司作出刃、流水飛紋

 

北海道のS様を介しての御依頼は、司作の出刃に私の研ぎを施す事でした。日野浦さんに問い合わせた所、偶然にも御希望のサイズに近い出刃が。

ただ、地金の種類としては最高額となる流水飛紋でしたので、少々気に成ったのですが問題無いという事で取り寄せました。

 

KIMG4875

 

KIMG4876

研ぎ前、全体画像

 

KIMG4878

研ぎ前、刃部アップ

 

Still_2019-06-17_225949_60.0X_N0005

研ぎ前、刃先拡大画像

 

KIMG4879

同じく裏

 

 

 

KIMG4880

人造の400⇒1000⇒3000番

 

KIMG4881

人造の小割りで地金部分の均し研ぎ

 

KIMG4882

成の1000番で全体を

 

KIMG4883

中硬の巣板の後、中硬の中山赤ピン

 

KIMG4885

地金部分を巣板各種で

 

KIMG4886

刃金部分を硬口の奥殿巣板(天上・本)の後、中山の戸前

 

 

 

KIMG4887

研ぎ上がり、全体画像

 

KIMG4888

研ぎ上がり、刃部アップ

 

Still_2019-06-19_015451_60.0X_N0006

研ぎ上がり、刃先拡大画像

 

KIMG4889

同じく、裏

 

 

元から可成り整えられた切り刃でしたが、中央とカーブの鎬筋側の厚みが気に成り、角度変化と共に調整しました。あと、刃先最先端まで薄目に成っていたので、刃金部分全体に鈍角に研ぎ直して更に最先端は刃元60度強⇒切っ先30度強。

刃体その物が薄目でしたので、刃先角度も其れに合わせて極端には強度優先にはしませんでした。それでも通常使用では十分な刃持ちだと思われます。上手く扱えば髪の毛に押し付けるだけで切れる程度には鋭利ですが。

本日中には、クロネコから御送りできると思いますので、現物が届きましたら御確認を御願いしたいと思います。お気に召して頂けましたら幸いです。此の度は有難う御座いました。

 

 

 

 

 

「司作出刃、流水飛紋」への6件のフィードバック

  1. 刃金と地金のコントラストも綺麗に出てますが、地金の模様も素晴らしくはっきりと出てますね。ナイフなどのダマスカス模様は薬品やサンドブラストで行うというのを聞いたことがありますが、天然砥石を駆使することでもこれほどまで綺麗にできることに驚いています。

    今はいただいた、奥殿天井巣板と赤ピンサンプルで切れ込み方やカカリの違いなどを試しています。手持ちの鋼の包丁ではカカリは奥殿方がしっかりとしていますが、切り込む感じは赤ピンの方が滑らかさを感じる物もあり、面白さを感じているところです。

    そこで気になってきていることがあり、この場を借りて質問させてください。いただいた奥殿天井巣板ですが、これの細かさは奥殿巣板としてどの程度なのでしょうか。また、刃先を作るとして中山の戸前系の細かいもの等より奥殿巣板が勝ることもあるのでしょうか。
    よろしくお願いします。

    1. A様

      御世話に成って居ります。今回の地金の最終仕上げは、欠片を御渡ししたかと思いますが奥殿の天井巣板内曇りです。

      当方で色々、試して頂いたのと同様に、御自宅でも天然の仕上がりの違いを楽しんで頂けている様にて欣快に存じます。

      御質問の内容ですが、御持ち返りの天井巣板は、若干の砥粒・砥面の凝集に不均一が有り、また巣の成りかけとも言うべき気泡状のポツポツが有ります。其の為、ベースの細かさは可成りな物とは言え、細かく見ればやや粗さを伴っていると言えます。細密で一辺倒な質に比べて、疎ら・入り混じっている訳ですが、其れが必ずしもマイナスに成らず、寧ろ滑らかさの中に掛かりが良い結果に結び付いている面が面白いですね。

