四月二十九日 砥石の選別

 

祝日(昭和の日)、亀岡に砥石を探しに行ってきました。到着するなり、次男氏から「ホームページにアップしたので残っていないです」との事。

しかし大きさや形状で難があったり(お買い得品)、加工が間に合わなかった物は少しは残っている筈、と見て回りました。案の定、棚と加工場に其々、狙いの物が在りました。

今回のは少し前、メールにて依頼されたステンレス包丁用の黒蓮華です。(もう一つは、自分の補充用として)

 

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黒蓮華のコッパです。厚みは程々ですが、中々広い砥面と適度な硬さ、細かいが少し目の立った砥粒で申し分ありません。その上、黒蓮華でありながら蓮華の赤も混じっている自分好みの質です。この手の物は、同等の煙硝気を持つ砥石と比べて炭素鋼を研ぐ場合、錆や着色が少なく、刃物への当たりも優しい傾向の様です。

しかし側面の黒い部分が示すとおり、黒蓮華の成分は強めでもあるので、研ぐ事で鉄分を吸収して行く内、将来的には全体としてかなり黒色と硬さが増してくると思われます。その際、蓮華が混じっている事の有り難さが利いて来るでしょう。以上の内容はこれまでの数例の経験からです。

 

 

 

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此方は、次男氏曰く黒巣板に分類されるであろう砥石です。自分も通常の黒とは違って巣が少なく、表面に走っている事が多いひび割れ状の模様も無く(裏面には在り)、敷き内曇りに良く見られる紺色の点々が在る事から変り種だと思います。

側面の黒い部分は上の砥石と近い感じで、此方も使う内に(ステンレス専用なら殆ど変化は無いですが)黒色や硬さが増して来そうです。砥粒は細かく、目も立っていない方なので、硬さが増すと研磨力は余計に控え目になるでしょうが、鋼材との相性次第でどう転ぶか分からない為、手持ちの砥石達と比べても誤差の範囲内と判断しました。

 

 

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因みに、切り出し(刃金は青紙1号)で試した所、特に硬くは無いものの、細かい砥粒(目は立っていない)が詰まっている印象そのままに刃金・地金共に傷無く、艶も明るめに仕上がりました。

 

 

 

おまけは、土橋さんから御裾分けに貰った筍です。

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帰宅後、早速皮ごと湯がいて鰹と昆布の出汁で煮てみました。途中で、冷蔵庫の中に伊勢の答志島で購入した塩蔵ワカメが在るのを思い出し、若竹煮としました。

 

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毎年春頃になると、若牛蒡・蕗(出来れば蕗の薹も)・山独活・そして筍を食べたくなるのですが、今年はこの筍で目出度くコンプリートです。新物ではありませんでしたが、この若布も戻した状態が大変良いとの触れ込みに違わず良い仕上がりになりました。あくが少なく瑞々しい筍と相俟って、之までで一番の出来だったと思います。感謝致します。

 

 

「四月二十九日 砥石の選別」への2件のフィードバック

    1. 子鮎様  

      やはり御持ちでは有ったんですね。これまで、自分が見て触った中では、余り購入したいと思う程の物は無かったんですが、これは・・・と思いました。硬さ程々、でもしっかり締まって砥粒細かく更に微細に砕ける、自分好みの感触です。底面が砥面より狭いので不安定では在りますが・・・。

      黒巣板の方は一応、自分用のつもりでしたが双方送ってくれろとの事で、発送し、試した上で決めて貰う手筈となっています。

      現在、天上戸前・合さを採掘中との事で、千枚・八枚に掛かるのはその後だそうです。時期を見計らって探し当てられればと思います。

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