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イベントの見通し

 

此処に来て、徐々に現地側でパフォーマンスとして求められている内容と、往復の足の情報が送られてきました。イベントではバックに音楽を流したり、派手な装束も期待されているそうです。

音楽についてはお好きにと返事しておきました。仲立ちをしてくれている国内担当の方は結構、当方を御理解いただいている様子にて、流石に必要以上の衣装までは・・・と宥めているとの由。逆に、時間帯の規定や持ち時間の指定は、かなり融通を利かして此方の提案を受けて貰えそうです。

当日は一連の研ぎ内容と切れの実演、其れを使った食材のカットと出来れば試食まで持って行ければと考えています。向こうで用意された包丁を研ぐ際に、各工程で段階的に切れが変化していく様子と、此方で用意した包丁の性能を見て欲しい所ですが、どうやら現地ウィーンの人はゆったり気質なのに派手好きらしいので、此方も人前でやった事の無い出し物を用意しましょうか。

と言っても、普段、牛刀やペティに親しんでいる地域では、和包丁では形状が違い過ぎて同条件ではなく分かり難いし、最新高級品・特別仕様(相当)では普段使いとの比較は難しいでしょう。となると、何処にでも在るペティで氷を数回削った後、切れを保ったまま紙を鋭く両断。とか位しか思いつかないですね。遠征予定に入れていなかった、日頃最も使用頻度の高い、雑用係りの古いペティにも働いて貰うとしましょう。

 

因みに、上記のテストをパスした後で研ぎ直した状態。

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京都でのイベント参加

 

去る二月一日は、京都の歌舞練場で行われたイベント、「和食道」に砥取家の土橋さん他、四名で参加してきました。

その一週間前に亀岡に行ったのは、本焼き用の砥石選別の他、この打ち合わせも兼ねての事でした。実は昨日、当日参加出来なかった月山さんが電話で様子を気にしていたので、これは業務連絡と報告の様な記事です(念の為に部分的に撮っていた画像が少しあるだけです)。

 

京都には昔からそこそこ行っていましたが、雪が積もっている状態は初めてだったかも知れません。ほぼ車中からの眺めだったとは言え、東寺の横を通る時には、塔の上にも綺麗に降り積もり、雪化粧と言うに相応しい光景でした。撮影しなかったのが悔やまれます。

下画像は、歌舞練場内に割り当てられた一角の背後、幕裏から見た庭です。

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ブースとしては、長さ1.8メートルのテーブルの横に、研ぎ台が二つ。テーブルには本・砥石・DVDを流すモニターです。

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研ぎ体験の他に、研ぎ上げた包丁でトマトと胡瓜を切って貰ったり、鋼とステンレスの鋼材の違いによる味の違いを体験して貰いました。

下画像は、元は刃体形状の研究に於いて、廉価な包丁の初期状態のサンプルとして購入した包丁ですが、今回、ステンレス製ヘンケルの洋三徳と対比させるべく鋼の和三徳として使用しました。

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ヘンケルは人造砥石、キングの8000番仕上げです。

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一枚目の画像で分かる方も多いと思いますが、切り刃が三段になっています。最初は極端ながら単純な三段構成かと見ていましたが、峰から刃先までツライチの研削に、鎬筋らしき物を作る為に切り刃中央から峰側1cm程がホローグラインド状になっています。そして仕上げにサンドブラストになっていました。

流石にその凹みを均す研ぎをすると2cm近く研ぎ下ろさねばならないので適当な所で切り上げました。他には、切っ先側三分の一の刃体がプロペラ状に捩れていた為、真っ先に刃線が整う程度には木槌にて修正。あれやこれやで、前々日に六時間掛かって許容範囲に納めたのが下の画像です(切り刃・刃先共に最終は白巣板仕上げ)。

形状的には色々難点が多い包丁でしたが、元から先へ厚みがテーパー状に抜けている事と並んで鋼の仕上がりについては、意外にと言うべきかそれだけにと言うべきか、かなり良かったです。少なくとも2~3倍の値段の包丁と遜色無い硬さ・粘り・切れを見せてくれました(偶々当たりだったのかも知れませんが)。

