ランボーナイフ2種

 

以前に一度、ランボー3のモデルを商品化したナイフを研がせて頂いた御近所さんから再度、研ぎの御依頼を頂きました。

前回は電話にて、当日持ち込みの当日返却を御希望で。普段は中々、電話に出るタイミングも難しかったり、研ぎ上げる時間的な兼ね合いも有って、御断りせざるを得ない内容だったのですが偶々、昼から夕方までの猶予も有り、御受けしました。

商品の性格上、デザイン優先だからと言うだけでは無いと思われますが、ナイフの一般的な刃付けの中でも大らかな初期状態であったと記憶しています。1~2日後に、キャンプ若しくはアウトドア御飯の予定だとの御都合も加味し、強度と切れの両立を図った仕上がりを目指して研いだのですが、結果としては御不満も無かったとの事。

 

其れが下掲の画像で、少しの使用による切れの低下を回復する程度の研ぎをと。

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全長46cm、刃渡り30cmの中の一部には、確かに少々の損耗が見られました。

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もう一つは今回が初めてとなる、購入し立てのランボー2のモデルです。

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上掲のランボー3の初期状態よりは、整っては居るものの、荒く削ったり叩き付けたりするには困らないか?レベルの刃付けです。

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或る意味では、安定した小刃の付け方では有るのですが・・・刃先最先端の部分的な潰れが目立ち、そもそもの刃先の鋭さが不足している状態。(例え如何に鈍角であっても必要な精度は不変)

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研ぎ始めは「2」の方からダイヤモンド砥石で。刃先に返りが発生する程度まで研ぎ下ろす事に加え、初期状態の小刃の幅を僅かに広げながら、切っ先方向へ向かって鋭角化して行きます。

「3」とはメーカーが異なるそうなのですが、此方の「2」も刃元の角度が他の部分と齟齬が見られましたので、削りシロを余分に増やす事を避けつつ、バランスが取れる範囲で収めました。

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320番の人造で、上記内容の精度を高めつつ、研ぎ目を細かくして行きます。

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1000番と3000番に繋いで、更に研ぎ目を細かく。

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天然に移行し、対馬です。此の段階から、限られた小刃の範囲の中で角度の研ぎ分けの準備に入ります。

最終的な微調整は仕上げ砥石に譲りますが、土台の小刃は初期の小刃に比して僅かに鋭角化。然る後、小刃のスタート部分へ向けて漸次、鈍角化します。

仕上げ砥石に移ってからは、逆に刃先最先端へ向かって刃先を漸次、鈍角化しますのでベースの部分に対して両端を鈍角化している事に成りますね。

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中山の中硬~やや軟口の、恐らくは合いさで仕上げ研ぎ。

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最終仕上げは、中山の天井巣板らしきカラス混じりの巣板、やや硬口で。

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研ぎ上がり、全体画像です。

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刃部アップ。「3」と違ってホローグラインドの部分が狭いので、小刃の部分の厚みは「2」が勝ります。従って、余り刃先最先端を鈍角化せずとも強度が担保される為、刃先の角度変化は少な目です。(角度変化は少なく段階数も少ない)

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刃先拡大画像です。上記内容を示す様に、小刃の始まりと最先端以外には角度差を現わす等高線が三本前後のみ、確認出来ます。

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「3」の方も大まかには同じ工程ですが、損耗が少なかったので天然砥石のみでの研ぎです。

対馬に始まり、

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中山の合いさ、

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戸前に近い質感の硬口巣板、カラス混じりです。

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研ぎ上がりです。

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此方は、ホローグラインドの部分が広いので相対的に刃先の厚みが薄目です。従って、強度を保つには最先端へ向かって急激に鈍角化する必要が有ります。

上記内容は下掲の画像に現れている通り、最先端へ近付く程、等高線の間隔が狭まって居ます。

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御依頼主のH様は、ナイフ好きかつアウトドア好きらしいので、私が関の先輩へ発注している刃物の話しもさせて頂いた所、興味を持たれました。(骨スキ改の発案者の方の筋引き・名古屋の方向けの牛刀・自分用の切り付け包丁風と柳葉風)

下掲の手持ちを例示して、御好みの形状・刃長・刃厚・ハンドル材を選択可能だと御伝えしました。すると御手持ちのユーティリティタイプの発展形を想定し、御依頼を示唆されて居ました。

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H様には此の度も研ぎの御依頼、有り難う御座いました。またナイフの発注の方も、御心が決まりましたらデザイン画或いは現物の画像を添付の上、メールにて御知らせ頂ければと思いますので、宜しく御願い致します。

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

 

作業場に置いている包丁の手入れ

 

久々に、手伝い先の作業場に置いている包丁の二本を持ち帰り、手入れをする事にしました。一本は16cm×3.5mmの骨スキ改(手持ちには4.5mmバージョンも有り)、もう一本は24cmの牛刀ですが、前者(初期から相当にベタに仕上げて有りました)は切り刃の形状を抜け・走りを意識した仕様への研ぎ直し。後者は、刃先周辺の厚みが若干ながら増して来ていたので、少し広範囲に厚みを抜く事にしました。

 

 

先ずは、作業内容的に大掛かりと成る、牛刀の方からです。

現在の状態は、刃先だけの軽い研ぎを何度か繰り返す事により、主変部を含めて幾分、厚みが出て来ています。切る対象に因っては別段、不自由を感じる程では全く無いのですが、私の好みの状態に戻すだけで無く、より切り込み・カット仕事の仕上がり向上を目指す為です。

つまりは切れの回復に留まらず、徐々に完成度を高めるつもりで先延ばしして来た形状の不適切さの完全な解消を狙って、刃体の厚さ・角度変化の仕上げもしようかと。

因みに今回は、洋式の両刃構造を維持した厚み抜きを選択しましたが、刃体側面の全体と言わずとも大部分を削る作業は中々に大変ですので、もっと狭い範囲を切り刃的に削って和式に近い両刃にしたり、(芯材が中央に存在する三層利器材の類では不可能ですが)聞き手側の側面にのみ切り刃的な刃を付ける等の方が効率が良いと思われます。ただ片側のみの切り刃だと、切り進む時に逆側へ刃先が流れる傾向は付いて回りますが。

 

