

三毛猫みたいなの三枚で相性を探りつつ、均し研ぎ。

 

1539926160441

同じく裏

 

1539926185939

刃先と裏押しの最終仕上げは水浅葱です。

 

1539928383581

同じく裏

 

 

 

裏押し・切り刃ともに大半が整った所で留めました。

1539928473086

研ぎ上がり、全体画像

 

1539928478352

研ぎ上がり、刃部アップ

 

Still_2018-10-19_161301_60.0X_N0004

研ぎ上がり、刃先拡大画像

 

1539928484346

同じく裏

 

 

 

1539928494806

今回、砥がせて頂いた二本ですが一本目の切っ先カーブ周辺から先への刃線・裏の乱れが気に成りますので、今後は刃線の繋がりや裏押し時の砥石の平面管理を心掛けて頂ければと思います。意識して砥いで行けば、今後三回位の研ぎ終了時には何とか纏るのではと考えられます。

吊戸棚下のラックに態々蛍光灯を離して二個、付けて貰ったのですが・・・光源が二つだと、挟まれた部分との明暗の差が波打って見えますね。止むを得ないのでしょうか。また、私の研ぎ方が複雑な面構成なので余計かも知れませんね。

 

 

 

作業開始前にブログ上で業務連絡的に記載致しましたが(現在は削除済み)、事前にメールでの遣り取り無しで直接の到着でしたので御要望を御聞きしたり出来ず、現状追従の御任せで砥ぎました。また、同様に仕上がり画像での確認も頂かないでの御返送となりますので、到着後に問題や御要望違いなど有りましたらメール・電話にて御気軽に御知らせ下さい。

此の二本が、御仕事で役立ってくれれば幸いです。明日にはクロネコから発送させて頂きますので、宜しく御願い致します。此の度は、研ぎの御依頼を頂き有難う御座いました。

 

 

 

 

 

久し振りに砥石館

 

日曜は、砥石館でのイベントの手伝いでした。以前にも行われた内容と同じく刀匠監修の下、鍛造体験をして貰う物です。

参加者自身でローカーボンの丸棒から小刀を火造りし、焼き入れ・焼き戻しの後、研ぎをする際の手助けをと呼ばれました。

 

1539598385217

私が到着時、準備中の所に見学希望の方が。

 

 

 

1539598222256

砥石館の展示。他のジャンルの作品との兼ね合いで、以前と少し変更されています。例えば大工道具のブースが料理のブース左横に。

 

1539598208623

奥の部屋は基本的に同様。一部展示品の入れ替わり位です。

 

1539598200581

シンプルな装備が特徴の、体験コーナー入り口。此れだけ、妙に世慣れた感じですね。新たにモニターが追加されています。

 

1539598193155

コパル(若い琥珀)の磨き体験用。充実して来た様ですね。

 

1539598215086

ベルジャンブルーと言いましたか、ベルギーの天然砥石も販売用として並んでいます。

 

1539605814601

館長御自慢の(旧型ですが)鉱物顕微鏡。時間が有ったので、試料を見せて貰いました。

 

1539598260366

砂岩だという事ですが、確かに万華鏡的な美しさ。此れには色を強調するフィルターを被せて観察しています。

 

 

 

1539598252555

体験が始まり暫く経過しましたが、準備中から一番乗りの見学の方がずっと。とても熱心で、興味の深さが窺い知れます。

 

1539598365384

手動のブロワーである、右の鞴(ふいご)から送られた空気で中央の炉が加熱されます。

 

 

 

鍛造と熱処理を終えた小刀を持って研ぎ場へ。ダイヤモンド砥石や荒砥から砥いで行きます。人造中砥の後は巣板で仕上げです。

1539598280989

 

1539598313137

 

1539598319980

 

1539598359756

 

1539598372709

 

1539598291172

途中、仕上がりの確認や思う様に切れない原因究明に、顕微鏡が活躍。理解して貰うのが早くて助かります。体験者の方にも好評でした。

 

 

1539598325760

完成した右側。

 

1539598331355

同じく左側。最後に柄に紐を巻いたり、桐箱を買ったりのオプションも有ります。

 

1539598340749

最後の方には、別イベントに参加の大人数が続々とバスから。亀丸までお出迎えです。子供の受けも良い様ですね。

 

 

 

今回も、刀匠の中西さんには御世話になりました。御参加の皆様にも喜んで頂けて良かったです。今後はこう云ったイベントも難しく成るかも知れませんが、何らかの形で楽しめる催しは有るものと思われます。

他には、海外から現地での同様のイベント開催の要望も有ったとかで、本決まりに成るか成らないかも含めて自分としては楽しみでは有ります。

 

 

 

 

 

気分転換

 