 

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平と鎬がはっきり構成されず、購入後に自分で研ぎ込む事で形成した包丁は、過去にもありました。これがその刃渡り三寸程の剥き物包丁です。しかし之はフラットな研削だったので、今回の物には驚きました。

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値段的に釣り合うであろう和・洋の三徳で味の違いを試して貰った結果ですが、やはり殆どの人が「鋼の方が味が濃い」或いは「甘みが強い」との感想でした。自分では、他に香りが強く長く感じるのですが、其処のところに言及する人は少ない印象を受けました。

もう一つ気になったのは、試し研ぎや研ぎの指導を求める層に於ける電動シャープナーの普及率です。完全に予想以上でしたが、まあ、こういった事に興味を持たれる人を対象にしたから当然かもしれません。そして或いは、それらが京セラ製だとすれば京都ならではなのかな、とも思いました。但し、殆どの方が使用している内に満足し切れなくなっている様子で、なればこその御来場。特に、あるカップルの男性側が、このイベントの目玉として我々のブースを楽しみにして下さっていたとの由、誠に有り難く感じました。

他に、今回行なった説明やデモンストレーションについては、こういった内容を講習・学校的な存在の下で習える機会が欲しいとの感想もありました。当日は僅かながらもそんな要望に副うことが出来たとすれば、大きなイベントに参加した1グループという立ち位置ではありましたが、やる意味は大きかったと思います。

 

 

 

おまけは、帰宅後に、気になっていた手持ちの包丁の手入れです。千枚による均し研ぎで本焼き柳の斑を消しました。ほぼ半鏡面になりましたが、その前段階で使用した砥石は、「丸尾山の白巣板」、「八ノ尾の八枚・巣板際大上」、「相岩谷の戸前・並砥」と思われる物、「菖蒲の合いさ」と思われる物で相性を探りつつ仕上げて行きました。

あと、ついでに久し振りに初期の司作三徳。最近の物とは刃金・地金の感触がやはり違っていて、改めて個性に合わせた扱いの必要性・面白さを感じました。こんな感覚も、一般の方の中に分かって貰える層が増えれば包丁を大事にしてくれる家庭も増えると思うのですが。

 

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刃物と砥石の相性

 

 

突き詰めていけば、人造でもそうですが特に天然砥石は相性が大事と強調されます。その相性の実態は個々人で考え方・受け止め方が様々でしょうが、自分の実感としては或る刃物に対して、同等他種の砥石より研磨が速い・鋭い刃が付く・仕上がりが綺麗で均一、というものです。これを違う表現にすると、「一段下(荒い)の粒度の砥石を使うまでも無く研ぎ下ろしてくれ、一段上(細かい)の砥石を掛けたといっても良いほどの鋭利な切れを得られる」となります。

上の文の後半はややオーバーとしても、そういう傾向を感じている人はかなり居ると思われます。この様な素晴らしい砥石に巡り合えば最高な訳ですが、そうでは無い砥石に対しても様々な工夫で実用上、問題ない範囲まで性能を向上させうる方法も考案されています。代表例は古来からの名倉・共名倉で、違う砥石の粒子を加えて研磨力向上や傷防止、研磨痕消退などの効果を発揮させる事です。それを更に発展・強化する形で近年では、人工の研磨剤の微粒子を用いて、天然砥石では成し得ない薄さの刃先を形成する事も可能な様です。特に極限の薄さの削り花を目指す鉋の薄削りや、研削痕が皮膚に悪影響を及ぼす剃刀では目的に合致しやすいと思います。