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峰側の四分の一を残して、残りの部分を刃先方向へ向けて荒目(120~180番)の耐水ペーパーを用いて厚みを抜いて行きます。中央部分は緩斜面、刃先へ向けては急斜面とのイメージです。勿論、切っ先方向へも厚みを抜きますが、此れ迄に残存していた切っ先手前の頑固な部分を念入りに減らしました。

逆に、刃先最先端に近い部分は不必要に薄く成るのを避ける為、1.5mmから2mm程の幅で、削らない様に留意しました。

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次いで、中目(240~400番)の耐水ペーパーで傷を浅くしつつ、全体を均して行きます。

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1000~1500番と順次、細かい耐水ペーパーで進めて行った後は、砥石で。此処までで刃先以外はフラット気味の薄い状態に成って居る上に元々、刃先の損耗は皆無に近く、またペーパー掛けでも不用意に接触しなかったので対馬砥石からです。精々が、狭めの小刃と言った範囲ですので研ぐ面積は小さいのですが、逆に数段階に及ぶ角度の研ぎ分けは其の分、より明確かつ精緻に行なう必要性が有ります。

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梅ケ畑の並砥~戸前と思しき中硬で、研ぎ目を細かくしつつ刃先最先端へ向けて漸次、鈍角化と刃先方向への鋭角化を進めます。

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やや硬口の中山の巣板・並砥で最終仕上げです。鋼材と熱処理の加減次第では有りますが、組織が細かくて硬さ・粘りのバランスに問題が無ければ、細かい砥粒・硬い砥面の砥石で仕上げる方が切れ・刃持ちに有利です。

刃先の条痕(研磨痕)が大きな場合は、刃線に並ぶ頂点を形成する山の数が少ない、つまり接地圧が高く摩耗が速い。逆に研磨痕が微細な程、山は小さいながら数が多く成るので接地圧が低く、摩耗が遅く成ります。当然ですが、切り込む対象が(意図的に固定された場合を除き)柔弱で不安定である程、緻密な刃先が求められます。大きな条痕を残したままでは接触する面・点の切れ込みで、より長いストロークを要したり、大きな山の頂点を食い込ませる必要から、より強く対象に押し付ける必要が有る為です。

まあ、硬い対象に付いても、荒い刃先では刃先の摩耗が速いのは変わりませんが、(周辺に引っかかる摩擦が強い為)刃筋を通す際の乱れが許容されたり、(細かな欠けに等しいレベルで荒いならば)切断面の状態を問わない限り相応に永く切れると言えなくも無いかも知れません。

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研ぎ上がりです。

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次は骨スキ改を320番からです。ほぼ完全にフラットな切り刃なので、使い手の好み次第で如何様にもアレンジが容易です。私の標準的な研ぎ方として鎬筋付近は、なだらかな角度変化。中央部分は急激に厚みを抜いて行き、刃先手前は更にフラットに。其の上で全ての範囲を切っ先に向けて鋭角化としました。

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次は1000番と3000番で、傷を浅く。

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天然に移行し、対馬ですが・・・想像以上に相性に優れ、切り刃全体の仕上げは対馬で丁寧に進める事で、完了としても良さそうです。

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最終仕上げは、梅ケ畑や中山の水浅葱の系統が良さそうで、逆説的に先輩が製作するVG10の組織が細かい(かつ硬さと粘りのバランスも良好)事の証明にも成りますね。荒い組織の刃物では、却って一段階・二段階ですが落とした粒度の砥石の適正が高い印象ですので。

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研ぎ上がりです。

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これで又、当分は軽いメンテナンスのみで維持が可能に成り、更に基本性能は、此れ迄以上の物を見せてくれるでしょう。

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骨スキ改を実戦投入しての感想は、正に期待通りでした。従来と同様、プラスチック真名板による刃先の損耗は問題に成らない事を確認。

上ミノの切り込み・カットは正直、初期段階の切り刃に小刃研ぎ(角度の研ぎ分け済み)だけでも充分に快適でしたが今回の研ぎによって向上、そしてアカセン・テッチャンの切り込み・カットは別物に成りました。

特にテッチャン(盲腸を含む)の、性状の異なる、しかも双方共に難易度の高い両面の表層のみに、浅く均一に切り込みを入れるのには貢献度が大でした。コリコリ(大動脈)の繊維質の薄膜も切り残しが出難く、柔らかく成りつつあるマルチョウの切り込みも、苦労が無くなり効果覿面でした。

 

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

 

直近で到着した包丁の研ぎ、後半

 

次の研ぎですが、実際に触るのは私も二回目、研いで見るのは今回が初めてになると思われる、司作の菜切りです。

類似の経験としては、数年前に一泊二日で日野浦さんの所で御世話に成り、鍛冶体験として菜切りを作らせて貰った際の物だけです。

其れが下掲の参考画像です。

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今回に送られて来た菜切り、研ぎ前の状態、右側面。

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同じく、刃部のアップ。画像手前の左寄りに、小さな捲れが数ヶ所、確認できます。

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左側面

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研ぎ始めは、成の中砥の粒度別の二種類です。司作の切り刃は相当にフラットかつ薄目ですので、特に初期からは出来るだけ厚みを減らしたくない点、そして研ぎ目は細かく仕上がって居るので何段階も(荒い方に)戻って研ぎ直す必要を感じない為です。

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下画像は、少し前に田中砥石で薦めて貰った試作品的な砥石です。天然砥石の粉末を豊富に含んだ砥石ですので、当たりがソフトで仕上がりも相応に細かい印象です。

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其れを用いて更に、不必要に減らす事なく、研ぎ目を消しつつ切り刃の構造を調整して行きます。鎬筋から刃先周辺までは、殆どベタに近い形状を活かしつつ、切っ先方向へテーパー化(初期の切っ先側の数cmは、やや厚みが残存)。

刃先数ミリの範囲では、最先端に向けて漸次、鈍角化かつ切っ先方向に向かって鋭角化します。

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天然に移行し、対馬です。切り刃構造全体の精度向上、加えて研ぎ目を小さく。

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丸尾山の蓮華巣板で仕上げ研ぎ。

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中山の戸前・巣板の中硬で最終仕上げ・・・と思いましたが、もう一段の切れ向上を見込めると判断。

