年末に問い合わせ頂いていた府下のN様が、先日御持参下さいました。有次の三層利器材の三徳ですね。
大きな欠けが中央に一つ、中くらいの欠けも三つほど有ります。何れも芯材の炭素鋼部分中央寄りで、大きな欠けはステンレス地金との境に達しています。
先ずは電着ダイヤで欠けが無くなるまで。
次に研承の400で形状を整えつつ厚みを取りますが、あれだけの欠けを発生する事を鑑みて刃先の薄さは控えめに。
研承の1000で荒い傷を減らしつつ、小刃の上部を均して行きます。
研承の6000で刃先の調整(刃元から切っ先へ鋭角に)と更に傷消し。刃先側地金はペーパーと研磨剤でも軽く傷消し。
巣板で刃先角度の最終調整と、刃金部分の傷消し。
最後は、東物の赤い奴で最終仕上げ。狙い通りに細かく仕上がり、永切れも期待出来そうです。
仕上がり全体。
刃部のアップ。中央やや右が大きく欠けていた箇所の痕跡部分。
その周辺部の200倍拡大画像。
N様、以上の様に成りました。元の状態より厚めの刃先にしてありますが、問題であれば強度と引き換えになるものの、薄めの鋭利な研ぎに修正も致します。
明日にも御返送致しますので、試用の上、御判断頂きたいと思います。この度は研ぎの御依頼、有難う御座いました。
研承シリーズ使って頂きありがとうございます〜(●´ω`●)
また使い心地教えて下さいませ〜(^^)!
尚様
何れも、研磨力が有って面直しもし易く、その際に研ぎ減りが少ない所が良いですね。
研ぎ感で言えば、1000(の特に硬口)は刃物の種類により変化が大きい印象です。洋包丁➡切り出し等➡和包丁等になって行くに従い、砥面の色(研磨剤)の差異による手応えの反応が多様に感じます。
その為、砥石からの豊富なインフォメーションは受け取りつつも、余り過剰に反応せずに研ぎ手がストロークのペースを保って面全体を意識的に使う事で、バラツキを希釈する必要が有るかも知れません。
細かい事を言えば、その辺りがやや、上級者向けな感じがしましたが普通は、分からない・意識に上らない層も多いでしょうね。