しかし、其処まで追い込むと刃金の表面は、金属組織由来の炭化物などで浮き出る砂地模様が無くなって行く様です。実際、天然でもほぼ完全に鏡面に成る砥石は勿論、そうでなくても今回手に入れた田村山では、表面の炭化物を研ぎ減らす傾向が丸尾山に比べてやや強い印象です。炭化物が大きめ・硬めになり易い特殊鋼の類に向いていると云われる所以だと思いますが、刃先の最先端部を含めて刃金部分に研磨され難い炭化物(元々のサイズは小さい方が有り難いですが)が優先的に残されている方が、耐摩耗性に於いては有利では無いかと思います。砥石の研磨力が優れている程、元来の炭化物のサイズ以下まで小さく研ぎ下ろせる代わりに、刃先の最先端部に基材の部分が多く現れる事にも繋がり、短期での切れは最高でも長切れには不利になる可能性が考えられるからです。研磨力に優れる人工の研磨剤では更に顕著でしょう。

これまで、自分が雑用に使用してきた炭素鋼の包丁に、母親が使っていた古いペティがあります。昔は薄いブレードで鋭角な刃体構造による切れ味しか認識していなかったものですが、その後、鋼材としての性格が見えてからは焼きが甘く、組織もやや荒い、極端に粘り重視の仕上がりだと認識しました。つまり細かい組織による精細な切れではないと。こう云った特徴の製品には、返りが取れ難いステンレス製品と同様に、最終仕上げにカミソリ砥クラスで返りの無い揃った刃先とする事で、切れと長切れに繋げていました。

ところが今回、若狭の田村山(硬口戸前系)で研いで見て正にぴったりの相性に驚きました。この砥石はその硬さから予想できる下限とは言わずとも上限ではない、中庸な細かさでしたが、カミソリ砥の一歩手前の切れに仕上がりました。しかし問題は其処よりも、切れ方が刃物任せでなく使い手によるコントロール性が高く(方向転換や切れ込むペース)、鋼材の組織なりの細かさを生かした感触です。通常、カミソリ砥で仕上げられた炭素鋼の刃先はかなり均一、或いは一定の方向性を感じるものですが、それとは違った方向です。そして研磨が速く研ぎ易い傾向も見られました。

確かに、問答無用で鋼材としての物理的な限界手前まで、薄い刃先に仕上げられる砥石は最高の切れが得られるかも知れませんが、個々の鋼材や製造法の違いによる個性を生かす事とは相容れないのではないか。少なくとも、絶対的に鋭利な刃先を求めて仕上げられた限界性能のランキングで、中間より以下の評価を下された刃物が日の目を見る事は有るのか。そう思ってしまいます。

自分は、性能的に何らかの項目で不満が有る刃物でも、その項目を幾らかでも改善し、他の項目を向上させ、使い手に可愛がって貰える状態に近づけたいと思ってきました。以前、コメント欄で尚さんに「切れ味は程ほどでも大事にして貰える包丁を目指す」といった趣旨で返答した気がしますが、取りも直さず上記の気持ちからです。その意味では、刃物毎の性能に於けるレーダーチャート的見地から其々の項目を、個性を生かしながら上乗せできる砥石と合わせてやる事が理想だと考えています。ですから通常、炭素鋼、特に和包丁は余程必要が無ければカミソリ砥は使いません。精々、裏押し程度でしょうか。使えば簡単に一定以上の切れが得られるのは分かっていますが、個性を引き出す観点からは「使ったら負け(?)」な気がするからです。

 

田村山と古いペティの御陰で、天然砥石に目を向け、相性に拘って探し始めた頃の気持ちを再確認させて貰いました。大変感謝しています。

 

 

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お知らせ

 

小鮎さんや月山さんへ送った、直近の白巣板(後に、かずかずけんさんにも興味を持たれた様子)、今回は自分用も含めてですが、近く砥取家へ選別に出かける予定です。

之まで、たまたま砥取家で出会った初心者~中級の方を始め、知り合い(マニア・かなり重篤な研ぎ中毒者)に対しても、自分が選別して薦めた砥石は好評を得てきました。

そこで、未だ選択の基準が定まらず迷っている人や、初めて天然砥石を使ってみようとする人に向けて、中庸なストライクゾーンから余り外れずに居ながら、一定以上の細かい仕上がりと研磨力を兼ね備える砥石(バランスの取れた良品)を紹介してみようと思いました。