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やや硬口の中山の巣板、戸前っぽい物で仕上げました。

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研ぎ上がり、右側面です。

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同じく刃部のアップ。

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左側面です。

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T様には、此の度も包丁の発注・研ぎの御依頼を頂きまして、有り難う御座いました。私の手持ちから同時に御送りしました、六寸の三徳は今回の菜切りとは地金・刃金ともに異なりますので、切れ・永切れ以外にも研ぎ肌の違いとして現れると思われます。其の辺りも楽しんで頂ける方だと感じていますので、何方の包丁も可愛がって頂けましたら幸いです。

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

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直近で到着した包丁の研ぎ、前半

 

数年前に、司作三徳五寸五分の注文を頂いた東京のS様の分と、北海道のT様の分の五寸五分の菜切り(此方は案内が来たので御紹介)が到着。ほぼ時を同じくして、関の先輩から名古屋のM様の骨スキ改と、自分用の骨スキ(世話に成って居る人へのプレゼント用)が届きました。

 

 

司作三徳

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司作菜切り

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骨スキ改(刃渡り21cm・ココボロハンドル+黒スペーサー・ステンレス+ニッケルシルバーのカシメの表裏ミラーフィニッシュモデル)

此れのバランス(刃厚を含めて確りして居るのでアウトドア風味を感じる程)と、使用されているココボロの質の良さを目の当たりにして、次の注文で自分用に21cmの筋引きを少し薄目の同じ仕様でと、頼んでしまいました(笑)。

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骨スキ(ブラックマイカルタ+赤スペーサー・ステンレスカシメ・表裏ミラーフィニッシュモデル)

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送られて来た二本の司作ですが、何方も研ぎを御希望で。とは言っても、何れも両刃の和式ながら、三徳は刃先調整のみ・菜切りは切り刃の全体の研ぎです。

T様の方は何時も通りですが、S様の分は(標準的な司作は汎用を考慮すると鋭角に過ぎるキライが有る為)研ぎ依頼を頂いて良かったなと。何故なら今回の刃先は二本共、小さいながら捲れが数か所に点在。恐らくは柄入れ・保管・輸送の段階の何処かで何らかの接触が有ったものと思われます。

あと、三徳に限っては刃先の一部に、鍛え傷と思しき箇所も見受けられ、研ぎにより切れには殆ど影響が無くなる迄、持って行けたので良しとしました。(S様には報告して承認済み)

 

 

 

三徳の研ぎ始めは、対馬からです。薄目設定である初期刃付けの切り刃に対し、より実用的な刃先角度(刃元片側40度強~切っ先側片側30度弱)で、糸引きレベルの研ぎですが、捲れが消えてからも一か所、手強い欠けに見える部分を発見。

周辺の状態を含め、其れが鍛え傷と見受けられる物でしたので、刃先最先端に影響が無くなる迄、通常よりも研ぎ進めました。

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愛宕付近と思われる砥石で仕上げ研ぎ。

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中山の合いさっぽい物で、最終仕上げです。

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研ぎ上がり、右側面です。刃先の糸引き程度では、違いの判別は困難ですね。

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刃部のアップ

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下掲の画像の左寄り、刃線上の側面に見える錆や欠けに酷似した部分の横、右方向の範囲にも痕跡が確認出来ます。まあ、この後は研ぎ進めて行けば消退するだけで在り、現状でも過度な衝撃などを与えなければ強度的にも不安は無いと考えます。

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左側面です。

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次は骨スキ改では無く、正真正銘の骨スキです(笑)。骨スキ改は、基本的にガラスキ程には幅広で無く、やや筋引きに寄せたデザインと成って居ます。その意味では此のモデルは本家本元の骨スキ(手伝い先で使用中の正広製と同クラスの最小サイズ)と言えます。

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研ぎ始めは、ダイヤからです。別に、研がずとも当分の間、其の儘で使える程度には刃が付いていましたが、念の為にと。敢えて理由を挙げるなら此のシリーズ、始めの0.5mm程が研ぎ減ってからの切れを知った後では、早く本領を発揮して欲しくなります。

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人造の1000番と3000番で。小刃に近い幅ですが、切っ先方向へ鋭角化しつつも刃先へ向けて三段階の鈍角化のハマグリに。

刃元付近の切り刃には、完全なベタ研ぎよりも僅かに厚みが(他の部分に比べ)残って居る様子にて、浅い擦過痕が。目の細かいペーパーとダイヤモンドペーストで粗方は見掛けを整えて置きました。

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対馬で大まかに傷を消します。

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馬路で更に細かく傷消しと、精度の高い刃先の形成です。

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中山の巣板、やや硬口で仕上げ研ぎです。

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同じく中山の巣板層の産ですが、戸前に近い質の物で最終仕上げとしました。

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研ぎ上がりです。

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東京のS様と名古屋のM様には、此の度の包丁の御注文を有り難う御座いました。(M様には、此のモデルで問題が無いか確認中ですが)もしも御手元に届いた際、気に成る点など有りましたら、御知らせ頂きます様、御願い致します。

北海道のT様の分の菜切りは、後半として次の記事にての記載に成ります。

 

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

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少し前から最近の事まで

 

 

春も御終いに近い頃、田中砥石店への買い付けの序でに、漬物も買って帰りました。

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何時も購入する主な物は、すぐき・賀茂しばです。

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この時期は、小さい大根が有りましたし、母親が好きな桜湯用にの桜花の塩漬けも。

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蕗の薹は父親向けで、合わせて帰省?の時の土産にと買い求めました。

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珍しかったのは、菜の花漬けと並んでスグキ菜の花を付けた物が。同じアブラナ科の為、わざわざ花を採る目的で(スグキを採取する為に種をまくには時期外れながら)栽培したそうです。

残念ながら私程度では、漬物に成った両者を峻別するのは困難で、僅かに違いは有る物の、同時に食べ比べ無いと単独では当てられないのではとの印象でした。まあ、初めての邂逅でしたので慣れれば何とか成るかも知れませんが(笑)。

そう言えば最初にスグキ(なり田の)を食べた時も、スグキ菜と塩のみで乳酸発酵させた味わいが淡白過ぎて、美味さを実感するのに三回くらいは掛かりましたね。この両者も後年、味わいで何方かを言い当てられる様に成りたい物です。

