奥殿で採掘される砥石の種類の幾つか、そのサンプルを試してみました。勿論、これ等の反応が必ずしもその層の標準的な特徴を体現しているとか、性能を保証するものでは有りません。
しかし何れも小振りな砥石達ながら、まずまず納得の仕上がりを見せてくれたと思います。刃物は青紙と極軟鋼の切り出しです。
本巣板の白あたりになるでしょうか。蓮華も少し混ざっており、やや硬口です。
刃金は薄曇り~半鏡面、地金も明るめの曇りに仕上がります。
本巣板の黒蓮華ですが、かなり硬いです。
仕上がりは、刃・地共に曇り~薄曇りです。
本巣板の卵色がかる部分に紫も混じっています。此れもかなり硬口です。
やや明る目の曇り~薄曇りに仕上がります。此の石は斜行で層の境が砥面に出ているのですが、硬さと研磨力を感じる程度で違和感無く使えます。
天井巣板から八枚の層の砥石です。最大限の硬さを感じさせ、其れに相応しい粒度の細かさも併せ持っています。
テストに使った、ロックウェル硬度で60台後半の特殊鋼も難無く下ろし、硬くて細かい砥石における常識を聊か以上にグラつかせてくれました。
上画像は裏側で、皮の表情をみていると、採掘時に村上株などと言いながら作業していたのが思い出されます。
刃は薄曇り~半鏡面、地金は薄曇りで明るく仕上がります。
巣板で有名な奥殿ですが、浅黄も採れます。此れは砥粒の凝集の仕方が独特で、泡立ちとも称される質の石です。
分類的には硬口でも、上記の質に因る反応から地を引くことが少なく使い易い場合が多いとの事。
実際、研ぎ易くて仕上がりも良い結果となりました。
刃・地共に明るい仕上がりです。
幾つかのサンプルと販売用の砥石での試し研ぎを経て、少しずつ砥石の性格や相性も理解出来つつあります。しかし、まだまだ見ていない・触っていない層や質も在りますし、違う山ともなれば言わずもがな。僅かずつでも経験と知識を蓄積していければと思います。