11月の最終土日に、改装工事前の特別期間(研ぎ体験・簡単な指導無料サービス)が無事に終了しました。
再び、結構な人数の御運びを頂きましたが中でも拘りの強い一組は、和剃刀を研ぎに御出での方とナイフを御持ち頂いた方。
前者は過去に、砥取家で御目に掛かった事がありますが(人の名前や容貌を覚えるのが極端に苦手な自分としては)珍しく記憶に残っておりました。お連れの方は研ぎには余り親しんで来ずとは言え、自宅の屋上で鹿を焼いたりもする実用派。
ナイフもオピネルと言えば一般的ながら、海外仕様と珍しい物。それとビクトリノックス。砥いで行く内に楽しさにハマり、小さな原石に面付けを行ってからは、アマゾンに持って行こうかとの発言も。
菖蒲産の浅葱で試し研ぎ
その和剃刀ですね
此方は珍しいグリーンの柄のオピネル
他にも、御偉方の視察時に御出でだった方の再訪やいつもの御常連(持参包丁多数)、それに匹敵する以上の包丁を御持参の御夫妻。そして鉋の試し研ぎをされた方など。
和剃刀が出た序でと言う訳では有りませんが、上野さんが道中剃刀(箱に入っており、剃刀と砥石が同梱可能)を入手。それを砥いで欲しいとの事で土日を通して砥いで居ました。
形状は現在一般的な和剃刀よりも更に古い原型と思われる物で、浮世絵などでは恐らく同一と考えられる姿が見られます。
問題は、後になってグラインダーかリューターらしき物で表を鋤かれていた事。それをベタにしてくれとの希望で、ダイヤから始めました。
一日目の終了時。ダイヤ・人造中砥・巣板まで。二日目は各種巣板で平面出しと傷消し。
最後(三日目)は自宅で鏡面前後になりそうな各種小さ目の砥石で試しながら仕上げました。恐らくタタラによる刃金(玉鋼)と地金(軟鉄)でしょうが、余り硬くない所為か光り気味にはなりません。しかし地金の模様は精緻で優雅な物でした。
おまけは、火曜になりましたが以前より来て頂きたく思っていた新潟県三条の日野浦司さんに、夫婦揃って亀岡までお越し頂きました。
前日までの二日間、京都市で会合が有っての御立ちよりでしたが、砥石の産地で実際に現物を前に意見交換が出来、以前からの砥石を通じた交流に加え、地域や職種を超えた連携に繋がればと願っています。
おまけのおまけとして、テレビ番組制作の方が下見の一分野として来られるそうですので、幾らかでも御役に立てればと思います。私が長年、好んで視聴してきた番組でもありますので、楽しみでもあります。