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偶々ですが此の度、久方ぶりに建物ごとリニューアルした大阪市立美術館で国宝展が開催されて居ましたので、子供の頃以来に成りますが拝見して来ました。(以下、建物の外観等は閉館日である前日に、様子を見に行った際の画像です。庭園は、当日に出口から見えた範囲の画像です。)

通路に面した門をくぐった所から見える建物の側面。

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此方が正面です。階段の脇からも(バリアフリーの)入場が可能な様子で。

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振り返れば通天閣が見え、足元には動物園に繋がる広い道も。

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美術館を出ると、隣接する庭園(画像は未だ違うかもですが)が有り、憩いの場ぜんとした趣きです。そう言えば、此方に向かって通って来た場所も(てんしば)家族連れや愛犬家でにぎわって居ましたが、其方と違って落ち着いて居ます。

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折角ですので出口の手前にあるグッズ売り場で、クリアファイルと手拭でも買って見るかと。

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てんしばを通って自転車置き場へ向かう途中、ピッツェリアが見えたので窯と薪で焼いて居るのを期待して、立ち寄りました。

どうせならと、水牛のモッツァレラチーズを使った方のマルゲリータを注文しましたが満足の味でした。店内の雰囲気的には、酒を頼まない人間が、ふらりと立ち寄るのが少々ながら憚られる様な気もしましたが(笑)。

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また、以前に購入のヘンケルスのツインセルマック(恐らくはZDP189)のテストを常備菜のミネストローネその他で。

廉価版・標準品のヘンケルスと比べて、刃体の刃先側の三分の一程の厚みの取り方が、フラット過ぎずにラウンド形状気味なので、其の部分の側面抵抗が低減しているのを感じます。

小刃の付け方は、個体差で無ければ(大まかに)カーブ手前までとカーブから切っ先までとで、角度が変わって居ましたので使い分けを企図して居るのかなと。

刃先の耐久性は、変に硬さを追求して居らず、かと言って(高硬度を狙った鋼材に半端な熱処理を施した製品に有り勝ちな)粘りが強過ぎたり組織が粗大に成っても居ず、良いバランスに収まって居る印象でした。

ただ、やはり直線的な部分の小刃が同一角度ですので、強度の有る対象には押し切りと引き切りで使い勝手が近似で。途中、仕上げ砥石で刃先最先端に角度的なテーパーを付けた所、少し引き切りが楽に成ったり。

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何度目かの心臓を購入し、掃除と柵取り・即時に食べる用と冷凍用に分けました。

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冷凍した物を解凍後、ドリップを除去して切り分ける際には、炭素鋼の物を使う事も有ります。食味(味と香り)がサッパリしている個体への対処だったりしますが、やはり刃体が薄い刃物の方が、特に薄切りには有利ですね。最近で一番、使っている骨スキ改は刃厚が4.5mmですので。

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更に、初めてと成りますがツラミ(頬肉)も変えましたので、其方も同様に進めます。片側の白さ(脂)の付き具合に若干、驚いたのは秘密ですが・・・この個体はホルスタインでしたので、和牛に成れば少しは異なるのかなと。

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何とか、筋と脂を除去できました。

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家庭用の冷蔵庫から取り出し、冷房を付けない室内で成れない作業をした御蔭で、結構な温度に成ってしまったからか、骨スキ改で綺麗に切るには柔らかくなってしまった様です。こう言った場面では、筋引きや柳・薄目の牛刀などが重宝するでしょう。まあ、そもそも確り冷却・室温も低く・作業慣れしていれば問題は無かった筈ですが。

とは言え、手伝い先でのアカセン・てっちゃんの身に、切り離さない範囲で薄く切り込みを綺麗に入れて行く作業に比べれば、難易度は常識的な範囲に収まる種類では有ると思います(笑)。

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先々週でしたか偶然、電話に出られるタイミングで問い合わせを頂いて、当日預かりの当日渡しを初めて敢行。昨日の購入したナイフを、次の日のキャンプで使いたいとの事で、三時間少々の時間を貰って研ぎましたが、分かる人には分かると言うべきか、物が物でしたので(全長46cm・刃渡り30cm・ハンドルに手が回り切らない)時間一杯まで掛かってしまいました。

御近くなのにも関わらず、当方の所在地が分かり難いとの事で、受け取り・御返しも近所の神社前でしたが、御渡ししてから長時間、喋ってしまいました。その際に御伝えした様に、電話では対応出来るタイミングに限界が有りますので、メール(家計のGmailの方)にてお願い致します。

あと、留守電に入れて頂いたメッセージは間違いなく確認していますが、当方の留守電は古い為、先方の電話番号は自動で表示してくれませんので、折り返しが必要な場合は恐縮ですが口頭で番号を御願い致します。

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現在、ホームページに記載しているアドレスからの御依頼・御問い合わせが不調に付きまして、御面倒を御掛けして居ります。下記のアドレスから宜しく御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

最後は、御待たせして居ました司作の二本が届きました。調整が済み次第に発送の予定ですので、宜しく御願い致します。

東京のS様の御依頼分

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北海道のT様からの御依頼分

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下掲は空箱です。自分用として、また私の手持ち(研ぎ見本・試し切り兼用)の六寸の三徳を、T様に御送りする目的で取り寄せました。

六寸の三徳は、今回の発送に含まれていなかった為、急ぎでしたら私の手持ちでも・・・との苦し紛れの提案?を了承頂きまして(笑)。ただ、直近の製品とは刃金・地金共に異なるので、刃先の硬さと粘り・研ぎ易さ(刃・地共に)と言った性能だけで無く、研ぎ肌の違いも有りますので、その差を愉しんで頂ける方には、余り気兼ね無く御薦め出来るのも事実です。

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かなり、昔に購入の六寸の三徳。画像では分かり難いかもですが、マチの部分が小振りに成って居ます。最初に購入の五寸五分は、広めに取って有ったので、今回に送られて来たモデルとの中間モデルと言えそうです。時期に因るデザインの際からも、時の移り変わりが伝わりますね。

上掲の空箱の画像ですが、此の三徳を御送りするに当たって、改めて新品の箱が必要に成った訳ですね。その他の箱は、傷んで来た手持ちの交換用です。

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筋引きの御依頼、三例

 

手伝い先の方の中には、研ぎに関して興味が有る物の、御自身の研ぎ方に不足を感じたり、包丁の形状(主として刃線)の修正を希望される事が有ります。

過去にも御一人、御依頼を頂いた事が有りましたが、その後にも御二方から其々、時期をズラして同様の御依頼を頂きました。

 