言ってみれば、「むらかみ好み」となりますが、もしもこのブログを見ていて、私の選別した砥石に興味を持たれた方があれば、ホームページの問合わせ欄から、御希望の砥石の種類と予算の範囲(形状・面積・厚さの許容範囲も)をお知らせ下さい。(砥取家の、ほぼ丸尾山産の砥石が殆どになりますが)月に1~2回は選別に行きますので、現状可能な範囲で当たって来たいと思います。現地における原石の取れ方や質のバラつきで、必ず探し当てられるとは限りませんが、予算の範囲で出来るだけ上質な砥石をと考えています(頂いた依頼に従い、選別した砥石はブログにて画像と説明文で紹介します)。

 

刃物祭りで

 

以前から、毎年に近く岐阜県関市の刃物祭りには通っていました。今回は日野浦さんに頼んでいた品も無いので受け取る物も無く、他に目当ての買いたい物も浮かばなかったので迷っていました。

しかし直前に、いつも現地で会っている、刃物会社に勤めていた時の元同僚から予定を確認するメールが届いたので、いつも通り出かけることにしました。

 

関市在住で、店が商店街に交わる路地に在った頃から通っている孫六は、時間が合わず辻や(店先に天然大鰻が飼われていました)に行きました。いずれは行ってみようと思っていましたが、こんな事でも無ければ行かなかったかも知れません。味は、聞かされていたよりも案外似通っていましたが、肝吸いはやや違いがありました。

 

さてアピセや中町の出店も回ってきましたが、ほぼ何時も通りの陣容でした。しかし今回、初めて砥石を扱っている店を覗いて来ました。京都から参加している店の商品に、刀剣用の刃砥や砥の粉、天然仕上砥(40型やレーザー型等)、青砥等と共に名倉砥石も幾つか有り、下画像の白名倉の目白を購入しました。他にも同種の物が数個と、コマも数個有りましたが、一番感触が良かったこの砥石を選びました。

 

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手持ちで近い物です。

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上画像は、ギター製作家で有名な田中清人さんからの頂き物で、ボタンとの事です。

 

 

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上画像は、北海道で刃物関係を扱う店の方からの頂き物です。砥石や刃物について質問に返答したお礼にという事でした。後に田中さんに鑑別して貰うと、会津あたりの物では?とお聞きした様な気がします(あまり聞き慣れない名前だったので、勘違いで無ければ)。

 

 

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上画像は殆どが近所の刃物店で砥石を購入した際におまけでついてきた物です。左上のだけ、前述の北海道から一緒に届いた物で、黒名倉の中で唯一、使える性能。やはりこの系統も品質に差がありますね。

 

 

 

おまけは、日野浦さんの息子さんの作で、味方屋のアウトドアナイフ(若しくは狩猟用でしたか)です。

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味方屋作の包丁も仕入れていますので、質的にほぼ同種の鋼材が使われているこのナイフも、どういった仕上がりか興味を持ちました。

近年仕入れた包丁と、その前に購入した物で、刃金の焼き加減が少し変更されている感触があり、包丁用に最適化したものか、使用鋼材の性質上、黄金バランスで統一したのかが、このナイフを研いで使うことで判断できると思います。

 

「包丁と砥石大全」が出版されました

 

この度、誠文堂新光社から、社団法人研ぎ文化振興協会の監修になる「包丁と砥石大全」が出版されました。

内容は、専門職用を主体とした各種包丁の紹介・包丁別の研ぎ方・天然砥石の紹介とその使用法、実際に使用した場合の特徴・鍛冶屋探訪・刃付け屋探訪・料理人から見た包丁や研ぎ等となっています。

現在、本は未だ手元に届いておらず、紹介する為に資料となる物は以下だけです。最終稿の随分前に打ち合わせ及び確認用として送付又は手渡された原稿(を撮影した画像)で、刊行された内容とは同一で無いかも知れませんが、却って製作に関わった者からの紹介らしいのでは、と考えました。

 

 

