11月12日・13日 (天然砥石館・三回目)

 

今回の土・日では、再び土曜が空いていました。しかし昼を回った頃に御一人の来訪を受け、寧ろ好都合となりました。と言うのも、以前から研ぎ文化振興協会の事務局での業務やイベントを通じ、協力頂いた内の一人で先々、中の人に成りえる方。それに向けて研ぎ指導を御希望との事でした。

持ち込みの包丁は出刃と柳で、先ずは出刃からとの御意見に従い実地に砥いで貰いましたが、私が説明や指摘をする度にほぼ必ずと言って良い程、難しいとの述懐を聞かせてくれました。

当方としては、御自身の予想を遥かに超える困難さ・・・初期の状態の問題点、錆や欠けを修復する度のバランス取りの必要性、刃物と砥石を頻繁にチェックする重要性を実感された事で、第一歩としては成功かと思います。

 

他には、年季の入ったサバキと言うか骨スキでしょうか、やや研ぎ癖の付いた包丁を苦労して修正されていた方や、三層の利器材ながら少数派である(ステンレスで無く)軟鉄の地金と思しき菜切り包丁を御持参になり、研ぎと天然砥石を楽しまれた方を始め・・・。

 

本日の御来場で、包丁研ぎに親しまれた御主人と、研ぎにハマりそうだと見るや「家じゅうの刃物を宜しく」と連続アピールに余念が無かった奥方。しかし実は試し研ぎでの導入部では、婦唱夫随の様相を呈していました。確かに御主人は理論派で、一つ一つの項目について不明な点を明らかにしつつ理解を深めていらっしゃいました。

1479031877628

 

 

1479031885684

 

 

 

出刃を大小二本お持ち頂いた、川魚を主に捌かれる男性。従来、砥いで居ても思うように仕上がり難いとの事で御相談。砥いで貰いつつ確認していると、程度の差こそあれ双方ともに鋼の方に引かれて地金中央が張り出しています。

此れでは裏押しをしても刃先が整わないのでやむを得ず裏からも最低限、角度を付けて返り取りをしました。この症状は実は前述の一人目、中の人の柳でも見受けられたので、今後は一つ鎌砥にアールを付けた物も用意しておかねば成らないかも知れません。

1479031992642

 

 

1479031999956

 

 

 

途中では、連日研ぎ修行中の砥取家次男氏に指導したり、上野さんが展示してあった希少な中砥の試し研ぎを抑えられなくなったり、小割りした砥石での研ぎ研究をしたり。

因みに、浄教寺を研いでいた時には尻馬に乗って少し砥いでみましたが、感触としては木目の見た目通りの木肌感の有る接地感、砥粒としては柔らかい天草に三河のボタンを加えた様な優しい感触でした。多分、希少ゆえ最初で最後の体験となるでしょうね。

1479031910305

 

之は、上下ともに謎の大理石風の石です

1479031932973

 

浄教寺(きよんどさんから)

1479031986363

 

 

 

そうこうして居る内に、研ぎの実力者も御来場。聞けば、某刃物店での試し研ぎ会や100均包丁研ぎ選手権にも参加されたとの由。生憎、得物を御持参で無かったので、平面の刃物の範疇という事で私の切り出しで試して貰いました。

1479031970206

 

 

1479031940759

複数の中砥や合砥で、楽しんで頂けた様子にて良かったです。

 

 

最後の方では、度々立ち寄って頂く地元大工の方に珈琲の差し入れを貰ったりして居る内に閉館時間となりました。この土・日も、御来場下さった皆様の御蔭で自分の役目を果たせました。有難う御座いました。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>