北海道からの三本目

 

T様からの三本目、洋出刃との事です。ハンドルが独特ですね。ブレードの厚みが付け根で6.5mm、中央で6mm位あります。

其れだけでは無く、切っ先カーブから中央部に掛けての切り刃が随分ふっくらした厚みが有ります。ほぼ剣鉈と遜色無いレベルです。見た目の切り刃とは異なる部分に実際の切り刃が存在するのも、其れを彷彿とさせますね。(武生の大量生産剣鉈あるあるです)

 

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研ぎ前、右側全体画像

 

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研ぎ前、刃先アップ

 

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研ぎ前、左側全体画像

 

 

 

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研承400で砥いで見ましたが前述の如く切り刃が極端に凸で。ピンポイントで減らす為に小割りを多用しました。後で、此れに大いに頼る事に成るとは。取り敢えずGC240番から。

 

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GC240番の結果

 

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同じくGC240番の結果

 

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次にシャプトン320番

 

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同じくシャプトン320番

 

 

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シャプトン1000番

 

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同じくシャプトン1000番

 

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キングハイパー

 

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同じくキングハイパー

 

此処までを何度か繰り返し、形状が整ったのを確認後、研承400で全体を厚み取り。やっと厚みが邪魔に成り難く成って来ました。

ただ、今回研承の緑1000・白1000・白3000は使えませんでした。一番の理由は地金との相性の悪さ。ワンストローク毎に1~2本、豪快に地を引きます。刃金も何だか繊細な扱いを求める様子で結局、人造中砥の角砥石はキングハイパー硬軟で延々と進めました。

しかし今度は、キングハイパーの砥面の変形の速さが仇に。刃金の繊細さと来たら過去に類例を見ない程。切っ先カーブは欠け易い傾向だなと認識していましたが、中央から刃元が別の難しさ。砥面の如何なる段差も拾って刃線が乱れます。正確には捲れまで行かない摩耗状態の部分が現れては消えます。それが続いて無く成りません。

単にハイパーだからと言う訳でも無く、中硬の巣板レベルでも同様です。2~3ストローク後の砥面では、もう危険水域です。万全を期すなら2ストローク毎の面直し推奨。そうも行かないので何とかブレない様に安定重視で砥ぎます。

 

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奥殿の巣板、やや硬いので仕上げます。刃金との相性は先ず先ずで、此処に来て初めて安心材料に。あ、地金部分は八枚仕上げです。

 

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同じく左側です。

 

 

 

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研ぎ上がり、右側全体画像

 

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研ぎ上がり、刃先アップ

 

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研ぎ上がり、左側全体画像

 

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切っ先カーブ、拡大画像

砥いでいても出かねないですが、紙の試し切りでも出易いです。

 

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中央、刃元寄り拡大画像

捲れと言うより、僅かな摩耗に見える部分が二か所ほど消え切りません。まあ、上手く光を当てねば確認も難しい位ですが。

 

 

 

T様への現状報告で、御返送後に実際の使用に於いて厚み取りが追加で必要ならば、送り返して頂き研ぎ直しをしますとメールしました。 御返答は、此れで良さそうだが欠けは何とか成らないかな、との事で、御返送時には妥当な線で整えて置きます。

見えない位の二か所も含めて、刃先の調整をしますので少し先に成りますが御手元で御確認下さい。四本目は又、方向性の違う猛者みたいなので気合を入れて取り組みます。

 

 

 

 

 

「北海道からの三本目」への7件のフィードバック

  1. 村上様

    早速使ってみました。以前と比べて刃の入り抜けが抜群で、以前より3倍位良く切れる感じでしょうか。
    刃の欠けもご調整頂いたおかげで、肉眼では全く分かりません。
    研ぐに従いドンドン整ってくると良いのですが。
    オールステンレスの包丁はこれと同シリーズの牛刀だけですが、相性が良くて使いやすいです。
    鍛造品で柔らかな切れ味が好きなのです。
    有難うございました。

    北海道T

    1. T様

      御試用で不便が無い結果でしたら安心しました。初期状態より改善傾向にあると分かってはいましたが、自分の感覚では(それ以外の包丁達と比べれば)すこし、控え目な変化に受け取られるだろうと考えて居りました。

      あと、鍛造品の柔らか目な感触が御好みだったのですね。漸く(ようやく)分かりました。其の路線の物が多かったので、ああ成る程と・・・しかし今度は、司作が来たら大丈夫か心配に。研いだ時とか使った際には、玄海さんより2~3倍(体感上)の硬さと言うか頑丈さを感じるかも知れません。頑丈で永切れ路線の雄なのは確実ですので。

  2. 村上様

    司作は平治と同じ感覚でしょうか。平治のスパッと切れる感覚も大好きです!
    カウリXもその路線になるのでしょうか。
    宜しくお願い致します。

    北海道T

    1. T様

      平治作はシャキッとした刃先が少しカシカシする位、掛かりが良いです。金属組織自体が噛みつく様な、白一に似た切り裂く感じの刃先。対して司作は、一部其の感じも有りつつ飽くまでも鋭利で頑丈な構造物が接地圧の高さを収束し、刃先で対象の断層を崩す様な切れ込みです。少し、有機的・無機的やエンジン・モーターの違いをイメージしてしまいます。

      カウリは、高硬度であればステンレス・特殊鋼部門の中では司作に近い感触を持っています。通常使用のレベルの硬度では、やや粘りが勝って来て、前述の両方の要素が入って来る感じでしょうか。私はどうしても硬目が好きでは有りますが、常用レベルの焼き入れの方が刃先の角度や形状に自由度が高いので普通はメリットが有りますし、砥ぎ易さが段違いです。

  3. 村上様

    益々、司作柳が欲しくなってまいりました。
    服部作ではありませんが、カウリX柳は持っていますので、切り比べをしないといけませんね^_^。
    その時は極上の魚で、、。

    宜しくお願い致します。

    北海道T

    1. あ、服部以外のなら違いが気になりますね。でも、服部は子の日の包丁も請け負っていたので、そう言った物とも違うのか、も気になります。

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