中山の水浅葱の御依頼

 

御依頼を頂いていた水浅葱を選別する為に、先週末に田中砥石店へ出掛けて来ました。提示して貰い、当たりを付けた原石から切り分けられていた砥石達を、自分でも手伝いながら整形。

初めは一つくらい持ち帰れれば良いか?との段階でしたが、予備の一つと合わせて、三つの準備が整いました。事前の遣り取りでは基本的に、八十型・大き目レーザーの広目?狙いの心算でしたが・・・いざ切り分けるとなると、無駄に小さ目にする事に気が引けて、結構なサイズに(笑)。OKが出ると良いのですが。

 

 

此方で御世話に成って以来、最初に関わった原石が最もオーソドックスだった気がします。とは言っても其れは、白浅葱・水浅葱・黒っぽい浅葱と(大きな原石では有りましたが一つの中で)様々な色調と性格を見せてくれましたが。

それ以降の特徴としては、白浅葱に近い水浅葱・・・尚且つ墨流しや水流を想起させる模様の出る砥石が多かった印象です。白っぽくは無い水浅葱でも前記特徴は共通して見られ、今回の三つも同様でした。

余り模様や色調の変化に乏しい物(大人しいと言うか無難)と比較すれば、刃物の形状や鋼材(硬さか粘り?)・圧力や研ぎ進める内の砥面の変化により、滑走と食い付きが変化し易いかも知れません。硬さと細かさは勿論、研磨力と切れに関しては炭素鋼の切り出しによる平面研ぎ・糸引き。ステンレス包丁によるハマグリで優れた性能は確認済みですので、完全に個性と言えるでしょう。

 

 

では先ず、最も面積が広く難も無さそうだった物。現地でかなり、回転式の動力機械とダイヤ砥石により表裏共、其れなり以上には面を出して来ました。

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自宅で更に、ダイヤ各種により両面の平面度を高め、カシューで養生。

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研ぎ上がりと切れに問題無しですね。

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二つ目、少し色調に変化している部分が見られ、初期は研ぎ感にも違いが。ダイヤで面を整えて行くに従って、厚みが減って行くと其れも消退したので、其処で留めました。未だ残存する薄い茶色は、側面からの観察で先々には無くなると思われます。

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三つ目、上記の二つが想定した性能を満たして居なかった場合の為に、予備として持ち帰った物です。面積は最小ですが、厚みは最大でした。白っぽさでも、此方が随一では有りましたが・・・表層は色調の変化が複雑に入り乱れている様子。研ぎ感のバラツキも砥面の各所で現れ、側面から見る限り、数ミリ以上を減らすまで続きそうでしたので自分用に。

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扱い難さに加え、層割れに近いヒビ(細い物と極細の物)が二本、砥面の端から四センチ程ですが入っていたので、薄めたカシューで養生。此方も、細い方の一本(下画像の左下)は数ミリ減らした暁には消えそうです。

質的には、私の希望していた白っぽい物の予備として相応しいので、或る程度を減らした頃には扱い易い厚さ(台要らず)と相俟って、万全の状態に成ってくれるでしょう。

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何度も面直しを繰り返すと、その度毎に砥面の反応(食い付きと滑走のバランス)が安定して来ます。硬い鋼材と繊細な地金の切り出しでも、少し注意深く研げば充分に熟せる程に。

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当然、研ぎ易い方では不足が有ろう筈も無く。

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オマケは、天井巣板でしょうかカラス混じりの巣板。「面白いと思って作ったが、やや荒いのでは?」との事でしたが・・・行けると判断して選んでみました。

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結構な硬口寄りの中硬でしたが、流石に巣板。浅葱系統とは別格の研磨力と、其れに似付かわしく無い細かい仕上がりで、期待通りの性能でした。もしも浅葱で地金を引いても、此れが有れば憂い無し?ですね。粒度が近いので、間に何らかの砥石を挟む必要が無く便利です。

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