二年振りでしょうか、新潟の三条へ行って来ました。日野浦さんに会う為でしたが、顔を合わせるだけなら関の刃物祭りで毎年、お会いしていました。今回は、注文していた柳に痺れを切らして?受け取りに。
途中のサービスエリアで食事後、奥へ進むと直ぐに海が見えました。
到着後は早速、作品などの展示場所として増築された場所へ。想像以上にモダンと言うかお洒落な内装。
何時もの様に?鉄・鋼材関連の話しから始まります。上画像は、たたらで作られ送られて来たもの。炭素量の多い、所謂玉鋼と組み合わせて和鋼・和鉄の作品に。出来た内の一本は、私に天然砥石で仕上げて欲しいとの事。そう言えば、以前にも電話で伝えられていた内容でしたが、其れが此れですね。
昭和10年前後に製造の白紙。成分の管理に学者の方が関わって作ったと聞いていましたが、叩いた音からして不純物が少ない印象で良い物なのだろうと納得です。大事に使っている様子です。
二階には、展示物が揃いつつありました。味方屋本家から独立して三代目までの作品が増えて行くのでしょう。本家から数えると司さんで四代目と成りますね。
示しているのは、その間に使用されて来た各種の刻印。
そして、いよいよ御待ちかねの柳を受け取りました。北海道のT様には、御待ち頂いた甲斐の有る出来ですので御安心頂ければ。
右の二本は、私の私物です。何時も、出来るだけ研ぎ込んでお見せすると刃金も地金も組織や模様が見えるので楽しいとのコメントが。ただ、三徳の方は砥石館でのイベント使用で若干、錆の影響が。ざっと落とすに留めたのでキッチリ、前回とは肌の状態が違うねとの指摘も。
今回は、展示施設が出来た暁には返却するとの数年前からの約束通り、上画像の黒共柄剣鉈八寸を持参しました。もう15年以上前に成りますか、初めて日野浦さんの刃物を購入した三本の内の一本。(掲載の実物)
初めから売りたく無いなと言われながら持ち帰りましたが、それ以降、顔を合わせる度にも買い戻したいなと・・・。何でも当時の作風とは、年代が進む程に(出来不出来の意味とは違う)同じ物は出来ないとの感が強くなるそうで。
此れを返すに際して、現地に在った物と交換では?と提案しました。
丁度、手頃なのが有りましたので此方を。
今回は柳でしたが、必要なら、こんなのも出してやるけどと。次回、常連様他の要望が有れば御願いしますと伝えました。此れは此れで、違う良さが有りますね。少し、標準とは感じが違うのですが私に注文をくれる方は実用面を重視されますし、何方かと言えば私好みの仕上がりです。
今回持ち込んだ柄のサンプルとの組み合わせも楽しみです。手配を上手くして頂き、供給量も材質も融通を聞いて貰える様です。日野浦さんにも、幾つかの柄に興味を持って貰えましたし。
柳は箱入りです。
槐の両口輪
此方は、五月に佐渡島でのイベントに御誘い頂いたきしな屋さんと関係各位への御返し用に、購入して来ました。桶の製造などに関わる事が多いとの事ですので、鍛冶屋の兄上への参考例・桶屋の弟君への実用品として砥ぎ上げた此れを贈りたいなと。
上画像は、日野浦さんの所にサンプルとして置いておく為にと研ぎ依頼を頂いた三本です。
此方は、交換の時に追加で付けて貰った方。「イベントで使ったりするのに良いだろう」と。
此方が交換の主体の柳。磨いたり研いだりして仕上げ、運良く手配が整いつつある柄に入れてみたいなと考えています。
帰り際、見送りに出てきた日野浦さんから「やっぱり、時々こうして来て貰った方が良いな」と。実際に現場で見て選んで欲しいそうですが、少し距離が・・・。まあ打ち合わせ兼、少量の持ち帰り程度ならば新幹線ででも通えば何とか成るかな?と考えながら帰路につきました。
村上様
凄く迫力のある柳刃にびっくりしております。
柄も最高のものですね。
これに村上様の研ぎを施すと、凄まじい切れ味になるのは明らかです。
心よりお礼申し上げます。
北海道T
T 様
私としては、過去に例が無いほどにせっついたのですが、長らくお待たせしました。
その甲斐有って、納得の出来かと思われます。其れに相応しい研ぎが出来るように努めますので、今暫しの御待ちを御願い致します。
村上先生
私も一度は、日野浦師のもとへ伺ってみたいと思っております!
砥道の取り組みとしても、複数名で訪問させて頂く企画をお願いできないものでしょうか??
小坊主様
勿論、関連する仕事や興味のある方には、すべからく勉強になる方ですから、御話しを聞きに行ける機会を設けられればと思います。
希望する方々の(多過ぎると迷惑に成りそうですが)顔ぶれが決まって、先方の御都合が許せばお願いしてみるのが良いかなと。
新潟遠征お疲れ様でした。
楽しそうな刃物沢山ですね!!
村上さんの鉈カッコ良いなと見てました。
切っ先のカーブの部分…どの様に研ぐのだろうなど、見ていて楽しいです。
柄も販売されているんですね。
僕の今回お送りさせて頂いた柳の柄が割れていて…
同じ様な栗型の柄も制作可能ですか??
S様
鉈は、手持ちの副え鉈でしたか?あれの基本も、ナイフや出刃でしょうか。カーブに沿いつつ、意図する角度や形状に仕立てますが、その正確性や安定性により砥石との当たり方が決まって来ます。
柄も、行く行くは販売をと考えて居りますが、今の所はサンプルから用意して貰っている段階です。この柄が優れもので、内側に細工がして有り滅多な事では中子を叩き込んでも割れません。木材の品質も上等なので、何とか合わせられる様に出来ればとは思います。少なくとも、今後はそう言った御要望にも応え易く成るかと思っています。栗型は、また聞いてみないとですけれど。
あ、画像の八寸の共柄でしたら、新品のままです。資料として?持っていただけですので。日野浦さんのは、使う物と置いておく物とが両方、有りまして。でも大半は研がれた状態では有ります。種類的に今後は益々、包丁類が増えて行きそうですね。