数年振りに?自宅で研ぎ講習

 

少し前、砥石館で行われたハマグリ研ぎ講習に参加下さったM様から、当方(私の自宅)でも個人的に講習を受けたいとの御要望が有りました。

コロナ関係で、かなりの期間に亘って講習が途切れて居た為、完全に来客を想定していない状態(いや元からですが更に悪化)と成って居り、かなり慌てて掃除と片付けを終えました(笑)。

とは言え、此れも珍しく研ぎの御依頼が続いていた中でしたので、其方が完了してからの対応と成る関係上、本来は事前準備期間として充分な時間は有った筈なのですが・・・研ぎ作業に集中するには少々、雑然として居ながらも手近に道具類が配置された環境を変え辛かった面も有ります。

 

 

今週初め名古屋から(京都経由でしたが)遥々、車とは言え多くの包丁と砥石を御持参の上、到着されました。仕事上、必要だそうですが出刃の本数が多くて驚きましたが・・・先ずは砥石の品質と特徴の見立てに関しての助言から。

KIMG1382

 

 

次に、包丁の鋼材と熱処理のバランスから、どう云った性格に成るか・判別出来る要素の説明を経て、其れ(例えば焼きの甘い刃物の方が低温に心配が少ない等)を逆手に取った使い方まで説明しました。

以下の画像は、当日に行なった内容の再現です。ペットボトルに水を積めて冷凍庫で作った氷を削って見せました。柔らかい刃物かつ切れと永切れの両立を図った研ぎ(通常仕様)の組み合わせのデモンストレーションですね。

(鋼材にも因りますが、硬く焼き入れした刃物では刃先の持続に優れる反面、特に低温では欠けに繋がり易く成ります。但し其れを避ける為とは言え、刃先の持続に難の有る柔らかい刃物を用いるには、刃先の耐久を企図した研ぎが前提には成ります)

KIMG1401

 

然る後、そのペットボトルに巻かれていたラベルを切り、刃先の摩耗や損耗が見られない事を確認。

KIMG1397

 

序でに、YouTubeで見かけた事の有るテストも戯れに。両手で持ったナイフを、支え無しの状態で立って居るペットボトルに切り込みます。条件が違うとすれば、此方は炭酸水用かつ、取り分け硬い質の物です。

当日は、氷を取り出した(切り開いた)残骸のペットボトルでしたので、軽く切れ込むだけで済ませましたが、新品だと御覧の通りです。ただ余りに硬いので、両手で無いと切り進むのが困難なのは想定外でしたが(笑)。

KIMG1395

 

 

 

御手持ちの各種出刃包丁を例題に、切り刃の状態と刃先の処理の整合性や、より効果的に切り進められる組み合わせの研ぎ方を模索しつつ試し研ぎも。

KIMG1383

 

 

砥石の種類による刃先の仕上がりの違いを確認する為、左右の小刃を異なる砥石で研ぎ、拡大画像を用いて比較。下画像は、奥の巣板で右側を研いだ所です。

因みにテスト対象は、私の手持ちの柔らか目のVG10の包丁(昔に服部の先輩に貰ったファルクニーベンで普段はバゲット切り担当)

KIMG1388

 

Still_2024-10-21_174703_60.0X_N0006

 

 

下画像は、手前の水浅葱で左側の小刃を研いだ所です。

巣板も幾分は硬口寄りだったので、予想よりも違いは少なかったのですが、水浅葱の方が僅かに細かく反射も明るく仕上がりました。研ぎ感からは、当たりの滑らかさ・下りの良さで相性的に水浅葱を最終仕上げに勧めました。

KIMG1389

 

Still_2024-10-21_174739_60.0X_N0007

 

 

 

其の後は、特にネギを切って居ると刃の持ちに不満が出る包丁の状態確認と、対処法を試し切りで実証しつつ研いで行ったり。

基本的には、その刃物のバランス(硬さと粘り)から耐えられる範囲内での刃先角度を探る事・相性の良い砥石との組み合わせを見付ける、には成ります。抜けや走りまでも考慮するなら、角度のテーパー化まで視野に入れる必要が出て来ます。

KIMG1390

 

Still_2024-10-21_175219_60.0X_N0009

 

Still_2024-10-21_180950_60.0X_N0010

 

 

Still_2024-10-21_181101_60.0X_N0011

 

紙の束を切る事で、刃先のみの切れ加減では無く、刃体側面が対象を切り抜ける際の抵抗の強弱も比較可能。更に捩ったバージョンでは難易度が上がるので、刃物と研ぎの良し悪しが如実に現れます。此処まで来れば、切る者の技量にも大きく左右されて来ますが(笑)。

KIMG1387

 

結果を踏まえて、研ぎ方の方向性を探って貰いました。

KIMG1391

 

私が研いで、小刃の中に先側・手前側で二段階の研ぎ分け(手前は鋭角化・先側は鈍角化)が為されて居るのを拡大画像で確認の上、試し切りで体感できたと。

実は、ハマグリ研ぎイベントでの取っ掛かりの説明では、何を喋って居るか分からなかったそうです。其処から進んで、御自身の仕事場での出刃包丁の持ちが向上したとのコメントを頂き、良く投げ出さずに取り入れた頂いたなと嬉しく思いました。

Still_2024-10-21_201255_60.0X_N0012

 

 

 

合間では、ダージリンやコーヒー(パック入りのドリップパックでしたので、そのパックも切り方講座に利用)に茶菓子を合わせて休憩も。

何時もの御近所の和菓子店から、マスカット大福(シャインマスカットの良品が入手できた時限定の品)と生麩餅を購入していましたので、其れ等を出したのですが座興にと生麩の方を切って見せたり。

 

 

下画像は、その再現です。モチモチの外側と一部、ふんわりした中に粒の生きている餡が、切り難さを引き立てています(笑)。

KIMG1413

KIMG1411

 

実際には、当日に切って見せた訳では無いですが、参考までに。余りの完熟度合いに感心した、シャインマスカット入りの大福です。片栗粉の層・包んでいる層を崩さずに切れるなら、比べてマスカット部分は簡単ですね。

KIMG1416

KIMG1417

 

 

 

 

M様には御土産も頂きまして、私が好きな系統で感謝です。研ぎの講習の御依頼と合わせまして、此の度は有り難う御座いました。

KIMG1393

 

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>