今週の月曜は、北新地の布谷さんの所に集まって最終打ち合わせでした。12月のイベントの柱に成る布谷さんに、協力頂く月山さんと現場責任者になる上野館長が顔合わせです。
当日の流れや、御用意いただく道具・料理に付いて。又、集まる顔ぶれ等を擦り合わせましたが、当然料理も頂きました。
珍しい物も幾つか出して頂きましたが其の一つ、靭(ウツボ)の刺身は想像していたより癖も無く、個性的な食感と薄っすら野性味のある白身な感じで美味かったです。
他にも、アイスクリームが出たのですが、材料を当てる事に。真っ先に浮かんだのはカボチャの種。ですが思い直して過去の記憶(アイスクリーム・ジェラート)を当たりました。
ハーゲンダッツ以外では空堀のジェラート店が記憶の大半ですが、マカダミアよりはサッパリで黄な粉より青臭い。枝豆に何か加えたか?まで考えた処でピスタチオだと種明かし。
そもそも多数回食べていないのも有りますが普段、塩味ばかりの食材が甘いと咄嗟に出て来ませんね。こう云うのは楽しいし、頭の体操兼味覚判断のテストになって良かったです。
其の後、此方はイベントに直接関係する訳では無い物の、前後して御来館の方々に体験して貰えればと考えていた準備。衛生的な観点から、水道施設が整ってからに成ると思われますが、実際に和包丁で食材を切ってみる事です。(食材の準備等は未確定)
狙いは二つあり、一つは洋包丁との違いを実感して貰う。あと一つは、市販の状態(吊るしの新品)と実用的な研ぎを入れた状態で、どう違うのか。後者に付いては、適切な研ぎを施された和包丁を持参される方は稀で、ややもすると新品時のまま長年御使用の方も少なく無いからです。
上記の役割を担わせるべく、ホームセンター等でも気軽に購入可能な以下の包丁に、実用上問題が無いであろう必要最低限の研ぎを施しました。
和包丁(炭素鋼系)が敬遠される理由の一つは、錆びです。使っている内は勿論、酷い場合は砥いでいる最中も錆びますが、以前よりも表面処理が細かくなったりしたのか幾分マシな様です。
しかし、ステンレスに比べれば未だ未だ油断大敵ですので、耐水ペーパーで磨いておくことを推奨しています。磨くのは使って錆が出てからだと面倒ですので、購入後一番にやっておくべきです。
伝統的なダッチオーブンのシーズニングは言うに及ばず、革靴には購入直後にオイルを与えるとか、詳しく無いのですが服飾関係者がシャツやハンカチを購入後直ちに水に漬ける等、業界には其々の慣らしが有る様で、そんな感じでしょうか。
耐水ペーパー400番で
同じく1000番
1500番まで磨きました。完全に傷が消えなくても、映っているのが「薄っすらと誰の顔かは判別できる」まで光らせれば、撥水加工に近く水を弾きます。
可能であれば2000番まで掛けて、微細な研磨剤で仕上げれば更に安心です。因みに、上記で使用したペーパーはロールで買える、幅5~6cmの奴です。
新品の和包丁は大抵、凸凹(笑窪や出っ張り)が有るので使用時に食材から抵抗を受けたり、食材へ余分な外力を与えます。
船や弾丸が楽に正確に進む如く、完全に形状を均した方が相身互いの為ですが、一足飛びに完全体を目指すのは削る量も多くて大変です。
取り敢えず刃先の切れは確保した上で、切り刃に付いては「走りや抜け」で致命的なレベルでさえ無ければ良しとするべきでしょう。
柳もそうですが、出刃は凸凹の深さは厳しい物が多いです。柳は寧ろ、個数でしょうか。
具体的には刃金部分の先側半分と、切り刃(軟鉄部分の)の6~7割に均一な面が出揃い、角度的にも適正ならば徐々にではありますが使用に適う切れを見せてくれます。
精度を上乗せする為に、小割りした人造砥石で部分研ぎ
良く使うのは、GC荒砥・シャプトン320・1000と他の1000.それにWAの3000だか4000です。
最後には矢張り、天然砥石で傷を浅くします。巣板よりは千枚系統が望ましいですが、食味的には表裏が巣板仕上げであれば問題無いと思います。
切り刃は千枚。刃先と裏押しは中山の並砥です。
裏押しも、最低限使用可能な状態に整えました。
出刃
柳
三徳ですが、此方は薄物にて刃先のみの研ぎです。そもそも、(平と明確な角度差のある)切り刃に成っておらず、大まかに三段階のグラインドで厚みを減じています。
ブラストで其れを視覚的に均してあるので、本格的な和式の研ぎ方には対応しないでしょう。刃金は他の多くの競合他社(他者か?)と違い、白鋼とありますので切れの滑らかさは良い感じです。
私が以前に購入した同製品は刃先側半分が全体にプロペラ状に捻じれており、刃金の硬さも不足気味でしたが、今回のは当たりで刃の硬さも出ており、形状・切れ共に問題無し。これなら、炭素鋼系の包丁の入門用に丁度良いかも知れません。
おまけは、私が偶に買い出しに行く店で昆布を。之までは、道南産真昆布でも本場折浜だったかな?を選んでいました。川汲浜産の天然は最上(価格も)ですので次善として、その養殖と天然折浜で比較してみると後者が好みに合ったからです。
本日赴いた所、無選別の川汲浜が有ったので選んでみました。少し前に、館長と一番の常連さんには少量の折浜(買い置き)を渡したので、今回のと比べて貰う算段です。京都で多用される利尻と大阪で好まれる真昆布は結構違いますし、其れらよりも羅臼は明らかに味が強い。しかし同じ真昆布でも案外、違いがあるのを分かって貰えれば、味覚の訓練に持って来いです。
序でに十倍出しも付けますか。私の出しの基準の一つでもありますので、味の志向を知っていて貰えば、以前の料理に対する評価軸を共有出来るかも知れません。もう一つの基準である、嘗ての実家の食堂の出汁は再現困難ですから。