      次の刃先形成能に付いてですが、一般論で言う所の、大まかに形状を作る場合は大抵、当たりが硬過ぎず適度に泥が出る様な砥石が優れます。その表面を精密に均したり、正確な角度を狙って刃先最先端を砥ぎ上げるには、泥が少なく硬さ・細かさが最上級の砥石が向いていると考えています。従って、研磨力なら柔らか目・正確さなら硬口が法則で有るならば、奥殿と中山の名前での違い・戸前と巣板での層の違いは絶対的では有りません。現物の砥石、その個体同士での比較に因ります。因みに、奥殿の本巣板の白超硬や天井巣板超硬ともなれば、大抵の山の硬口浅葱に勝るとも劣らない硬さと細かさです。まあ、中硬巣板のミクロのセレーションとも言うべき切れ加減も有用であり、支持する方々の存在も理解できますので、結局は望む刃先・切れ加減を如何に想定するかに掛かっているのでしょう。

      1. なるほど、泥の量や色などは硬さと研磨力の違いとしてしか見ていませんでしたが、そのような使い分けと考えられるのですね。最終的な長切れを目指したハマグリ刃を作る前の、刃先から鎬にかけての緩やかなハマグリを形成する際などは、適度な泥の出る砥石が優れるということでしょうか。

        例えば、砥石の産地が絶対の性能とはいえない為イメージではありますが、丸尾山の白巣板や敷き内曇りなどで形をつくり、さらに緻密さを求めるならば、奥殿の細かで泥の出のよい巣板で整えて、その後自身の求める切れ味を作る硬めの砥石で長切れを目指した刃先を作る。

        すべてを多種多様な赤ピンでまかなうことも可能であるし、他の層でも可能ではあるということでしょうか。

        1. 見事ですね、ほぼ完全な正解と言える理解です。

          例として出された赤ピンは、特にその傾向が強いですが・・・他の山・他の層でも、其れよりは幅は狭い物の同様な使い分けが可能です。仕上げ砥石の範囲内で荒仕上げ・中仕上げ・最終仕上げの各段階を担う事が出来る。一つとして同じ物が無いグラデーション的なバラつきを逆手に取れば、各段階で明確な役割分担を大きく振り分けたり・其処までの工程をより細かく刻んで精細な仕上がりにしたり。高品質な砥石ばかりで選別するのが理想では有りますが、そんなグループでルートを組めれば思い通りの仕上がりを見込めますね。

          付け加えるなら、硬口と中硬で交互に当てて砥ぎ目の付き方・刃の面構成を検証しつつ目的の形状を目指す。然る後、狙った砥ぎ肌の細かさに成る様に表面を仕上げ直しても良いし、最終的な刃先最先端(片刃であれば、裏押しも)は超硬口で仕上げるのが順当でしょうか。やわな砥石ばかりで、完全に目的通りの形状に砥ぎ下ろすのは案外、難しい物ですから(本焼きは又別ですが)特に刃金部分は両方の砥石を使いつつ、徐々に硬口と超硬口での研ぎへ移行する事に成ります。

          1.  詳しいく説明していただきありがとうございます。
            今まで漠然とした印象であった、天然砥石の使い分けにある程度の方向性が見えてきた感じかしています。
             天然砥石を探す際にも、自身の研ぎにおいて詳しい手順と必要としている性能を持つ石がどのようなものかわかっていれば、明確な石の選別ができるようになると感じます。
             腕が追い付いていないのがもどかしいですが、天然砥石に対しての興味がさらに増しています。

          2. 天然砥石に関しては、人造には無い特性や面白さが有りますので、御興味を持たれたならば是非とも楽しんで頂きたいと思います。砥石と刃物の使い方が決まってくれば、そして研ぎ方や目指す切れ加減が定まって来るほどに、狙う砥石も具体的に成り選別も容易に成ります。結果として余分なコストを掛けずに目的のグループを手に入れる方法とも成るのは其の通りですね。御自身の拘りを向ける対象として相応しいと御感じであれば、天然砥石と研ぎは研究・工夫を裏切らないので御薦めです。

むらかみ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>