 

 

先ずは、計二本を時間差で研いだ二人目の方の筋引きからです。

業務初期から使い続けていたと思われる、研ぎ減った状態でしたので、電動工具を用いて切っ先5cm程を切断。その後は刃元以外の刃幅を、可能な限り減らさない方向で刃線を整えます。

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ダイヤモンド砥石にて広目の小刃と言うより、狭めの切り刃に近付けるべく削って行きます。

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400番で切り刃の幅を広げつつ、僅かに切っ先方向へ鋭角化。

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1000番から3000番に繋いで傷を浅くしつつ、切り刃も拡張。

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天然に移行し、対馬砥石で改めて切り刃の成型。

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愛宕辺りと思しき、中硬~やや軟口の砥石で傷を浅くしつつ、刃先方向へ鎬筋から急激に鋭角化し、刃先直前から急激に鈍角化。

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中山の巣板、硬口の各種で仕上げ研ぎ。このモデルは柔らか目の焼き加減ですので、或る程度以上は細かい砥石で仕上げた方が刃先の確り感が出易いですね(砥石の研削痕による刃先の山と谷のサイズ・数の関係で、接地圧が分散されるので)。此の段階位からの粒度が、適正かなと思われます。

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もう一段の性能向上を目指し、水浅葱で最終仕上げです。

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上掲の仕上がりが御気に召したのか、次の殆ど新品の筋引きも、側面をピカピカにして欲しいとの事で。恐らく、汚れが落とし易くて錆も出難いので、便利だと認識されての事でしょう。勿論、刃も研ぐのですが其処は新品同様ですので、やや小刃の幅を広げて切っ先カーブ手前に在った「鶴首の成り始め」の修正程度で。

ただ、ピカピカと言っても仕上がり(追い込んだ傷消し・厚みの適正化など)と作業量により代金も嵩む為、汚れ・錆対策ゆえに程々までとしました。

 

右側面、全体画像。テープが巻かれて居るのは、滑り止めにペーパーを巻いたりもする様で、その際のアンカー見たいです。(人体へのテーピングの際、目的とする部位を挟んだ場所に、事前に土台にする為に巻いて置くアレ)

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刃部のアップ

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左側面

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研ぎ始めは人造の400番からです。刃先の摩耗・刃線の歪みを削り落としますが、可能な限り刃幅を狭めない様に留意します。

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人造の1000番と3000番で傷を浅くして行きます。

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天然に移行し、愛宕あたりの中硬~やや硬口の砥石で更なる傷消し。

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中山の巣板~合いさっぽいので仕上げ研ぎです。

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研ぎ上がりです。

右側面、全体画像

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刃部のアップ

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左側面

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最後は別人の所有の品(同一モデルではある)ですが、大幅に研ぎ減った訳では無いものの、特に切っ先寄りは新品時より刃幅が狭く成って居る状態です。

ただ、御意向を伺うと裏(左側面)はベタで研いで行く方針、との事で裏は出来るだけ平面に仕上げて行く方向に。

研ぎ前の状態、右側面。

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刃部のアップ

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左側面

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研ぎ始めは、人造の180番です。刃線の歪みと刃先の損耗を削りつつ、刃幅の減りを最低限に抑えます。

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400番で傷を浅く、小刃の幅も広げて行きます。

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1000番と3000番で、更に傷消しと小刃の精度向上を。僅かに切っ先方向へ向けて鋭角化して有ります。

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天然に移行し、対馬です。小刃の始まり(鎬筋に当たる部分)から、刃先方向へ急激に鋭角化・刃先直前からは急激に鈍角化。

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赤ピンの中硬~やや軟口で傷消し・仕上げ研ぎです。

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中山の巣板各種(実際には他にも、数種の巣板系の砥石を取り混ぜて)使用し、平面度を上げつつ相性の良い組み合わせを模索しました。

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三本とも同じモデルの製品ながら、各人・各状態に合う仕様に仕上げられたと思いますので、仕事場で活躍してくれる事を願っています。此の度は研ぎの御依頼を頂きまして、有り難う御座いました。

 

 

 

 

現在、ホームページ不調の為、御面倒を御掛けして居ります。研ぎの御依頼・御問い合わせの方は、下記のアドレスから御願い致します。

togiyamurakami@gmail.com

 

 

 

 

 

カスタム包丁シリーズ?の到着

 

関の先輩から、注文していた包丁達が届きました。私が服部刃物に居た時からの仲で、当時から丁寧な仕事だと感じては居ましたが後年、僭越ながら更に技術の向上が見て取れます。

今回は合計で六本を依頼したのですが、其の内の二本は自分用です。前回の分の内、骨スキ改の長い方(18cm×3.5mmの刃体+ミラーフィニッシュ)も欲しく成り、追加してしまいました。ハンドル材は紫檀・黒檀も良かったのですが、偶々に提案された中で興味を引かれたパープルハートです。カシメはステンレス+ニッケルシルバーとしました。

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もう一本は前回同様、刃渡り16cmながら厚さは3.5mmとしました。手伝い先で使う想定ですので、出刃要素は必要最低限かつ長時間の使用が見込まれた事、更には市販品のプラスチック製の鞘に合致する様にです(4mm厚では無理だったので)。

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下画像は、左が16cm×3.5mm+ブラックマイカルタハンドルで、右が以前の16cm×4mm+紫檀ハンドルです。

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双方、自宅でも作業場でも、特に肉類の切り分けで活躍してくれています。最近は両親用のハラミ、自分用のココロを大人買い?して居るので助かります(手伝い先に感謝ですね)。

余分な脂肪を切り落としたり、柵取りするだけなら筋引き・牛刀で良いのですが、特に余り身離れが良くないメンブレン等を剥がす際に便利です。他にも自宅では対象にしませんが、上ミノ・アカセンの筋繊維への切り込み、てっちゃん・こてっちゃん・アカセンの軟質面に皮一枚への切れ目、コリコリ(大動脈)のガーゼ風の繊維膜を剥がすのにも。

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因みに先輩によると、焼き入れ~焼き戻し(サブゼロ含む)迄の熱処理を外注し、包丁達が返却された時点で服部刃物での焼き入れ作業が有った為、タングの焼き戻しが出来たとの事です。