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従来の同ジャンルの本と比べても、特に拘りの内容の豊富さと探求度合い、更に之までとは違った角度からの視点が印象的で、他と重複する部分が少なく、かなり個性が出せていると思います。既存の出版物に飽き足りなかった人や、常に上を目指す為に情報収集を怠らない人は勿論、「伝統が今に生きる」包丁関連・「現在から将来に亘る」天然砥石関連の情報が収録されており、今、正にこの分野に興味を持った人には最も鮮度抜群の情報をお届け出来る本になっています。

 

(自分の記事の画像が在りませんが、その部分はメールに添付されたファイルとして送られて来て、上手く取り込めなかった為です。しかし本の実物には少しですが記事が掲載されている筈です。1度目の人物撮影予定では何故か撮られず、二回目の機会では油断して散髪に行き損ねたままを不意打ちで撮られたもので、その顔写真を載せるのは恥ずかしく丁度良かった気もしています。まあ本には載っているんでしょうが。)

 

 

業務連絡の様な物ですが

 

本日、牛刀と筋引きを受け取りに来て頂いたM様、昨日も直接お持ち頂き、てっきりお近くかと思っていましたがそうでは無かった由、恐れ入ります。

本日お渡しする際、之までの通例に従い(ノートパソコンで取り込んだ)研ぎの前後の拡大画像を確認頂きたかったのですが、丁度その時に固まっていて果たせませんでした。そういう訳で、お目に留まるか分かりませんが画像を上げてみます。全体や詳細はお断りしていない手前、省略します。

 

牛刀 刃部アップ 研ぎ前

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牛刀 刃部アップ 研ぎ後

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牛刀 刃先拡大 研ぎ前

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牛刀 刃先拡大 研ぎ後

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筋引き 刃部アップ 研ぎ前

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筋引き 刃部アップ 研ぎ後

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筋引き 刃先拡大 研ぎ前

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筋引き 刃先拡大 研ぎ後

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後で気づきましたが、逆向きの画像の方が良かったようです。双方右側を(筋引きは元からの構造に従ってですが)厚みに対応する為、小刃の幅を超えて肉取りをしました。それにより右は初期のオーソドックスな小刃付けから、緩いハマグリに僅かな糸引きとなりました。更に広範囲に研ぎ面が出る為、外観の纏まり上、大部分は天然入り人造仕上げ+刃先側2㎜程の天然仕上げ(黒蓮華・大谷山)にしました。

刃先の構造上の違いによる好みの評価は変わるかも知れませんが、斬れ味以上に刃の通りと抜けが向上していると思います。特に筋引きは魚を対象としているように見受けられたので、刺身もやりやすく仕上がる様に研いだつもりですが、双方共に何か有りましたら御連絡頂きますようお願い致します。有難う御座いました。

 

魚介類まとめ買い

 

近所のスーパー四カ所の内、二カ所はまずまず魚介類が充実しているので、そこへの買い出しの折りには入荷状況にも依りますが、数種類のまとめ買いになる事が多いです。今回は、鯨の生食用とツブ貝の刺身その他を購入しましたが、手間無く食べられる上記二種を食べてから残りの準備を始めました。

下の画像は、刺身用剣先イカが安かった為、イカサキで裁いてみた所です。当然名前通りに使いやすく、確実な切れが出ていればこの刃渡りで結構な相手でも充分刺身包丁として通用します。

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身の裏は格子状に皮一枚切れ込みを入れ、糸造り的に。えんぺらとゲソは皮を剥いて適当な大きさで。あと、カラスと呼んだりする嘴の周り。

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更に、わたの中でいけそうな所を煮てみました。

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次に小鯵を開いて塩を振り、キッチンペーパーで包んで翌日焼いたり揚げたりに備えるわけですが、この際同時に粉末塩麹も振っておくと風味の劣化が少なく、身の保水性も増す様です。解凍した鶏肉のドリップを除去する為にペーパータオルで包む時にも同様にする事で、食感・風味共に改善できます。

