刀鍛冶の下で、体験をされた方から小刀(こがたな)を御送り頂きました。問い合わせ自体は結構、以前から頂いて居たのですが今回、研ぐ機会に恵まれました。
2~3年前、砥石館で催されたイベントでも俎上に上がった物(刀ガール杏ちゃん作成)と仕様は同一であり、其れに準じた仕上がりを期待されての事です。
ただ私自身は余り、刃は白く・地は黒く、との仕上げには(性能的に)懐疑的なので通常の天然仕上げ砥仕上げで研いで居ます。コスメティックを重視した砥石の品揃えでは無い事も有りますが、折り返しをしていない場合は、地金の肌の表現も地味に成りがちですので効用も限定的。そもそも、刃金には切れと永切れを第一にと考えていますので、通常通りの研ぎが標準と成ります。
研ぎ前の状態。ベルトサンダーで大まかに整えた状態でしょう。
反対側
研ぎの前に、荒い布ペーパーで研削痕を軽減しておきます。砥石への掛かりと、傷の深さを把握する為。
GC砥石で基礎的な形状を整えます。
研削力の有る1000番、小割りの各種1000番も併用。
人造の細かい1000番の後は、中硬の巣板各種。
中硬~やや硬口の巣板。
玉鋼故か反応が独特で、傷の消え方が今一。方向性を変え、三河白(産地の嘗ての店舗にて贈られた物・関の出店で購入の目白)を会津砥の共名倉と合わせて。凝灰岩同士、馴染みも良く此れは効果的でした。
其の後、各種蓮華巣板から中山の赤ピンで。
相性の選択で、最後は奥殿の硬口巣板(茶色)。地金部分は、小割りの八枚系統の中から適した物で。
研ぎ上がり
反対側
翳り気味の画像
光り気味の画像
一本目の刃先拡大画像
一部、刃先が荒れてしまう部分も。熱処理・鍛造、何れかの時点で原因と成る要因が?
二本目の刃先拡大画像
T様には此の度、小刀の研ぎ依頼を頂きまして、有難う御座います。また途中では体調不良の為、中段期間が有り御返送が遅くなりまして申し訳無く思っております。
到着後、問題点など有りましたら仕上げ直し等、対応させて頂きますので御遠慮なく御連絡を御願い致します。