最近の事、と言っても本当は昨年の後半、或る程度の期間に亘って少しずつ興味の有った事柄を、確認したりして居ました。(7月22日の記事より随分と後)
期間が掛かったのは、なけなしの資金を少しずつ使い、サイズの違う同種の包丁を買い足していたからです。これで昔から、ぼんやりと疑問に思って居た内容を確認出来ました。
それは包丁の種類によって、サイズの違いが(シルエットは其の儘に)単なる拡大・縮小に留まらないのでは?と言う物です。和包丁(三徳・薄刃・柳・出刃など)のサイズ違いは大抵が、刃渡りが延びるに従い、切っ先付近の刃幅から刃元付近の刃幅まで、順当に広く成って居ます。
しかし例えば牛刀に関しては余り、刃長が変わっても切っ先からカーブ付近の形状に殆ど変化が見られない事が見受けられます。
下画像は、藤寅作の牛刀で18cm・21cm・24cmの三本です。元々、ダマスカス(積層地金バージョン)24cmは購入済みでしたし、その後に使い古しの三層バージョン24cmも追加していたのですが、更なる追加に踏み切りました。まあ一応、手伝い先の作業に因っては投入するかも・・・と無理に自分を納得させての蛮勇ですね(笑)。
一目瞭然で、刃渡りと刃元の幅は大きく異なるのですが。
三本を重ねて見ると、殆どズレ無く揃います。他のメーカーも同様とは限らないでしょうが、その傾向は有りそうですね。此の辺りは、次回の記事でも触れてみる予定では有ります。
序でに念の為、厚みの違いも確認すると、やはり長い方が厚く成って居ます。
其れとは違い、同型の(トージローと藤寅では有りますが)24cm牛刀同士で比べると、
マズマズ古い研ぎ減った物を、厚み抜きして使用中なので現行の新品との単純比較は無理ですが、意外と厚みの違いが有る気もします。予め、年式も違えば構造も異なるダマスカス24cmとの比較では納得できそうな物ですが、年式の違いのみで差が出る事も有るかも知れませんね。
今回の内容は次の記事に関連する、包丁のデザインの比較の一環としての意味を持つ為、シンプル過ぎるキライは有ると思いますが、私としては積年の思い込みを払拭する良い機会に成りました。
過去から最近までの期間を掛けて購入した、寸法違いの牛刀が手元に有るだけで無く、其れなりに使い込む経験を経た故の気付きが、間違って居なかった事が確認出来たからです。
特に切っ先付近での作業時に付いてですが、柳はメーカや鍛冶による厚み・刃幅にバラツキが大きいので、良くも悪くも其れ程には使用上の違和感が有りませんでした。しかし、薄刃や出刃では寸法の違いに因り、切っ先付近の刃幅が大きく異なります。それ故、細かい作業に成るとサイズの小さい物の利点が活きるので、同一モデルでも各種のサイズを揃える価値が大きいと感じて来ました。(勿論、厚さも異なるので余計に)
しかし牛刀だけは、打ち物をするには刃幅が広い方が良いので、長めの寸法の物を選んでも、切っ先カーブから先での作業に(細かい作業に対して)支障は無く、先寄り・元寄りで使い分けられるなと。つまり自分の作業上、「引き切りに必要な長さの刃渡り」や「打ち物に必要な刃幅」のモデルを購入すれば、切っ先付近の使い勝手は不変に近い。
上記が逆にデメリットに成る可能性も有りますが(先寄りで厚みの有る対象を千切りにしたい等)、他の包丁には無い位に、適切な長さの牛刀を購入すれば扱い方を変えずに済む・使用感が大きく違わない点が特性だと改めて理解出来ました。切っ先カーブから先の、厚さ・角度・刃幅が殆ど一定であり、後ろが長く成れば其れに比例して厚く成って行くという構造が、そんな性格を形成していた訳ですね。
現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。