以前に掲載した、家にあったステンレス包丁(普及品)ですが、刃の研ぎは施していたものの、擦り傷は軽く磨く程度に留めていました。所が、穴あき包丁の裏だけ鏡面にしていた物でリンゴを切る際、敢えて裏と表で切り分けてみると、荒いままの表面が接していた側はやや食味が落ちた様に感じた事も有り、もう少し傷を消してみました。やはりその方が水を弾き、汚れを落とし易い効果も得られます。
しかし、普及品はコストを抑える為、様々な点でランクを下げる行程や材料を採用してあります。そこで、使用者は後々、折に触れて気づかされる事も有ります。その一つに表面の研磨の仕上がり具合が有ります。簡単に言うと、目の細かい研磨剤などで磨き傷を小さくしようとしてもあまり反映してくれない。或いは製造側に居たときに良く聞いた、鋼材に元々含まれているイモと呼ばれる不純物や空隙が現れる。それに関連してか、孔食と呼ばれるピンホール状の錆が出易い。(粉末冶金鋼では、その奥に更に大きなサイズで球状の錆が成長する事も在るそうですが)というものです。
下の画像は穴あき包丁の裏のイモと思われる部分と表の孔食と思われる部分です。
約200倍で拡大すると、よく似た印象ですが、肉眼では周囲にある同様の陥凹の分布の仕方や光りの反射でやや違って見えます。ですが、イモが発端となって孔食に繋がったのだとしたら、拡大で似ていても不思議は無いのかも知れません。(底面・円周が均等・不均等の違い)
このような面では、高級鋼材として扱われる種類の方に分があるのは仕方が無い事ですので、それぞれに応じた手入れや扱い方・愛で方で接するべきでしょう。