小割りの砥石に付いて

 

此の所、研ぎ講習希望の方(受講済み・受講予定)に説明する機会が有りましたので改めて。私の基本的な仕様としては、均し研ぎの一環として形状や表面処理を整える目的、つまり切れ抜けの向上・錆や変色の予防と除去時の補助を狙って行なっています。

現在は、巣板(硬・軟・曇り・光り系)と千枚・八枚系統、硬口戸前・浅葱・水浅葱などが各数種ずつ用意してあります。刃物と御依頼内容に合わせた石を使うのですが、基本的に刃金には鏡面近くなる砥石を最終仕上げにしており、地金には半鏡面狙いが可能な千枚系統を標準としています。(刃金への小割りの使用は例外的)

地金(軟鉄)を鏡面にするのは、刃物・砥石共に平面同士でも其処まで簡単では無いので、曲面を持つ刃物に鏡面砥石の小割りを当てても時間と手間の観点から、意義は殆ど見出せないとの判断からです。性能は大差無いのに、コストばかり嵩みます。

 

最初に戻って・・・講習御希望の方から、前回の記事に記載しました鏡面にする(正確には鏡面にする手助けになる)手順と、其れに使う小割りの砥石に付いての問い合わせを頂きましたので、同様に興味を持たれた方がいらっしゃるかもと考え、御返信を此方にも転載してみます。

 

 

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「鏡面にする手順」ですが、此れは自宅に講習に来て貰った(画像の)人にも説明した内容に成ります。つまり、①平面に研いだ刃物を平面を出した鏡面砥石に刃・地共に当てる以外の方法として、小割りを使う。それでも、可能な限り刃金は鏡面レベル砥石に当てる。②小割りは、或る程度細かくなるまで角砥石で刃物を砥いでから使う。(刃は勿論、地も硬口戸前・千枚以上の砥石を当ててからで無いと効率が悪い)③巣板・戸前系統(私は千枚八枚を多用)で数種の小割りを用意する必要あり。地金に硬い砥石の傷が入っていれば巣板で消すしか無い。④用意した小割りに習熟する。

以上が最低でも必要です。加えて、用意した石が砥ぎたい刃物に合っている必要が有ります。ですので、私の持っている小割りを渡しただけでは(しかも最終仕上げ用のみでは)余り効果が見込めない事も有り得ます。最終的には、各自が各自の刃物と研ぎ方に適する石を探し出さなければ成らない訳です。あと、私の使う為の砥石は小割りを含めて不特定多数へ販売できる様な数は有りません。理由は前述の通りですね。従って、サンプル程度に一つ二つはプレゼント可能、というだけです。勿論、それで最大限の効果が期待出来るとは限りません。

以上の様な所でしょうか。余り、耐水ペーパーや研磨剤ほどには汎用性が高い性格の品物では無いので、御理解頂ければと思います。此の辺りの事情に関しては、同じ印象を持っている方もいらっしゃるかもしれませんので、ブログの方にも情報として載せておいた方が良いかもと感じました。

 

 

 

 

 

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