大阪府下のY様より、研ぎを御依頼頂きました。包丁はミソノの炭素鋼です(刻印にはスウエーデン鋼とあります)。切れ味への拘りが感じられますね。
ある程度、錆が出ていますが新品状態から磨かずの使用であれば、かなり優秀なレベルだと思われます。
刃先も酷い損耗は見られず、全く切れない状態ではありません。しかし、刃体の厚みが綺麗にテーパーになっている割りに、切り抜けがもう一つ。
先ずは人造の1000番で、小さな刃毀れ(欠けと捲れ)を取りながら研ぐ範囲を少々広げ、緩いハマグリに。その後、耐水ペーパーの二段階(1000番・2000番)と研磨剤三段階で錆・汚れを落としておきます。
白巣板(サラサラ下りる)で研ぎ目を消しながら、刃先の角度を切っ先に向けて徐々に鋭角に研いで行きます。
敷内曇り(砥粒の目が立っていて細かい)で更に追い込み・・・
千枚に繋ぎます。
最終仕上げは浅葱で。左上のは共名倉に使用した中山の黄色いのです。
鋼の包丁を御使用との事で、つい応援したくなり通常よりも磨きを入念に行いました。磨きその物の御依頼では無かったので完全ではありませんが(そもそも拙い手作業でもあります)。水を弾き、汚れを取り易くする事で錆や変色を遠ざけられるからです。又、それで切られた材料の味にも好影響を与えます。
今後も、使用後にクリームクレンザーを御使用になる事で、ほぼ同状態の維持が可能でしょう。(怪我防止の為に俎板等の上に包丁を安置して、キッチンペーパー・ティッシュ・布に付けて磨いて下さい)
確認画像では了承を頂けましたので、明日にも御返送致しますが、実際の御使用に於いても使い勝手が改善されている事を願っております。Y様、この度は研ぎの御依頼、並びにブログ掲載への御協力を頂き有難う御座いました。