熱処理工場では通常、タング部分の焼き戻しは行われないので、其の儘の出荷が大半ですが、適切な戻し(軽くで無く、数値的に最も硬度が落ちる温度で処理)を行なう意味は大きいと。

叩いて使う刃物は勿論ですが、薄い刃体に顕著だと思われる「ボルト類の穴からヒビ」への対処も見落とせない点で、カシメピンやファスナーボルトなどが錆びると、直径が僅かに広がり、それが穴を押し広げてタングの破断に繋がるリスクに成るそうです。

だからでしょうか、骨スキ改を除いた全てのタングに戻しを掛けてくれたそうですが・・・序でに骨スキ改にも施したって良かったのではと言う気がしないでも無いですね(笑)。まあ、其れ程に必要性が低かったという事なのでしょう。

 

 

 

 

さて本題の依頼品ですが、北海道のT様からは中華包丁とペティの注文を頂きましたが、既存の作とは違いニッケルシルバーのヒルト(鍔)が付いた仕様でした。

T様からはメールでの遣り取りを通じて、マトリックスアイダから出されている金属用の接着剤の情報も頂いたので、先輩に伝えた所、作ってみようと意欲を見せてくれました(笑)。溶接や銀蝋付けに関しては、フラックスに因る錆・熱の影響に因る折損が心配と乗り気では無かったので丁度、打開策として妥当だったのかも知れません。

刃渡り22cmで少々、長目ゆえか中華包丁に慣れている訳では無い私ですが重めなのかなと。その長さと刃幅の広さで歪の出方も複雑だった様で、修正が大変だったと。加えて、磨きの工程で手作業の段階になった際、其れまで見えて居なかったイモが複数、出現したのも困ったらしいですが・・・此れを削り落としても次の面で出現しないとも限らず、厚み・重さのバランスが変わるのは必至の為、無理に削り直しをしなかったのは妥当と思われます。

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研ぎ始めは、ビトリファイドでは無い人造600番と1000番から。初期状態の刃先の薄さと角度から、其れ程には減らさず仕上がると考えての事です。

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傷が浅いので次は、天然の対馬砥石です。

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やや軟口~中硬の赤ピンに続き、奥殿の巣板?中硬~やや硬口で研ぎ目を更に浅く。

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仕上げとして中山の水浅葱二種、超硬口で。の筈でしたが、未だ一皮、剥かないと本来の性能が発揮し切れて居ない感触でしたので。(先輩の手に成るVG10では通常、新品時から殆ど慣らしを必要とせず、微細な組織で滑らかさと掛かりの良さが両立する)

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現状の刃先の特性である、掛かりの強さを活かしつつも滑らかさを付加する方向で、奥殿の巣板(黄色+紫の超硬口)で最終仕上げとしました。

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ペティの方も、ヒルト付きとミラーフィニッシュで仕様は同じながら、ハンドル材は御希望通りにブラックマイカルタです。

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ほぼ研ぎの流れも同様で、人造600番からの1000番へ。

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天然に移行し、対馬砥石。

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やや軟口~中硬の赤ピンから、奥殿の中硬~やや硬口で仕上げ研ぎです。

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中山の超硬口の水浅葱と、超硬口の奥殿の巣板で適切な方を選んで最終仕上げとしました。

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次に、北海道のS様から御依頼の洋出刃です。刃渡りも24cmと長目ですが、厚みも相当に有るので重量感が凄いです。此方は研ぎを施さない儘での発送です。

半諸とも言うべき、左右の側面の肉の取り方を違えたハマグリ風の刃体形状として有ります。

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そして、ベスパのディ―ラーの方からの御依頼、21cm牛刀です。黒檀柄(縞黒檀)にステンレス+ニッケルシルバーのカシメ。

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明確な小刃と言う程の刃先では有りませんでしたので、研ぎ始めは対馬砥石からとしました。

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梅ケ畑の赤ピン、中硬で仕上げ研ぎです。

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最終仕上げは奥殿の天井巣板、中硬(カラス・薄紫)で・・・と考えたのですが、もう少し硬目の奥殿の巣板を選択しました。

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此の度は各種、包丁の御依頼を頂きまして、有り難う御座いました。御希望の仕様を伝えての受注生産でしたので、相当に御好みに近い仕上がりに成って居ると思われますが、問題など有りましたら御知らせ頂きたいと思いますので、宜しく御願い致します。

 

 

 

 

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東京のN様からBUCK110の研ぎの御依頼

 

東京のN様から、110を送って頂きました。長く製造されているモデルですので、ブレードに使用されている鋼材も440c・425モディファイト・420と変遷を重ねている様です。但し、単なるコストダウン的な意味合いかと心配したりしがちですが、最後の420に関しても「ボス焼き」と言われる専門家監修の熱処理に因る為か、結構な性能を持っているとの認識です。少々、粘りとか組織の細かさの面からは結構、性格の違いも感じますが。

N様からは、メールによる遣り取りの中で、81年まで・91年まで・以降現在まで、の年式で鋼材が変更されているとか、94年からはハンドル材が合板に成った等の情報を頂きました。合板の件は存じませんでしたので、予想外で驚きました。前述の様々な条件からは、今回の110を81年製と予想されているとの事でした。

そして御依頼の動機としては、私のホームページ(連絡を取るツールとしては絶賛不調中)の中で司作の三徳を研ぎ上げ、髪の毛を切っている動画を御覧になった事・御自身のメンテナンスとして皮砥+研磨剤でしょうか、ストロッピングを行なって見るも思う様な切れに成らなかった事からだそうです。

 

 

 

研ぎ前の状態

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初期刃付けの儘と思しき小刃の状態

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鈍角な一定角度かつ荒い研削痕が残存したままで、御希望の切れには届かなそうです。

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研ぎ始めは、人造の320番です。初期の小刃は相当に鈍角でしたので、充分な切れが出せる角度で研ぎ直し。加えて、刃線が僅かにS字状な点・左右のホローグラインドの肉の取り方の違いから、左右の小刃の幅が異なる点も含めて、バランスを取ります。

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次いで、研磨力と平面維持に優れる1000番です。やや広げた小刃の先端に、必要な(耐久も期待出来る)角度調整を。

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研ぎ目が浅い1000番と3000番で刃線の修正・研磨痕の軽減。

