二か月近く前に、御近所のT様から洋包丁の研ぎ依頼を頂き、その受け渡し時に次の研ぎ依頼分も御預かりと成って居ました。受け渡し以前の僅かな期間で、偶々に数件の御依頼が重なった為に間が空いてしまって居ました。
後半は、ほぼ新品と思しき牛刀・カステラ包丁・パン切り包丁の三本ですが、自分の手持ち(ナイフのセレーション部分)を適当に研いだ事を除けば、パン切りは初と成ります。
先ずは牛刀から、研ぎ前の状態。
人造粗砥、320番
人造1000番
人造3000番。人造の中仕上げたる番手ですが、此の段階での試し切りに於いて、引き切りの際に切っ先カーブの途中から抵抗が増すのを確認。小刃の幅を(顎からカーブに至る可変率より)、僅かに広げる事により、軽減しました。
天然に移行し、丸尾山の敷き内曇り黒蓮華混じり
奥殿の巣板、茶色
中山戸前で仕上げ・・・と考えていたのですが、普通に切れるにも関わらず念の為、更に一段階あげて見る事に。
予想以上に刃金との相性が良かった様で、中山水浅葱で最終仕上げとしました。
研ぎ上がりです。
カステラ包丁ですが、此方は刃先に少々、摩耗と云うか捲れが見られました。此の系統は、以前にも一度ですが研いだ事が有り、長さと撓りが注意点だとの認識は有りました。其の上、寸法に比して刃先の鋭利さも相当なものに成りますし、そう仕上げなければ成らないとも。
研ぎ始めは人造320番から
人造1000番
人造3000番
天然に移行し、丸尾山の敷き内曇り黒蓮華混じり
奥殿の巣板、茶色
中山の水浅葱、超硬口ですが相性的に若干の反発が。
同じ水浅葱(硬口~超硬口)ですが、僅かに不均等な砥粒混じりの物。其れでも、此方との相性が良かった様で最終仕上げに。
研ぎ上がりです。
私はパン切り包丁を普段、使う事は無いので(バゲットもパンドカンパーニュも牛刀で切ります)、現物の刃先に結構な摩耗を認めた時に「どの位、パンを切ると切れなく成りますか?」と聞いてみました。すると、冷凍か半解凍の状態の物も切るとの事で。
画像は撮り忘れましたが、ダイヤ鑢の丸と半丸で大まかに削り、次いでペーパー(180や240程度)を用いて整えました。
冷凍相手ならと云う事で、元からの角度よりも鈍角に研いでみましたが、紙相手でも或る程度は切れる状態に成って居ます。
しかし、何分にも初の試みですので今回は、料金無しで試して貰おうかなと考えています。今回の作業結果が使用に耐えた場合には、もし今後も御依頼を頂けた時に適切と思われる金額を考えてみるかなと(笑)。
只今の所、T様には現状の画像を添付したメールにて、問題が無いか御確認を御願いしている所ですので、未だ不確定では有りますが、二度の御依頼を連続で頂きまして、有り難う御座いました。