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以前テレビ番組で、ある会社から鮪漁船に同行研究する社員の話題が在り、目的はPH調整剤か保存料についてだった様で、しかも食品添加物表示には当たらない分類をされているとの事でした。つまり捕られた次の瞬間からそういった物とは無縁ではいられない現状なのかも知れませんが、普段の食生活の中で出来るだけ加工度合いの低い食品を選ぶ事で、身体に掛かる負担を減らして行くべきかなと考えます。そういった意味では、カット・漂白されていない丸のままの野菜と同様に、調理・加工済で無い丸のままの魚の割合を増やしていくのが近道ではと思います。僅かな量で割高なカット済みに比べ、上手く使い切れば経済的で、安全性も確保しやすい丸のままの素材を自らの手で調理する事は、もっと重視されるべきでは無いでしょうか。

 

 

亀岡周辺はいいところ

 

勝手に桜の名所認定

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上の画像は、大阪から亀岡に向かう道沿いにある、自分が一~二年前から勝手に「ぷち千本桜」と思っている場所です。道中には、公園・川沿い・小学校や神社付近に大きな古木の単独や小ぶりな若木の集団・一列縦隊という、絵になる桜が多数存在しますが、地形を活かしたこの場所はスケールと合わせて個性的です。勿論、有名どころは妙見山ですが。

 

下の画像は同日、砥取家さんと合流して、嘗て採掘していた休眠中の山へ下見に訪れた際の物です。此方は採掘権云々でなく、砥取家の持ち山だと言う事です。後日、研ぎ文化振興協会から行政への説明として、担当の方々とも再訪した場所です。

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大小数カ所、採掘跡が在りました。

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そして、下の一つ目は様子見のサンプルとして、付近で切れっ端を採取して面を付けた物です。他の二つは比較用の君谷(休眠中)と大谷山です。

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サンプルで持ち帰った物は薄層に剥がれ易い状態の、はつって落とされた部分の様でした。その為か野晒しによる風化、或いは冬場の凍てによってかやや脆さを感じ、上図の大谷山や君谷よりも硬さ・細かさで及ばないものの、通常使用には問題無い範囲と思われます。それは、下の普及品の切り出しによる試し研ぎ画像でも明らかでしょう。今後の再採掘にも期待が持てるといった所でしょうか。

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ご依頼頂いた麺切り

 

包丁を見ると、かなり御自身で研ぎ込んでおられた様子でしたので、余り荒い砥石から掛けず、鋼部分の研ぎ傷を大まかに取る為、地金部分を避ける様にキングハイパーを使いました。以後は中仕上げから仕上げ、最終仕上げの天然砥石です。

 

まず最初の状態 全体像

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刃部 アップ

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裏 全体像

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表・前方 刃先拡大画像

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表・後方 刃先拡大画像

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名倉砥石(三河ボタン)にて研ぎ 全体像

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刃部 アップ

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巣板にて研ぎ後 全体像

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刃部 アップ

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小割の巣板にて均し・化粧研ぎ後 全体像

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刃部 アップ

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表・前方 刃先拡大画像

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表・後方 刃先拡大画像

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最初から細かく鋭い刃先になっていたのですが、切り刃の厚みにバラツキが有りました。中央がその前後よりもやや厚く、加えて後方の鋼部分の角度が他と差がありました。後は刃先手前の範囲で少し表側凸でしたので、木槌で軽めに叩いた後は研ぎで揃えていきました。

切れ込みは元々かなり良い状態でしたので、抜けに対してブレーキの掛かる切り刃の厚みの不均一を取り、刃金部分の角度のバラツキ・傷を揃え、刃先の糸引きの角度調整と精度向上で行こうと考えました。途中まではほぼ予定通りでしたが、最後の刃先の仕上げで予想外に返り(バリ)が取れにくく、苦労しました。

通常は、天然仕上げ砥であれば既にその時点で返りは出難く、特に超仕上げに値するカミソリ砥クラスでは、最後に軽く紙で撫でれば取れるものです。にも関わらず、200倍で確認すれどもすれども取れにくい鋼材でした。巣板・合砥・鏡面系の最終仕上げ砥を単体や組み合わせで何種類も試し、敷内曇りからの鏡面青砥(共名倉に柔らかめ一本松・戸前)でやっと返りが消えてくれました。此までの白紙の返りの取れ方や切れ方とは又違った刃物で、色々勉強させて貰いました。