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天然に移行し、丸尾山の黒蓮華の中硬です。化学的な反応ゆえか、山の名前に限らずステンレスに対して研磨力と切れに優れる傾向が見られます。

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同系統の、より硬く煙硝っ気の強い物。

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馬路の戸前系統。

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八木の島の蓮華巣板の後、大平の蓮華巣板です。

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中山の戸前っぽい硬口で最終仕上げとしたのですが、髪の毛も切れる位・・・と成ると(各個体の状態から私が実用的と判断した刃先角度を下回らない範囲では)、もう一段の向上が狙えないかなと。

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此処からは、もう必要以上な試行錯誤か、砥石との相性判断を絡めた紹介に近いかも知れませんね。或いは、手持ちの仕事用砥石の点検とか(笑)。

数年前に砥取家経由で購入の、畑中からの硬口の細かい砥石(水浅葱ですが薄い緑がかった物・均一な色調の物)で。一方は例の判子付きだったり。

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やはり、細かい程に効果が出る鋼材・熱処理ばかりでは無いので、田中砥石の超硬口の合いさ系統で。

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同じく超硬口の戸前系統で。

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田中砥石で入手の水浅葱、黒っぽいのと白っぽいので。

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畑中からのレーザー型。

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同じくレーザー型の層違い。一方は例の判子付きだったり。

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かなり昔に水野鍛錬所で買い求めた菖蒲。余り硬くも無いのに、光り系の仕上がりに成りますが、砥面に吸水する薄い筋が見えるので、使用を控えていますが扱い易く切れ・外観の仕上がりも良いタイプです。

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奥殿の黒蓮華(蓮華控え目と言うより紅葉か?)の硬口です。

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奥殿の天井巣板の硬口です。

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奥殿の天井巣板、超硬口(無地)です。

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奥殿の黒蓮華、超硬口です。此処まで、何れの砥石でも充分な切れを出せたにも関わらず粘って来たのは、必ずしも髪の毛を切るに適している鋼材+熱処理では無いナイフの潜在能力を探る為でした。

単に切れれば良いなら、刃先角度を鋭角にすれば良いし、何なら研磨力に優れる人造の仕上げ砥での鋭角研ぎならば労力も掛けず可能でしょう。其れをしないのは、髪を切る道具としたく無いからで飽くまでも、実用性を損なわない範囲で仕上げたかったからです。

基本的に、此の手のナイフであれば片側30度より鋭角にすると刃持ちに不安が出るので(丁寧に使う人が無理の無い対象を選ぶなら大丈夫)、精々が片側25程で纏めたかった訳ですが・・・何とか成功するまでに此処まで掛かってしまいました。と言っても、最後の三種は僅かに25度を切る角度で妥協してしまいましたが。

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研ぎ上がりです。まあ、洋包丁・ナイフは近影でも研ぎ前後の変化の判別が困難だったりしますが。

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N様には此の度、研ぎの御依頼を頂きまして有り難う御座います。昨日に発送しましたので、予定では明日に成る到着まで、今暫しの御待ちを御願い致します。

御希望に沿う様、切れと永切れのバランス的には切れ優先気味の研ぎとしましたが、御手元に到着後の御使用で、御不満が有りましたら研ぎ直しをと考えて居ります。其の場合、汎用性を旨とするアウトドアスポーツナイフの本分からは些か、逸脱するものの切れ最優先に研ぐ事も可能では有りますので、御送付ください。

 

 

 

 

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先週の砥石館イベント

 

先週末は、亀岡にある天然砥石館のイベントに参加していました。イベントは土曜と日曜に渡っていて、肥後守を刀剣風に仕上げる一日目、砥石の目利き講座とハマグリ研ぎ講習の二日目でしたが、その内容の全てに申し込まれている方も居られ、その熱意に驚かされました。

 

 

(館内には新し設えも増えていました。)

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一日目の肥後守の研ぎからですが、意外と研ぎ自体が初めてと言う方もいらっしゃったので適宜、説明や形状の修正も加えながら進んで行きました。

基本的には人造の400番あたりからのスタートで、次に1000番を経て青砥、中硬の巣板(相当の合砥)の順に移行します。

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青砥も個体ごとに個性が有る為、相応に使い勝手も異なり、幾分は手こずる場面も。硬さ・泥の出方・滑走の程度がマチマチで、目的に応じて選択出来たりを楽しめるとも言えますが。

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最後は巣板です。

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仕上げに、天井巣板(奥殿産)の小割りを用いて、化粧研ぎです。より、地金部分の曇りを強調したり、研ぎ目を細かく揃えて綺麗に。

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二日目の前半の砥石の目利き講座ですが、事前の打ち合わせで私の砥石選びに於ける、選別の基準となる見解を砥石館側と共有しました。イベント進行用の簡易な分類表を作る場面から、白熱した議論も交えつつ大枠での指標が完成。

 

現館長と前館長も熱が入る打ち合わせ時の画像

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当日は、田中館長の仕入れた砥石と、下画像の私が持ち込んだ砥石を三つの分類に分けて並べました。其々、イメージが伝わり易い様に簡略に、サラサラ・スベスベ・ツルツルと呼んでいます。

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私自身が普段使っている砥石から、三つの代表的な物を俎上に上げて研ぎ跡を観察し、確認して貰う手筈だったのですが。地金が過敏に反応して研ぎ斑が出易いタイプ・少し敏感なタイプ・敏感で無いタイプの切り出しを用意し、その過敏な切り出しと難渋しそうな砥石達との組み合わせで挑んだにも関わらず、何れも問題無く仕上がってしまいました(笑)。

砥石選別に影響する要素の一つに上げていた、「研ぎ手の技量」が悪い方?に作用した形でしたが、参加者のY様の砥石が登場したので御本人の刳り小刀を試し研ぎ。見事、砥ぎ難いと言われた当該砥石で問題無く仕上げられ、申し訳無いですが持ち主との研ぎ上がりの差で御理解いただけたと思います。

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面白かったのは、と言うより新たな気付きを与えて貰う出来事も有りました。上記のY様(地元の生産者の自家消費分っぽい物や、鰹節の部位別などの御土産も御持参でした)が、御自身のポータブル顕微鏡で砥面を覗くと、私が分類した三種に一定の差が見られると教えてくれました。

