五月五日の神戸にて

 

五月五日に削ろう会・神戸大会に行ってきました。勿論、参加する訳ではなく精々見学。より正確には知人(何時もの顔馴染み)に会う為ですね。前回の二個の砥石については、両方購入して頂けるとの事で当日お支払いも頂きました。有り難う御座いました。

以前の清水大会にも、近くを通ったので立ち寄りましたがその折、記念品代わりに水木原の卵色巣板みたいな砥石を購入した事がありました。だからと言う訳ではありませんが、今回は奥殿の巣板を買ってみました。元来、産地・有名銘柄には余り拘らない方ですが、巣板好きとしては古来より評判が良い巣板の代表格とされる奥殿は、一つくらい有っても良いかと考えていました。

しかし、急に思い立ったので予定外の出費となりましたが、前述の砥石代に気づいて何とかなりました。砥石の代金で砥石を買っていては収入が増えないので困ったものですが。

 

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白巣板に蓮華が結構混じっていますね。

 

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裏の中央部には、石英の白い部分(透明感のある乳白色)が見られます。裏をダイヤで下ろそうとしてもその辺りが特に硬い感触。

 

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試し研ぎでは泥よりも研ぎ汁が出易い様子。購入時確認した手触りよりは硬口な印象でしたが、場所によって少し感触の異なる研ぎ心地。しかし致命的な研ぎ傷・研ぎ斑・研ぎ難さも無く、まずまずの仕上がりでもあります。硬い割りに研磨力も有る方で、良い買い物だったと思います。

 

 

 

その上、もう一つ砥石が増えました。天然砥石尚さんから、天上巣板のカラスを頂戴しました。何でも以前、購入・物々交換した折に、気に入って頂けた石の御返しにとの事で、誠に恐縮です。

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長さは22~23cm程あります。

 

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厚みは6cm程。

 

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研いで見た所、上記の砥石とは違い、適度に泥も出て圧倒的に研ぎ易いですね。刃金・地金の仕上がりも申し分ありません。筋にも言及されていましたが、通常使用では特に困る事も無さそうです。

 

 

参考までに、下は丸尾山の天上卵色巣板のカラスです。此方は、泥の質としてはもう少しサラッとしており、当たりも弾力が少なめです。見た目も全体的に黒色を基調(カラスが大量に出ている面ではほぼ真っ黒)としており、褐色は殆ど見られません。

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しかし似ている所もあります。

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上は確か二回目か三回目に丸尾山に登った時に拾った欠片で、土橋さんからは八枚だと聞きました。これが後に鏡面仕上げ用として大谷山に合わせる共名倉、第一弾となりました。

 

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次に之は、コッパと言うか共名倉用?として棚にあった物ですが、八枚に近い外観です。少なくとも、千枚近辺ではあるでしょう。

 

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そしてこれは、以前おまけに頂いた若狭の砥石です。上の二つと、色・柄・研ぎ心地が結構近いと思います。やはり天然ですから、同じ山・層でも其々違った砥石が採れるのと同時に、逆に山・層を越えて似た物が出てもおかしくないのかも知れません。

 

 

頂いた、あと二つのおまけは普段使い用のペティやナイフを研ぐ為に台所へ置いてあります。タッチアップに近い研ぎ用ですね。

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普段の積んだ状態

 

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左上は大谷山に登った折、貰って来た巣板っぽい物(軟口)。右上は昔から家にあったカミソリ砥(質が均一でなく、小さなクレーターが散在する硬口)。下二つは、硬さ・均一さ・泥の出方がかなり違う若狭砥石(硬口と中庸)。これらを手に持ってささっと研ぐ訳ですが、其々、どの組み合わせ・順番が最も早く研げるか。或いはどれを共名倉にするのが最適な仕上がりか、等と試行錯誤をしながら楽しんでおります。

尚さんには、若狭の砥石を触る機会を度々設けて頂き、感謝しております。何の御返しも出来ませんが、おまけ以外に取ってある若狭砥石たちに、仕事上で活躍して貰う事が御礼になるかもと考え、今後は仕上がりの相性を探って活用していければ良いなと思っています。有り難う御座いました。

 

 

「五月五日の神戸にて」への12件のフィードバック

  1. お疲れ様でした 当日は実に楽しい時間を過ごさせて頂きました
    又宜しくお願い致します 2ケの巣板も最高の教材です
     コ-キングでの下支え合台も乾いて使用可能です!!
    いろいろ試してみたいです!

