もう、二週間ほど前に成るでしょうか、今年最後の砥石館でのイベントに参加して来ました。当日の前半は、参加者の希望する枠に空きが出来た事も有り、時折り砥石館から応援を頼まれていると云う近隣の工芸関連の学生さんの御二方、その自主練にも付き合って来ました。
勿論、後半は当日のメインである鏡作りでしたが。
メインに先行して学生の御二方には、以前に作られた玉鋼製と工具鋼製の小刀を用いて研ぎの練習を。鋼材が異なるばかりでなく、切り刃の厚みが違って居たりして、一様に研ぎ進められる訳では無かったのですが(笑)。
人造粗砥から中砥、そして天然の巣板系統の後は、如何なる小割りの砥石によって刃紋が出るかの確認も兼ねていました。
どう云う訳か、玉鋼製の方が波紋を出し難くて苦労しました。後に、田中館長が知人の刀剣研磨師の方に意見を聞いた上でしたか、拭いの手法を駆使して効果が上がったとの事でした。
鏡作りは砂型の作業からスタートです。先ずは鏡の裏側と成る面の模様を選んで貰い、その後は型用の砂をザル等で篩いつつ詰めて行きます。下掲一つ目は、珍しくペンギンが選ばれた所です。
亜鉛合金を溶かして、完成した砂型(表裏二つセット)へ流し込みます。結構、御自身で挑まれる方が多かったものの、概ね上手に熟されていました。
或る程度、冷えた時点で型枠から出します。
鏡本体から余分な所を切り落とし、各所の面取りの後に鏡面と成る部分をベルトサンダーで削ります。
其の後は、只管に手作業で研磨して行きます。人造の粗砥と中砥、更に中仕上げの後は青砥に移行します。
最後は研磨剤(番手違いで6種ほど)を撒いた布の上で磨きます。更に必要であれば、ダイヤモンドペーストを用いて仕上げます。
今回の鏡製作体験も、参加者の方々には楽しみつつ作業をして頂けた様子で、嬉しく思います。現物の仕上がりも大きな瑕疵が無く安心しました。今後も砥石館でのイベントに関心を持って頂けましたら幸いです。
(おまけ)何時も通り前日から現地に入っていたのに加え、有志の方宅へ泊めて貰う際に、何らかの料理を要求された事も変わらずで(笑)。
オムライスとのリクエストでしたので、鶏胸肉・エビ・玉葱・人参などを炒め、簡易的ながら固形のコンソメとジュース・荒濾しのトマトで米を炊きチキンライスに。
当初の目論見では柔らかオムレツに切り込みを入れ、ライスの上で広げる心算でしたが、鋳鉄の広いフライパン・慣れないIHの組み合わせに手間取り、薄焼き卵で包みました。其れでも厚くて歪に成ってしまったのが悔やまれますね。
後は前回の会話中、黄色いズッキーニを知らないとの事でしたので、持参して切り込みを入れた上で塩を。出て来た水分を拭き取りオリーブオイルでソテーし、塩+黒胡椒した有り合わせのブナシメジにクローブ・シナモン・コリアンダー・千鳥酢でソースっぽい物に。
亀岡へ向かう途中に有るので、時折り立ち寄る秋鹿の濁り酒を一本、進呈しておきました。
過去にオムライスは、ケチャップライスの物しか記憶に無い為かピンと来ていない様子でしたが、ズッキーニと濁り酒は分かり易かったのか評判は上々でした。まあ、基本的に酒なら大抵の物は嫌がらない気もしますが・・・。
残りの秋鹿は全て、親への御土産です。自分用(主として料理用)は大阪の量販店で「千秋」・専門店で「秋鹿」等の何れかを買えますので。対して、この種の季節ものは、出荷時期に手間を取らせてしまって恐縮ながら、入手のチャンスかつ現地で買うのが楽しくも有り。
未だ来年以降の砥石館イベントに、私が呼ばれる予定も聞いていない内から「次に作って貰う料理を考えて置く」と言われても、そんな機会が有るのかどうかも不明だし、特別に料理が得意でも無ければ、作れるレパートリーが多い訳でも無いぞと釘を刺しておくのを忘れなかったのは、良かったと思います。