自分では、指先の感覚で相当にハッキリ触知できる事・過去に見た拡大画像(低倍率のルーペ・200倍相当のモバイル顕微鏡)では余り判然としなかった事から、選別時に目視を重視して来ませんでした。けれど、今回は100倍前後の倍率が最適だった様で、砥粒の集まりの密と粗・先端の尖り具合・高低差が、かなり明瞭に比較できました。

そのポータブル顕微鏡ですか?勿論、帰宅後にAmazonから購入しました(笑)。御本人は以前、とても格安で購入との事でしたが、当日に複数人が検索・購入したからか相当、価格が上がって居ましたが・・・其れでも安価でしたので予備を含めて二つ。

 

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本体にはLED内蔵ですが、スマホのカメラを通すと白く飛ぶ為、側面から別の光源を当てて撮影しました。肉眼では、内臓の光源との相性が良いのか観察し易くて便利です。

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二日目の後半、ハマグリ研ぎ講習でも、Y様の装備が活躍しました。元々、砥石館で用意されていた、XYZ軸からの角度変化の其々を、リアルタイムでパソコン画面上に表示出来る機材の後継機種の様でした。

他の方は、砥石館の物を使って御自身の手振れのチェックに挑まれたり。

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中には、プラスチック素材に鉋を掛ける作業をされて居る方も。切れと永切れの両立を図りたいとの事で御参加でした。

此方には、(切れ優先の本体のハマグリは措いて置き)刃先ハマグリとしての多段研ぎ、つまり最先端へ向かうに連れて急激に鈍角に、且つ面積を狭く研ぎ進める研ぎ方を試して頂きました。

研ぎ上げた鉋の刃先を拡大してみれば、正に言葉通りの仕上がりに成って居り、驚きました。言われて直ぐに実現可能な難易度では無いと思って居ましたので(笑)。しかし同時に、安定した研ぎが出来る方にとっては、理屈通りに操作すれば別段、不思議では無いだろうとも。

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流石に、普段に相手にしている素材は御持参では無かった為、代替として檜の肌を確認されると、過去に例の無い位に鈍角に研いだ差は気にも関わらず、マズマズの艶を保っていた様子で、効果を実感して頂けたと思われます。

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あと、各種包丁類で切れのテストには新聞の束や、其れを捩った物・サランラップの芯を用いて確認しました。

どんどん手強い対象を相手にして行くと、抜けの軽さが重要に成って来るので、刃先の処理だけでは足りず、刃体本体の仕立ても問われる事に成るのが分かって頂けたと思います。

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土・日の各イベントに御参加下さった皆様には、有難う御座いました。

あと、今回は参加されないと認識していたのですが、直前に御参加を決定されて当日に対面を果たしたM様には、別れ際に失礼しました。意識から若干、離れてしまって居たので「出来上がったら連絡を」との御言葉に対して咄嗟に「先輩からは四月中に完成の予定との文面が」と答え損なってしまいました。そんな訳で、もう暫しの御待ちを御願い致します。

 

 

 

 

 

最近の事(近所の方への研ぎ講習や御返送の柳)

 

手伝い先の方(一応、担当部署は隣ですが御一緒する事も)の包丁を、仕事場で名刺大の砥石にて簡単に刃先調整した所、その性能から興味を持たれた様子で・・・早速、研ぎ講習を依頼されました。

砥石での研ぎは初めてとの事でしたので、完全に壱からの説明と動作の見本を示し、試し切りで切れを確認しつつ、その結果を拡大画像から推測する流れで進めました。

御持参の18cmと21cmの牛刀で其々、紙一枚・紙の束・捩った紙の束・サランラップの芯も使い、切れと切れの軽さを比較しつつ、320番⇒1000番⇒対馬⇒丸尾山の巣板⇒中山の順で仕上げました。勿論、各工程で私が研ぎ直しを加えながら。

取り敢えず、切れと永切れ・抵抗の低減を企図して、初期状態の小刃より少し鋭角に研ぎ直し。その後、刃先に鈍角目の糸引きを入れ、逆に小刃の開始部分の凸部に対しては、鋭角目に(寝かせて)砥石を当てて貰いました。

 

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工程を経る毎に、切れの滑らかさと鋭利さが増すだけでなく、抜けや走りの軽さ(側面抵抗の低減)を実感して貰えました。此の先も、自主練で研ぎの向上を目指して頂ければと思います。

 

 

 

 

後、先日に研ぎ上げて御返送済みの柳に付いてですが、結果を知る事が出来ました。現地に集まった其々、研ぎ済みの包丁(同一鍛冶屋・同一寸法での比較も有った由、レギュレーション?)による対決で、優秀な成績だったと。

と言っても、他の殆どはベタに糸引きだったそうですので、二種類のハマグリ(+切っ先への角度変化)を盛り込んだ私の研ぎ方は、もしかすると反則と言うかレギュレーション違反に問われる可能性も(笑)。まあ当然、現実には制限など有る訳も無いのですが。

しかし此れは、例えばボクシングや柔道のテクニックのみで総合格闘技の大会に出場するが如きで、客観的に不利と言わざるを得ないでしょう。評価が「切れ・永切れ・掛かり・走り・抜け」の各項目を問われる内容であるなら、ベタ研ぎ乃至はベタに糸引きでは刃先の強度に不安が出たり、段差による抵抗・側面抵抗の不可避が付き纏うからです。まあ仮に、世間一般でハマグリと認識される研ぎ方であっても、効果的な形状や計算通りの角度変化で無ければ、期待外れと成りますが。

従って今回、私の研ぎが他の全てと一線を画す評価に成ったとしても殊更、驚くに値しない事に成ります。審査項目に最も合致した方法論が、其の儘の結果に結び付いたに過ぎないからです。しかし乍ら巷間、特に最近に散見される尤もらしい言説、「ハマグリ研ぎにはデメリットが多い」に与する方々には、再検討を願いたい所です。少なくとも、何処の誰のハマグリ研ぎも同じでは無い、と言う当然の事実から目を背ける事無く向き合って頂けましたら幸甚です。(因みに大阪サミットでしたか、あれが有った際にも同様の試し切りが行われたそうですが、今回と同様の結果だったと聞き及んでいます)

 

ハマグリはロマン???私にとっては、実用一点張りですね。

 

 

 

 

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