    1. かずかずけん様

      此方こそ有り難う御座いました。

      この度の巣板は、層としては近いものの、質的には割合、違いがあり個性を楽しめるでしょう。しかしそれと同時に、仕上げたい刃物にもよりますが、どちらが良いと言うよりは、この内のどちらかでは必ず仕上がるであろうと感じさせてくれる、適応範囲の広さも持っていると思います。

  2. 尚様  
     
    今回も色んな人と色んな内容を語り合えて楽しかったです。

    包丁を研ぐに当たっては、平面の刃物以上に砥石毎の違いが影響すると感じます。層の違い以上に、山によっての研ぎ易さや仕上がりが違うので、之までと今回頂いた砥石達の御蔭で様々な刃物に対して適応範囲が広がったと思います。感謝しております。

    私等では余り参考になる内容は御話し出来ないと思いますが、体験談程度なら何時でも。むしろ現在、自分は精々、鉋は俎板削りと鰹節削りですので要求されるレベルは知れていますが、もしそれ以上を求められる事にでもなった場合は教えて頂けると有難いです。

  3. 村上さん今日は、今回の神戸の大会で購入した大突は、日本剃刀・レーザーにとっても良い刃を付ます。
    包丁にも良いですね〜(^-^)/小刃だけでなく、地金も綺麗に研げ又良い刃が付いています。家の大突の内で包丁にも良かったですよ。
    柔らか目の砥石で研ぐように研げたのには驚きでした^ ^

    1. 小鮎様

      今日は。これまで見聞きする限り、大突は包丁を研ぐには全体的に硬過ぎる様に思っていましたが、地金まで綺麗に仕上がるとなれば正に包丁用大突といっても良さそうですね。その上、主目的の剃刀も普通に研げたのならば言う事なしと。しかし、そうなると砥石の性能・守備範囲の広さもさることながら、お持ちの包丁の地金・刃金との相性が極めて良かったとも思われます。どちらにせよ、大当たりの買い物だった事は間違いなく、流石に御目が高いですね。

      今回、自分が買った奥殿の巣板も音や手触りでは然程、硬さを感じないのに刃物を当てると結構かっちりしています。その割りに研磨力はまずまずあり、かっちり故に自身の研ぎ減りは少ない特性です。やはり砥石は実際に研いで見ないと本当の質や性格は判断しきれず、そこが又、興味の尽きない所でもありますね。

        1. 小鮎様

          会場の駐車場で色々と見て触らせて頂き、自分も良い経験になりました。

          それ以外にも名品・珍品・豪華な砥石を多数御持ちなので、有効なサンプル同士で比較・検証出来るのは羨ましい限りです。実は少し前から、小鮎様は自分にとって希少な砥石の収蔵庫・保管者といった認識になっております(砥取家関連では他に1~2人そんな方を存じています)。それ故、依頼頂いた際には、それに相応しい砥石を選んでお送りして来ましたし、現状も変わりありません。

          来月には又、亀岡で探してくる予定です(千枚はもっと先かもですが)。

  4. 村上さん御久しぶりです。
    去年の秋の集まりの際土橋さんの所で、カットされていた物の中で本戸前(村上さんが良いよて言われていた物)は今迄持っていた物とは違いネットリ系でした(今迄土橋さんの所の本戸前では初めてでした)はまりそうですね。
    天上戸前鶯は触った事が有りませんが、ネットリ系が有りましたら木端サイズで良いので探してもらえますか?
    それともう一つ名倉用で目の細かく多少柔らか目で鋼を光らせれる砥石て有るのでしょうか?
    御教え下さい、宜しくお願いします。

    1. 小鮎様

      お久し振りです。お変わり無い様子にて何よりです。

      せっかくなので、御返事は記事にて。と考えましたが一両日では纏まらず、近々改めて参考画像入りで上げたいと思います。

      本戸前は、適度に泥の出る色物がお気に入りの一つで、良い物だと思います。ただ、天上のうぐいすは、戸前系ではばらつきが大きく、選別には注意を要します。遠からず、念入りに選んでこようと思います。

        1. 小鮎様

          六日に亀岡へ行ってきましたが、月末の加工まで暫く採掘メインにつき、現在製品は少ないとの事でした。次の日曜でも望み薄だそうで、どうやらこの二週間ほどはしょうがないみたいですね。

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