前記事の最後、研ぎ直しの辺りでPCが動かなくなり、作業が停滞したりしました。その後は復調したので事無きを得ましたが、久し振りにベスパショップに持ち込む必要が?と慌てました。

まあ、そうで無くともリアタイヤを交換しないと和菓子店の主人夫妻と奈良ツーリングには行けませんので、顔を出すつもりでは居りましたが。 心配したのと、明日の砥石館イベントに備えて此方も久々にオアシスカフェに行って来ました。

寒い時期には頻繁に通っていたのですが、暑さ+辛い・熱いでは厳しいので。普通はランチに行く所、夕方に向かいました。ランチで選べるメニューは限られますが、夜はカレーだけでもマサラ・サグ・ヴィンダルーその他を選べます。

 

1539432268614

画像はシンプルなダルバートですが、選択可能な一つにはチキンヴィンダルーを頼みました。此れが一番、好みですが辛さは普通や甘いを選択は不可です。

右は野菜カレーで左はダル。昔、ある持ち帰り専門店でダルカレーと言われて買っていたのと違うが?とオーナーだかマネージャーらしき人に聞いた所、黄色くて透明感が有って酸味と辛みで味付けをしてあるのはダルスープだと教えてくれました。食べたいなら前もって言ってくれれば作ると言われたので、其の内に頼んで見たいです。

具はチキン・マトン・キーマ・エビ?・野菜と選べますが、基本はチキンですね。同じカレーでもマトンは少しサッパリ・エビは辛みが際立つスパイスの配分な印象。

 

 

 

1539432275921

最後はチャイ(シチュードティー)を頼みますが、此れも又熱々なので寒い時期が相応しいでしょうか。

 

 

 

1539438962806

 

1539432282959

インド・ネパール料理という事に成っていますが、ネパール色が強い様な。キッチンで働くのもネパールの人っぽいですし、メニューもそうです。

何でも本店はカトマンズに在って、スパイスの流通にも関わっているとか。私は此処の本格的なスパイスが、ふんだんに使われている点も気に入っていたので郁子成るかなと云った所です。

 

1539432294953

ククリ(グルカナイフ)を模した形の酒も有ります。高所の醸造所で作られるビールとかも。私は飲めないので余り関係は無いですが。これで、日曜の刀匠監修鍛造体験イベントの手伝いをして来る事が出来そうです。

 

 

 

 

 

福岡からの御依頼、一本目

 

京都のH様から御紹介を頂いた形でしょうか、福岡のG様より二本の包丁を御送り頂きました。

 

1539318762418

先ずは一本目、有次の本焼き。研ぎ前全体画像です。

 

1539318771174

研ぎ前、刃部アップ

 

Still_2018-10-11_214313_60.0X_N0001

研ぎ前、刃先拡大画像

 

1539318779716

同じく裏です。

 

 

 

1539318811441

刃体の切っ先寄り三分の一が地金方向に寄っていたのを或る程度改善し、裏の面の狂いの改善を図ります。

平面の砥石を当てると、当たる面の未だ先に角度の付いている部分が有ります。刃先周辺を小割りの砥石で磨り、当たる面と角度の付いている部分の落差を減少。

 

1539318793828

峰の部分は、其れに比して重要度は低いですが同様に。

 

1539318834563

其の後、磨いて置きます。此の程度の軽い調整では、研削量も知れているので裏押しで再現映像みたいに映るのですが、徐々に修正しないと余分に減らす箇所が出易いです。

 

1539318853802

狙い通り、峰に比べて刃先側の角度付き部分が減少。刃先の砥ぎ下ろしと裏の調整、前後から追い込んで行く事での改善です。

 

1539318868028

白1000と3000で。

 

1539318876669

表も白1000と3000で。

 

1539318886774

巣板で傷消しと精度向上。

 

1539318908562

 

裏も同様に。

 

1539318941157

中山巣板、三枚で仕上げ研ぎ。

 

1539318933779

刃先と裏は中山の水浅葱で。(裏は平面が出るまでは角度を付けて返り取りですね)

 

1539318921488

 

 

 

研ぎ上がり

1539318984917

 

 

1539318978152

 

 

Still_2018-10-12_132727_60.0X_N0002

 

 

1539318971804

 

1539318965070

 

 

 

 

どうも、刃元寄りの半分弱の傷が消え難いので、砥石を変えて研ぎ直し。

1539432236659

 

 

1539432249462

 

 

1539432243617

 

 

 

最後には、まずまず傷も浅く成ってくれたので全体が整ったと判断して留めました。切っ先手前の鎬を僅かに上げて、カーブ手前の刃線の屈曲を緩和、切り刃中央寄りの厚みの残存を他部分とのバランス調整で掛かり・走り・抜けが改善しました。

あと一本も近日中に砥ぎ上げ、御返送をと考えて居ります。今少しの御待ちを宜しく御願い致します。